このページの先頭ですサイトメニューここから
このページの本文へ移動
公正取引委員会
  • サイトマップ
  • 音声読み上げ・文字拡大
  • ENGLISH
  • 公正取引委員会について
  • 報道発表・広報活動
  • 相談・手続窓口
  • 独占禁止法
  • 下請法
  • CPRC(競争政策研究センター)
サイトメニューここまで

本文ここから

シンガポール(Singapore)

(2019年12月現在)

1.根拠法

(1)名称

 2004年競争法(The Competition Act (Chapter 50B)。以下「競争法」といい,特に記載がない限り,条文番号等は競争法の条文等を指す。)。

(2)制定経緯

ア 制定日及び施行日
 競争法は,2度にわたるパブリックコメントを経て,2004年10月に国会で可決された。同法は2005年に一部施行となり,2006年には企業結合関係規定を除く大半の規定が施行され,2007年に残る企業結合関係規定が施行された(2016年競争法主要事項に関するCCCSガイドライン(以下「主要事項ガイドライン」という。)第1.2項)。
 
イ ガイドラインの策定
 2005年に執行機関である競争委員会が設立され,ガイドライン等の策定作業が行われた。ガイドラインは,以降順次制定されている。ガイドラインは,法的拘束力を持たないものの,競争法の解釈の補助的機能を有する(主要事項ガイドライン第1.5項)。
 
ウ 改正状況
 競争法については,2004年の可決後,2007年,2010年及び2015年に改正がなされた。直近では,2018年に,①競争制限的協定及び支配的地位の濫用における確約制度の導入,②企業結合の事前相談制度の法制化,③執行機関である競争・消費者委員会(Competition and Consumer Commission of Singapore。以下「CCCS」という。)の調査時の質問権の明確化を主な内容とする改正がなされた。

(3)競争法の構成

 第1章 前文(第1条~第2条)
 第2章 競争・消費者委員会(第3条~第32条)
 第3章 競争(第33条~第70条)
 第4章 審判(第71条~第74条)
 第5章 罰則(第75条~第84条)
 第6章 雑則(第85条~第94条)
 

2.執行機関

(1) 名称

 2005年に設立された競争委員会は,2018年4月にその名称が競争・消費者委員会へと変更され,その権限に,競争法の執行のほか,消費者保護(公正取引)法(Consumer Protection (Fair Trading) Act)の執行も含むこととなった。
 

(2) 権限

 CCCSは,ガイドラインの策定(第61条),立入検査(第64条~第65条)・報告徴収等の調査活動(第61A条),決定の発出(第68条~第69条)及び適用免除の承認等を行う権限のほか,主なものとして,下記の権限も有している(第7条及び別表第2)。
ア 競争法の執行に必要な調査の実施(別表第2第1項)。
イ 競争法の執行に必要な情報提供の要求(別表第2第2項)。
ウ 競争に関連する取引規約の承認,承認の取消し等(別表第2第3項)。
エ 競争に関連する教育活動の実施,教材の発行,他の機関による同様の活動に対する支援又は情報提供(別表第2第4項)。
オ 競争に関連する研究,セミナー,ワークショップ,シンポジウムの実施及び他の機関による同様の活動の支援(別表第2第5項)。
カ 競争法その他の成文法に基づくCCCSの機能に付随する事項(別表第2第15項)。
 

(3) 執行機関の長の任期

 CCCSは貿易産業大臣により任命される委員長及び2名以上16名以下の委員により構成される(第5条)。委員の任期は,3年以上5年以下で貿易産業大臣が決定する期間となり,再任も可能である(別表第1第3項)。
 

3.規制の概要

(1) 競争制限的協定の禁止

ア 概要
 競争法では,カルテル及び垂直的な競争制限的協定を,競争制限的協定として規制しており,シンガポール国内における競争を阻害,制限,歪曲する目的又は効果のある事業者間の協定,事業者団体の決定,共同行為は禁止されている(第34条)。シンガポール国外においてなされた協定や当事者が国外にいる場合であっても,当該規制の対象となる(第33条第1項第a号及び第b号)。
 競争制限的協定には以下の協定が含まれることが第34条第2項に例示されている。

