第2部 各論

第1章 独占禁止法制等の動き

第1 独占禁止法の改正等

1 平成21年独占禁止法改正法

(1) 改正の経緯

公正かつ自由な経済社会を実現するために競争政策の積極的展開を図ることが必要であることにかんがみ、平成20年3月、排除型私的独占及び一定の不公正な取引方法に対する課徴金制度の導入、不当な取引制限において主導的役割を果たした事業者に対して課徴金を割り増す制度の導入、課徴金減免制度におけるグループ会社の共同申請制度の導入、企業結合に係る届出制度の見直し等の所要の改正を行うことを内容とする私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律及び不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律案が第169回通常国会へ提出されたが、閉会中審査となった後、第170回臨時国会において廃案となり、成立をみるに至らなかった。しかしながら、一刻も早くその実現を図るために、所要の修正を加えた上で、平成21年2月27日、第171回通常国会に改めて私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案が提出された。同法律案は、平成21年4月27日に衆議院において、同年6月3日に参議院においてそれぞれ可決されて成立し、同月10日に公布、平成22年1月1日に施行された。

(2) 改正法の内容

ア 課徴金適用対象の見直し等

(ア) 他の事業者の事業活動を排除することによる私的独占について、当該行為を行った事業者に対し、違反行為に係る売上額に100分の6(小売業100分の2、卸売業100分の1)を乗じた額の課徴金の納付を命じなければならないものとした。

(イ) 正当な理由がないのに、競争者と共同して、ある事業者に対し供給を拒絶し、又は供給に係る商品若しくは役務の数量若しくは内容を制限する等の行為について、当該行為を繰り返した事業者に対し、違反行為に係る売上額に100分の3(小売業100分の2、卸売業100分の1)を乗じた額の課徴金の納付を命じなければならないものとした。

(ウ) 不当に、地域又は相手方により差別的な対価をもって、商品又は役務を継続して供給することであって、他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがあるものについて、当該行為を繰り返した事業者に対し、違反行為に係る売上額に100分の3(小売業100分の2、卸売業100分の1)を乗じた額の課徴金の納付を命じなければならないものとした。

(エ) 正当な理由がないのに、商品又は役務をその供給に要する費用を著しく下回る対価で継続して供給することであって、他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがあるものについて、当該行為を繰り返した事業者に対し、違反行為に係る売上額に100分の3(小売業100分の2、卸売業100分の1)を乗じた額の課徴金の納付を命じなければならないものとした。

(オ) 正当な理由がないのに、自己の供給する商品を購入する相手方に対しその販売する当該商品の販売価格を定めてこれを維持させることその他相手方の当該商品の販売価格の自由な決定を拘束する条件をつけて当該商品を供給する等の行為について、当該行為を繰り返した事業者に対し、違反行為に係る売上額に100分の3(小売業100分の2、卸売業100分の1)を乗じた額の課徴金の納付を命じなければならないものとした。

(カ) 自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して、正常な商慣習に照らして不当に、継続して取引する相手方に対し当該取引に係る商品又は役務以外の商品又は役務を購入させる等の行為について、当該行為を継続した事業者に対し、違反行為の相手方との間における取引額に100分の1を乗じた額の課徴金の納付を命じなければならないものとした。

イ 不当な取引制限に係る課徴金の算定方法の見直し(主導的役割を果たした事業者に対する割増し)

課徴金の納付を命ずる場合において、当該事業者が、単独で又は共同して、当該違反行為をすることを企て、かつ、他の事業者に対し当該違反行為をすること又はやめないことを要求し、依頼し、又は唆し、当該違反行為をさせ、又はやめさせなかった者等であるときは、納付を命じる課徴金の額の計算に係る売上額に乗ずる率を100分の15(小売業100分の4.5、卸売業100分の3)等とすることとした。

ウ 課徴金減免制度の見直し

(ア) 課徴金納付命令対象事業者(不当な取引制限等を行った者に限る。)が次に掲げる要件のいずれにも該当するときは、課徴金の額に100分の30を乗じて得た額を当該課徴金の額から減額するものとした。

a 公正取引委員会の調査開始日前に、単独で、当該違反行為をした事業者のうち4番目又は5番目に当該違反行為に係る事実の報告及び資料の提出(既に公正取引委員会によって把握されている事実に係るものを除く。)を行った者であること

b 公正取引委員会の調査開始日以後、違反行為をしていない者であること

(イ) 公正取引委員会の調査開始日前に単独で当該違反行為の報告及び資料の提出を行った者が5に満たないときは当該違反行為をした事業者のうち次に掲げる要件のいずれにも該当する者(当該違反行為の報告及び資料の提出を行った者の数の合計が5以下である場合であり、かつ、後記aの当該違反行為に係る事実の報告及び資料の提出を行った者の合計が3以下である場合に限る。)であるときは、課徴金の額に100分の30を乗じて得た額を当該課徴金の額から減額するものとした。

