第3 排除措置命令等の法的措置

 平成19年度は,排除措置命令22件,排除措置命令を行っていない課徴金納付命令2件,計24件の法的措置を行った。平成19年度に法的措置を採った24件について違反法条をみると,第3条後段(不当な取引制限の禁止)違反20件,第8条第1項第4号(事業者団体による構成員の機能活動の制限の禁止)違反1件及び第19条(不公正な取引方法の禁止)違反3件となっている。
 法的措置を採った上記24件の概要は,以下のとおりである。

1 独占禁止法第3条後段違反事件
(1)東京ガスエネルギー(株)ほか3社に対する件(平成19年(措)第7号),(株)千代田機械製作所ほか3社に対する件(平成19年(措)第8号)



ア 関 係 人


イ 違反行為の概要
(ア) 関東甲信越地区(平成19年(措)第7号)
関東甲信越地区の関係人4社(以下「関東甲信越地区の4社」という。)は,遅くとも平成14年4月1日以降に発注されたガス事業者,石油製品小売業者等が指名競争入札に付する関東甲信越地区を施工場所とする天然ガスエコ・ステーション建設工事(注1)(以下「特定天然ガスエコ・ステーション建設工事」という。)について,共同して,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにすることにより,公共の利益に反して,同工事の取引分野における競争を実質的に制限していた。
(注) 

1 天然ガスエコ・ステーション(天然ガス自動車への天然ガスの供給を事業として行うための供給設備を設置する施設をいう。)の新設工事又は増設・改造工事をいう。
 天然ガスエコ・ステーションの設備の設置等に要する経費については,経済産業省から財団法人エコ・ステーション推進協会に対し,補助金が交付されていたところ,当該工事の発注者であるガス事業者,石油製品小売業者等は,同協会から補助金の交付を受け,当該経費をおおむね同協会からの補助金により賄っていた。
 なお,財団法人エコ・ステーション推進協会は,平成19年3月31日付けで解散している。

(イ) 近畿地区(平成19年(措)第8号)
 近畿地区の関係人4社(以下「近畿地区の4社」という。)及び第5表記載の2社(以下「6社」という。)は,遅くとも平成15年9月1日以降(6社のうち,神鋼プラント建設(株)については平成15年10月15日以降平成16年10月31日までの間,(株)神鋼エンジニアリング&メンテナンスについては平成16年11月1日以降,住友金属工業(株)については平成15年9月1日以降平成17年9月30日までの間,及び住友金属パイプエンジ(株)については平成17年10月1日以降)に発注された大阪瓦斯(株),石油製品小売業者等が指名競争入札に付する大阪瓦斯(株)の天然ガスの配管区域を施工場所とする特定天然ガスエコ・ステーション建設工事について,共同して,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにすることにより,公共の利益に反して,同工事の取引分野における競争を実質的に制限していた。
ウ 主文の概要
(ア) 関東甲信越地区(平成19年(措)第7号)
a 関東甲信越地区の4社は,前記イ(ア)の行為を取りやめている旨を確認することを,それぞれ,取締役会において決議しなければならない。
b 関東甲信越地区の4社は,それぞれ,前記aに基づいて採った措置及び今後,前記イ(ア)の行為と同様の行為を行わず,各社がそれぞれ自主的に受注活動を行う旨を,自社を除く3社及び特定天然ガスエコ・ステーション建設工事の発注者に通知し,かつ,自社の従業員に周知徹底しなければならない。
(イ) 近畿地区(平成19年(措)第8号)
a 近畿地区の4社は,前記イ(イ)の行為を取りやめている旨を確認することを,それぞれ,取締役会において決議しなければならない。
b 近畿地区の4社は,それぞれ,前記aに基づいて採った措置及び今後,前記イ(イ)の行為と同様の行為を行わず,各社がそれぞれ自主的に受注活動を行う旨を,自社を除く3社並びに大阪瓦斯及びそれ以外の特定天然ガスエコ・ステーション建設工事の発注者に通知し,かつ,自社の従業員に周知徹底しなければならない。
c  近畿地区の4社は,今後,それぞれ,相互の間において,又は他の事業者と共同して,特定天然ガスエコ・ステーション建設工事について,受注予定者を決定してはならない。
d  近畿地区の4社は,今後,それぞれ,次の事項を行うために必要な措置を講じなければならない。
(a) 入札その他競争により相手方を選定する方法により発注される工事に関する独占禁止法の遵守についての行動指針の作成又は改定
(b) 特定天然ガスエコ・ステーション建設工事の営業担当者に対する入札その他競争により相手方を選定する方法により発注される工事に関する独占禁止法の遵守についての定期的な研修及び法務担当者による定期的な監査
エ 排除措置命令の名あて人とならない違反行為者

(注) 

2 平成17年10月1日に,住友金属パイプエンジ(株)に対し,天然ガスエコ・ステーション建設工事の請負業に関する営業を承継させており,以後,同事業を営んでいない。

3 平成16年11月1日に,神鋼メックス(株)(同日付けで,(株)神鋼エンジニアリング&メンテナンスに商号変更)に吸収合併されたことにより消滅している。


(2)ニチアス(株)ほか1社に対する件(平成19年(措)第9号)



ア 関 係 人


イ 違反行為の概要
 関係人2社(以下「2社」という。)は,平成16年2月ころ以降,2社の会合,販売業者が主催する懇親会等の場を通じて,病院,工場,店舗等の内壁,天井等の内装材として販売されるけい酸カルシウム板の販売業者又は内装工事業者向けの販売価格(以下「内装工事用けい酸カルシウム板の販売価格」という。)に関する情報交換を繰り返し行い,同年11月10日,ニチアス(株)においては同年12月1日出荷分から,(株)エーアンドエーマテリアルにおいてはできるだけ速やかに(注),内装工事用けい酸カルシウム板の販売価格を現行販売価格から10パーセントを目途に引き上げる旨合意し,これにより,公共の利益に反して,我が国における内装工事用けい酸カルシウム板の販売分野における競争を実質的に制限していた。
(注)   その後,(株)エーアンドエーマテリアルは,ニチアス(株)に対し,合意に基づき内装工事用けい酸カルシウム板の販売価格を引き上げる時期を平成17年1月1日出荷分からとすることとした旨を伝えた。
ウ 主文の概要
(ア) 2社は,前記イの合意が消滅している旨を確認することを取締役会において決議しなければならない。
(イ) 2社は,それぞれ,前記(ア)に基づいて採った措置及び今後,前記イの行為と同様の行為を行わないことを相互に通知するとともに,取引先販売業者及び内装工事業者に周知し,かつ,自社の従業員に周知徹底しなければならない。
(ウ) 2社は,今後,それぞれ,相互の間において,又は他の事業者と共同して前記イと同様の行為を行ってはならない。
(エ) 2社は,今後,それぞれ,相互に,内装工事用けい酸カルシウム板の販売価格の改定に関する情報交換を行ってはならない。
(オ) 2社は,今後,それぞれ,次の事項を行うために必要な措置を講じなければならない。
a 自社の商品の販売活動に関する独占禁止法の遵守についての行動指針の作成又は改定
b 国内営業担当者に対する自社の商品の販売活動に関する独占禁止法についての定期的な研修及び法務担当者による定期的な監査