  • 直接又は間接に,売買価格や取引条件を拘束する協定
  • 生産,販売,技術開発又は投資を制限又は操作する協定
  • 市場や供給源を分割する協定
  • 同種の取引について,取引相手によって取引条件に差を設け,取引相手を競争上不利にさせる協定
  • 取引条件として,無関係の取引を強制するもの。

 また,第34条の禁止に関するCCCSガイドライン(以下「34条ガイドライン」という。)においても,競争制限的協定に含まれるものとして以下が例示されている(34条ガイドライン第3.2項)。

  • 直接又は間接に価格を拘束する行為
  • 入札談合
  • 市場分割
  • 生産,技術開発又は投資を制限又は操作する行為
  • 取引条件を拘束する行為
  • 共同購入,共同販売
  • 情報共有
  • 価格に関する情報交換
  • 価格以外の情報交換
  • 広告の制限
  • 技術及び設計の標準設定

 競争制限的協定が違法と認定されるためには,当該協定が実質的な競争制限効果を有していることが要件となる(34条ガイドライン第3.1項)。競争制限効果の有無の判断は,最終的には総合的判断となるが,競争制限効果が認められる場合として,原則,競争者との間の協定では,参加者の市場シェアの合計が市場全体の20%を超えることが必要であり,また,非競争者との間の協定の場合には,参加者の市場シェアの合計が市場全体の25%を超えることが必要であるとされる(34条ガイドライン第2.25項)。
 
イ  垂直的な競争制限的協定の取扱い
 競争法において,垂直的競争制限協定について,①貿易産業大臣が指定したもの及び②知的財産権を主たる目的とする契約(ライセンス契約等)が第34条により禁止の対象となる(競争法別表第3第8項,34条ガイドライン第2.14項)。
 ただし,①に係る指定はなされていない。
 
ウ  第34条の適用除外
 競争法においては,競争制限的協定(第34条)の適用除外(第35条)があり,主なものとして,下記の合意が規制の対象外となっている(別表第3)。

  • 成文法により課された規制を遵守するために必要な合意(別表第3第2項)。
  • シンガポールが国際的義務との摩擦を回避するために必要な合意であり,かつ,貿易産業大臣が承認したもの(別表第3第3項)。
  • 公共政策に係る,例外的かつやむを得ない理由があり,かつ,貿易産業大臣が承認したもの(別表第3第4項)。
  • 企業結合の実施に係る合意(別表第3第10項,第11項)

 また,一定の要件を満たす場合に,貿易産業大臣の命令による一括適用免除(block exemption)が認められる(第36条)。
 

(2)支配的地位の濫用規制

ア  概要
 市場支配的地位を有する一又は複数の事業者が,下記に例示される濫用行為を行うことは禁止されている(第47条第1項及び第2項)。

  • 競合事業者に対して略奪的行為をすること
  • 生産,販路又は技術革新を制限し,消費者に損害を与えること
  • 同種の取引に関して,相手方により異なる条件を設定して当該相手方に競争上の不利益を与えること
  • 取引の相手方に対し,性質上又は商慣習上,当該取引と無関係の追加的義務を負担させること

 支配的地位は,シンガポール国内外いずれの地位を問わない(第47条第3項)。また,第47条の禁止に関するCCCSガイドライン(以下「47条ガイドライン」という。)によると,支配的地位の有無の判断においては,当該事業者が収益性のある自社の価格をそのまま維持し得る環境がどの程度存在するかが検討され(47条ガイドライン第3.3項),その他の考慮要素(市場への参入障壁,商品の差別化,消費者の価格上昇に対する反応性,技術革新の容易性等)も併せた総合判断となり(47条ガイドライン第9.4項),CCCSは,関連市場において60%超の市場シェアを有する場合は,市場支配的地位を有する可能性があるものとして,検討を開始する目安としている(47条ガイドライン第3.8項)。
 