a 公正取引委員会の調査開始日以後公正取引委員会規則で定める期日までに、単独で、当該違反行為に係る事実の報告及び資料の提出(既に公正取引委員会によって把握されている事実に係るものを除く。)を行った者

b 前記aの報告及び資料の提出を行った日以後、違反行為をしていた者以外の者

(ウ) 違反行為(不当な取引制限等に限る。)をした事業者(会社である場合に限る。)が、その子会社若しくは親会社又は当該事業者と親会社が同一である他の会社(以下「子会社等」という。)と共同して、当該違反行為に係る事実の報告及び資料の提出を行った場合(一定の場合に限る。)は、当該報告及び資料の提出を単独で行ったものとみなし、当該報告及び資料の提出を行った事業者の数の計算については、当該事業者とその子会社等をもって一の事業者とするものとした。

エ 排除措置を命ずる手続、課徴金の納付を命ずる手続等の整備

(ア) 違反行為が既になくなっている場合において、当該違反行為をした法人事業者が合併により消滅したときにおける合併後存続し、又は合併により設立された法人等にも排除措置を命ずることができることを明確化することとした。また、違反行為が既になくなっている場合における排除措置を命ずることができる期間を、当該違反行為がなくなった日から5年とすることとした。

(イ) 違反行為をした法人事業者が公正取引委員会の調査開始日以後においてその子会社等に対して当該違反行為に係る事業の全部を譲渡し、又は分割により当該違反行為に係る事業の全部を承継させ、かつ、合併以外の事由により消滅したときは、当該子会社等に対し、当該違反行為に係る課徴金の納付を命じなければならないものとした。

(ウ) 違反行為が既になくなっている場合における課徴金の納付を命ずることができる期間を、当該違反行為がなくなった日から5年とすることとした。

オ 事業者団体届出制度の廃止

事業者団体に係る届出制度を廃止することとした。

カ 企業結合規制の見直し
(ア) 会社の株式取得の届出に係る規定の整備

a 会社であって、その国内売上高(会社等の最終事業年度における売上高〔銀行業及び保険業を営む会社等については経常収益、第一種金融商品取引業を営む会社等については営業収益とする。〕のうち、国内において供給された商品の価額及び役務の価額を合計した額をいう。以下同じ。)と当該会社が属する企業結合集団(当該会社の親会社〔他の会社の子会社でないもの〕及びその子会社から成る集団をいう。以下同じ。)に属する当該会社以外の会社等の国内売上高を合計した額(以下「国内売上高合計額」という。)が200億円を超えるもの(以下「株式取得会社」という。)は、他の会社であってその国内売上高と当該他の会社の子会社の国内売上高を合計した額が50億円を超えるもの(以下「株式発行会社」という。)の株式の取得をしようとする場合において、当該株式取得会社が当該取得の後において所有することとなる当該株式発行会社の株式に係る議決権の数と、当該株式取得会社の属する企業結合集団に属する当該株式取得会社以外の会社等が所有する当該株式発行会社の株式に係る議決権の数とを合計した議決権の数の当該株式発行会社の総株主の議決権の数に占める割合が、100分の20及び100分の50を超えることとなるときは、あらかじめ当該株式の取得に関する計画を公正取引委員会に届け出なければならないものとし、あらかじめ届出を行うことが困難であるとして公正取引委員会規則で定める場合は、当該株式の取得に関する計画の届出を不要とすることとした。

b 前記aの場合において、当該株式取得会社が当該取得の後において所有することとなる当該株式発行会社の株式に係る議決権並びに当該株式取得会社の属する企業結合集団に属する当該株式取得会社以外の会社等が所有する当該株式発行会社の株式に係る議決権に含まれない議決権及び含まれる議決権を規定することとした。

c 会社の子会社である組合の組合員が組合財産として株式発行会社の株式の取得をしようとする場合には、当該組合の親会社がそのすべての株式の取得をしようとするものとみなし、会社の子会社である組合の組合財産に株式発行会社の株式が属する場合には、当該組合の親会社がそのすべての株式を所有するものとみなして、株式の取得に係る届出の規定を適用することとした。

d 株式の取得に関する計画の届出を行った会社は、届出受理の日から30日を経過するまで等の期間内には、当該届出に係る株式の取得をしてはならないものとした。

e 届出に係る株式の取得に関し必要な措置を命じようとする場合には、届出受理の日から30日を経過するまで等の期間(公正取引委員会が株式取得会社に対し必要な報告等を求めた場合においては、当該報告等を受理した日から90日を経過した日等までの期間)内に、株式取得会社に対し、排除措置命令の事前通知をしなければならないものとした。

f 届出に係る株式の取得に関する計画のうち、重要な事項が当該計画において行われることとされている期限までに行われなかった場合において、当該届出に係る株式の取得に関し必要な措置を命じようとするときは、当該期限から起算して一年以内に排除措置命令の事前通知をしなければならないものとした。

