第4 警告
平成18年度において警告を行ったものの概要は,後記第21表のとおりである。
![](H18nenji_gazou/p72-0001.gif)
![](H18nenji_gazou/p73-0001.gif)
第5 その他の事件処理等の公表
平成18年度において,公表案件のうち,審査を終了したものの概要は,後記第22表のと
おりである。
![](H18nenji_gazou/p74-0001.gif)
第6 課徴金
課徴金は,カルテル・入札談合等の違反行為防止という行政目的を達成するために行政
庁が違反事業者等に対して課す金銭的不利益である。
課徴金の対象となる行為は,旧法においては,事業者又は事業者団体の行うカルテルの
うち,商品若しくは役務の対価に係るもの又は実質的に商品若しくは役務の供給量を制限
することによりその対価に影響のあるものであったが,平成18年1月4日に施工された改
正法においては,事業者又は事業者団体の行うカルテルのうち,商品若しくは役務の対価
に係るもの又は商品若しくは役務について供給量,購入量,市場占有率若しくは取引の相
手方を実質的に制限することによりその対価に影響することとなるもの,及びいわゆる支
配型私的独占で被支配事業者が供給する商品若しくは役務について,その対価に係るもの
又は供給量,市場占有率若しくは取引の相手方を実質的に制限することによりその対価に
影響することとなるもの(第7条の2第1項及び第2項,第8条の3)となった。
平成18年度においては,119件,総額358億1981万円の課徴金の納付を命じた(第23表参
照)。
なお,平成18年度に課徴金の納付を命じた119件のうち,7件について旧法に基づく審判
判開始請求があり,これらについてはいずれも審判開始決定を行ったことから合計 270億
1677万円の課徴金納付命令(平成18年(納)第356号,第385号及び平成19年(納)第45号
ないし第49号)が審判手続に移行した。この結果,平成18年度において確定した課徴金額は,
課徴金の納付を命ずる審決46件を含め,158件,92億6367万円となった(第24表参照。)
![](H18nenji_gazou/p75-0001.gif)
(注) 旧法に基づく課徴金の納付を命ずる審決を含み,旧法に基づく審判手続きの開始により
失効した課徴金納付命令を除く。
![](H18nenji_gazou/p75-0002.gif)
![](H18nenji_gazou/p76-0001.gif)
![](H18nenji_gazou/p77-0001.gif)
(注) 前記のほか,旧法に基づく課徴金の納付を命ずる審決により,46事業者に対し4億6063万円の
課徴金の納付を命じている(第3章第4 課徴金の納付を命ずる審決参照)。
![](H18nenji_gazou/p78-0001.gif)
(注) 1 事件の関係人の一部のみを対象として納付を命じる場合(一部の関係人について
審判が行われたため関係人によって課徴金の納付を命じた時期がことなった場合)
には,最初の課徴金納付命令が行われた年度に事件を計上している。
2 旧法に基づく課徴金の納付を命ずる審決を含み,旧法に基づく審判手続の開始に
より失効した課徴金納付金命令を除く。
3 平成15年9月12日,協業組合カンセイに係る審決取消請求事件について,審決認
定(平成10年3月11日,課長金額1934万円)の課徴金額のうち967万円を越える部分
を取消す判決が出された(同判決は確定した。)。
4 平成16年2月20日,土屋企業(株)に係る審決取消請求事件について,審決認定
(平成15年6月13日,課徴金586万円)の課徴金額のうち302万円を越える部分を取
り消す判決が出された(同判決は決定した。)。
第7 告発
私的独占,カルテルなどの重大な独占禁止法違反行為については,排除措置命令の法的
措置のほか罰則が設けられているところ,これらについては公正取引委員会による告発を
待って論ずることとされている(第96条,第74条第1項及び第2項)。
公正取引委員会は,平成17年10月,独占禁止法改正法の趣旨を踏まえ,「独占禁止法違