イ  第47条の適用除外
 競争法においては,競争制限的協定の禁止と同様に,市場支配的地位の濫用の適用除外(第48条)が別表第3に列挙されており,主なものとして,下記の行為が規制の対象外となっている(別表第3)。

  • 成文法により課された規制を遵守するために必要な行為(別表第3第2項)。
  • シンガポールが国際的な義務との摩擦を回避するために必要な行為であり,かつ,貿易産業大臣が承認したもの(別表第3第3項)。
  • 公共政策に係る,例外的かつやむを得ない理由があり,かつ,貿易産業大臣が承認した行為(別表第3第4項)。
  • 企業結合の実施に係る行為(別表第3第10項及び第11項)

 

(3)企業結合規制

ア  規制の概要
 シンガポール国内市場における競争を実質的に減少させる又は減少させるおそれのある企業結合は禁止される(第54条第1項)。企業結合は,事業者間の合併等に限らず,ある事業者が他の事業者の全部又は一部の支配権を直接又は間接に取得すること等も該当する(第54条第2項~第4項)。また,独立した経済主体として合弁会社を立ち上げることも企業結合に該当する(第54条第5項)。資産の保有,権利関係又は契約関係に基づき事業者の活動に決定的に影響することができる状態となることも,上記支配権の取得に該当する(第54条第3項及び第4項)。
 2012年企業結合手続に関するCCCSガイドライン(以下「企業結合ガイドライン」という。)によれば,①企業結合後の市場シェアが40%以上となる企業結合や,②結合後企業の市場シェアは20%から40%未満の間にとどまるものの,当該結合後企業を含む市場上位3社の合計シェアが70%以上となる企業結合でなければ,一般に,当該企業結合は第54条の問題とならない(企業結合ガイドライン第3.6項)。CCCSは,支配権の取得に該当するか否かの判断に当たっては,量的な観点よりも質的な観点を重視するとしている(企業結合ガイドライン第6.4項)。
 
イ  事前届出
 企業結合に該当すると想定される取引を行おうとする事業者は,CCCSに事前届出をするものとする(第57条第1項)。
CCCSは,事前届出を受けた当該企業結合が,第54条に該当するか否かの決定を行うことができ(第57条第2項(a)),第54条に該当すると決定する場合には,当事者に書面による通知を行わなければならない(第57条第3項)。当事者は,CCCSによる通知日から14日以内に,当該企業結合が第54条の適用除外(公共の利益)に当たる旨を貿易産業大臣に申し出ることができる(第57条第3項)。当該申出に対する貿易産業大臣の決定は,最終決定とする(第57条第4項)。
 他方,CCCSが,第54条に該当しないと判断する場合には,その理由につき,①当該企業結合が第54条の適用除外に該当するためなのか,②公共の利益を理由とする禁止の免除事由に当たるためなのか又は③問題解消措置を受け入れたためなのかを決定できる(第57条第2項(b))。
 
ウ  「企業結合」不該当事由
 下記のいずれかに該当する場合には,他の事業者の支配権を取得しても,競争法が禁止する企業結合に該当しない(第54条第7項~第9項)。

  • 支配権を取得した者が,管財人,清算人又は引受人としての立場である場合。
  • 企業結合に関係する全ての事業者が,直接又は間接に同一事業者の支配下にある場合。
  • 支配権の取得が,専ら,故人からの贈与又は共同経営下で生存している者への権利の帰属の結果として生じた場合。
  • 支配権の取得が,自社又は他社のための有価証券取引をその通常業務として行う者によって,有価証券を一時的に取得する方法でなされた場合かつ有価証券に係る議決権の行使が①取得から12か月(又はCCCSが決定するより長い期間)以内に,他の事業者又はその資産若しくは有価証券を譲渡することを目的としており,かつ,②他の事業者の行動で,市場競争に影響を与え得るような行動を決定する目的ではない場合。