(3)五洋建設(株)ほか55社に対する件(平成19年(措)第11号)



ア 関 係 人




イ 違反行為の概要
 関係人56社(以下「56社」という。)及び第6表記載の4社は,平成16年度以降発注される防衛施設庁発注の特定土木・建築工事(注1)のうち,業界側連絡役(注2)等から防衛施設庁の職員が行った割り振り(注3)の結果の伝達を受けた工事について,落札予定者として選定された者又はその者が構成員となる特定建設工事共同企業体を受注予定者とし,受注予定者以外の者は,受注予定者の受注に協力する旨の合意の下に,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにすることにより,公共の利益に反して,防衛施設庁発注の特定土木・建築工事の取引分野における競争を実質的に制限していた。
(注) 

1 防衛施設庁が,その地方支分部局である防衛施設局(その機関である防衛施設支局を含む。)において,一般競争入札,競争性を高めた公募型指名競争入札,公募型指名競争入札又は指名競争入札(これらの入札において,予定価格の制限の範囲内の価格の入札がないため当該入札を不調とし,入札参加者から見積書を徴した上で随意契約により契約の相手方を決定する場合を含む。)の方法により発注する土木一式工事又は建築一式工事であって,一定の条件に該当するものをいう。

2 鹿島建設(株)若しくは大成建設(株)の営業担当役員級の者又は(株)大林組の中国地区の営業責任者級の者をいう。

3 防衛施設庁等の退職者(以下「OB」という。)の在籍状況のほか,工事ごとに過去に受注した工事との継続性,関連性,事業者が示した受注意欲等を勘案して落札予定者を選定することをいう。

ウ 主文の概要
(ア) 56社は,前記イの行為を取りやめている旨を確認することを取締役会において決議しなければならない。
(イ) 56社のうち1社(注4)を除く55社(以下「55社」という。)は,前記(ア)に基づいて採った措置及び今後同様の行為を行わない旨を,また,当該1社は,前記(ア)に基づいて採った措置を,それぞれ,56社のうち自社を除く各社に通知し,かつ,自社の従業員に周知徹底しなければならない。
(ウ) 55社は,今後,それぞれ,相互の間において,又は他の事業者と共同して同様の工事について,受注予定者を決定してはならない。
(エ) 55社は,今後,それぞれ,次の事項を行うために必要な措置を講じなければならない。
a 官公需の受注に関する独占禁止法の遵守についての行動指針の作成又は見直し
b 営業担当者等に対する官公需の受注に関する独占禁止法の遵守についての定期的な研修及び法務担当者による定期的な監査
c 独占禁止法違反行為に関与した役員,従業員等に対する処分に関する規程の整備又は見直し
d 独占禁止法違反行為に係る通報者,社内調査の対象者等に対する免責等実効性のある社内通報制度及び社内調査制度の設置又は見直し
(注) 

4 吸収分割により,他の事業者に建設業に関する事業を承継させることを決定している者である。

エ 防衛施設庁に対する通知について
(ア) 平成19年(措)第11号に係る違反行為に関し,防衛施設庁の当時の職員が次の行為を行っていた事実が認められた。
a 防衛施設庁の建設部建設企画課企画官(以下「企画官」という。)は,同庁の技術審議官,同庁建設部長及び同庁建設部建設企画課長(平成17年8月8日以降は同庁総務部施設調査官)の指示の下に,OBが在籍する建設会社が安定的な受注価格の下で継続的に受注できるようにすること等を目的として,平成16年度以降発注される防衛施設庁発注の特定土木・建築工事のうち
(a)OBの退職時の地位,年齢等に基づき,OBが在籍する建設会社ごとの年間受注目標額を算出し,当該年間受注目標額の範囲内で,OBが在籍する建設会社が落札することが適当であると判断した工事
(b) 最大手級の建設会社が落札することが適当であると判断した工事 について,入札の執行前に,割り振りを行い,その結果を窓口役のOB(注5)に直接又はその補助役の特定のOBを通じて伝達し,窓口役のOBは,割り振りの結果を業界側連絡役等に伝達し,業界側連絡役は,必要に応じ,業界側連絡役の補助役の業務担当者又は落札予定者以外の建設会社の業務担当者を通じて,落札予定者の業務担当者に割り振りの結果を伝達していた。
b 企画官は,落札予定者に確実に受注させるため,防衛施設庁の地方支分部局である防衛施設局の担当課長に対し,割り振りの対象とした工事のうち指名競争入札の工事については,当該工事名及び落札予定者名を伝え,当該落札予定者を当該工事の入札に指名するよう指示するなどしていた。
(注) 

5 かつて技術審議官の職等にあって既に退職していた特定の者をいう。

(イ) 該当法条及び通知
 防衛施設庁の当時の職員による前記(ア)の行為は,入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律(以下「入札談合等関与行為防止法」という。)第2条第5項第1号,第2号又は第4号の規定に該当し,いずれも入札談合等関与行為防止法に規定する入札談合関与行為と認められる。
 他方,防衛施設庁は,防衛施設庁入札談合等に係る事案に対する調査委員会が取りまとめた平成18年6月15日付け「防衛施設庁入札談合等に係る事案の調査について」及び防衛施設庁入札談合等再発防止に係る抜本的対策に関する検討会が取りまとめた平成18年6月16日付け「防衛施設庁入札談合等再発防止に係る抜本的対策報告書」に基づいて,入札談合等関与行為の再発を防止するために,入札制度等の改善措置を採ることとし,その旨を公表するとともに当委員会にもその旨の説明を行い,かつ,これに基づき平成18年12月以降行った入札において改善措置を実施した。
 公正取引委員会は以上を考慮し,入札談合等関与行為防止法の規定に基づく改善措置を求めることをしないが,今後,防衛施設庁において前記改善措置その他の措置を着実に実施することに資するため,防衛施設庁に対し,前記(ア)の入札談合等関与行為等について通知を行った。
オ 会計検査院への通知
 公正取引委員会は,入札談合等関与行為の排除及び防止に万全を期す観点から,会計検査院に対しても,前記エと同趣旨の通知を行った。

