第2部 各論
独占禁止法は、事業者が私的独占又は不当な取引制限をすること、不公正な取引方法を用いること等を禁止している。公正取引委員会は、一般から提供された情報、自ら探知した事実等を検討し、これらの禁止規定に違反する事実があると思料するときは、独占禁止法違反被疑事件として必要な審査を行っている。
審査事件のうち必要なものについては独占禁止法の規定に基づく権限を行使して審査を行い(第47条)、違反する事実があると認められたときは、排除措置命令の名宛人となるべき者に対し、予定される排除措置命令の内容等を通知し(第49条第5項)、意見を述べ、及び証拠を提出する機会の付与を行い(第49条第3項)、その内容を踏まえて、排除措置命令を行っている。
また、排除措置命令を行うに足る証拠が得られなかった場合であっても、違反の疑いがあるときは、関係事業者等に対して警告を行い、是正措置を採るよう指導している(注)。
さらに、違反行為の存在を疑うに足る証拠は得られなかったが、違反につながるおそれのある行為がみられた場合には、未然防止を図る観点から注意を行っている。
なお、法的措置又は警告をしたときは、その旨公表している。また、注意及び打切りについては、競争政策上公表することが望ましいと考えられる事案であり、かつ、関係事業者から公表する旨の了解を得た場合又は違反被疑対象となった事業者が公表を望む場合は、公表している。
平成24年度における審査件数(不当廉売事案で迅速処理したもの〔第1-2表〕を除く。)は、前年度からの繰越しとなっていたもの9件及び年度内に新規に着手したもの266件の合計275件であり、このうち年度内に処理した件数は262件であった。262件の内訳は、排除措置命令が20件、警告が6件、注意が208件及び違反事実が認められなかったため審査を打ち切ったものが28件となっている(第1-1表参照)。
(注) 公正取引委員会は、警告を行う場合にも、公正取引委員会の審査に関する規則(平成17年公正取引委員会規則第5号)に基づき、排除措置命令の際の事前手続に準じた手続を経ることとしている。
第1-1表 審査事件処理状況の推移(不当廉売事案で迅速処理(注1)を行ったものを除く。)
(注1) 申告のあった不当廉売事案に対し可能な限り迅速に処理する(原則2か月以内)という方針に基づいて行う処理をいう。
(注2) 排除措置命令を行っていない課徴金納付命令事件数である。
(注3) ( )内の数字は、平成17年独占禁止法改正法による改正前の独占禁止法に基づく課徴金納付命令に係る審判開始決定を行った関係人数である。
(注4) 平成17年独占禁止法改正法による改正前の独占禁止法に基づく課徴金の納付を命ずる審決に係る金額を含み、同法に基づき審判手続が開始されたことにより失効した課徴金納付命令に係る金額は含まない。
第1-2表 不当廉売事案の迅速処理件数の推移
第1図 法的措置件数と対象事業者等の数の推移
平成24年度における処理件数を行為類型別にみると、価格カルテル6件、入札談合(官公需)4件、受注調整(民需)15件、その他のカルテル2件、不公正な取引方法229件、その他6件となっている(第2表参照)。法的措置を採った事件は20件であり、この内訳は、価格カルテル1件、入札談合(官公需)4件、受注調整(民需)15件となっている
(第2表及び第3表参照)。
第2表 平成24年度審査事件(行為類型別)一覧表
(注1) 複数の行為類型に係る事件は、主たる行為に即して分類している。
(注2) 価格カルテルとその他のカルテルが関係している事件は、価格カルテルに分類している。
(注3) 「その他のカルテル」とは、数量、販路、顧客移動禁止、設備制限等のカルテルである。
(注4) 事業者団体が事業者に不公正な取引方法に該当する行為をさせるようにする行為(独占禁止法第8条第5号)は、不公正な取引方法に分類している。
(注5) 「その他」とは、事業者団体による構成事業者の機能活動の制限等である。
第3表 排除措置命令等の法的措置件数(行為類型別)の推移
(注1) 複数の行為類型に係る事件は、主たる行為に即して分類している。
(注2) 価格カルテルとその他のカルテルが関係している事件は、価格カルテルに分類している。
(注3) 「その他のカルテル」とは、数量、販路、顧客移動禁止、設備制限等のカルテルである。
(注4) 事業者団体が事業者に不公正な取引方法に該当する行為をさせるようにする行為(独占禁止法第8条第5号)は、不公正な取引方法に分類している。
独占禁止法は、カルテル・入札談合等の未然防止という行政目的を達成するために、行政庁たる公正取引委員会が違反事業者等に対して金銭的不利益である課徴金の納付を命ずることを規定している(第7条の2第1項、第2項及び第4項、第8条の3、第20条の2、第20条の3、第20条の4、第20条の5並びに第20条の6)。
課徴金の対象となる行為は、①事業者又は事業者団体の行うカルテルのうち、商品若しくは役務の対価に係るもの又は商品若しくは役務について供給量若しくは購入量、市場占有率若しくは取引の相手方を実質的に制限することによりその対価に影響することとなるもの、②いわゆる支配型私的独占で被支配事業者が供給する商品若しくは役務について、その対価に係るもの又は供給量、市場占有率若しくは取引の相手方を実質的に制限することによりその対価に影響することとなるもの、③いわゆる排除型私的独占のうち供給に係るもの、④独占禁止法で定められた不公正な取引方法である、共同の取引拒絶、差別対価、不当廉売及び再販売価格の拘束のうち、一定の要件を満たしたもの並びに優越的地位の濫用のうち継続して行われたものである。