 
エ 第54条の適用除外
 競争法においては,企業結合の適用除外について,下記のとおり列挙されている。(第55条及び別表第4)。

  • 成文法の要請に基づき,各大臣が承認した企業結合(別表第4第1項第a号)。
  • 成文法の要請に基づき,シンガポール通貨監督庁が承認した企業結合(別表第4第1項第b号)。
  • 他の規制当局の管轄下の競争に関する成文法に基づく企業結合(別表第4第1項第c号)。
  • 企業結合による経済効果が,それによる競争制限効果を上回る場合(別表第4第3項)。

     

(4)適用除外

 競争法は,上記(1)ウ,(2)イ及び(3)エに記載のほか,政府及び特別の立法をもって設立された法人及びこれらの委託を受けて業務を行う者については適用されない(第33条第4項)。また,郵便,上下水道,鉄道,バス等については,競争法の適用除外とされている(第35条,第48条,第55条及び別表第4第6項第2号)。
 

4.法執行手続

(1)調査権限

ア 第62条に基づく調査
 CCCSは,第34条,第47条及び第54条に該当する合理的な疑いのある場合には,下記調査を実施する権限があるところ,当該調査を実施するにあたり,CCCSは調査を実施する調査官を指定することができる(第62条)。

  • 通知をもって,対象者に特定の文書を作成させ,又は情報を提供させること(第63条)。
  • 令状なく立入検査を行うこと(第64条)。

 
イ 第65条に基づく調査
 CCCS又は調査官は,上記アの調査による情報収集が困難な場合など,合理的な理由がある場合には,裁判所の令状に基づき下記調査を実施ことができる(第65条第2項)。

  • 強制立入捜査。
  • 被疑行為に関連する書類等を保持していると目される人物の捜索。
  • 文書の複写又は抽出。
  • 必要があると認められるときには文書の差押え。
  • 証拠の破棄が行われる可能性がある場合には,それを防ぐ措置を講じること。
  • 文書の内容についての説明又は特定の文書の所在の説明を求めること。
  • 現場にいる人物に必要な文書を作成させること。
  • 電子的形態で保存されている情報へのアクセスを要求すること。
  • 調査のため現場から機器等を撤去すること。

 
ウ 立入検査時の質問
 立入検査を行う者は,令状による場合(第65条)又は令状がない場合(第64条)を問わず,現場に立ち会わせた関係者と思われる者に口頭で質問し,回答を要求することができる(第63条第4A項)。
 

(2)決定

ア 決定の内容
 CCCSは,競争制限的協定規制,支配的地位の濫用規制及び企業結合規制に違反する行為が認められた場合には,各規制に対する違反するとの決定を行う旨を当該決定に影響を受けるおそれのある者に通知し,通知を受けた事業者に申出の機会を付与した(第68条第1項)後に,各違反行為について決定することができる(第68条第2項)。ただし,企業結合規制に係る上記決定をする旨の通知を受けた当事者は,14日以内に貿易産業大臣に対し,公共の利益上の理由から第54条の適用除外を申請することができる(第68条第3項)。この申請に基づく貿易産業大臣による決定は最終決定となる(第68条第4項)。もっとも,企業結合規制の適用除外の根拠となった情報が,不完全,虚偽又は誤解を招く内容であると疑う合理的理由がある場合には,貿易産業大臣は,適用除外の決定を取り消すことができる(第68条第6項)。
 
イ 決定の執行
 CCCSの決定を受けた者は,CCCSの命令に基づき,必要に応じて以下の措置を講じるなどして違反行為を排除しなければならない(第69条)。

  • 第34条の規定に違反する協定の修正又は破棄(第69条第2項第a号)。
  • 第47条の規定に違反する行為の修正又は排除(第69条第2項第b号)。
  • 第54条の規定に違反する企業結合の修正又は実施取止め(第69条第2項第ba号及び第c号)。
  • 第34条,第47条又は第54条の規定に違反した旨を決定した場合で,当該違反が故意又は過失によるときは,CCCSが決定する制裁金の支払い(3年を超えない違反行為期間中の国内総売上高の10%以下に相当する額)(第69条第2項第d号,第3項,第4項)。
  • 法的に執行可能な協定を締結し,反競争的効果の防止又は減少を図ること(第69条第2項第e号(i))。
  • 違反に係る事業,資産又は株式の処理(第69条第2項第e号(ii))。
  • 決定の履行を保証する債権,保証書又はその他の形態の担保を提供すること(第69条第2項第e号(iii))。
     