カ 排除措置命令の名あて人とならない違反行為者
(注) 

6 大木建設(株)は,神田大木建設(株)に対して営業を譲渡して解散したものである。

7 九州管財(株)は,(株)さとうベネックが,ネクスト・ベネック(株)に対し事業を譲渡し,現商号に変更したものである。

8 日東みらい建設(株)は,みらい建設工業(株)に吸収合併されたことにより消滅したものである。

9 (株)地崎工業は,岩田地崎建設(株)に吸収合併されたことにより消滅したものである。

(4)三井化学(株)ほか6社に対する件(平成19年(措)第13号),日立金属(株)ほか4社に対する件(平成19年(措)第14号)



ア 関 係 人


イ 違反行為の概要
(ア) ガス用ポリエチレン管(平成19年(措)第13号)
 関係人7社及び第7表記載の2社の9社(以下「9社」という。)のうちクボタシーアイ(株)を除く8社は,平成16年9月7日ころ,需要者向けのガス用ポリエチレン管(以下「PE管」という。)について,平成16年11月1日出荷分から(注1),需要者渡し価格を現行価格より15パーセントを目途に引き上げることを合意し,また,9社のうち(株)クボタを除く8社は,平成17年9月26日ころ,需要者向けのPE管について,平成17年11月1日出荷分から(注2),需要者渡し価格を現行価格より15パーセントを目途に引き上げることを合意し,これらにより,9社は,公共の利益に反して,我が国におけるPE管の販売分野における競争を実質的に制限していた。
(注) 

1 東邦瓦斯(株)向けのものは平成17年3月21日出荷分から,大阪瓦斯(株)向けのものは平成17年4  月1日出荷分から,東京瓦斯(株)向けのものは平成17年7月1日出荷分から。

2 東邦瓦斯(株)向けのものは平成18年3月21日出荷分から,大阪瓦斯(株)向けのものは平成18年4月1日出荷分から,東京瓦斯(株)向けのものは平成18年7月1日出荷分から。

(イ) ガス用ポリエチレン管継手(平成19年(措)第14号)
 関係人5社及び第7表記載の2社の7社(以下「7社」という。)のうちクボタシーアイ(株)を除く6社は,平成16年9月7日ころ,需要者向けのガス用ポリエチレン管継手(注3)について,平成16年11月1日出荷分(注4)から,需要者渡し価格を現行価格より8パーセントから10パーセントを目途に引き上げることを合意し,また,7社のうち(株)クボタを除く6社は,平成17年9月26日ころ,需要者向けのガス用ポリエチレン管継手について,平成17年11月1日出荷分(注5)から,需要者渡し価格を現行価格より8パーセントから10パーセントを目途に引き上げることを合意することにより,7社は,公共の利益に反して,我が国におけるガス用ポリエチレン管継手の販売分野における競争を実質的に制限していた。
(注) 

3 ガス用ポリエチレン管継手とは,ガス用ポリエチレン管を接続するポリエチレン樹脂製の部材であって,本件においては,ヒートフュージョン継手,スピゴット継手,エレクトロフュージョン継手及びトランジション継手をいう。

4 東邦瓦斯(株)向けのものは平成17年3月21日出荷分から,大阪瓦斯(株)向けのものは平成17年4月1日出荷分から,東京瓦斯(株)向けのものは平成17年10月1日出荷分から。

5 東邦瓦斯(株)向けのものは平成18年3月21日出荷分から,大阪瓦斯(株)向けのものは平成18年4月1日出荷分から,東京瓦斯(株)向けのものは平成18年10月1日出荷分から。

ウ 主文の概要
(ア) 前記イの合意が消滅している旨を確認すること並びに今後,前記イの行為と同様の行為を行わず,各社がそれぞれ自主的に決める旨を,それぞれ,取締役会等の業務執行の決定機関において決議しなければならない。
(イ) 前記(ア)に基づいて採った措置を,それぞれ,自社を除く各社に通知するとともに,取引先販売業者及び需要者に通知し,かつ,自社の従業員に周知徹底しなければならない。
(ウ) 今後,それぞれ,相互の間において,又は他の事業者と共同して,前記イと同様の行為を行ってはならない。
(エ) 今後,それぞれ,次の事項を行うために必要な措置を講じなければならない。
a 自社の商品の販売活動に関する独占禁止法の遵守についての行動指針の作成又は改定
b 国内営業担当者に対する自社の商品の販売活動に関する独占禁止法の遵守についての定期的な研修及び法務担当者による定期的な監査
エ 排除措置命令の名あて人とならない違反行為者
(注) 

6 (株)クボタは,会社分割によりガス用ポリエチレン管及びガス用ポリエチレン管継手の製造販売に係る事業をクボタシーアイ(株)に承継させており,以後,同事業を営んでいない。

(5)清水建設(株)ほか32社に対する件(平成19年(措)第15号)



ア 関 係 人



イ 違反行為の概要
 関係人33社(以下「33社」という。)は,平成17年12月上旬ころから同月中旬ころまでの間に,名古屋市発注の地下鉄6号線延伸工事(注1)について,(株)大林組の顧問等(注2)からの落札予定者等に係る連絡又は同顧問との話合い(注3)を通じて,落札予定者を受注予定者とし,受注予定者以外の者は,受注予定者が受注できるように協力する旨を合意することにより,公共の利益に反して,名古屋市発注の地下鉄6号線延伸工事の取引分野における競争を実質的に制限していた。
(注) 