(イ) 合併、分割及び事業等の譲受けの届出に係る規定の見直し

a 会社であってその国内売上高合計額が一定規模(200億円等)を超えるものが合併、分割及び事業等の譲受け(以下「合併等」という。)をしようとする場合には、あらかじめ当該合併等に関する計画を公正取引委員会に届け出なければならないものとし、合併等をしようとするすべての会社が同一の企業結合集団に属する場合には、当該合併等に関する計画の届出を不要とすることとした。

b 会社が届け出た合併等の制限及び公正取引委員会がする排除措置命令を行うための事前通知等については、株式の取得に関する規定を準用することとした。

(ウ) 会社の共同株式移転の制限及びその届出に係る規定の整備

a 会社が共同株式移転によって一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合又は不公正な取引方法により共同株式移転を行う場合には、これをしてはならないものとした。

b 会社であってその国内売上高合計額が一定規模(200億円等)を超えるものが共同株式移転をしようとする場合は、あらかじめ当該共同株式移転に関する計画を公正取引委員会に届け出なければならないものとし、すべての共同株式移転をしようとする会社が同一の企業結合集団に属する場合には、当該共同株式移転に関する計画の届出を不要とすることとした。

c 会社が届け出た共同株式移転の制限及び公正取引委員会がする排除措置命令を行うための事前通知等については、株式の取得に関する規定を準用することとした。

キ 外国競争当局への情報提供に係る規定の整備

外国競争当局に対し、その職務の遂行に資すると認める情報の提供を行うことができるものとした。

ク 審判手続に係る事件記録の閲覧謄写請求に係る規定の整備

(ア) 利害関係人から事件記録の閲覧又は謄写等を求められた場合において、第三者の利益を害するおそれがあると認めるときその他正当な理由があるときでなければ、当該事件記録の閲覧又は謄写を拒むことができないこととした。

(イ) (ア)において謄写をさせる場合において、謄写した事件記録の使用目的を制限し、その他適当と認める条件を付することができることとした。

ケ 侵害の停止又は予防に関する訴訟上の救済を円滑化するための規定の整備

裁判所が、独占禁止法第24条の規定による差止請求に係る侵害行為の立証に必要な書類(当該書類の所持者において提出を拒むことについて正当な理由があるときを除く。)の提出を命ずることができるものとするとともに、当該書類の所持者が提出を拒む場合には、裁判所が事前に当該書類を見て提出義務の有無を判断する手続を導入するものとした。

コ 公正取引委員会に対する意見請求に係る規定の整備

独占禁止法第25条の規定による損害賠償に関する訴えが提起されたときは、裁判所は、公正取引委員会に対し、同条に規定する違反行為によって生じた損害の額について、意見を求めることができることとし、従来の義務的な制度から任意の制度に改めることとした。

サ 罰則規定の整備

(ア) 不当な取引制限等の罪に係る懲役刑の上限を5年に引き上げることとした。

(イ) 委員長、委員、公正取引委員会の職員等が秘密保持義務に違反した場合の罰金の上限額を100万円に引き上げることとした。

2 平成22年独占禁止法改正法案

(1) 法律案の提出

平成21年独占禁止法改正法附則第20条第1項において、「審判手続に係る規定について、全面にわたって見直すものとし、平成二十一年度中に検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする」こととされた。

また、平成21年独占禁止法改正法案に係る衆議院及び参議院の経済産業委員会の附帯決議において、「審判手続に係る規定については、本法附則において、全面にわたって見直すものとし、平成二十一年度中に行う検討の結果所要の措置を講ずることとされているが、検討の結果として、現行の審判制度を現状のまま存続することや、平成十七年改正以前の事前審判制度へ戻すことのないよう、審判制度の抜本的な制度変更を行うこと」とされた。

これらの附則等を踏まえ、平成22年3月12日、公正取引委員会が行う審判制度を廃止するとともに、公正取引委員会が排除措置命令等の行政処分を行おうとする際の意見聴取のための手続の整備等の所要の改正を行うことを内容とする、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案が第174回通常国会に提出された。同法律案は、同年6月16日、衆議院において閉会中審査とされた。

(2) 法律案の内容

ア 審判制度等の廃止

(ア) 審判官を廃止することとした。

(イ) 審判制度に係る規定を廃止することとした。

(ウ) 審決の取消しの訴えは、審決がその効力を生じた日から30日以内に提起しなければならないとする規定を廃止することとした。

(エ) 審決の取消しの訴えに係る訴訟については、公正取引委員会の認定した事実は、これを立証する実質的な証拠があるときには、裁判所を拘束するとする規定を廃止することとした。