反に対する刑事告発及び犯則事件の調査に関する公正取引委員会の方針」(注)を公表し,
独占禁止法違反行為に対する抑制力強化の観点から,積極的に掲示処罰を求めて告発を行
っていくこと等を明らかにしている。
平成18年度においては,市町村等が競争入札により発注するし尿処理施設の新設及び更
新工事の受注に係る取引分野における競争を実質的に制限した行為について,平成18年5
月23日及び同年6月12日,し尿処理施設建設工事業者11社及び同し尿処理施設建設工事の
受注業務に従事していた者11名を,名古屋市交通局が発注する高速度鉄道(以下「地下鉄」
という。)第6号線の野並・徳重間延伸事業に係る土木工事の受注に係る取引分野におけ
る競争を実質的に制限した行為に就いて,平成19年2月28日及び同年3月20日,名古屋市
交通局が発注する地下鉄第6号線野並・徳重間延伸事業に係る業者5社及び同5社の同土
木工事の受注業務に従事していた者5名を,独占禁止法違反に関する犯罪を行ったものと
思料して,それぞれ検事総長に告発した。
(注) 平成2年6月に公表した「独占禁止法違反に対する刑事告発に関する方針」を改定したもので
ある。
1 し尿処理施設建設工事の入札談合事件に係る告発
(1) 被告発人
ア 株式会社クボタ,アタカ工業株式会社,栗田工業株式会社,株式会社荏原製作所,
住友重機械工業株式会社,JFEエンジニアリング株式会社,株式会社西原環境テクノ
ロジー,三菱重工業株式会社,日立造船株式会社,三井造船株式会社,株式会社タク
マの11社
イ 株式会社クボタ,アタカ工業株式会社,栗田工業株式会社,株式会社荏原製作所,
住友重機械工業株式会社,JFEエンジニアリング株式会社,株式会社西原環境テクノ
ロジー,三菱重工業株式会社,日立造船株式会社,三井造船株式会社,株式会社タク
マのし尿処理施設建設工事の受注業務に従事していた者11名
(2) 告発の根拠
ア 事実
被告発会社11社は,平成16年12月上旬ころ,市町村等が競争入札により発注するし
尿処理施設の新設及び更新工事について,受注予定者を決定するとともに,受注予定
者が受注できるような価格等で入札を行う旨合意した上,以後,平成17年7月中旬こ
ろまでの間,同合意にしたがって受注予定者を決定し,もって,被告発会社が共同して,
その事業活動を相互に拘束し,遂行することにより,公共の利益に反して,し尿処理
施設の新設及び更新工事の受注に係る取引分野における競争を実質的に制限した。
また,被告発人11人は,それぞれの所属する被告発会社の業務に関し,同工事の受
注に係る取引分野における競争を実質的に制限した。
イ 罰条
旧法第89条第1項第1号,第95条第1項第1号,第3条及び刑法第60条
2 名古屋市営地下鉄に係る土木工事の入札談合事件
(1) 被告発人
ア 株式会社大林組,鹿島建設株式会社,清水建設株式会社,株式会社奥村組,前田建
設工業株式会社の5社
イ 株式会社大林組,鹿島建設株式会社,清水建設株式会社,株式会社奥村組,前田建
設工業株式会社の名古屋市交通局が発注する地下鉄第6号線野並・徳重間延伸事業に
係る土木工事の受注業務に従事していた者5名
(2) 告発の根拠
ア 被告発会社5社は,他の建設業者とともに,平成17年12月中旬ころ,名古屋市交通
局が一般競争入札の方法により特別共同企業体に発注する地下鉄第6号野並・徳重間
延伸事業に係る土木工事について,受注予定の特別共同企業体を決定するとともに,
受注予定特別共同企業体が受注できるような価格で入札を行う旨を合意した上,同合
意に従って受注予定特別共同企業体を決定し,もって,被告発会社等が共同して,そ
の事業活動を相互に拘束し,遂行することにより,公共の利益に反して,前記土木工
事の受注に係る取引分やにおける競争を実質的に制限した。
また,被告発人5名は,それぞれの所属する被告発会社の業務に関し,同工事の受
注に係る取引分野における競争を実質的に制限した。
イ 罰条
改正法第89条第1項第1号,第95条第1項第1号,第3条及び刑法第60条
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