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事業者団体とのオンライン会議「三重県中小企業団体中央会との懇談会」

事業者団体とのオンライン会議「三重県中小企業団体中央会との懇談会」

事業者団体とのオンライン会議「三重県中小企業団体中央会との懇談会 -事業者の周りの専門家との連携の重要性-」

令和3年2月15日

 令和3年1月19日,WEB会議システムを利用して,三重県中小企業団体中央会との懇談会を開催しました。中部事務所からはコロナ禍での事務所の取組について説明させていただきました。また,中央会からは,印刷業、卸売業、鉄骨加工業での取引の状況等についてお話がありました。今後,下請法,独占禁止法を厳正に運用していく上で大変有意義な意見交換となりました。

 本稿では,懇談会の場で、当事務所から問題提起をさせていただきました、弁護士、税理士、公認会計士など ‘事業者の周りの専門家’との連携の重要性について御紹介します。

 いうまでもなく、下請法等で定められているルールが適正に守られることが何よりです。しかし、実際には、公正取引委員会による下請法違反被疑事件の処理件数は年々増加しています。令和元年度の指導件数1は8,016件であり、下請法施行(昭和31年)以来、最多となりました。

 中部事務所管内については、令和元年度には、管内に所在する親事業者7,500名及び当該親事業者と取引のある下請事業者46,800名を対象に書面調査を実施しました。795件の指導を行い、下請事業者が被った不利益について、親事業者10名3から、下請事業者269名4に対し、下請代金の減額分の返還等、総額2,385万円相当の原状回復が行われました。

 こうしたもと,下請法違反の未然防止のためには、親事業者自らがコンプライアンス(法令等遵守)の強化に取り組むことが重要であると認識しています。公正取引委員会(中部事務所)では下請法講習会の開催や事業者団体の研修会への講師派遣等により支援に当たっています。

 この点については、更に、例えば、顧問弁護士や監査法人・公認会計士の中には事業者(親事業者)のコンプライアンス強化に関与している方々がいらっしゃいます。こうした専門家から下請法についても遵守徹底を督励していただくことができれば大変効果的ではないかと考えています。

 一方、下請事業者の中には、誰に相談してよいか分からない、親事業者からの仕返しが心配で相談をためらっている方々が少なからず存在していると認識しています。また、下請事業者は、概して、少ない人員で幅広い業務に当たっており、被害を受けていることに気付いていない場合も少なからずあると考えています。公正取引委員会(中部事務所)では下請法違反発見チェックシートによる啓発や、様々な機会を通じて相談の呼び掛け等を行っています。

 この点についても、更に、下請事業者に寄り添う、例えば税理士の方々に、下請事業者のこうした苦境に気付いていただくことができれば大変効果的ではないかと考えています。そして、公正取引委員会(中部事務所)への相談を勧めていただければと思います。

 中部事務所ではこうした相談に対して下請法の解釈や運用基準等について御説明しています。そして、下請事業者は取引先において下請法に違反する事実があると思うときは、公正取引委員会(中部事務所)にその事実を報告し、適当な措置を採るよう求めることができます。

 ところで、相談の中には、解決すべき問題が存在しているにもかかわらず、取引当事者の資本金規模や取引内容により下請法の規制対象外となっているものがあります。また、相談者が当事者間での相対交渉等を望むものがあります。こうした相談については、問題が適正に解決されるよう、相談者の希望に応じて、弁護士会を御紹介することができればと考えています。

 公正で自由な競争は地域経済の活力の維持・向上にとって大変重要であると考えています。こうした観点からも、「事業者のコンプライアンスが徹底されている。違反行為があった場合には埋もれることなく発見される。そして、下請事業者等の被害は回復され違反事業者の‘やり得’にはならない。」ことが大切ではないでしょうか。こうした姿に向かって、地域の専門家、中小企業団体中央会をはじめとした関係団体等と協力して取り組んでいきたいと考えています。

1 違反行為の改善を求める指導。違反のおそれのある行為に対する指導を含む。
2 同上。
3 延べ数。
4 同上。

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