平成24年度においては、延べ108名に対し総額233億9095万円の課徴金納付命令を行った(第4表参照)。このうち、違反行為において主導的な役割を果たした場合の割増算定率が適用された事業者は2事件における延べ6名であり、違反を繰り返した場合の割増算定率が適用された事業者は4事件における延べ4名、また、早期に違反行為をやめた場合の軽減算定率が適用された事業者は4事件における延べ8名であった。
このほか、平成17年独占禁止法改正法による改正前の独占禁止法に基づく審判手続を経て、延べ5名の事業者に対し総額16億8549万円の課徴金の納付を命ずる審決を行った。
この結果、平成24年度において納付を命じた課徴金額は、延べ113名の事業者に対して、総額250億7644万円であった(第5表参照)。
平成24年度における課徴金減免制度に基づく事業者からの報告等の件数は102件であった(課徴金減免制度導入〔平成18年1月〕以降の件数は725件)。
なお、平成24年度においては、19事件延べ41名の課徴金減免申請事業者について、当該事業者からの申出により、これらの事業者の名称、免除の事実又は減額の率等を公表した(注)。
(注) 公正取引委員会は、課徴金減免制度の適用を受けた事業者から公表の申出がある場合には、課徴金納付命令を行った際等に、当委員会のウェブサイト(http://www.jftc.go.jp/dk/seido/genmen/kouhyou/index.html)に、当該事業者の名称、所在地、代表者名及び免除の事実又は減額の率等を公表することとしている。
第2図 課徴金額等の推移
(注) 課徴金額については、100万円以下切捨て。
平成24年度においては、独占禁止法の規定に違反する事実があると思われ、公正取引委員会に報告(申告)された件数は9,819件であった(第3図参照)。この報告が書面で具体的な事実を摘示して行われた場合には、措置結果を通知することとされており(第45条第3項)、平成24年度においては、9,879件の通知を行った。
また、公正取引委員会は、独占禁止法違反被疑行為の端緒情報をより広く収集するため、平成14年4月からインターネットを利用した申告が可能となる電子申告システムを当委員会のウェブサイト上に設置しているところ、平成24年度においては、同システムを利用した申告が689件あった。
第3図 申告件数の推移
第4表 平成24年度法的措置一覧表
(注1) 前記のほか、平成17年独占禁止法改正法による改正前の独占禁止法に基づく審決によって、延べ5名の事業者に対し総額16億8549万円の課徴金の納付を命じた(第4章第2 平成17年独占禁止法改正法による改正前の独占禁止法に基づく審決参照)。
(注2) 課徴金納付命令対象事業者数の合計(延べ数)である。
第5表 課徴金制度の運用状況(注1)
(注1) 平成17年独占禁止法改正法による改正前の独占禁止法に基づく課徴金の納付を命ずる審決を含み、同法に基づく審判手続の開始により失効した課徴金納付命令を除く。
(注2) 平成15年9月12日、協業組合カンセイに係る審決取消請求事件について、審決認定(平成10年3月11日、課徴金額1934万円)の課徴金額のうち967万円を超える部分を取り消す判決が出された(同判決は確定した。)。
(注3) 平成16年2月20日、土屋企業㈱に係る審決取消請求事件について、審決認定(平成15年6月13日、課徴金額586万円)の課徴金額のうち302万円を超える部分を取り消す判決が出された(同判決は確定した。)。
平成24年度においては、20件について法的措置を採った(いずれも独占禁止法第3条後段(不当な取引制限の禁止)違反)。
法的措置を採った前記20件の概要は次のとおりである。
(注1) 「EPS ブロック」とは、「EPS 工法」(注2)において使用される発泡スチロールブロックをいう。
(注2) 「EPS 工法」とは、発泡スチロールブロックを、発泡スチロール土木工法開発機構が策定した「EPS 工法 設計・施工基準書(案)」に基づき、主として、軟弱地盤上の盛土、擁壁、橋台背面の裏込め材としての盛土、地すべり地の盛土、道路拡幅盛土としての盛土、両直型の盛土及び埋設構造物の埋め戻しの盛土として建設工事に使用する工法をいう。
(注3) 表中の「○」は、その事業者が排除措置命令又は課徴金納付命令の対象となる違反事業者であることを示している。
(注4) 表中の「-」は、その事業者が排除措置命令又は課徴金納付命令の対象とならない違反事業者であることを示している。
(注5) 表中の「※1」を付した事業者は、平成22年10月1日、カネカケンテック㈱に対し、吸収分割によりEPS ブロックに係る事業を承継させるとともに、同日付けで商号をカネパールサービス㈱から現商号に変更したものであり、以後、同事業を営んでいない。
(注6) 表中の「※2」を付した事業者は、平成19年5月1日、カネパールサービス㈱に対し、吸収分割によりEPS ブロックに係る事業を承継させたものであり、以後、同事業を営んでいない。
前記(1)の表記載の9社は、遅くとも平成19年1月以降(カネカケンテック㈱にあっては平成22年10月1日以降)、共同して、建設資材商社を通じて建設業者に販売する特定EPS ブロック(注7)について
ア(ア) 建設コンサルタント業者(注8)に対し設計協力(注9)を行った者のうち、官公庁等から発注されたEPS 工法採用工事(EPS 工法を採用して施工することとされた工事をいう。以下同じ。)に採用された、EPS ブロックの使用に係る部分の図面を作成した者を受注予定者とする
(イ) 受注予定者以外の者は、受注予定者が受注できるように協力する旨の合意の下に
イ 受注予定者以外の者は
(ア) EPS 工法採用工事を受注した建設業者又は当該建設業者から見積依頼を受けた建設資材商社から、EPS ブロックの見積依頼が自社に対して行われないよう、他社が受注予定者であるEPS ブロックが使用されるEPS 工法採用工事に係る営業活動を自粛する
