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大学でのオンライン授業「独占禁止法教室」

大学でのオンライン授業「独占禁止法教室」

大学でのオンライン授業「独占禁止法教室 -授業の質の低下を回避できたのか-」

令和2年8月20日

独占禁止法教室(大学生向け)

 公正取引委員会の職員が,各地の大学で独占禁止法や公正取引委員会の役割について授業を行っています。

 中部地区では,令和元年度には,中部事務所長等が20の大学(中部地区の大学全体の2割程度)を訪問し,対面による90分授業を29回実施させていただきました。

オンライン独占禁止法教室

 令和2年度は,新型コロナウイルス感染症の発生に伴い,大学を訪問することができなくなりました。このため,先生方や大学事務局の御協力を得て,オンデマンド方式※により独占禁止法教室を開催しています。令和2年5月15日以降,同年8月まで10の大学※※で11回実施させていただくことができました。

 今回のオンライン授業の特徴は,「資料を見る」,「説明を聴く」ことに加えて,「クイズを解く・考える」時間をかなりの程度設けたことです。我々からの説明のみでは関心を持ってもらえないのではないかと考えました。また,今日的なトピックとして「デジタル経済への競争政策の対応」を取り上げました。

 授業はクイズから始まります。カメラ店の店長としてライバル店のことも考えながら合理的な販売価格を5つの中から1つ選んでもらいます。クイズを通じて競争の重要性や独占の弊害に触れてもらいます。

 その後,独占禁止法の概要(目的,ルール)や,デジタル化の下での競争政策について説明していきます。例えば,競争にはどのようなメリットがあるのか,なぜ独占禁止法が必要なのか,事業者のどのような行為が禁止されているのか,これが守られなかった場合に公正取引委員会はどのような措置を採るのか,デジタル経済はどのような特徴を有しているのか(ビジネスの仕組み)(利用者の集中,市場支配力の増大),デジタル・プラットフォーマーなどに対して競争政策としてどのような対応がなされているのかといった項目を取り上げます。こうした授業の途中でもクイズが登場します。その時点までにお話ししたことについて,簡単なまとめを作り,その中の空欄部分を適切な用語で埋めてもらうものです。

 最後も,クイズに挑戦してもらいます。○×選択の20問により自分自身で授業の理解度をチェックすることができます。
 

※ 教材として2種類用意しています。(①パワーポイント資料をPDF化し,各ページに音声ファイルを添付したもの,②パワーポイント資料を画像(JPEG)化し,音声付きスライドショーの動画ファイルとしたもの。)
  独占禁止法教室を開催していただける大学に教材を御送付し,大学サイドでアップロード等していただいています。実際には,上述②の教材が利用されています。スマートフォンで授業に参加する学生のことなども考慮されたのではないかと思われます。

※※愛知県立大学(情報科学部),石川県立大学(生物資源環境学部),岐阜聖徳学園大学(教育学部),静岡大学(工学部),静岡県立大学(経営情報学部),中京大学(法学部及び一般教養),東海学院大学(人間関係学部・健康福祉学部),富山大学(一般教養),富山県立大学(工学部),北陸大学(経済経営学部)。今年度は理系大学・学部等にも対象を広げました。

学生による評価

 授業後,学生の皆さんにアンケートに答えてもらっています。満足度,理解度など7つの項目について,5段階による授業評価をしてもらうものです。例えば,満足度については,「本日の独占禁止法教室はいかがでしたか。」に対して,「満足」,「おおむね満足」,「普通」,「やや不満」,「不満」の5つの中から1つを回答してもらいます。今回のオンライン授業では438名から回答を得ました。

 肯定的な評価(5段階のうち上位の2つ)の割合を見てみると,7項目のうち4項目で80%を上回りました(別紙参照)。特に,「市場経済の仕組みや企業間の競争について理解が深まった」については,「そう思う」(41%)と「ややそう思う」(51%)の合計は92%に達しました。満足度についても,「満足」(38%),「おおむね満足」(45%)となり,合わせて83%となりました。また,「独占禁止法違反等に関するニュースや新聞記事に今までよりも注目したい」についても,「そう思う」(33%),「ややそう思う」(50%)となっています。

 ちなみに,昨年7月に所長(講師)の交代があり,その後,令和元年度後期には訪問型の「独占禁止法教室」を11の大学で開催させていただきました(アンケート回答者数684名)。開催大学や学部が異なることなどに留意する必要がありますが,今年度のオンライン授業の学生評価(肯定的な評価の割合)と昨年度後期のものとを比較してみると,7項目全てにおいて今回の方が上回りました(平均7ポイントの増加)。

 今回のオンライン「独占禁止法教室」は,おおむね,従来のものから質を落とすことなく,学生の皆さんにも受け入れていただくことができたのではないかと考えています。アンケートの中の自由回答からは,「説明」(見る・聴く)と「クイズ」(解く・考える)との組み合わせが有効であったことが示唆されます。デジタル化への対応についても身近な問題として多くの関心が寄せられました。オンライン授業の実施に際し,改めて授業内容を根本的に見直したことが良かったのではないかと思っています。

 また,自分のペースで学習を進めることができ,分からなくなれば前に戻って確認することができるというオンデマンド方式ならではのメリットもいかされたのではないでしょうか。なお,自由回答を通じて頂いた質問については,いくつかにまとめる形でお答えしています。

 これらの一方で,「公正取引委員会の活動に興味が高まった」については,「そう思う」(25%)と「ややそう思う」(44%)を合わせても69%であり,昨年度後期から3ポイントの増加に止まりました。何が足りなかったのか。公正取引委員会をより身近に感じていただくためにどのような工夫ができるのか。検討課題となりました。

令和2年度後期授業

 中部地区では,少なからずの大学で,夏季,秋学期,後期においても,対面授業との併用を含めオンライン授業が継続されるようです。このため,引き続き,オンライン「独占禁止法教室(大学生向け)」を実施することとしています。「独占禁止法教室」に御関心を持っていただくことができましたら,中部事務所ウェブサイトのトップページから『学生向け「独禁法教室」~出前授業~』をクリックして「独占禁止法教室のご案内(大学)(PDF:148KB)」を御覧ください。

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