1 名古屋市が一般競争入札の方法により発注する高速度鉄道第6号線野並・徳重間延伸事業に係る土木一式工事をいう。

2 (株)大林組名古屋支店の顧問であった者及び同支店の営業担当者をいう。

3 名古屋市発注の地下鉄6号線延伸工事に係る受注希望を表明するなどのことをいう。

ウ 主文の概要
(ア) 33社は,それぞれ,前記イの合意が消滅している旨を確認すること及び今後,前記イの行為と同様の行為を行わず,各社がそれぞれ自主的に受注活動を行う旨を,取締役会において決議しなければならない。
(イ) 33社は,それぞれ,前記(ア)に基づいて採った措置を,自社を除く32社及び名古屋市に通知し,かつ,自社の従業員に周知徹底しなければならない。
(ウ) 33社は,今後,それぞれ,相互の間において,又は他の事業者と共同して,名古屋市が発注する高速度鉄道事業に係る土木一式工事について,受注予定者を決定してはならない。
(エ) (株)森本組,(株)竹中土木及び名工建設(株)は,今後,それぞれ,次のaからdまでの事項を行うために必要な措置を,33社のうち,(株)森本組,(株)竹中土木及び名工建設(株)を除く30社は,今後,それぞれ,次のbの事項を行うために必要な措置を,講じなければならない。
a 官公需の受注に関する独占禁止法の遵守についての行動指針の作成又は見直し
b 名古屋市が発注する土木一式工事の受注に関する独占禁止法の遵守についての,当該工事の営業担当者に対する定期的な研修及び法務担当者による定期的な監査
c 独占禁止法違反行為に関与した役員及び従業員に対する処分に関する規程の整備又は見直し
d 独占禁止法違反行為に係る通報者,社内調査の対象者等に対する免責等実効性のある社内通報制度及び社内調査制度の設置又は見直し

(6)住友金属パイプエンジ(株)ほか1社に対する件(平成19年(納)第189号及び第190号),JFEエンジニアリング(株)ほか3社に対する件(平成19年(納)第191号ないし第194号)



ア 関 係 人



イ 違反行為の概要
(ア) 東京瓦斯(株)が発注する高圧ガス導管工事
 関係人2社は,遅くとも平成17年1月18日以降,他の事業者と共同して,東京瓦斯(株)が発注する特定高圧ガス導管工事(注1)について,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにすることにより,公共の利益に反して,同工事の取引分野における競争を実質的に制限していた。
(注) 

1 東京瓦斯(株)が指名競争入札の方法(工区選択権付指名競争入札と称する方式並びに技術提案型指名競争入札及び工区選択権付指名競争入札を組み合わせた方式によるものを含む。)により発注する高圧ガス導管工事

(イ) 大阪瓦斯(株)が発注する中圧ガス導管工事
 関係人4社は,遅くとも平成15年4月1日以降,他の事業者と共同して,大阪瓦斯(株)が発注する特定中圧ガス導管工事(注2)について,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにすることにより,公共の利益に反して,同工事の取引分野における競争を実質的に制限していた。
(注) 

2 大阪瓦斯(株)が見積入札又は簡易入札(経費率入札又は割引率入札をいう。)の方法により発注する鋼管製中圧ガス導管(鋼管製中圧ガス導管に係る附帯設備を含む。以下同じ。)工事並びに鋼管製中圧ガス導管の保守,点検,改修及びこれらに関連する作業

(7)(社)日本森林技術協会ほか18社に対する件(平成19年(措)第18号)



ア 関 係 人



イ 違反行為の概要
 関係人19名(以下「19名」という。)及び第8表記載の2名は,遅くとも平成16年4月1日以降,独立行政法人緑資源機構(以下「緑資源機構」という。)発注の特定林道調査測量設計業務(注1)について,当該業務に係る入札前に,平成16年度においては緑資源機構森林業務部長の職にあった者から,平成17年度及び平成18年度においては緑資源機構森林業務部林道企画課長の職にあった者から,直接又は発注事務担当職員(注2)を通じて落札予定者となった旨の伝達を受けた者を受注予定者とし,受注予定者以外の者は受注予定者が受注できるようにすることにより,公共の利益に反して,緑資源機構発注の特定林道調査測量設計業務の取引分野における競争を実質的に制限していた。
(注) 

1 緑資源機構が指名競争入札又は見積り合わせの方法により発注する緑資源幹線林道と称する林道の開設,改良等の事業に係る地質調査業務又は調査測量設計業務(他の業務が併せて発注される場合における当該他の業務を含む。)をいう。

2 緑資源機構において緑資源機構発注の特定林道調査測量設計業務の発注に係る事務に従事する職員をいう。

ウ 主文の概要
(ア) 19名は,それぞれ,前記イの行為を取りやめている旨を確認すること及び今後,前記イの行為と同様の行為を行わず,各自がそれぞれ自主的に受注活動を行う旨を,取締役会等の業務執行の決定機関において決議しなければならない。
(イ) 19名は,それぞれ,前記(ア)に基づいて採った措置を,19名のうち自らを除くすべての事業者及び緑資源機構に通知し,かつ,自らの従業員又は職員に周知徹底しなければならない。
(ウ) 19名は,今後,それぞれ,相互の間において,又は他の事業者と共同して,緑資源機構発注の特定林道調査測量設計業務(緑資源機構の廃止に伴い地方公共団体又は独立行政法人森林総合研究所が発注することとなるものを含む。)について,受注予定者を決定してはならない。
エ 緑資源機構等に対する通知について
(ア) 平成19年(措)第18号に係る違反行為に関し,緑資源機構の役員及び職員が,次の行為を反復的かつ継続的に行っていた事実が認められた。
a 緑資源機構発注の特定林道調査測量設計業務について,平成16年度に発注されたものにあっては緑資源機構森林業務部長の職にあった者が,平成17年度及び平成18年度に発注されたものにあっては緑資源機構森林業務部林道企画課長の職にあった者が,当該年度において発注が予定される緑資源機構発注の特定林道調査測量設計業務の一覧表を作成し,当該一覧表に記載された業務及びそれ以外に発注されることとなった緑資源機構発注の特定林道調査測量設計業務について,各事業者における緑資源機構の退職者の在籍状況,事業者の受注意欲,過去の受注実績等を勘案して,落札予定者を選定し,当該業務に係る入札前に,自ら又は発注事務担当職員を通じて,落札予定者に対し,落札予定者となった旨を伝達していた。
b 平成17年度及び平成18年度においては,緑資源機構の森林業務担当理事の職にあり,平成16年度において緑資源機構森林業務部長の職にあった者は,前記aの落札予定者の選定結果について承認を与えていた。
(イ) 該当法条及び通知
 緑資源機構の役員及び職員による前記(ア)の行為は,第2条第5項第1号及び第2号の規定に該当し,いずれも入札談合等関与行為防止法に規定する入札談合等関与行為と認められる。
 公正取引委員会は,緑資源機構に設置された入札談合再発防止対策等委員会が平成19年8月9日付けで取りまとめた「入札談合再発防止対策【中間取りまとめ】」における提言の内容に沿って,緑資源機構が同月30日付で「入札談合再発防止対策実施方針」を策定し,入札契約制度の見直し,組織・人事の見直しを行うことを決定してその旨を公表するとともに,公正取引委員会にもその内容を報告していること,緑資源機構が平成19年度限りで解散することとしていること等を考慮し,入札談合等関与行為防止法の規定に基づく改善措置は求めないこととしたが,今後,緑資源機構における前記取組その他の措置を着実に実施することに資するよう,緑資源機構に対し,前記(ア)の入札談合等関与行為等について通知を行った。
オ 会計検査院等への通知
 公正取引委員会は,入札談合等関与行為の排除及び防止に万全を期す観点から,会計検査院及び林野庁に対しても,前記エと同趣旨の通知を行った。