(イ) EPS 工法採用工事を受注した建設業者又は当該建設業者から見積依頼を受けた建設資材商社から、EPS ブロックの見積依頼が自社に対して行われた場合には、受注予定者よりも高い価格を提示する、又は、見積りを断ること等により、公共の利益に反して、特定EPS ブロックの取引分野における競争を実質的に制限していた。
(注7) 「特定EPS ブロック」とは、EPS ブロックのうち、前記の表記載の9社のうち一又は複数の者が、EPS 工法採用工事に係る設計図書の作成を含む設計業務を請け負った建設コンサルタント業者に対し、当該工事が発注される前に、自ら又は建設資材商社を通じ、当該設計図書のうちEPS ブロックの使用に係る部分の図面を発泡スチロール土木工法開発機構が策定した「EPS 工法設計・施工基準書(案)」に基づいて作成し提供したEPS 工法採用工事に使用されるものをいう。
(注8) 官公庁等のEPS 工法採用工事の発注者は、通常、当該工事を建設業者に発注する前に、建設コンサルタント業者に対し、当該工事を発注する際に必要となる設計図書の作成を含む設計業務を発注していた。
(注9) 「設計協力」とは、EPS 工法採用工事に係る設計図書の作成を含む設計業務を請け負った建設コンサルタント業者に対し、当該工事が発注される前に、自ら又は建設資材商社を通じ、当該設計図書のうちEPS ブロックの使用に係る部分の図面を作成し提供する旨の申出を行うなどして、当該建設コンサルタント業者からの依頼を受けて、発泡スチロール土木工法開発機構が策定した「EPS 工法 設計・施工基準書(案)」に基づいて当該図面を作成し提供することをいう。
ア 排除措置命令の対象事業者(以下(3)において「名宛人」という。)は、前記(2)の行為を取りやめている旨を確認すること及び今後、前記(2)の行為と同様の行為を行わず、自主的に受注活動を行う旨を、取締役会において決議しなければならない。
イ 名宛人は、前記アに基づいて採った措置を、自社を除く名宛人6社に通知するとともに、自社の取引先であるEPS ブロックの建設資材商社及び建設業者並びにEPS 工法採用工事の発注者に周知し、かつ、自社の従業員に周知徹底しなければならない。
ウ 名宛人は、今後、それぞれ、相互の間において、又は他の事業者と共同して、前記(2)の行為と同様の行為を行ってはならない。
エ 名宛人は、今後、次の事項を行うために必要な措置を講じなければならない。
(ア) 自社の従業員に対する、自社の商品の受注に関する独占禁止法の遵守についての行動指針の周知徹底
(イ) 特定EPS ブロックの受注に関する独占禁止法の遵守についての、特定EPSブロックの営業担当者に対する定期的な研修及び法務担当者による定期的な監査
課徴金納付命令の対象事業者は、平成24年12月25日までに、それぞれ前記の表中の「課徴金額」欄記載の額(総額2億208万円)を支払わなければならない。
本件審査の過程において、官公庁等が発注したEPS 工法採用工事に用いられた設計図書等の一部において、特定のEPS ブロック業者のEPS ブロックである必要がないにもかかわらず、特定のEPS ブロック業者の商品名を記載している等の事実が認められた。設計図書等に特定のEPS ブロック業者の商品名が記載されている場合、建設業者は、特定のEPS ブロック業者の商品でなければ使用できないかのように誤認等するおそれがあるため、これら官公庁等の発注者に対し、前記のとおり排除措置命令を行った旨を連絡するとともに、今後、EPS 工法採用工事を発注するに際しては、設計図書等の記載振りに留意するよう連絡した。
(注1) 「土佐国道事務所発注の特定一般土木工事」とは、国土交通省が、四国地方整備局土佐国道事務所において、一般競争入札の方法により一般土木工事として発注する工事であって、国土交通省から、四国地方整備局において、一般土木工事についてCの等級に格付されている者又は経常建設共同企業体(平成20年8月15日から平成22年6月30日までの間にあっては、Bの等級に格付されていた㈱竹内建設を含む。)のみを入札の参加者とするものをいう。
(注2) 表中の「違反事業者」欄記載の「○」は、その事業者が違反事業者であることを、同欄記載の「-」は、その事業者が違反事業者でないことを示している。
(注3) 表中の「排除措置命令」及び「課徴金納付命令」欄記載の「○」は、その事業者が排除措置命令又は課徴金納付命令の対象となる者であることを、同欄記載の「-」は、その事業者が排除措置命令又は課徴金納付命令の対象とならない者であることを示している。
(注4) 表中の「※1」を付した事業者は、平成23年10月26日、「※3」を付した事業者に対し、建設業に関する事業を譲渡し、以後、建設業を営んでおらず、同日以降、違反行為を行っていない。また、同日、商号を宮田建設㈱から現商号に変更している。
(注5) 表中の「※2」を付した事業者は、遅くとも平成22年9月8日以降、違反行為に参加している。
(注6) 表中の「※4」を付した事業者は、建設業法(昭和24年法律第100号)の規定に基づく許可の更新を受けなかったことにより、平成24年4月17日以降、建設業を営んでいない。
(注7) 表中の「※5」を付した事業者は、平成21年6月1日、「※6」を付した事業者を吸収合併している。
(注8) 表中の「※7」を付した事業者は、平成22年5月6日、許可を受けた建設業を廃止し、同年9月1日、㈱みかげに吸収合併されたことにより消滅している。
なお、㈱みかげは、平成24年7月13日、株主総会の決議により解散し、事業活動の全部を取りやめており、同年9月20日付けで清算が結了している。
