1 相談者
機械リース業者の団体(平成10年度)
2 相談の要旨
国内の需要減により,機械メーカーは機械の売れ行きが悪く在庫が増加したことから,有力な機械メーカーの中で会員の取引先需要者に直接リースを行うものが出てきた。
これを放置すると会員の取引先需要者が奪われることとなるため,団体として,機械メーカーに対し,会員の取引先需要者に機械を直接リースすることを取りやめることを申し入れ,機械メーカーがリースをやめない場合には,会員が当該メーカーからはリース用機械を購入しないことを決定したいが,独占禁止法上問題ないか。
3 独占禁止法上の考え方
(1) 事業者団体が会員に対して,ある事業者と取引しないようにさせることにより,新たに事業者が市場に参入することを著しく困難とさせ,市場における競争を実質的に制限することは,独占禁止法第8条第1項第1号の規定に違反する。
また,市場における競争を実質的に制限するまでには至らない場合であっても,原則として独占禁止法第8条第1項第3号,第4号又は第5号の規定に違反する。
[団体ガイドライン6-1(共同の取引拒絶),5-1-2(商品又は役務の取扱い制限)]
(2) 相談の場合においては,団体が,会員の需要者に直接機械をリースする機械メーカーに対して,直接リースすることを取りやめるよう申し入れることは,会員による機械の購入数量が多いことにかんがみると,当該機械メーカーは会員の取引先需要者に直接リースすることを中止するものと考えられ,新たに事業者が市場に参入することを著しく困難とさせることから,独占禁止法上問題となる。
4 回答の要旨
団体が,機械メーカーに対し,今後,会員の取引先需要者に直接機械をリースしないように申し入れることは,独占禁止法上問題となる。