カ 排除措置命令の名あて人とならない違反行為者
(注) 

3 緑資源機構から,平成19年5月24日から1年間の指名停止措置を受けるとともに,平成19年11月16日の理事会において,平成19年度末を目途に解散することを決定している。

4 緑資源機構から,平成19年5月24日から1年間の指名停止措置を受けるとともに,平成19年9月28日の理事会において,平成19年度末を目途に解散することを決定している。

(8)(株)竹山ほか2社に対する件(平成20年(措)第1号)



ア 関 係 人


イ 違反行為の概要
 関係人3社(以下「3社」という。)は,遅くとも平成16年4月1日以降,北海道大学が一般競争入札の方法により発注する北海道大学病院において使用する医療機器(単価契約を締結し発注するものを除く。)について,受注価格の低落防止を図るため,共同して,一機種指定発注(注)に係る機種を提案する営業活動を行った者が1社のみの場合は,その者を当該医療機器の受注予定者とし,同営業活動を行った者が複数いる場合は,それらの者の間の話合いにより当該医療機器の受注予定者を決定し,受注予定者以外の者は,受注予定者が受注できるようにすることにより,公共の利益に反して,北海道大学発注の特定医療機器の取引分野における競争を実質的に制限していた。
(注)   特定のメーカーの特定の機種の医療機器を指定する旨の条件を付して発注することをいう。
ウ 主文の概要
(ア) 3社は,それぞれ,前記イの行為を取りやめている旨を確認すること及び今後,前記イの行為と同様の行為を行わず,各社がそれぞれ自主的に受注活動を行う旨を,取締役会において決議しなければならない。
(イ) 3社は,それぞれ,前記(ア)に基づいて採った措置を,自社を除く2社及び北海道大学に通知し,かつ,自社の従業員に周知徹底しなければならない。
(ウ) 3社は,今後,それぞれ,相互の間において,又は他の事業者と共同して,北海道大学が一般競争入札の方法により発注する北海道大学病院において使用する医療機器について,受注予定者を決定してはならない。
(エ) 3社は,前記(ア)及び(イ)に基づいて採った措置を速やかに当委員会に報告しなければならない。

(9)(株)ブリヂストンほか4社に対する件(平成20年(措)第2号)



ア 関 係 人

(注) 

1 アイティーアール・ラバー・エスアールエルが平成14年4月24日付けで商号変更したものである。


イ 違反行為の概要
 関係人5社(以下「5社」という。)及び第9表記載の3社(以下「8社」という。)は,平成11年12月10日ころ以降,マリンホース(注2)の需要者が,複数の者に対して見積価格の提示を求めた上で発注するマリンホース(以下「特定マリンホース」という。)について
(ア)
a 我が国,英国,フランス共和国及びイタリア共和国の4か国(以下「本店所在国」という。)を特定マリンホースの使用地とする場合には,使用地となる国に本店を置く者を受注予定者とし,複数の事業者がこれに該当する場合には,当該複数の事業者のうちのいずれかの者を受注予定者とする
b 本店所在国以外を使用地とする場合には,あらかじめ各社が受注すべき特定マリンホース(本店所在国を使用地とするものを除く。)の割合を定め,当該割合等を勘案して,コーディネーター(注3)が選定する者を受注予定者とする
(イ) 受注すべき価格は,受注予定者が定め,受注予定者以外の者は,受注予定者がその定めた価格で受注できるように協力する
旨の合意の下に,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにすることにより,公共の利益に反して,特定マリンホースのうち我が国に所在するマリンホースの需要者が発注するものの取引分野における競争を実質的に制限していた。
(注) 

2 タンカーと石油備蓄基地施設等との間の送油に用いられるゴム製ホース(オイル・カンパニー・インターナショナル・マリン・フォーラム(石油会社国際海事評議会)が定める製品規格及び検査基準を満たすものをいい,その付属品が併せて発注される場合には当該付属品を含む。)をいう。

3 8社が特定マリンホースの受注予定者の選定等の業務を委任した者をいう。

ウ 主文の概要
(ア) 5社は,それぞれ,前記イの行為を取りやめている旨を確認すること及び今後,相互の間において,又は他の事業者と共同して,特定マリンホースのうち我が国に所在するマリンホースの需要者が発注するものについて,受注予定者を決定せず,各社がそれぞれ自主的に受注活動を行うことを,取締役会等の業務執行の決定機関において決議しなければならない。
(イ) 5社は,それぞれ,前記(ア)に基づいて採った措置を,自社を除く4社及び横浜ゴム株式会社に通知するとともに,我が国に所在するマリンホースの需要者に通知しなければならない。
(ウ) 5社は,今後,それぞれ,相互の間において,又は他の事業者と共同して,特定マリンホースのうち我が国に所在するマリンホースの需要者が発注するものについて,受注予定者を決定してはならない。
エ 排除措置命令の名あて人とならない違反行為者

(注) 

4 アイティーアール・エスペーアーが,平成13年12月19日付けで,アイティーアール・ラバー・エスアールエルに対し,マリンホースの製造販売に係る事業を承継させ,平成16年12月29日付けで現商号に変更したものである。

5 平成18年12月26日に消滅している。

(10)JFE継手(株)ほか2社に対する件(平成20年(措)第3号),新和産業(株)ほか1社に対する件(平成20年(措)第4号)



ア 関 係 人


イ 違反行為の概要
(ア) ガス用フレキシブル管(注1)(平成20年(措)第3号)
 関係人3社及び第10表記載の1社の4社(以下「4社」という。)は,ガス用フレキシブル管について
a 平成16年1月20日ころ,基準額(注2)を現行のものから13パーセント引き上げ,もって,同年4月1日出荷分から,需要者又は販売業者に対する販売価格を現行価格から引き上げること
b 平成18年8月4日ころ,基準額を現行のものから15パーセント(注3)引き上げ,もって,同年10月1日出荷分から,需要者又は販売業者に対する販売価格 を現行価格から引き上げること
を合意することにより,公共の利益に反して,我が国におけるガス用フレキシブル管の販売分野における競争を実質的に制限していた。
(注) 