(注9) 表中の「※8」を付した事業者は、平成21年9月30日、「※3」を付した事業者に対し、建設業に関する事業を譲渡し、以後、建設業を営んでおらず、同日以降、違反行為を行っていない。また、同年10月9日、商号を㈱杉本建設から現商号に変更している。
(注10) 「高知河川国道事務所発注の特定一般土木工事」とは、国土交通省が、四国地方整備局高知河川国道事務所において、一般競争入札の方法により一般土木工事として発注する工事であって、国土交通省から、四国地方整備局において、一般土木工事についてCの等級に格付されている者又は経常建設共同企業体(平成20年8月15日から平成22年6月30日までの間にあっては、Bの等級に格付されていた㈱竹内建設を含む。)のみを入札の参加者とするものをいう。
(注11) 表中の「違反事業者」欄記載の「○」は、その事業者が違反事業者であることを、同欄記載の「-」は、その事業者が違反事業者でないことを示している。
(注12) 表中の「排除措置命令」及び「課徴金納付命令」欄記載の「○」は、その事業者が排除措置命令又は課徴金納付命令の対象となる者であることを、同欄記載の「-」は、その事業者が排除措置命令又は課徴金納付命令の対象とならない者であることを示している。
(注13) 表中の「※1」を付した事業者は、建設業法の規定に基づく許可の更新を受けなかったことにより、平成24年4月17日以降、建設業を営んでいない。
(注14) 表中の「※2」を付した事業者は、遅くとも平成22年9月2日以降、違反行為に参加している。
(注15) 表中の「※3」を付した事業者は、平成21年6月1日、「※4」を付した事業者を吸収合併している。
(注16) 表中の「※5」を付した事業者は、平成22年5月6日、許可を受けた建設業を廃止し、同年9月1日、㈱みかげに吸収合併されたことにより消滅している。
なお、㈱みかげは、平成24年7月13日、株主総会の決議により解散し、事業活動の全部を取りやめており、同年9月20日付けで清算が結了している。
(注17) 「高知港湾・空港整備事務所発注の特定港湾土木工事」とは、国土交通省が、四国地方整備局高知港湾・空港整備事務所において、一般競争入札の方法により港湾土木工事として発注する工事であって、国土交通省から、四国地方整備局において、港湾土木工事についてBの等級に格付されている者又は経常建設共同企業体のみを入札の参加者とするものをいう。
(注18) 表中の「違反事業者」欄記載の「○」は、その事業者が違反事業者であることを示している。
(注19) 表中の「排除措置命令」及び「課徴金納付命令」欄記載の「○」は、その事業者が排除措置命令又は課徴金納付命令の対象となる者であることを、同欄記載の「-」は、その事業者が排除措置命令又は課徴金納付命令の対象とならない者であることを示している。
(注20) 表中の「※1」を付した事業者は、平成21年9月30日、「※3」を付した事業者に対し、建設業に関する事業を譲渡し、以後、建設業を営んでおらず、同日以降、違反行為を行っていない。また、同年10月9日、商号を㈱杉本建設から現商号に変更している。
(注21) 表中の「※2」を付した事業者は、建設業法の規定に基づく許可の更新を受けなかったことにより、平成24年4月17日以降、建設業を営んでいない。
(注22) 表中の「※3」を付した事業者は、遅くとも平成22年7月6日以降、違反行為に参加している。
(注23) 表中の「※4」を付した事業者は、平成22年1月31日、「※9」を付した事業者を吸収合併し、同年4月2日、商号を㈱南国土木工事から現商号に変更している。また、「※4」を付した事業者は、遅くとも平成22年1月31日以降、違反行為に参加している。
(注24) 表中の「※5」を付した事業者は、遅くとも平成21年7月1日以降、違反行為に参加している。
(注25) 表中の「※6」を付した事業者は、遅くとも平成22年7月12日以降、違反行為に参加している。
(注26) 表中の「※7」を付した事業者は、遅くとも平成22年10月29日以降、違反行為に参加している。
(注27) 表中の「※8」を付した事業者は、遅くとも平成20年9月17日以降、違反行為に参加している。また、同事業者は、平成22年5月6日、許可を受けた建設業を廃止し、同年9月1日、㈱みかげに吸収合併されたことにより消滅している。
なお、㈱みかげは、平成24年7月13日、株主総会の決議により解散し、事業活動の全部を取りやめており、同年9月20日付けで清算が結了している。
(注28) 「高知県発注の特定土木一式工事」とは、高知県が、一般競争入札の方法により土木一式工事として発注する工事であって、高知県から土木一式工事についてAの等級に格付されている者又はこれらの者を代表者とする特定建設工事共同企業体のみを入札の参加者とするものをいう。
(注29) 表中の「違反事業者」欄記載の「○」は、その事業者が違反事業者であることを示している。
(注30) 表中の「排除措置命令」及び「課徴金納付命令」欄記載の「○」は、その事業者が排除措置命令又は課徴金納付命令の対象となる者であることを、同欄記載の「-」は、その事業者が排除措置命令又は課徴金納付命令の対象とならない者であることを示している。
(注31) 表中の「※1」を付した事業者は、平成21年6月1日、「※9」を付した事業者を吸収合併している。
(注32) 表中の「※2」を付した事業者は、遅くとも平成22年8月9日以降、違反行為に参加している。
(注33) 表中の「※3」を付した事業者は、遅くとも平成20年6月24日以降、違反行為に参加している。
(注34) 表中の「※4」を付した事業者は、遅くとも平成21年7月28日以降、違反行為に参加している。また、同事業者は、建設業法の規定に基づく許可の更新を受けなかったことにより、平成24年4月17日以降、建設業を営んでいない。