(オ) 審決取消訴訟の当事者は、裁判所に対し、公正取引委員会が認定した事実に関する証拠の申出をする場合には、公正取引委員会が正当な理由がなく当該証拠を採用しなかった場合等に該当することを理由とするものであることを要するとする規定を廃止することとした。

イ 排除措置命令等に係る意見聴取のための手続等の整備
(ア) 排除措置命令に係る意見聴取のための手続の整備

a 排除措置命令をしようとするときは、当該排除措置命令の名あて人となるべき者について、意見聴取を行わなければならないこととした。

b 意見聴取を行うに当たっては、意見聴取を行うべき期日までに相当な期間をおいて、排除措置命令の名あて人となるべき者に対し、予定される排除措置命令の内容等を書面により通知しなければならないこととした。

c bの通知を受けた者(以下「当事者」という。)は、代理人を選定することができることとした。

d 当事者は、公正取引委員会に対し、当該意見聴取に係る事件について公正取引委員会の認定した事実を立証する証拠の閲覧又は謄写(謄写については、当該証拠のうち、当該当事者若しくはその従業員が提出したもの又は当該当事者若しくはその従業員の供述を録取したものとして公正取引委員会規則で定めるものの謄写に限る。)を求めることができることとした。

e 意見聴取は、公正取引委員会が事件ごとに指定するその職員(以下「指定職員」という。)が主宰することとした。

f 指定職員は、当該意見聴取に係る事件について第47条第2項の規定により指定された審査官その他の当該事件の調査に関する事務に従事した職員(gにおいて「審査官等」という。)に、予定される排除措置命令の内容等を意見聴取の期日に出頭した当事者に対し、説明させなければならないこととした。

g 当事者は、意見聴取の期日に出頭して、意見を述べ、及び証拠を提出し、並びに指定職員の許可を得て審査官等に対し質問を発することができることとした。

h 当事者は、意見聴取の期日への出頭に代えて、指定職員に対し、意見聴取の期日までに陳述書及び証拠を提出することができることとした。

i 指定職員は、意見聴取の期日における当事者による意見陳述等の経過を記載した調書を作成し、当該調書において、当事者の陳述の要旨を明らかにしておかなければならないこととした。

j 指定職員は、意見聴取の終結後速やかに、当該意見聴取に係る事件の論点を整理し、当該整理された論点を記載した報告書を作成し、iの調書とともに公正取引委員会に提出しなければならないこととした。

k 公正取引委員会は、排除措置命令に係る議決をするときは、iの調書及びjの報告書の内容を十分に参酌しなければならないこととした。

(イ) 納付命令に係る意見聴取のための手続等の整備

a 課徴金の納期限は、課徴金納付命令書の謄本を発する日から7月を経過した日とすることとした。

b 納付命令をしようとするときは、当該納付命令の名あて人となるべき者について、意見聴取を行わなければならないこととし、排除措置命令に係る意見聴取に関する規定を準用することとした。

(ウ) 競争回復措置命令に係る意見聴取のための手続等の整備

a 独占的状態があると認める場合に審判開始決定を行うことができる規定を廃止し、競争回復措置命令を行うこととした。

b 競争回復措置命令をしようとするときは、当該競争回復措置命令の名あて人となるべき者について、意見聴取を行わなければならないこととし、排除措置命令に係る意見聴取に関する規定を準用することとした。

c 公正取引委員会は、競争回復措置命令の名あて人となるべき者に対し意見聴取に係る通知をしようとするときは、当該事業者の営む事業に係る主務大臣に協議し、かつ、公聴会を開いて一般の意見を求めなければならないこととした。

ウ 排除措置命令等に係る訴訟手続の整備

(ア) 審決に係る抗告訴訟の第一審裁判権は東京高等裁判所に属するとする規定を廃止し、排除措置命令等に係る抗告訴訟等は、東京地方裁判所の専属管轄とすることとした。

(イ) 東京地方裁判所は、排除措置命令等に係る抗告訴訟等については、3人の裁判官の合議体で審理及び裁判をすることとした。

(ウ)  (イ)にかかわらず、東京地方裁判所は、排除措置命令等に係る抗告訴訟等について、5人の裁判官の合議体で審理及び裁判をする旨の決定をその合議体ですることができることとした。

(エ) 東京地方裁判所がした排除措置命令等に係る抗告訴訟等についての終局判決に対する控訴等が提起された東京高等裁判所においては、当該控訴等に係る事件について、5人の裁判官の合議体で審理及び裁判をする旨の決定をその合議体ですることができることとした。

(オ) 排除措置命令等に係る抗告訴訟については、国の利害に関係のある訴訟についての法務大臣の権限等に関する法律第6条の規定を適用しないこととした。

エ 罰則規定の見直し

審判制度に係る罰則規定について所要の整備を行うこととした。

3 消費者庁関連三法の成立による景品表示法の消費者庁への移管

消費者行政推進基本計画(平成20年6月27日閣議決定)において、景品表示法については所要の見直しを行った上で消費者庁に移管することとされた。これを受け、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を確保するため