1 ステンレス鋼製のフレキシブル管で長さが30メートル又は60メートルのものをいう。

2 販売業者が需要者に対するガス用フレキシブル管の販売価格を設定するに当たり基準とする額をいう。4社は,基準額を定め,当該基準額に一定率を乗じて,又は当該基準額を参考として,需要者又は販売業者に対する販売価格を定めていた。

3 日立金属(株)は,平成18年8月末ころ,基準額の引上げ率を16パーセントに修正することを提案し,3社はこれを了承した。

(イ) ガス用フレキシブル管継手(注4)(平成20年(措)第4号)
 関係人2社及び第10表記載の1社の3社(以下「3社」という。)は,ガス用フレキシブル管継手について
a 平成16年1月中旬,基準額(注5)を現行のものから10パーセント引き上げ,もって,同年4月1日出荷分から,需要者又は販売業者に対する販売価格を現行価格から引き上げること
b 平成18年4月上旬ころ,基準額を現行のものから20パーセント引き上げ,もって,同年6月1日出荷分から,需要者又は販売業者に対する販売価格を現行価格から引き上げること
を合意することにより,公共の利益に反して,我が国におけるガス用フレキシブル管継手の販売分野における競争を実質的に制限していた。
(注) 

4 ガス配管工事に用いられるステンレス鋼製のフレキシブル管に直接接続する継手をいう。

5 販売業者が需要者に対するガス用フレキシブル管継手の販売価格を設定するに当たり基準とする額をいう。3社は,それぞれ,ガス用フレキシブル管継手について,基準額を定め,当該基準額に一定率を乗じて,又は当該基準額を参考として,需要者又は販売業者に対する自らの販売価格を定めていた。

ウ 主文の概要
(ア) 前記イの合意が消滅している旨を確認すること及び今後,相互の間において,又は他の事業者と共同して,ガス用フレキシブル管又はガス用フレキシブル管継手の販売価格を決定せず,各社がそれぞれ自主的に決める旨を,それぞれ,取締役会等の業務執行の決定機関において決議しなければならない。
(イ) 前記(ア)に基づいて採った措置を,それぞれ,自社を除く各社に通知するとともに,自社の取引先である需要者及び販売業者に通知し,かつ,自社の従業員に周知徹底しなければならない。
(ウ) 今後,それぞれ,相互の間において,又は他の事業者と共同して,ガス用フレキシブル管又はガス用フレキシブル管継手の販売価格を決定してはならない。
エ 排除措置命令の名あて人とならない違反行為者

(11)(株)興人ほか1社に対する件(平成20年(措)第5号)



ア 関 係 人


イ 違反行為の概要
(ア) 関係人2社(以下「2社」という。)は,平成16年3月5日ころ,ポリプロピレン製シュリンクフィルム(注1)(以下「PPシュリンク」という。)の出荷価格について,平成16年4月上旬ころ出荷分又は契約分から,現行価格より1cc当たり3銭を目途に引き上げることなどを決定した。東洋ケミカル(株)(以下「東洋ケミカル」という。)は,平成16年3月26日ころ,できるだけ速やかに2社と同様の出荷価格の引上げを行う旨表明し,2社がこれを了承したことにより,同決定に参加した。
(イ) 2社は,平成17年8月8日ころ,PPシュリンクの出荷価格について,平成17年10月上旬ころ出荷分又は契約分から,現行価格より1cc当たり3銭を目途に引き上げることを決定し,平成17年9月末までの間に,東洋ケミカルに対して,当該決定内容を連絡し,東洋ケミカルは,これに同意した。
(ウ) 2社は,平成18年8月7日ころ,PPシュリンクの出荷価格について,平成18年9月下旬ころ出荷分又は契約分から,現行価格より1cc当たり3銭を目途に引き上げることを決定し,平成18年8月末までの間に,東洋ケミカルに対して,当該決定内容を連絡し,東洋ケミカルは,これに同意した。
(エ) 前記(ア)から(ウ)までにより,2社及び東洋ケミカルは,公共の利益に反して,我が国におけるPPシュリンクの販売分野における競争を実質的に制限していた。
(注) 

1 シュリンクフィルム(加熱により収縮する性質を持つ合成樹脂製フィルム製品)のうち,ポリプロピレン樹脂を主たる原料とする単層のものをいい,加工食品等の包装材として使用される。

ウ 主文の概要
(ア) 2社は,それぞれ,前記イ(ア)から(ウ)までの決定が消滅している旨を確認すること及び今後,前記イ(ア)から(ウ)までの行為と同様の行為を行わず,PPシュリンクの出荷価格を自主的に決める旨を,取締役会等の業務執行の決定機関において決議しなければならない。
(イ) 2社は,それぞれ,前記(ア)に基づいて採った措置を,相互に通知するとともに,需要者及び販売業者に周知し,かつ,自社の従業員等に周知徹底しなければならない。
(ウ) 2社は,今後,それぞれ,相互の間において,又は他の事業者と共同して,前記2と同様の行為を行ってはならない。
(エ) 2社は,今後,それぞれ,相互に,又は他の事業者と,PPシュリンクの出荷価格の改定について情報交換を行ってはならない。
(オ) 2社は,今後,それぞれ,次の事項を行うために必要な措置を講じなければならない。
a 自社の商品の販売活動に関する独占禁止法の遵守についての行動指針の作成又は改定
b PPシュリンクの販売活動に関する独占禁止法の遵守についての,PPシュリンクの営業担当者に対する定期的な研修及び法務担当者による定期的な監査等
エ 排除措置命令の名あて人とならない違反行為者

(注) 

2 平成19年10月1日付けで平成ポリマー株式会社との間で同社を存続会社として合併したことにより消滅したものである。

(12)東芝メディカルシステムズ(株)ほか1社に対する件(平成20年(措)第6号ないし第10号)