(注35) 表中の「※5」を付した事業者は、遅くとも平成22年8月9日以降、違反行為に参加している。
(注36) 表中の「※6」を付した事業者は、遅くとも平成20年10月28日以降、違反行為に参加している。
(注37) 表中の「※7」を付した事業者は、遅くとも平成21年11月10日以降、違反行為に参加している。
(注38) 表中の「※8」を付した事業者は、遅くとも平成22年8月23日以降、違反行為に参加している。
(注39) 表中の「※10」を付した事業者は、遅くとも平成20年7月8日以降、違反行為に参加している。また、同事業者は、平成22年5月6日、許可を受けた建設業を廃止し、同年9月1日、㈱みかげに吸収合併されたことにより消滅している。
なお、㈱みかげは、平成24年7月13日、株主総会の決議により解散し、事業活動の全部を取りやめており、同年9月20日付けで清算が結了している。
違反事業者31名は、遅くとも平成20年4月1日以降(注40)、共同して、土佐国道事務所発注の特定一般土木工事について、受注価格の低落防止等を図るため、ミタニ建設工業㈱、入交建設㈱及び㈱轟組の3社(以下及びにおいて「3社」という。)が指定した者を受注予定者とするなどにより受注予定者を決定し、受注予定者が受注できるようにすることにより、公共の利益に反して、土佐国道事務所発注の特定一般土木工事の取引分野における競争を実質的に制限していた。
違反事業者27名は、遅くとも平成20年4月1日以降(注40)、共同して、高知河川国道事務所発注の特定一般土木工事について、受注価格の低落防止等を図るため、3社が指定した者を受注予定者とするなどにより受注予定者を決定し、受注予定者が受注できるようにすることにより、公共の利益に反して、高知河川国道事務所発注の特定一般土木工事の取引分野における競争を実質的に制限していた。
違反事業者24名は、遅くとも平成20年4月1日以降(注40)、共同して、高知港湾・空港整備事務所発注の特定港湾土木工事について、受注価格の低落防止等を図るため、受注を希望する者の間の話合いなどにより受注予定者を決定し、受注予定者が受注できるようにすることにより、公共の利益に反して、高知港湾・空港整備事務所発注の特定港湾土木工事の取引分野における競争を実質的に制限していた。
違反事業者24名は、遅くとも平成20年4月1日以降(注40)、共同して、高知県発注の特定土木一式工事について、受注価格の低落防止等を図るため、受注を希望する者の間の話合いなどにより受注予定者を決定し、受注予定者が受注できるようにすることにより、公共の利益に反して、高知県発注の特定土木一式工事の取引分野における競争を実質的に制限していた。
(注40) 一部の違反事業者にあっては、前記アないしエの表の注記のとおり、同日後に違反行為に参加している。
前記(2)の違反行為ごとに、次のとおり排除措置命令を行った。
ア 排除措置命令の対象事業者(以下において「名宛人」という。)は、それぞれ、次 の事項を、取締役会等において決議しなければならない(注41)。
(ア) 前記の行為を取りやめている旨を確認すること
(イ) 今後、相互の間において、又は他の事業者と共同して、前記の工事について、受注予定者を決定せず、各自がそれぞれ自主的に受注活動を行う旨
イ 名宛人は、それぞれ、前記アに基づいて採った措置を、自らを除く名宛人及び発注者に通知し、かつ、自らの従業員等に周知徹底しなければならない。
ウ 名宛人は、今後、それぞれ、相互の間において、又は他の事業者と共同して、前記(2)の工事について、受注予定者を決定してはならない。
(注41) 土佐国道事務所発注の特定一般土木工事及び高知河川国道事務所発注の特定一般土木工事において、違反事業者を吸収合併した事業者1社については、違反事業者ではないが、違反行為に係る事業を承継した者として、排除措置命令の対象となっており、当該事業者に対しては、ア(ア)の事項を命じていない。
課徴金納付命令の対象事業者は、平成25年1月18日までに、それぞれ前記(1)アないしエの表中の「課徴金額」欄記載の額(総額17億5548万円)を支払わなければならない(注42)。
(注42) 3社については、土佐国道事務所発注の特定一般土木工事及び高知河川国道事務所発注の特定一般土木工事において、独占禁止法第7条の2第8項第2号の規定に該当する者として、同項本文の規定に基づき課徴金の割増算定率が適用されている。
前記(2)ア及びイの行為に関し、土佐国道事務所の副所長及び高知河川国道事務所の副所長は、遅くとも平成20年4月1日以降、土佐国道事務所発注の特定一般土木工事及び高知河川国道事務所発注の特定一般土木工事について、ミタニ建設工業㈱の代表取締役社主の求めに応じ、同人に対し、各入札における入札書の提出締切日前までに、入札参加業者の名称、入札参加業者の評価点、予定価格等の未公表情報を教示していた。
国土交通省の職員による前記アの行為は、入札談合等関与行為防止法第2条第5項第3号(発注に係る秘密情報の漏えい)の規定に該当し、同法に規定する入札談合等関与行為と認められる。
よって、公正取引委員会は、国土交通大臣に対し、入札談合等関与行為防止法第3条第2項の規定に基づき、今後、前記アの行為と同様の行為が生じないよう、土佐国道事務所発注の特定一般土木工事及び高知河川国道事務所発注の特定一般土木工事のそれぞれについて、当該入札談合等関与行為が排除されたことを確保するために必要な改善措置を速やかに講ずるよう求めた。また、国土交通省は、この求めに応じて同条第4項の規定に基づき行った調査の結果及び講じた改善措置の内容について、同条第6項の規定に基づき公表するとともに当委員会に通知した。
