第2部 各論

第11章 広報に関する業務

第1 広報

1 概要

公正取引委員会では、具体的な活動内容や実施している施策、独占禁止法を始めとする関係法令の解釈や運用について、広く国民に知ってもらうため、積極的かつ分かりやすい広報に努めているところである。広報業務の主なものは、次のとおりである(海外向け広報については、第10章第8参照)。

2 記者会見

事務総長定例記者会見を毎週水曜日に開催している。

3 報道発表

公正取引委員会は、独占禁止法違反事件に対する法的措置、企業結合等の事前相談に対する回答、独占禁止法を始めとする関係法令に係る各種ガイドライン、実態調査報告書等の内容について、幅広く報道発表を行っている。平成21年度においては、278件の報道発表を行った。

なお、特定のテーマについては、報道発表に併せて政府広報を利用した広報を行っている。

4 広報資料の作成・配布

(1) パンフレット

独占禁止法や公正取引委員会に対する一般の理解を深めるため、「知ってなっとく独占禁止法」、「知るほどなるほど下請法」等を作成し、事業者、一般消費者等に広く配布したほか、中学生向け副教材として「わたしたちの暮らしと市場経済」を作成し、中学校等に配布している。

(2) 広報用DVD

独占禁止法に関する広報用DVDを作成し、これらを事業者団体、消費者団体等に貸出しを行った。

また、独占禁止法及び下請法の概要を紹介する動画を公正取引委員会のウェブサイト上(http://www.jftc.go.jp/)に掲載し、配信している。

(3) ウェブサイト

平成9年以降、ウェブサイトにおいて報道発表資料を含む各種の情報を掲載している。

(4) メールマガジン

公正取引委員会の活動状況を適切なタイミングで国民の幅広い層に対し積極的に発信することを目的として、平成20年3月からメールマガジンの発行を行っている。

(5) 講演会・研修会等への協力

事業者団体等の要請に対応して、講演会、研修会等に講師を派遣し、独占禁止法等について広報を行った。

第2 国民への情報提供・国民からの意見聴取

1 各委員制度等及びその運用状況

(1) 独占禁止政策協力委員制度

ア 概要

競争政策への理解の促進と地域の経済社会の実状に即した政策運営に資するため、平成11年度から、独占禁止政策協力委員制度を設置し、公正取引委員会に対する独占禁止法等の運用や競争政策の運営等に係る意見・要望の聴取等を行い、施策の実施の参考としている。平成21年度においては、各地域の有識者150名に委員を委嘱した。

イ 会議の開催状況

平成21年度においては、平成21年5月29日から6月12日までの間に、全国9都市(札幌市、盛岡市、東京都、名古屋市、大阪市、広島市、高松市、福岡市及び那覇市)において、独占禁止政策協力委員会議を開催した。

(2) その他の制度

公正取引委員会は、独占禁止政策協力委員制度のほか、下請取引改善協力委員制度、独占禁止法相談ネットワーク制度等を通じて、事業者等に対して当委員会の活動状況等について広報を行うとともに、意見・要望等を聴取し、施策の実施の参考としている。

2 各種懇談会等の実施

(1) 独占禁止懇話会

平成21年度においては、独占禁止懇話会を4回開催した。

(2) 地方有識者との懇談会

ア 概要

地方有識者と公正取引委員会の委員長又は委員等との懇談及び講演会を通して、競争政策についてより一層の理解を求めるとともに、幅広い意見、要望を把握し、今後の競争政策の有効かつ適切な推進を図るため、昭和47年度以降、毎年、全国各地において開催している。

イ 開催状況

平成21年度においては、平成21年10月8日、同月9日及び同月23日に、全国9都市(函館市、仙台市、水戸市、名古屋市、神戸市、鳥取市、高松市、熊本市及び那覇市)において、公正取引委員会の最近の活動状況等について、各地の主要経済団体、消費者団体の代表者等の有識者と公正取引委員会委員との意見交換を行った。

このほか、全国各地区において、地方事務所長等の事務総局職員と有識者との懇談会を79回開催した。

(3) その他

日本経済団体連合会等の経済団体との懇談会を開催したほか、下請法の適正運用を図るため、地区ごとに都道府県担当者との間で連絡会議を開催し、意見交換を行った。

第3 学校教育等を通じた普及

1 大学教育

大学からの要請を受けて、独占禁止法等の講義、公開講座等に講師を派遣し、競争法の目的、公正取引委員会の最近の活動状況等について講義を行った。

2 中学校等での教育

中学校等からの要請を受けて、公民等の授業に講師を派遣し、競争の役割等について授業を行った。また、小・中学生、高校生の職場見学に対応した。

第4 入札談合の防止への取組

公正取引委員会は、以前から積極的に入札談合の摘発に努めているほか、平成6年7月に「公共的な入札に係る事業者及び事業者団体の活動に関する独占禁止法上の指針」を公表し、入札に係るどのような行為が独占禁止法上問題となるかについて具体例を挙げながら明らかにすることによって、入札談合の防止の徹底を図っている。

また、入札談合の防止を徹底するためには、発注者側の取組が極めて重要であるとの観点から、独占禁止法違反の可能性のある行為に関し、発注官庁等から公正取引委員会に対し情報が円滑に提供されるよう、各発注官庁等において、公共入札に関する公正取引委員会との連絡担当官として各省庁の会計課長等が指名されている。

公正取引委員会は、連絡担当官との連絡・協力体制を一層緊密なものとするため、平成5年度以降、「公共入札に関する公正取引委員会との連絡担当官会議」を開催している。平成21年度においては、国の本省庁等の連絡担当官会議を11月24日に開催するとともに、国の地方支分部局等の連絡担当官会議を全国9か所で開催した。

また、公正取引委員会は、平成6年度以降、中央官庁、地方公共団体等が実施する調達担当者等に対する研修会への講師の派遣及び資料の提供等の協力を行うとともに、地方公共団体等の調達担当者に対する研修会を開催している。平成21年度においては、国、地方公共団体及び政府出資法人に対して99件の講師の派遣を行うとともに、研修会を全国で18回開催した。

第5 政策評価

公正取引委員会は、行政機関が行う政策の評価に関する法律(平成13年法律第86号)に基づき政策評価を実施しているところである。

平成21年度には、「企業結合の審査(平成20年度)」、「独占禁止法違反行為に対する措置(平成20年度)」等8件の事後評価を実施・公表した。

第1表 平成21年度に公表した事後評価書