ア 関 係 人


イ 違反行為の概要
(ア) 横浜市発注の特定エックス線装置(平成20年(措)第6号)
 関係人2社(以下「2社」という。)及び第12表記載の1社(以下「3社」という。)は,遅くとも平成16年4月1日以降,横浜市が指名競争入札の方法により発注する福祉保健センターにおいて使用される特定の医療用エックス線装置について,3社の過去の受注実績等を勘案して,話合いにより受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにすることにより,公共の利益に反して,横浜市発注の特定エックス線装置の取引分野における競争を実質的に制限していた。
(イ) 横浜市等発注の特定エックス線装置(平成20年(措)第7号)
 3社は,遅くとも平成18年1月1日以降(株式会社島津製作所にあっては,遅くとも同年9月5日以降),横浜市が一般競争入札又は指名競争入札の方法により発注する横浜市民病院において使用される特定の医療用エックス線装置及び公立大学法人横浜市立大学が指名競争入札の方法により発注する横浜市立大学附属病院又は横浜市立大学附属市民総合医療センターにおいて使用される特定の医療用エックス線装置について,受注希望の有無,横浜市等の職員が示した当該装置に係る評価,過去の受注実績等を勘案して,3社のうち入札に参加する者の間での話合いにより受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにすることにより,公共の利益に反して,横浜市等発注の特定エックス線装置の取引分野における競争を実質的に制限していた。
(ウ) 財団法人結核予防会発注の特定検診車(平成20年(措)第8号)
 3社は,遅くとも平成16年4月1日以降,(財)結核予防会が指名競争入札の方法により発注する特定の医療用エックス線装置に係る検診車について,(財)結核予防会から配布された一覧表に記載された落札予定者を受注予定者とし,当該一覧表に(財)結核予防会の購入予定価格が記載されている場合には,当該価格を受注すべき価格とするなどして,受注予定者が受注できるようにすることにより,公共の利益に反して,(財)結核予防会発注の特定検診車の取引分野における競争を実質的に制限していた。
(エ) 大阪市発注の保健所等向け特定エックス線装置(平成20年(措)第9号)
 3社は,遅くとも平成16年1月21日以降,大阪市が公募型指名競争入札又は指名競争入札の方法により発注する保健所又は保健福祉センターにおいて使用される特定の医療用エックス線装置について,年度ごとに,3社のうちいずれかの者が,当該年度に発注されるすべての当該装置を受注することとし,話合いにより当該年度の受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにすることにより,公共の利益に反して,大阪市発注の保健所等向け特定エックス線装置の取引分野における競争を実質的に制限していた。
(オ) 大阪市発注の病院等向け特定エックス線装置(平成20年(措)第10号)
 3社は,遅くとも平成17年7月1日以降,大阪市が一般競争入札又は公募型指名競争入札の方法により発注する病院若しくは診療所において使用される又は(財)大阪市環境保健協会が使用する特定の医療用エックス線装置について,発注仕様書に記載された条件を自社の標準品が満たすか否か等の事情を勘案して,3社のうち入札に参加する者の間での話合いにより受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにすることにより,公共の利益に反して,大阪市発注の病院等向け特定エックス線装置の取引分野における競争を実質的に制限していた。
ウ 主文の概要
(ア) 2社は,それぞれ,前記イの行為を取りやめている旨を確認すること及び今後,前記イの行為と同様の行為を行わず,各社がそれぞれ自主的に受注活動を行う旨を,取締役会等の業務執行の決定機関において決議しなければならない。
(イ) 2社は,それぞれ,前記(ア)に基づいて採った措置を,相互に通知するとともに,発注者に通知し,かつ,自社の従業員に周知徹底しなければならない。
(ウ) 2社は,今後,それぞれ,相互の間において,又は他の事業者と共同して,前記イと同様の行為を行ってはならない。
(エ) 2社は,今後,それぞれ,次の事項を行うために必要な措置を講じなければならない。
a 官公需等の受注に関する独占禁止法の遵守についての行動指針の作成又は改定
b 官公需等の受注に関する独占禁止法の遵守についての,医療用エックス線装置の営業担当者に対する定期的な研修及び法務担当者による定期的な監査
エ 排除措置命令の名あて人とならない違反行為者

2 独占禁止法第19条違反事件
(1)都タクシー(株)ほか19社に対する件(平成19年(措)第12号)



ア 関 係 人



イ 違反行為の概要等
 関係人20社(以下「20社」という。)及び第13表記載の1社(以下「21社」という。)(平成19年3月8日以降は,20社)は,平成17年8月ころ以降,低額なタクシー運賃等を適用しているタクシー事業者が共通乗車券事業(注1)に係る契約を締結することができないようにすることを目的として,(株)新潟ハイタク共通乗車券センター(以下「新潟ハイタクセンター」という。)を解散させるとともに,新たにタクシー共通券事業(株),新潟地域タクシー共通券(株)及び柳都タクシー共通券(株)の3社(以下「共通乗車券事業者3社」という。)を設立し,当該3社と低額なタクシー運賃等を適用していた太陽交通(株),三和交通(株)及び四葉タクシー㈲の3社(以下「低額運賃3社」という。)との間の共通乗車券事業に係る契約を締結することを認めないようにすることとし,これに基づき,共同して,新潟ハイタクセンター及び共通乗車券事業者3社に,低額運賃3社に対し新潟交通圏(注2)における共通乗車券事業に係る契約を拒絶させている(注3)。
 なお,新潟ハイタクセンターは,平成14年ころ,当委員会に対して本件違反行為と同様の行為について独占禁止法に抵触するか否かについて相談を行った際,同行為が原則として独占禁止法に違反する旨の回答を受けていたものである。
(注) 

1 「共通乗車券事業」とは,特定のタクシー事業者のタクシーを乗車し得る対象とするタクシー共通乗車券を発行するとともに,あらかじめタクシー共通乗車券の使用に係る契約を締結した官公庁,企業等から,当該タクシー事業者に代わって,使用されたタクシー共通乗車券の券面に記載された額に係る金銭を回収する事業をいう。

2 「新潟交通圏」とは,平成17年3月21日に他の市町村と合併する前の新潟市,新潟県豊栄市及び新潟県中蒲原郡亀田町並びに新潟県北蒲原郡聖籠町の区域をいう。

3 新潟ハイタクセンター及び共通乗車券事業者3社は,新潟交通圏において共通乗車券事業を営む者であり,21社を株主とするものである。

ウ 主文の概要
(ア) 20社は,前記イの行為を取りやめなければならない。この場合,それぞれ,取締役会等においてその旨を決議しなければならない。
(イ) 20社は,前記(ア)に基づいて採った措置及び今後,前記イの行為と同様の行為を行わないことを,20社のうち自社を除く19社,共通乗車券事業者3社及び低額運賃3社並びに新潟ハイタクセンターがタクシー共通乗車券の使用に係る契約を締結していた官公庁,企業等に通知しなければならない。
(ウ) 20社は,今後,それぞれ,相互の間において,又は他の事業者と共同して,新潟交通圏において,正当な理由がないのに,共通乗車券事業を営む者をして,低額なタクシー運賃等を適用するタクシー事業者との間の共通乗車券事業に係る契約を締結させないようにしてはならない。
(エ) 20社は,それぞれ,取締役会等において前記(ウ)について確認しなければならない。
エ 排除措置命令の名あて人以外の違反事業者で,タクシー事業を廃業した事業者

