第2部 各論

第12章 相談その他の業務

第1 独占禁止法及び関係法令に関する相談等

事業者、事業者団体、一般消費者等から寄せられる独占禁止法等に関する質問に対しては、文書又は口頭により回答している。また、ウェブサイトでも意見等の受付(https:// www.jftc.go.jp/goiken/input.html)を行っている。

また、平成12年度から申告の処理に関する疑問、苦情等の申出を受け付けるため、官房総務課(地方事務所・支所においては総務課、沖縄総合事務局公正取引室においては総務係)に申出受付窓口を設置し、公正取引委員会が指名する委員等をもって構成する審理会において、当該処理が適正であったかどうか点検している。

第2 事業活動に関する相談状況

1 概要

公正取引委員会は、以前から、独占禁止法及び下請法違反行為の未然防止を図るため、事業者及び事業者団体が実施しようとする具体的な活動に関する相談に対応し、実施しようとする活動に関して、独占禁止法及び下請法の考え方を説明している。

2 事前相談制度

公正取引委員会は、以前から、様々な事前相談制度を実施し、事業者等からの書面による事前相談に対して書面により回答してきたが、相談制度の一層の充実を図るため、これを整備し、平成13年10月から当委員会が所管する法律全体を対象として、「事業者等の活動に係る事前相談制度」を実施している。

本制度は、事業者及び事業者団体が実施しようとする具体的な行為が、前記法律の規定に照らして問題がないかどうかの相談に応じ、原則として、事前相談申出書を受領してから30日以内に書面により回答し、その内容を公表するものである。

3 独占禁止法に係る相談の概要

平成21年度において、事業者の活動に関して受け付けた相談件数は2,648件、事業者団体の活動に関して受け付けた相談件数は352件である(第1図参照)。

特徴的な内容の相談を挙げると、事業者からのシステム製品の入札価格に関する相談、事業者団体からの大規模災害時における会員事業者の取引に関する相談や、会員事業者のコスト削減を目的とした共同発注システムの構築に関する相談などがある。

第1図 独占禁止法に係る相談件数の推移(企業結合に関する相談を除く。)

4 下請法に係る相談の概要

平成21年度に下請法に関して事業者等から受け付けた相談件数は、9,632件である(第2図参照)。

この中には、例えば、下請法の適用範囲に関する相談、発注書面の記載方法に関する相談、下請代金の支払期日に関する相談等がある。

第2図 下請法に係る相談件数の推移

4 独占禁止法相談ネットワーク

公正取引委員会は、商工会議所及び商工会の協力の下、独占禁止法相談ネットワークを運営しており、独占禁止法及び下請法に関する中小事業者からの相談に適切に対応することができるように、全国の商工会議所及び商工会が有する中小事業者に対する相談窓口を活用し、独占禁止法に関する相談を受け付けている。また、平成21年度においては、全国の商工会議所及び商工会への相談事例集等の参考資料の配布、相談業務に従事する経営指導員向けの研修会への講師の派遣、中小事業者向けの独占禁止法等講習会の開催等を行った。

第3 景品表示法に基づく協定又は規約

1 概要

事業者又は事業者団体は、景品表示法第11条の規定に基づき、景品類又は表示に関する事項について、公正取引委員会及び消費者庁長官の認定を受けて、不当な顧客の誘引を防止し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択と、事業者間の公正な競争を確保するため、協定の締結又は規約の設定をすることができる。公正取引委員会は、協定又は規約(以下これらを総称して「規約」という。)の認定に当たり、当該規約が事業者間の公正な競争を阻害しないかという観点から審査を行うこととされている。

平成22年5月末現在、106件(景品関係38件、表示関係68件)の規約が認定されている(附属資料6参照)。これらの規約に参加する事業者又は事業者団体により、規約の運用を目的として、公正取引協議会等(以下「協議会」という。)が組織されているところ、協議会は、規約の運用上必要な事項について、規約の定めるところにより、施行規則、運用基準等を設定している。公正取引委員会は、協議会がこれらの施行規則等の設定・変更を行うに際しても、事業者間の公正な競争の確保の観点から審査を行い、問題があれば指導を行っている。

2 規約の変更

平成21年度においては景品表示法が消費者庁に移管されたこと等に伴う機械的変更等の認定を行った(平成21年公正取引委員会告示第7号ないし第12号、第14号ないし第17号)。

3 規約の廃止

写真機類小売業における表示に関する公正競争規約が廃止された(平成22年3月31日廃止 平成22年5月12日公正取引委員会・消費者庁告示第1号)。