(1) 内閣総理大臣が不当な景品類の提供を制限若しくは禁止し、又は不当な表示を指定し、必要な命令をすることができること

(2) 事業者団体等は、内閣総理大臣及び公正取引委員会の認定を受けて、景品類又は表示に関する自主規制のための規約を締結することができること

(3) 消費者庁設置前に公正取引委員会がした景品類の制限又は禁止に係る告示及び公正取引委員会が認定した規約は、それぞれ、内閣総理大臣がした制限又は禁止並びに内閣総理大臣及び公正取引委員会が認定した規約とみなすこと

などを内容とする景品表示法改正規定等を含んだ消費者庁関連三法案が平成20年9月29日に第170回臨時国会に提出された。

その後、消費者庁関連三法案は、第171回通常国会において、消費者政策委員会を消費者庁に設置するものから内閣府に設置するものに改め、その名称について「消費者委員会」に改称するなど、一部を修正の上、平成21年4月17日に衆議院において、同年5月29日に参議院においてそれぞれ可決されて成立した(平成21年法律第48号から第50号)。消費者庁関連三法は、平成21年6月5日に公布され、同年9月1日から施行されている。

第2 独占禁止法改正に伴う政令等の改正等

1 独占禁止法施行令及び公正取引委員会事務総局組織令の改正

平成21年独占禁止法改正法の施行に伴い、独占禁止法施行令及び公正取引委員会事務総局組織令を改正し、関係規定について所要の整備を行った(平成21年政令第174号〔平成21年7月1日公布、7月10日施行〕及び平成21年政令第253号〔平成21年10月28日公布、平成22年1月1日施行〕)。概要は以下のとおりである。

(1) 独占禁止法施行令

ア 排除型私的独占及び一定の不公正な取引方法に係る課徴金額算定の基礎となる売上額又は購入額の算定方法
(ア) 趣旨

平成21年独占禁止法改正法により、排除型私的独占及び一定の不公正な取引方法(共同の取引拒絶、差別対価、不当廉売、再販売価格の拘束及び優越的地位の濫用)に対する課徴金制度が導入されたことに伴い、平成21年独占禁止法改正法による改正後の独占禁止法(以下「新法」という。)において政令に委任している課徴金額算定の基礎となる売上額又は購入額の算定方法を規定した。

(イ) 内容

a 排除型私的独占

排除型私的独占に係る課徴金額算定の基礎となる売上額の算定方法は、原則として、次の(a)及び(b)を合算する方法とすることとした。

(a) 違反行為期間において、一定の取引分野において引き渡した商品又は提供した役務の対価の額の合計額(一定の値引き、返品及び割戻しがあるときは当該値引き、返品及び割戻しの額を控除した額)

(b) 違反行為期間において、一定の取引分野において商品又は役務を供給する他の事業者に引き渡した当該商品又は提供した当該役務の対価の額の合計額(一定の値引き、返品及び割戻しがあるときは当該値引き、返品及び割戻しの額を控除した額)

b 共同の取引拒絶

(a) 共同の取引拒絶(独占禁止法第2条第9項第1号イに該当するものに限る。)に係る課徴金額算定の基礎となる売上額の算定方法は、原則として、違反行為期間において、当該行為において違反事業者がその供給を拒絶し、又はその供給に係る商品若しくは役務の数量若しくは内容を制限した事業者の競争者に引き渡した商品又は提供した役務の対価の額を合計する方法とし、一定の値引き、返品及び割戻しがあるときは当該値引き、返品及び割戻しの額を控除することとした。

(b) 共同の取引拒絶(独占禁止法第2条第9項第1号ロに該当するものに限る。)に係る課徴金額算定の基礎となる売上額の算定方法は、原則として、次の①から③までを合算する方法とすることとした。

① 違反行為期間において、拒絶事業者(独占禁止法第2条第9項第1号ロに規定する他の事業者をいう。以下同じ。)に引き渡した商品又は提供した役務の対価の額の合計額(一定の値引き、返品及び割戻しがあるときは当該値引き、返品及び割戻しの額を控除した額)

② 違反行為期間において、拒絶事業者がその供給を拒絶し、又はその供給に係る商品若しくは役務の数量若しくは内容を制限した事業者の競争者に違反事業者が引き渡した商品又は提供した役務の対価の額の合計額(一定の値引き、返品及び割戻しがあるときは当該値引き、返品及び割戻しの額を控除した額)