(注) 

4 平成19年3月8日にタクシー事業を廃業している。

(2)(株)シンエネコーポレーションに対する件(平成19年(措)第16号),(株)東日本宇佐美に対する件(平成19年(措)第17号)



ア 関 係 人


イ 違反行為の概要
(ア)
a (株)シンエネコーポレーション(以下「シンエネコーポレーション」という。)は,栃木県小山市(以下「小山市」という。)において,「エクスプレス小山給油所」,「プラザ小山給油所」及び「エクスプレス小山南給油所」とそれぞれ称する3つの給油所を運営し,一般消費者に対して普通揮発油を販売している。同社は,当該3給油所のいずれかにおける普通揮発油の販売価格が小山市に所在する給油所の販売価格の中で最も低い価格となるよう当該3給油所における販売価格を設定し,集客のため,それぞれの給油所における普通揮発油の販売価格をそれぞれの給油所の店頭に掲示して一般消費者に周知している。
b (株)東日本宇佐美(以下「東日本宇佐美」という。)は,小山市において,「新4号小山バイパス給油所」,「新4号線小山南給油所」及び「4号線小山北給油所」とそれぞれ称する3つの給油所を運営し,一般消費者に対して普通揮発油を販売している。同社は,当該3給油所におけるサービス内容を考慮して,当該3給油所のいずれかにおける普通揮発油の販売価格が小山市における普通揮発油の販売価格のうち最も低い価格よりも1円程度高い価格となるよう当該3給油所における販売価格を設定し,集客のため,それぞれの給油所における普通揮発油の販売価格をそれぞれの給油所の店頭に掲示して一般消費者に周知している。
(イ) シンエネコーポレーション及び東日本宇佐美は,普通揮発油について,東日本宇佐美が,平成19年6月18日,4号線小山北給油所における販売価格を,その前日のシンエネコーポレーションの3給油所における販売価格と同額に引き下げたことを契機として,それ以降,互いに販売価格の引下げを繰り返していたところ
a シンエネコーポレーションは,前記(ア)a記載の3給油所において,いずれも同年6月28日から同年8月3日までの37日間,それぞれその仕入価格(運送費を含む。)を最大で10円以上下回る価格で販売した。
b 東日本宇佐美は,新4号小山バイパス給油所及び4号線小山北給油所においていずれも同年6月28日から同年8月3日までの37日間,新4号線小山南給油所において同年6月28日から同年8月2日までの36日間,それぞれその仕入価格を最大で10円以上下回る価格で販売した。
(ウ) シンエネコーポレーション及び東日本宇佐美の前記行為は,それぞれ両社以外の小山市における石油製品小売業者の事業活動を困難にさせるおそれのあるものであった。
ウ 主文の概要
(ア) シンエネコーポションは,
a 次の事項を,取締役会において決議しなければならない。
(a) エクスプレス小山給油所,プラザ小山給油所及びエクスプレス小山南給油所の3給油所において,平成19年6月28日から同年8月3日までの間行っていた,普通揮発油を,その仕入価格(運送費を含む。)を下回る価格で販売する行為を取りやめている旨を確認すること
(b) 今後,(a)の行為と同様の行為を行わない旨
b 前記aに基づいて採った措置を前記a(a)記載の3給油所の店頭に30日間掲示するなど,当該措置を小山市の石油製品小売業者及び一般消費者に周知するために必要な措置を講じなければならない。
c 今後,前記a(a)の行為と同様の行為をしてはならない。
(イ) 東日本宇佐美は,
a 次の事項を,取締役会において決議しなければならない。
(a) 新4号小山バイパス給油所及び4号線小山北給油所の2給油所において平成19年6月28日から同年8月3日までの間,新4号線小山南給油所において同年6月28日から同年8月2日までの間行っていた,普通揮発油を,その仕入価格を下回る価格で販売する行為を取りやめている旨を確認すること
(b) 今後,前記(a)の行為と同様の行為を行わない旨
b 前記aに基づいて採った措置を前記a(a)記載の3給油所の店頭に30日間掲示するなど,当該措置を小山市の石油製品小売業者及び一般消費者に周知するために必要な措置を講じなければならない。
c 今後,前記a(a)の行為と同様の行為をしてはならない。

3 独占禁止法第8条違反事件
(1)(社)滋賀県薬剤師会に対する件(平成19年(措)第10号)



ア 関 係 人


イ 違反行為の概要
 (社)滋賀県薬剤師会(以下「滋賀県薬剤師会」という。)は,平成13年1月ころ以降,特定医薬品販売業者(注1)に対し,新聞折り込み広告に一般用医薬品(注2)の販売価格を表示しないようにさせている。
(注) 

1 滋賀県内において医薬品の販売事業を営む薬局開設者等(薬事法第4条第1項に基づく薬局開設の許可を受けた者又は同法第26条第1項に基づく一般販売業の許可を受けた者をいう。以下同じ。)のうち,(1)滋賀県薬剤師会の正会員である管理薬剤師(薬局又は一般販売業の許可に係る店舗を実地に管理する薬剤師をいう。以下同じ。)であって,個人で自ら業として医薬品の販売を行う薬局開設者等,(2)正会員である管理薬剤師が,代表者又は役員である地位にある法人の薬局開設者等,(3)正会員である管理薬剤師を雇用する法人の薬局開設者等,(4)正会員である管理薬剤師を雇用する個人の薬局開設者等に該当する者をいう。

2 薬事法第2条第1項にいう医薬品であって,医師等によって使用されること又はこれらの者の処方せん若しくは指示によって使用されることを目的として供給される医薬品以外のものをいう。

ウ 主文の概要
(ア) 滋賀県薬剤師会は,前記イの行為を取りやめなければならない。この場合,次の事項を,理事会において決議しなければならない。
a 前記イの行為を取りやめる旨
b 今後,特定医薬品販売業者に対し,前記イの行為と同様の行為を行わない旨
(イ) 滋賀県薬剤師会は,前記(ア)に基づいて採った措置を,特定医薬品販売業者及び正会員に通知しなければならない。
(ウ) 滋賀県薬剤師会は,今後,特定医薬品販売業者に対し,前記イと同様の行為を行ってはならない。