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国・地方公共団体・消費者団体等でのオンライン研修・説明「地方公共団体職員のための競争政策・独占禁止法ハンドブック研修」

国・地方公共団体・消費者団体等でのオンライン研修・説明「地方公共団体職員のための競争政策・独占禁止法ハンドブック研修」

国・地方公共団体・消費者団体等でのオンライン研修・説明「地方公共団体職員のための競争政策・独占禁止法ハンドブック研修 -複数の地方公共団体への同時配信-」

令和3年1月29日

地方公共団体職員のための競争政策・独占禁止法ハンドブック研修

 公正取引委員会では,平成31年3月に,「地方公共団体職員のための競争政策・独占禁止法ハンドブック」(以下「ハンドブック」といいます。)を公表しました。地方公共団体において各種の施策・事業が検討・実施される際には,独占禁止法上や競争政策上の疑問点や懸念が生じ得ます。このハンドブックは,こうした時に,地方公共団体の職員の皆様が手元に置いて参照できるよう,独占禁止法上及び競争政策上の考え方を示したものです。

 そして,ハンドブックの公表以降,その内容について理解を深めていただくため,地方公共団体が実施する研修等に公正取引委員会の職員を講師として派遣しています。このほか,各地方事務所主催による研修も開催しています。

オンライン方式によるハンドブック研修

 令和2年度は,新型コロナウイルス感染症(以下「コロナウイルス」といいます。)の発生に伴い,原則,オンライン方式による研修(以下「オンラインハンドブック研修」といいます。)を実施しています。感染拡大防止の観点等からの対応であり,地方公共団体から講師派遣の依頼があった場合及び中部事務所が主催する場合のいずれについても同様です。これまで地方公共団体から講師派遣依頼を受けて1回,中部事務所の主催により1回,オンラインハンドブック研修を実施しました。

 この研修は,公正取引委員会がライセンスを取得しているWeb会議サービスを利用しています。中部事務所会議室で講師が説明する内容を研修者にリアルタイムで配信(ライブ配信)する方法で実施しています。

研修の内容の工夫

 オンライン研修を行う際には,「実際に研修を行う環境においてオンライン方式による研修を実施することができるか」を確認するための接続テストを実施します。これは,地方公共団体の協力を得て行う必要があります。

 これまでのオンライン研修は,地方公共団体ごとに実施しており,当該団体の会場に受講者(職員)を集めていただき,この会場に設置した機器1台に中部事務所から配信する方法で実施していました。しかし,中部事務所が主催したオンラインハンドブック研修には,8つの地方公共団体から参加希望をいただきました。このため,それぞれの参加団体の機器に同時に配信を行う必要が生じ,接続テストの方法について工夫しました。

 具体的には,全参加団体と同時に接続テストを行うため,事前に接続テストを行う日,時間等を決定して連絡及び調整を行いました。接続テストを行うに当たっては,想定される問題点の洗い出しを行った上で,滞りなく効率的に実施できるようにシナリオを作成しました。また,接続方法等について,口頭の説明のみでは伝わりにくい部分については画面上でパワーポイントを投影することによって各団体の担当者が理解しやすいように工夫しました。

 このように,複数の地方公共団体と同時に接続テストを行うための調整については苦労しました。しかし,その結果,複数の機器に配信した場合の接続状況,画像の投影状況,声の聞こえ具合等の確認事項について効率的に確認を行うことができました。そして,研修当日と同じ環境で接続テストを行った結果,全ての参加者に大きなトラブルなくオンラインハンドブック研修を受講していただくことができました。

 一方,オンライン方式の研修では,対面方式の場合に比べて「受講者のモチベーションの維持」が難しいとされています。オンラインハンドブック研修では,一般的に馴染みのない「競争評価」1及び「行政指導ガイドライン」2が主なテーマとなっているため,それが更に難しくなります。この問題点を解消するために,講師は説明資料を対面方式で使用していたものから更に要点を絞った内容に変更しました。同時に,なるべく法律用語などを使わず,平易な表現で説明を行いました。