さらに、公正取引委員会は、会計検査院に対し、入札談合等関与行為の排除及び防止に万全を期す観点から、国土交通大臣に対して改善措置を講ずるよう求めた旨の通知を行った。
公正取引委員会は、これまでも国土交通省の職員が行っていた入札談合等関与行為について、必要な改善措置を講ずるよう求めてきたところであり、平成19年3月8日、当委員会が、同省に対し、同省が各地方整備局において発注する水門設備工事に係る入札談合等関与行為について改善措置要求を行った際には、国土交通大臣から、同省全体として、コンプライアンスに対する職員の徹底した意識改革を行うなどの改善措置が報告されていた。
しかしながら、その後も、国土交通省が北海道開発局において発注する車両管理業務において、入札談合等関与行為が認められたことから、平成21年6月23日、公正取引委員会が、同省に対し改善措置要求を行ったのに続き、今回、再び前記(5)アのとおり入札談合等関与行為が認められた。
このように、依然として、入札談合等関与行為が繰り返し行われている事実を踏まえ、公正取引委員会は、国土交通省に対し、同省全体として入札談合等関与行為の再発を確実に防止するために効果的な改善措置を講ずるよう要請した。
(注1) 「自動車用部品」とは 自動車用オルタネータ(注2)、自動車用スタータ(注3)、自動車用ワイパシステム(注4)並びに自動車用ラジエータ及び電動ファン(注5)をいう。
(注2) 「自動車用オルタネータ」とは、ファンベルトを介してエンジンによって駆動され、機械エネルギーを電気エネルギーに変換し、必要な電力をヘッドライト等の各種の電気装備へと供給する交流発電機をいう。
(注3) 「自動車用スタータ」とは、エンジン始動時にエンジンを強制的に回転させるためのモータをいう。
(注4) 「自動車用ワイパシステム」とは、自動車の前方又は後方のガラス面に付着した雨滴等を拭き取る装置(フロントワイパシステム及びリアワイパシステム)をいう。
(注5) 「自動車用ラジエータ及び電動ファン」とは、エンジンを循環する水を外気で冷却するための放熱器(ラジエータ。なお、オイルクーラが併せて発注される場合には当該オイルクーラを含む。)及び当該放熱器に送風するための電動モータ駆動のファン(電動ファン)をいう。
(注6) 「ホンダ」とは、本田技研工業㈱のことをいう。
(注7) 「スズキ」とは、スズキ㈱のことをいう。
(注8) 「日産自動車等」とは日産自動車㈱及び日産車体㈱のことをいう。
(注9) 「富士重工業」とは、富士重工業㈱のことをいう。
(注10) 表中の「○」は、その事業者が排除措置命令の対象事業者であることを示している。
(注11) 表中の「-」は、その事業者が排除措置命令又は課徴金納付命令の対象とならない違反事業者であることを示している。
(注12) 表中の「/」は、その事業者が違反事業者ではないことを示している。
(注13) ㈱日立製作所は、平成21年7月1日付けで日立オートモティブシステムズ㈱に対し、新設分割により自動車用オルタネータ及び自動車用スタータに係る事業を承継させ、以後これらの事業を営んでいない。
下表中の「違反事業者」欄記載の事業者は、「本件対象製品」欄記載の自動車用部品であって、「自動車メーカー」欄記載のそれぞれの自動車メーカーがコンペを実施して受注者を選定するもの(以下「特定自動車用部品」という。)について、それぞれ、遅くとも「違反行為の始期」欄記載の時期以降、共同して、量産価格の低落防止等を図るため、受注予定者を決定し、受注予定者が受注できるようにすることにより、公共の利益に反して、各自動車メーカー発注の特定自動車用部品の取引分野における競争を実質的に制限していた。
(注14) スズキが自ら又は他の自動車メーカーと共同してコンペを実施して受注者を選定するものをいう。
(注15) 日立オートモティブシステムズ㈱にあっては違反行為の始期は平成21年7月1日である。
(注16) 受託会社(日産自動車がコンペの実施を委託した会社をいう。)が少なくとも㈱ミツバ及び㈱デンソーの2社をコンペの参加者としてコンペを実施して日産自動車が受注者を選定するものをいう。
(注17) 富士重工業が自ら又は他の自動車メーカーと共同してコンペを実施して受注者を選定するものをいう。
前記(2)の違反行為ごとに、以下のとおり排除措置命令を行った。
ア 前記の表記載の排除措置命令の対象事業者(以下において「名宛人」という。)は、前記の行為を取りやめている旨を確認すること及び今後、前記の行為と同様の行為を行わず、自主的に受注活動を行う旨を、取締役会において決議しなければならない。
イ 名宛人は、前記アに基づいて採った措置を、自社を除く違反事業者及び自動車メーカーに通知し、かつ、自社の従業員に周知徹底しなければならない。
ウ 名宛人は、今後、他の事業者と共同して、前記の行為と同様の行為を行ってはならない。
エ 名宛人は、今後、次の事項を行うために必要な措置を講じなければならない。
(ア) 自社の従業員に対する、自社の商品の受注に関する独占禁止法の遵守についての行動指針の周知徹底
(イ) 前記(2)の行為の対象としていた各製品の受注に関する独占禁止法の遵守についての、当該各製品の営業担当者に対する定期的な研修及び法務担当者による定期的な監査
課徴金納付命令の対象事業者は、平成25年2月25日までに、それぞれ前記の表中の「課徴金額」欄記載の額(総額33億8883万円)を支払わなければならない(注18)。
(注18) 調査開始日から遡り10年以内に課徴金納付命令(当該課徴金納付命令が確定している場合に限る。)を受けたことがある事業者については、独占禁止法第7条の2第7項の規定に基づき、5割加算した算定率を適用している。