(3)不服申立てに係る手続

 CCCSの決定に不服のある者は競争審判評議会に不服申立てができる(第71条)。同評議会は貿易産業大臣により任命される30人以下のメンバーで構成され(第72条第1項),議長は最高裁判所の判事相応の人物が任命される(第72条第5項)。同評議会には地方裁判所と同等の権限が与えられる(第73条第3項)。また,同評議会の決定に対しては取消訴訟を高等裁判所に提起することが可能である(第74条)。
 

(4)リニエンシー制度

 カルテル行為について,競争当局にリニエンシーを申請した順番に応じ,制裁金が免除又は減額される旨をガイドラインに定めている(2016年カルテル活動に係る情報提供の申出をする事業者に対するリニエンシーの取扱いに関するCCCSガイドライン。以下「リニエンシーガイドライン」という。)。
 
ア リニエンシーの要件
 リニエンシーの適用に当たっては,下記の要件を満たさなければならない(リニエンシーガイドライン第2.2項,第2.4項)。

  • CCCSに対し,カルテル行為に係る全ての情報,書類及び証拠を提供すること。ただし,CCCSが違反行為を立証するのに十分な情報を有していない場合に限る。
  • リニエンシーを申請した他の競争当局等との関係において,CCCSに対し適切な秘密保持を求める権利を放棄する(つまり,CCCSが他の競争当局と申請者の情報を交換する)こと。
  • リニエンシー申請の対象となるカルテル行為を無条件で認め,その詳細を供述すること。
  • リニエンシー申請以後,CCCSによる当該事件についての何らかの決定がなされるまで,CCCSに継続的に協力すること。
  • CCCSへの報告以降,当該カルテル行為に参加しないこと(CCCSが指示する場合は除く)。
  • 当該カルテルを主導した事業者ではないこと。
  • 他の事業者に対して当該カルテル行為に参加することを強制した事業者ではないこと。

 
イ リニエンシーによる減免額

  • CCCSによる調査開始前の第1申請者については,制裁金が100%を上限に免除される(リニエンシーガイドライン第2.3項)。
  • 調査開始後の第1申請者については,制裁金が100%を上限に免除される((リニエンシーガイドライン第3項))。
  • その他の申請者については,制裁金が最大で50%免除される(リニエンシーガイドライン第4項)。申請事業者数の上限は定められていない。

 
ウ リニエンシーでの考慮要素
 制裁金の減免額の決定にあたっては,以下の事項が考慮される(リニエンシーガイドライン第4.2項)。

  • 違反行為において事業者が報告を行った段階。
  • CCCSが既に有している証拠。
  • 事業者が提供する情報の質。

 
エ リニエンシープラス
 申請者が異なる市場のカルテル行為をリニエンシー申請し,当該カルテル行為について第1申請者として情報提供をした場合,当初のリニエンシー対象の行為についての制裁金が更に減額される(リニエンシープラス)(リニエンシーガイドライン第6項)。
 

(5)確約制度

 確約制度(Commitments)とは,競争制限的協定規制及び支配的地位の濫用規制に係る競争法違反のおそれがあるとして調査等の対象となった事業者が一定の問題解消措置等をCCCSに対して約束することにより,CCCSが当該事業者との間で締結する法的拘束力のある合意に基づき法的措置を採らずに事件処理をする制度である(第60A条第1A項,第1B項)。
 CCCSは,事業者から提案された確約を受け入れた場合には,当該事業者の行為が,それぞれ,企業結合規制(第54条),競争制限的協定規制(第34条)又は支配的地位の濫用規制(第47条)の違反に該当しない旨の決定をしなければならない(第60B条第1項,第1A項及び第1B項)。
 しかし,確約を受け入れる根拠となった情報が不完全又は虚偽等であると疑う合理的理由がある場合又は事業者が前記合意を履行しなかったと疑う合理的理由がある場合には,CCCSは,前記決定を取り消すことができる(第60B条第2項)。
 