③ 違反行為期間において、拒絶事業者が違反事業者に引き渡した商品又は提供した役務の対価の額の合計額(一定の値引き、返品及び割戻しがあるときは当該値引き、返品及び割戻しの額を控除した額)

c 差別対価、不当廉売及び再販売価格の拘束

差別対価、不当廉売及び再販売価格の拘束に係る課徴金額算定の基礎となる売上額の算定方法は、原則として、それぞれ、違反行為期間において、当該行為において引き渡した商品又は提供した役務(再販売価格の拘束にあっては、引き渡した商品に限る。)の対価の額を合計する方法とし、一定の値引き、返品及び割戻しがあるときは当該値引き、返品及び割戻しの額を控除することとした。

d 優越的地位の濫用

優越的地位の濫用に係る課徴金額算定の基礎となる売上額又は購入額の算定方法は、原則として、違反行為期間において、当該行為の相手方に引き渡した商品又は提供した役務(購入額の場合にあっては、当該行為の相手方から引渡しを受けた商品又は提供を受けた役務)の対価の額を合計する方法とし、一定の値引き、返品及び割戻しがあるときは当該値引き、返品及び割戻しの額を控除することとした。

イ 違反行為に係る事業の譲渡又は分割の際の課徴金減免制度の適用
(ア) 趣旨

平成21年独占禁止法改正法により、違反行為をした法人が、公正取引委員会による調査開始日以後において、子会社等に対して、当該違反行為に係る事業の全部譲渡等を行い、合併以外の事由により消滅した場合、当該子会社等に対して課徴金納付命令を行うこととされたことに伴い、新法において政令に委任している当該子会社等に対する課徴金減免制度の適用について規定した。

(イ) 内容

違反行為をした法人が、公正取引委員会による調査開始日以後において、子会社等に対して、違反行為に係る事業の全部を譲渡し、又は分割により当該違反行為に係る事業の全部を承継させ、かつ、合併以外の事由により消滅したときは

a 当該違反行為をした法人が消滅前に行った減免申請は、当該子会社等が行った減免申請とみなして、独占禁止法第7条の2第25項の規定により当該子会社等がしたとみなされる当該消滅した法人による違反行為について、当該子会社等が課徴金の減免を受けることができることとした。

b 当該子会社等が、自らも違反事業者であって、かつ、当該自らがした違反行為について当該違反行為をした法人の消滅前に減免申請を行った場合には、当該減免申請の効力は、独占禁止法第7条の2第25項の規定により当該子会社等がしたとみなされる当該消滅した法人による違反行為に係る課徴金には及ばないこととした。

ウ 企業結合規制に係る届出基準額等
(ア) 趣旨

平成21年独占禁止法改正法により、届出基準の見直し、株式取得に係る事前届出制の導入、共同株式移転に係る規定の新設等を内容とする見直しが行われたことに伴い、新法において政令に委任している株式取得等により届出義務を負うこととなる会社の国内売上高合計額等の金額(届出基準額)及び株式取得について届出義務の対象となる議決権保有割合の数値(届出閾〔いき〕値)を規定した。

(イ) 内容

a 株式取得に係る事前届出の対象となる株式取得会社の届出基準額を200億円(企業結合集団の国内売上高合計額)とし、被取得会社である株式発行会社の届出基準額を50億円(株式発行会社及びその子会社の国内売上高を合計した額)とした。

また、株式取得に係る届出閾値を100分の20及び100分の50とした。

b 合併、分割、共同株式移転及び事業等の譲受けに係る届出の対象となる会社の届出基準額を200億円又は50億円(企業結合集団の国内売上高合計額)とし、分割及び事業等の譲受けの場合の重要部分承継会社(注)の承継対象部分等に係る届出基準額を100億円又は30億円(当該承継対象部分等に係る国内売上高)とした。

(注)重要部分承継会社とは、分割でその事業の重要部分を承継させようとする会社をいう。

エ 事業者団体届出制度に係る規定の廃止

平成21年独占禁止法改正法の施行により、事業者団体に係る届出制度が廃止されたことに伴い、事業者団体届出制度について、例外として届出を要しない事業者団体を定める規定を廃止することとした。

(2) 公正取引委員会事務総局組織令

平成21年独占禁止法改正法の施行により、事業者団体の届出制度の廃止、株式取得及び共同株式移転に係る事前届出制度の導入等並びに不公正な取引方法の一部が法定化されたことに伴い、公正取引委員会事務総局の局、部及び課の所掌事務の範囲につき所要の改正を行うことを内容とする公正取引委員会事務総局組織令の改正を行った。

2 公正取引委員会規則等の改正等

平成21年独占禁止法改正法の施行等に伴い、「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第9条から第16条までの規定による認可の申請、報告及び届出等に関する規則」等の改正等を行った。概要は以下のとおりである。

(1) 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第9条から第16条までの規定による認可の申請、報告及び届出等に関する規則