(注1) 「ヘッドランプ」とは、自動車用ランプのうち、自動車の前面に搭載される前照灯、車幅灯、方向指示器等が組み合わされたものをいう。
(注2) 「リアコンビネーションランプ」とは、自動車用ランプのうち、自動車の後面に搭載される後退灯、尾灯、制動灯、方向指示器等が組み合わされたものをいう。
(注3) 「日産自動車等」とは、日産自動車㈱及び日産車体㈱のことをいう。
(注4) 「トヨタ自動車」とは、トヨタ自動車㈱のことをいう。
(注5) 「富士重工業」とは富士重工業㈱のことをいう。
(注6) 「三菱自動車工業」とは、三菱自動車工業㈱のことをいう。
(注7) 「マツダ」とは、マツダ㈱のことをいう。
(注8) 表中の「○」は、その事業者が排除措置命令の対象事業者であることを示している。
(注9) 表中の「-」は、その事業者が排除措置命令又は課徴金納付命令の対象とならない違反事業者であることを示している。
(注10) 表中の「/」は、その事業者が違反事業者ではないことを示している。
下表中の「違反事業者」欄記載の事業者は、ヘッドランプ及びリアコンビネーションランプであって、「自動車メーカー」欄記載のそれぞれの自動車メーカーが見積り合わせを実施して受注者を選定するもの(以下「特定自動車用ヘッドランプ及びリアコンビネーションランプ」という。)について、それぞれ、遅くとも「違反行為の始期」欄記載の時期以降、共同して、量産価格の低落防止等を図るため、受注予定者を決定し、受注予定者が受注できるようにすることにより、公共の利益に反して、それぞれの自動車メーカー発注の特定自動車用ヘッドランプ及びリアコンビネーションランプの取引分野における競争を実質的に制限していた。
(注11) 日産自動車等又は受託会社(日産自動車等が見積り合わせの実施を委託した会社をいう。)が㈱小糸製作所、市光工業㈱及びスタンレー電気㈱の3社を含む複数の事業者を見積り合わせの参加者とし、日産自動車等が受注者を選定するものをいう。
(注12) 富士重工業が自ら又は他の自動車メーカーと共同で実施して受注者を選定するものをいう。
前記(2)の違反行為ごとに、以下のとおり排除措置命令を行った。
ア 前記の表記載の排除措置命令の対象事業者(以下において「名宛人」という。)は、前記(2)の行為を取りやめている旨を確認すること及び今後、前記の行為と同様の行為を行わず、自主的に受注活動を行う旨を、取締役会において決議しなければならない。
イ 名宛人は、前記アに基づいて採った措置を、自社を除く違反事業者及び自動車メーカーに通知し、かつ、自社の従業員に周知徹底しなければならない。
ウ 名宛人は、今後、他の事業者と共同して、前記(2)の行為と同様の行為を行ってはならない。
エ 名宛人は、今後、次の事項を行うために必要な措置を講じなければならない。
(ア) 自社の従業員に対する、自社の商品の受注に関する独占禁止法の遵守についての行動指針の周知徹底
(イ) 前記(2)の行為の対象としていた各製品の受注に関する独占禁止法の遵守についての、当該各製品の営業担当者に対する定期的な研修及び法務担当者による定期的な監査
課徴金納付命令の対象事業者は、平成25年6月24日までに、それぞれ前記(1)の表中の「課徴金額」欄記載の額(総額46億7869万円)を支払わなければならない。
(注1) 表中の「○」は、その事業者が排除措置命令又は課徴金納付命令の名宛人であることを示している。
(注2) 表中の「-」は、その事業者が排除措置命令又は課徴金納付命令の名宛人とならない違反事業者であることを示している。
(注3) 課徴金納付命令の対象事業者のうち後記(2)記載の違反行為に係る事件と同一の事件について不当な取引制限の罪により罰金の刑に処せられ、同裁判が確定している事業者については、独占禁止法第7条の2第19項の規定に基づき、当該罰金額の2分の1に相当する金額を控除した額を課徴金額としている。
ア NTN ㈱、日本精工㈱及び㈱不二越(以下(3)及び(4)において「3社」という。)並びに㈱ジェイテクトの4社(以下(2)において「4社」という。)は、平成22年7月1日以降に納入する産業機械用軸受(注4)の販売価格を、同年6月時点における4社の販売価格から、一般軸受につき8パーセントを、大型軸受につき10パーセントを、それぞれ引き上げることを需要者等に申し入れるなどして、軸受の原材料である鋼材の仕入価格の値上がり分を産業機械用軸受の販売価格に転嫁することを目途に引き上げること、並びに、具体的な販売価格引上げ交渉に当たっては、販売地区及び主要な需要者ごとに4社が連絡、協議しながら行うことを合意した。
イ 4社は、平成22年7月1日以降に納入する自動車用軸受(注5)の販売価格を、同年6月時点における4社の販売価格から、軸受の原材料である鋼材の投入重量1キログラム当たり20円を目途に引き上げることを合意した。
ウ 4社は、前記ア及びイにより、公共の利益に反して、我が国における産業機械用軸受及び自動車用軸受の販売分野における競争を実質的に制限していた。
(注4) 「産業機械用軸受」とは、軸受製造販売業者又はその販売子会社若しくは販売代理店(代理店契約を締結していない販売業者を含む。以下同じ。)が自動車及び自動車部品の製造販売業者等の需要者を除く需要者との間で交渉の上販売価格を決定する玉軸受及びころ軸受(ミニチュア軸受及び小径軸受を除く。)をいう。
(注5) 「自動車用軸受」とは、軸受製造販売業者又はその販売子会社若しくは販売代理店が自動車又は自動車部品の製造販売業者等の需要者との間で交渉の上販売価格を決定する玉軸受及びころ軸受(ミニチュア軸受及び小径軸受を除く。)をいう。
ア 3社は、それぞれ
(ア) 前記(2)ア及びイの合意が消滅している旨を確認すること
(イ) 今後、相互の間において、又は他の事業者と共同して、産業機械用軸受又は自動車用軸受の販売価格を決定せず、各社がそれぞれ自主的に決める旨