 加えて,資料の説明を行う際には,パワーポイントの「蛍光ペン機能」を利用し,配信している画面上のどの部分を説明しているかを示しました。さらに,重要部分に蛍光ペンで線を引くことにより,受講者が講義内容に集中できるようにしました。

1 国の行政機関において政策評価の一環として規制の新設又は改廃が事業者間の競争状況に及ぼす影響を把握するために行われているもの。
2 行政指導と独占禁止法との関係を明らかにした指針。(「行政指導に関する独占禁止法の考え方」(平成6年6月30日公正取引委員会))

受講者による評価

 オンラインハンドブック研修の後,受講者の皆様にアンケートを実施し,その中で,「講師の説明の分かりやすさ」について5段階(①良→⑤悪)で評価をしてもらっています。これまで115名から回答を得ました。肯定的な評価(5段階のうち上位の2つ)の割合は,約65%でした。

 一方,中部事務所では,地方公共団体を対象に,オンラインハンドブック研修のほか,オンライン官製談合防止法研修も実施しています。そして,この研修においても受講者の皆様にアンケートを実施しています。その中で,「研修会の内容は理解しやすいものだったか」について,「理解しやすかった」,「比較的理解しやすかった」,「どちらとも言えない」,「やや理解しにくかった」,「理解しにくかった」の5段階で評価してもらっています。令和2年度は,これまで315名から回答を得ました。肯定的な評価(5段階のうち上位の2つ)の割合は,約95%でした。

 受講者や回答の選択肢が異なること等に留意する必要がありますが,肯定的な評価(5段階のうち上位の2つ)の割合を比較すると,オンライン官製談合防止法研修は約95%であったのに対して,オンラインハンドブック研修は約65%という結果でした。

 この結果から,オンラインハンドブック研修は,オンライン官製談合防止法研修に比べ,受講者が講師の説明に満足していないことが分かりました。

 その要因について分析すると,1つ目の要因は,研修時間であると考えています。研修時間は,オンライン官製談合防止法研修が60分から90分であるのに対して,オンラインハンドブック説明会は15分から30分です。このため,オンラインハンドブック説明会では,講師が短時間で説明内容を纏める必要があり,どうしても早口になったり,説明が単調になっていました。受講者からも「説明が単調だった。メリハリがあるとわかりやすかったと思う。」という意見をいただいています。

 令和2年度に開催したオンラインハンドブック研修は,オンライン官製談合防止法研修を主とした研修と同時に開催しており,説明時間が短くなっていました。今後は,研修を実施していただける地方公共団体にハンドブックの重要性を伝えた上で,説明時間を長く取ってもらえるようお願いしていきたいと思います。また,中部事務所において,オンラインハンドブック研修を単独で開催することも検討して行きたいと考えています。

 もう1つの要因は,研修の説明内容であると考えています。オンライン官製談合防止法研修では,比較的馴染みのある官製談合防止法について説明します。これに対して,オンラインハンドブック研修では,一般的に馴染みのない「競争評価」及び「行政指導ガイドライン」を中心に説明を行います。このため,受講者が講師の説明を理解しづらかったのではないかと思います。

 オンラインハンドブック研修については,上述のように対面方式に比べてなるべく法律用語などを使わず,平易な表現で説明することや,事例などを交えて受講者が研修に集中できるような工夫を行いました。しかし,アンケート結果から,更に改善の余地があることが分かりました。

 今後は,受講者の皆様からいただいた意見を踏まえ,講師の話し方や研修資料を工夫することにより,受講者がより理解しやすい研修内容に改善していきたいと思います。

 一方,受講者の皆様から「オンライン研修はとても良かったので,今後も継続してオンライン研修を開催してほしい」,「オンライン研修だと説明会場への移動時間の制約がないため参加しやすかった」などの肯定的な意見もいただきました。

令和2年度のハンドブック研修について

 今年度については,感染拡大防止の観点等から,引き続き,原則,オンライン方式による研修を実施していきたいと考えています。

 御関心を持っていただきましたら,中部事務所経済取引指導官(Tel 052-961-9422,Fax 052-971-5003)までお問合せください。

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