(6)企業結合審査制度

 CCCSは,事業者が不備のない届出書を提出した時から30営業日以内に簡易審査を終了する必要がある(企業結合ガイドライン第2.7項)。また,CCCSは,簡易審査のみで競争法上の懸念が生じるおそれがないと判断することができない場合には,当該事業者に対して主要な懸念点を通知して,詳細審査に移行することができる。
 詳細審査に関して,CCCSは,事業者が追加質問への回答を提出等をした後,120営業日以内に審査を終了することが求められる(企業結合ガイドライン第2.8項)。
 なお,CCCSは,事業者が質問事項への回答に時間を要している等の様々な事情により,事業者への事前通知を行うことで,30営業日又は120営業日といった期間の経過を停止することができる(企業結合ガイドライン第2.9項)。
 

(7) 迅速手続(Fast Track Procedure)

 迅速手続は,2016年12月から導入されているもので,CCCSが,CCCSの調査対象事業者に対し,CCCSが入手した情報及び証拠が立証基準を満たしていると合理的に判断した場合において(競争法第34条及び第47条事案に対する迅速手続に関する実務上の声明(以下「迅速手続声明」という。)第1.6項),その旨を通知し(迅速手続声明第2項),さらに,当事者が第34条又は第47条に係る責任があることを認める等一定の条件(迅速手続声明第4.2項)でCCCSと合意したとき(迅速手続声明第4.1項)は,制裁金が10%減額される(迅速手続声明第5.2項)。迅速手続は,CCCSのイニシアティブで開始する点及び当事者が上記責任を認める必要がある点でリニエンシー制度と異なるものの,リニエンシー制度との併用も可能で,併用した場合,両制度による制裁金の減額率を合計できるため,更に大きな減額を享受することが可能となる(迅速手続声明第1.2項)。
 

6 その他

(1) 域外適用

 競争法第3章(第33条~第70条)は,シンガポール国外でなされた競争法違反行為であっても,国内の関連市場に競争制限効果をもたらすものに対しては適用される(第33条第1項)。
 

(2) 罰則

 下記違反行為等を行い競争法上有罪とされた場合,他に特段の規定がない限り,10,000シンガポールドル以下の罰金若しくは12か月以下の懲役又はこれらが併科される(第83条)。

  • 文書提出命令に従わなかった場合(第61A条),CCCSによる質問に回答しなかった場合(第63条),立入検査を拒否した場合(第64条及び第65条)(第75条)
  • 文書を破棄又は隠匿した場合(第76条)
  • 虚偽の情報提供をした場合(第77条)
  • CCCSによる法執行を妨害した場合等(第78条)

 

(3)私訴

 競争法違反により損害を受けた者は,民事訴訟を起こすことができる(第86条第1項)。ただし,第86条第1項の規定に基づく訴訟は,CCCSによる決定の確定,事業者からの不服申立て処理の終結又は裁判所に対する上訴の終結等の事由が生じた後でなければ提起することができない(第86条第2項)。当該民事訴訟において,当事者は,CCCS等による確定した決定をその訴訟の主張の根拠として提出することができる(第86条第3項及び第7項)。また,競争法違反を理由とする民事訴訟は,CCCSによる決定等が確定してから2年を経過したら起こすことができない(第86条第6項)。

「非OECD諸国」に戻る

「S」に戻る

「アジア大洋州諸国」に戻る

本文ここまで

サブナビゲーションここから
サブナビゲーションここまで

以下フッターです。

公正取引委員会 Japan Fair Trade Commission

〒100-8987 東京都千代田区霞が関1-1-1 電話 03-3581-5471(代表)
  • ご利用案内
  • ホームページ・プライバシーポリシー
  • 関連リンク
  • 所在地
Copyright © 2013 Japan Fair Trade Commission. All Rights Reserved.
フッターここまでこのページのトップに戻る