(ウ) 今後、相互に、又は他の事業者と、産業機械用軸受又は自動車用軸受の販売価格の改定に関して情報交換を行わない旨
を、取締役会において決議しなければならない。
イ 3社は、それぞれ、前記アに基づいて採った措置を、自社を除く2社、㈱ジェイテクト、自社の販売子会社、自社の産業機械用軸受又は自動車用軸受の販売代理店及び自社又は自社の販売子会社若しくは自社の産業機械用軸受又は自動車用軸受の販売代理店が販売価格を交渉する産業機械用軸受又は自動車用軸受の需要者に通知し、かつ、自社の従業員に周知徹底しなければならない。これらの通知及び周知徹底の方法については、あらかじめ、公正取引委員会の承認を受けなければならない。
ウ 3社は、今後、それぞれ、相互の間において、又は他の事業者と共同して、産業機械用軸受又は自動車用軸受の販売価格を決定してはならない。
エ 3社は、今後、それぞれ、相互に、又は他の事業者と、産業機械用軸受又は自動車用軸受の販売価格の改定に関して情報交換を行ってはならない。
オ 3社は、今後、それぞれ、次の事項を行うために必要な措置を講じなければならない。
(ア) 自社の従業員に対する、自社の商品の販売活動に関する独占禁止法の遵守についての行動指針の周知徹底
(イ) 産業機械用軸受及び自動車用軸受の販売活動に関する独占禁止法の遵守についての、産業機械用軸受及び自動車用軸受の営業担当者に対する定期的な研修及び法務担当者による定期的な監査
3社は、平成25年7月1日までに、それぞれ前記(1)の表中の「課徴金額」欄記載の額(総額133億6587万円)を支払わなければならない。
平成24年度において警告を行ったものの概要は、次のとおりである。
第6表 平成24年度警告事件一覧表
私的独占、カルテルなどの重大な独占禁止法違反行為については、排除措置命令等の行政上の措置のほか罰則が設けられているところ、これらについては公正取引委員会による告発を待って論ずることとされている(独占禁止法第96条及び第74条第1項)。
公正取引委員会は、平成17年10月、平成17年独占禁止法改正法の趣旨を踏まえ、「独占禁止法違反に対する刑事告発及び犯則事件の調査に関する公正取引委員会の方針」を公表し、独占禁止法違反行為に対する抑止力強化の観点から、積極的に刑事処罰を求めて告発を行っていくこと等を明らかにしている。
平成24年度においては、軸受(ベアリング)製造販売業者による価格カルテル事件について、以下のとおり、検事総長に告発した。
ア 日本精工㈱、NTN ㈱及び㈱不二越の3社(以下「被告発会社3社」という。)
イ 被告発会社3社の軸受の販売に関する業務に従事していた者7名(以下「被告発人7名」という。)
ア 事実
( ア) 産業機械用軸受
被告発人7名のうち、被告発会社3社の産業機械用軸受(注1)の販売等に関する業務に従事していた6名は、同一会社に所属する被告発人及びその他の従業者らと共謀の上、産業機械用軸受の製造販売等の事業を営む他の事業者の従業者らとともに、被告発会社3社等の業務に関し、平成22年5月下旬頃から同年8月下旬頃までの間、東京都内等において、産業機械用軸受の販売価格を被告発会社3社等が共同して引き上げることなどについて、会合を開催するなどして協議を重ね、同年7月1日以降に納入する産業機械用軸受の販売価格を同年6月時点における被告発会社3社等の販売価格から、一般軸受につき8パーセントを、大型軸受につき10パーセントを、それぞれ引き上げることを販売先等に申し入れるなどして、軸受の原材料である鋼材の仕入価格の値上がり分を産業機械用軸受の販売価格に転嫁することを目途に引き上げること、並びに、具体的な販売価格引上げ交渉に当たっては、販売地区及び主要な販売先ごとに被告発会社3社等の従業者らが連絡、協議しながら行うことを各合意し、もって被告発会社3社等が共同して、産業機械用軸受の販売に関し、被告発会社3社等の事業活動を相互に拘束することにより、公共の利益に反して、産業機械用軸受の販売に係る取引分野における競争を実質的に制限した。
(注1) 被告発会社3社等又は被告発会社3社等の販売子会社若しくは販売代理店が、自動車及び自動車部品を除く産業用機械の製造販売業者との間で交渉の上販売価格を決定する玉軸受及びころ軸受(ミニチュア軸受及び小径軸受を除く。)をいう。
(イ) 自動車用軸受
被告発会社3社のうち2社(以下「被告発会社2社」という。)の自動車用軸受(注2)の販売等に関する業務に従事していた2名(いずれも本件被告発人)は、同一会社に所属するその他の従業者らと共謀の上、自動車用軸受の製造販売等の事業を営む他の事業者の従業者らとともに、被告発会社2社等の業務に関し、平成22年7月上旬頃から同月下旬頃までの間、自動車用軸受の販売価格を被告発会社2社等が共同して引き上げることなどについて、東京都内等において、被告発人らが相互に連絡を取り合って協議を重ね、同年7月1日以降に納入する自動車用軸受の販売価格を、同年6月時点における被告発会社2社等の販売価格から、軸受の原材料である鋼材の投入重量1キログラム当たり20円を目途に引き上げることを合意し、もって被告発会社2社等が共同して、自動車用軸受の販売に関し、被告発会社2社等の事業活動を相互に拘束することにより、公共の利益に反して、自動車用軸受の販売に係る取引分野における競争を実質的に制限した。
(注2) 被告発会社2社等又は被告発会社2社等の販売子会社若しくは販売代理店が、自動車又は自動車部品の製造販売業者との間で交渉の上販売価格を決定する玉軸受及びころ軸受(ミニチュア軸受及び小径軸受を除く。)をいう。
イ 罰条
独占禁止法第89条第1項第1号、第95条第1項第1号及び第3条並びに刑法第60条