ア 趣旨

平成21年独占禁止法改正法により、届出基準の見直し、株式取得に係る事前届出制の導入、共同株式移転に係る規定の新設等を内容とする見直しが行われたことに伴い、新法において公正取引委員会規則に委任している届出手続に係る事項(届出様式を含む。)について規定した。

イ 内容

(ア) 届出基準額が会社並びに当該会社の親会社及び子会社の総資産合計額から企業結合集団の国内売上高合計額となったことから、国内売上高合計額の計算方法等を規定した。

(イ) 届出基準額が株式発行会社単体の総資産額から株式発行会社及びその子会社の国内売上高を合計した額となったことから、株式発行会社及びその子会社の国内売上高を合計した額の計算方法を規定した。

(ウ) 株式取得に係る事前届出を行うことが困難であるとして公正取引委員会規則で定める場合については届出が免除されることとなったことから、届出が免除される場合として、株式の分割及び併合等を規定した。

(エ) 「金銭又は有価証券の信託に係る株式に係る議決権で、自己が、委託者若しくは受益者として行使し、又はその行使について指図を行うことができるもの」は、公正取引委員会規則で定めるものを除き、届出閾値の算定対象となる議決権に含まれることとなったことから、当該議決権から例外的に除かれる議決権を規定した。

(オ) 子会社及び親会社については、従来の議決権保有割合による基準から、いわゆる実質支配力基準に基づき判断されることとなったことから、その具体的な内容について規定した。

(カ) 新たに事前届出の対象となった株式取得及び共同株式移転に関する届出書等についての規定の整備や企業結合集団や国内売上高合計額等の考え方が導入されることとなったことから、各種届出書等様式の新設・変更(注)等を行った。

(注)主な内容は、変更報告書及び共同株式移転に係る各種様式の新設、株式取得等に係る届出書の変更であり、その他の各種様式については、条項ずれ等の技術的な修正にとどまる。

(2) 課徴金の減免に係る報告及び資料の提出に関する規則

ア 趣旨

平成21年独占禁止法改正法により、親子会社等について、一定の要件を満たす場合に、共同して課徴金の減免申請を行うことを認める旨の規定が設けられたことに伴い、その手続等に係る規定を整備した。

イ 内容

(ア) 共同して課徴金の減免申請を行う際の手続について、以下を規定した。

a 申請を行う際は、共同して代理人を選任するか、連絡先となる一の事業者を定めること

b 申請に当たって提出する報告書(様式第1号、様式第2号又は様式第3号)は、連名で提出すること

c 課徴金の減免に係る報告及び資料の提出に関する規則第3条第2項及び第3項の口頭による報告は、共同して選任した代理人か、連絡先として定めた事業者が行うこと

(イ) 申請に当たって提出する報告書の様式(様式第1号、様式第2号又は様式第3号)について、記載上の注意事項等を共同で申請を行う場合も念頭に置いたものに改めた。

(3) 公正取引委員会の審査に関する規則

ア 趣旨

警告を行う際の手続等を規定した。

イ 内容

(ア) 警告はその趣旨及び内容を示した文書によって行う旨規定した。

(イ) 警告の名あて人となるべき者に対し、事前に意見申述及び証拠提出の機会を付与するための手続を以下のとおり規定した。

a 予定される警告の趣旨及び内容を書面により通知すること

b 名あて人となるべき者の意見申述は原則として文書で行うこと

(4) 不公正な取引方法

平成21年独占禁止法改正法により、不公正な取引方法のうち、共同の取引拒絶、差別対価、不当廉売、再販売価格の拘束及び優越的地位の濫用の全部又は一部が法定化されたことに伴い、「不公正な取引方法」(昭和57年公正取引委員会告示第15号)について所要の改正を行った。

(5) 排除型私的独占に係る独占禁止法上の指針

ア 趣旨

平成21年独占禁止法改正法により、排除型私的独占が新たに課徴金納付命令の対象となったことに伴い、排除型私的独占が成立するための要件に関する公正取引委員会の解釈を可能な限り明確化することにより、法運用の透明性を一層確保し、事業者の予見可能性をより向上させるため、「排除型私的独占に係る独占禁止法上の指針」を策定し、平成21年10月28日に公表した。

イ 内容

(ア) 公正取引委員会が排除型私的独占に係る事件として優先的に審査を行うか否かの判断において一般的に考慮する事項を明らかにした。

(イ) 「排除行為」として問題となりやすい行為のうち主なものを類型化した上で、それぞれの行為類型ごとに排除行為に該当するか否かを判断する際の検討の枠組みと判断要素を明らかにした。

(ウ) 排除行為により一定の取引分野における競争が実質的に制限されたか否かを判断するための、一定の取引分野を画定するに当たっての考慮事項と、競争の実質的制限の存否を判断するに当たっての考慮要素を明らかにした。

