第2部 各論

第13章 相談その他の業務

第1 独占禁止法及び関係法令に関する相談等

事業者、事業者団体、一般消費者等から寄せられる独占禁止法等に関する質問に対しては、文書又は口頭により回答している。また、ウェブサイトでも意見等の受付(https://www.jftc.go.jp/goiken/input.html)を行っている。

また、平成12年度から申告の処理に関する疑問、苦情等の申出を受け付けるため、官房総務課(地方事務所・支所においては総務課、沖縄総合事務局公正取引室においては総務係)に申出受付窓口を設置し、公正取引委員会が指名する委員等をもって構成する審理会において、当該処理が適正であったかどうか点検している。

第2 事業活動に関する相談状況

1 概要

公正取引委員会は、以前から、独占禁止法及び下請法違反行為の未然防止を図るため、事業者及び事業者団体が実施しようとする具体的な活動に関する相談に対応し、実施しようとする活動に関して、独占禁止法及び下請法の考え方を説明している。

2 事前相談制度

公正取引委員会は、以前から、様々な事前相談制度を実施し、事業者等からの書面による事前相談に対して書面により回答してきたが、相談制度の一層の充実を図るため、これを整備し、平成13年10月から当委員会が所管する法律全体を対象として、「事業者等の活動に係る事前相談制度」を実施している。

本制度は、事業者及び事業者団体が実施しようとする具体的な行為が、前記法律の規定に照らして問題がないかどうかの相談に応じ、原則として、事前相談申出書を受領してから30日以内に書面により回答し、その内容を公表するものである。

なお、平成23年度においては、全日本空輸株式会社から、スターアライアンスと称する航空会社の連合に加盟する航空会社のうち8社が、コーポレートプラスと称する法人向けサービスの販売実績データ等の情報を共有することについて、本制度を利用した相談が寄せられた。

3 独占禁止法に係る相談の概要

平成23年度において、事業者の活動に関して受け付けた相談件数は1,884件、事業者団体の活動に関して受け付けた相談件数は300件である(第1図参照)。

特徴的な内容の相談を挙げると、東日本大震災に伴う対応として、事業者団体からの仮設住宅向け住宅設備の最低販売数量の割当てに関する相談、夏期節電に伴う構成事業者の営業時間の調整に関する相談などがある。また、そのほかにも、事業者からの自社製品についての対面での販売の義務付けに関する相談などがある。

第1図 独占禁止法に係る相談件数の推移(企業結合に関する相談を除く。)

4 下請法に係る相談の概要

平成23年度に下請法に関して事業者等から受け付けた相談件数は、8,735件である(第2図参照)。

この中には、例えば、下請法の適用範囲に関する相談、発注書面の記載方法に関する相談、下請代金の支払期日に関する相談等がある。

第2図 下請法に係る相談件数の推移

5 独占禁止法相談ネットワーク

公正取引委員会は、商工会議所及び商工会の協力の下、独占禁止法相談ネットワークを運営しており、独占禁止法及び下請法に関する中小事業者からの相談に適切に対応することができるように、全国の商工会議所及び商工会が有する中小事業者に対する相談窓口を活用し、独占禁止法及び下請法に関する相談を受け付けている。また、平成23年度においては、全国の商工会議所及び商工会へのパンフレット等の参考資料の配布、相談業務に従事する経営指導員向けの研修会への講師の派遣等を行った。

第3 東日本大震災に係る対応

平成23年3月11日の東日本大震災発生に伴い、公正取引委員会は、震災に関連した政府の活動や事業者の活動等についての独占禁止法及び下請法の解釈の明確化等の観点から、次の取組を行った。

1 東日本大震災に関連するQ&A

東日本大震災に関連して独占禁止法や下請法に関する個別具体的な相談に対応した。また、相談者と同様の状況に直面している事業者に広く情報提供を行うことにより、違反行為の未然防止を図る観点から,東日本大震災に関連して寄せられた主な質問や想定される問題に対する考え方を東日本大震災に関するQ&Aとして取りまとめてウェブサイト上で公表した。これに併せて個々の相談や違反の疑いに関する申告(情報提供)の窓口を掲載した。さらに、その後に寄せられた質問等で参考となるものについて、その考え方を取りまとめ,Q&Aを随時、迅速に追加・更新した(平成23年3月30日公表。同年4月5日、19日、5月20日、6月1日に問を追加。)。

2 被災地への救援物資配送に関する業界での調整について

被災地への救援物資配送に係る独占禁止法上の考え方をウェブサイトに掲載して周知した(平成23年3月18日公表)。また、関係省庁に対し、この考え方を関係団体に周知するよう依頼した。

3 業界団体等における夏期節電対策に係る独占禁止法上の考え方

業界団体等における夏期節電対策に係る独占禁止法上の考え方をウェブサイトに掲載して周知する(平成23年4月11日公表)とともに、関係省庁の施策等に関する相談対応を行った。

4 独占禁止法第9条第4項の規定による報告書の提出等の義務の不履行についての免責期限の延長

東日本大震災による独占禁止法第9条の規定による報告書の提出等の義務の不履行について、特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する法律(平成8年法律第85号)等に基づき当初定められた期限(平成23年6月30日)を延長する必要があると認められたことから、同年6月21日、「東日本大震災による私的独占の禁止及び公 正取引の確保に関する法律第九条第四項の規定による報告書の提出等の義務の不履行についての免責に係る期限に関する政令」が公布され、同年9月30日まで延長することとされた。

5 震災等緊急時における取組に係る想定事例集

震災等緊急時において、事業者等が連携して商品・役務を供給することについて、独占禁止法上の問題を生ずることなく速やかに対応することができるよう、事業者等から照会のあった事例を基に、独占禁止法の考え方を取りまとめ、ウェブサイトに掲載して周知した(平成24年3月13日公表)。