(6) 不当廉売に関する独占禁止法上の考え方等

ア 趣旨

平成21年独占禁止法改正法により、不当廉売が新たに課徴金納付命令の対象となったこと等に伴い、公正取引委員会は、課徴金の対象となる不当廉売の要件のうち、特に「供給に要する費用を著しく下回る対価」に重点を置いて、不当廉売に関する公正取引委員会の解釈を更に明確化すること等により、法運用の透明性を一層確保し、事業者の予見可能性をより向上させるため、「不当廉売に関する独占禁止法上の考え方」(昭和59年11月20日 公正取引委員会)を改定し、平成21年12月18日に公表した。

イ 内容

(ア) 不当廉売に係る法運用の透明性、事業者の予見可能性を向上させる観点から、小売業に限らず、課徴金の対象となる不当廉売の要件のうち、「供給に要する費用を著しく下回る対価」に重点を置いて、不当廉売に関する独占禁止法上の考え方を従前よりも明確化し、汎用性のあるものとした。

(イ) 「供給に要する費用を著しく下回る対価」について、「廉売対象商品を供給しなければ発生しない費用」(以下「可変的性質を持つ費用」という。)を下回るものは「供給に要する費用を著しく下回る対価」であると推定されることを明らかにした。

(ウ) 「可変的性質を持つ費用」に当たるかどうかの判断基準を示すとともに、「可変的性質を持つ費用」となる、又は推定される費用の例を示した。

(エ) 廉売問題に関する不当廉売以外の独占禁止法上の規制の一つである差別対価及び取引条件等の差別的取扱いについて、基本的な考え方を明らかにした。

ウ その他の改定

「酒類の流通における不当廉売、差別対価等への対応について」(平成12年11月24日 公正取引委員会)、「ガソリン等の流通における不当廉売、差別対価等への対応について」(平成13年12月14日 公正取引委員会)、「家庭用電気製品の流通における不当廉売、差別対価等への対応について」(平成18年6月29日 公正取引委員会)についても、「不当廉売に関する独占禁止法上の考え方」との整合性を確保する等の観点から見直しを行い、同時に改定した。

(7) 企業結合審査に関する独占禁止法の運用指針

ア 趣旨

平成21年独占禁止法改正法により、企業結合集団の考え方が導入されたこと、株式取得に係る届出閾値の変更が行われたこと、同一の企業結合集団内の会社間の合併等が届出免除となったこと等に伴い、「企業結合審査に関する独占禁止法の運用指針」(平成16年5月31日 公正取引委員会)について所要の改正を行い、平成21年10月23日に公表した。

イ 内容

(ア) 届出基準額について企業結合集団の考え方が導入されたこと及び株式取得に係る届出閾値が変更されたことから、企業結合審査の対象となる企業結合について、所要の改正を行った。

(イ) 同一の企業結合集団内の会社間の合併等については届出免除となることから、「企業結合審査の対象とならない株式保有」等の範囲について、所要の改正を行った。

(ウ) 共同株式移転に関する規定が新設されたことから、共同株式移転についての考え方を追加した。

(エ) 株式取得が事前届出制となることから、公開買付けの場合における待機期間短縮の取扱いを明確化した。

(8) 独占禁止法違反に対する刑事告発及び犯則事件の調査に関する公正取引委員会の方針

平成21年独占禁止法改正法により、親子会社等について、一定の要件を満たす場合に、共同して課徴金の減免申請を行うことを認める旨の規定が設けられたことに伴い、公正取引委員会の調査開始日前の最初の減免申請が共同申請であった場合には、すべての共同申請者について告発を行わないこととし、「独占禁止法違反に対する刑事告発及び犯則事件の調査に関する公正取引委員会の方針」(平成17年10月7日 公正取引委員会)を一部改定し、平成21年10月23日に公表した。

3 公正取引委員会事務総局組織令の改正

消費者庁関連三法の施行に伴い、経済取引局取引部消費者取引課を廃止するほか、公正取引委員会事務総局の局及び部の所掌事務の範囲につき景品表示法の施行に関する事務を削除する等の所要の改正を行うことを内容とする公正取引委員会事務総局組織令の改正を行った(平成21年政令第217号。平成21年8月14日公布、同年9月1日施行。)。

第3 独占禁止法と他の経済法令等の調整

1 法令協議

公正取引委員会は、関係行政機関が特定の政策的必要性から経済法令の制定又は改正を行おうとする際に、これら法令に独占禁止法の適用除外や競争制限的効果をもたらすおそれのある行政庁の処分に係る規定を設けるなどの場合には、その企画・立案の段階で、当該行政機関からの協議を受け、独占禁止法及び競争政策との調整を図っている。

2 行政調整

公正取引委員会は、関係行政機関が特定の政策的必要性から行う行政措置等について、当該措置等が独占禁止法及び競争政策上の問題を生じないよう、当該行政機関と調整を行っている。