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(平成26年10月7日)平成25年度公正取引委員会年次報告について

平成26年10月7日
公正取引委員会

 公正取引委員会は,独占禁止法第44条第1項の規定に基づき,内閣総理大臣を経由して,国会に対し,毎年,独占禁止法等の所管法令の施行状況を報告しているところ,本日,平成25年度公正取引委員会年次報告を国会に送付したものである。その要旨は以下のとおりである。

1 独占禁止法改正等

(1)独占禁止法の改正
 平成22年3月12日,公正取引委員会が行う審判制度の廃止等を主な内容とする,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案が第174回通常国会に提出された。同法律案は,同通常国会から第180回通常国会までの各国会において閉会中審査とされ,平成24年11月16日,第181回臨時国会において審査未了により廃案となった。
 平成25年5月24日,技術的修正が行われたほかは前記法律案と同じ内容の私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案が第183回通常国会に提出された。同法律案は,同通常国会及び第184回臨時国会で衆議院において閉会中審査とされた後,第185回臨時国会で,同年11月21日に衆議院において,同年12月7日に参議院において,それぞれ可決されて成立した。この法律は,一部の規定を除き,公布の日(平成25年12月13日)から起算して1年6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとされている。

(2)消費税転嫁対策特別措置法の制定等

 ア 平成25年3月22日,消費税の転嫁を阻害する行為の是正,価格の表示並びに消費税の転嫁及び表示の方法の決定に係る共同行為に関する特別措置を主な内容とする,消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法案が第183回通常国会に提出された。同法律案は,同年6月5日に可決・成立し,同月12日に公布された(一部の規定を除き,同年10月1日から施行)。
 イ 消費税転嫁対策特別措置法の施行に伴い,消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法施行令,消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法第2条第1項第1号の大規模小売事業者を定める規則,消費税の転嫁の方法及び消費税についての表示の方法の決定に係る共同行為の届出に関する規則等の制定等を行った。
 ウ 消費税転嫁対策特別措置法の施行に伴い,同法の執行の統一を図るとともに,法運用の透明性を確保し,違反行為の未然防止に資するため,「消費税の転嫁を阻害する行為等に関する消費税転嫁対策特別措置法,独占禁止法及び下請法上の考え方」を策定し,平成25年9月10日に公表した。

2 独占禁止法違反行為の積極的排除

(1)迅速かつ実効性のある法運用を行うという基本方針の下,平成25年度においては,特に,入札談合(官公需),受注調整(民需)及び価格カルテル並びに中小事業者に不当に不利益を与える優越的地位の濫用などの不公正な取引方法に対し,引き続き厳正かつ積極的に対応した。この結果,18件の法的措置を採ったほか,総額302億4283万円の課徴金の納付を命じた(第1図及び第2図参照)。

<平成25年度における法的措置事件>

入札談合(官公需)

○ 千葉県が発注する土木一式工事及び舗装工事の入札談合事件

受注調整(民需)

○ 東京電力株式会社が発注する架空送電工事の工事業者及び地中送電ケーブル工事の工事業者による受注調整事件
○ 関西電力株式会社が発注する架空送電工事の工事業者及び地中送電工事の工事業者による受注調整事件

価格カルテル

○ 異性化糖及び水あめ・ぶどう糖の製造業者らによる価格カルテル事件
○ 段ボール用でん粉の製造販売業者による価格カルテル事件
○ 医師会による価格カルテル事件
○ 自動車運送業務を行う船舶運航事業者による価格カルテル事件

優越的地位の濫用

○ スーパーマーケットによる納入業者に対する優越的地位の濫用事件

第1図 法的措置件数等の推移

第2図 課徴金額等の推移

(2)公正取引委員会は,国民生活に広範な影響を及ぼすと考えられる悪質かつ重大な事案等については,積極的に刑事処分を求めて告発を行うこととしている。平成25年度においては,独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)が発注する北陸新幹線融雪・消雪基地機械設備工事の入札談合事件において,入札参加業者8社及び個人8名を検事総長に告発した。

(3)国・地方公共団体等の職員が入札談合に関与する,いわゆる官製談合については,入札談合等関与行為防止法に発注官庁において入札談合等関与行為を排除するための行政上の措置等が規定されているところ,平成25年度においては,鉄道・運輸機構の職員が入札談合等関与行為を行っていた事実が認められたため,公正取引委員会は,同法の規定に基づき,鉄道・運輸機構理事長に対して改善措置要求を行った。

(4)公正取引委員会は,独占禁止法違反行為についての調査の過程において,競争政策上必要な措置を講じるべきと判断した事項について,発注者及び関係官庁等に申入れや要請を行っている。平成25年度においては,事業者団体である日本スターチ・糖化工業会,発注者である東京電力株式会社,関西電力株式会社及び鉄道・運輸機構並びに関係官庁である国土交通省に対して申入れや要請を行った。

(5)平成25年度においては,182件の審判事件について慎重かつ効率的な審理を行った。この結果,15件について審決を行った。
  (注)審判件数は,行政処分に対する審判請求ごとに付される事件番号の数である。

3 公正な取引慣行の推進

(1)優越的地位の濫用に対する取組

 ア 公正取引委員会は,優越的地位の濫用事案について,過去最高の58件の注意を行った。
 イ 公正取引委員会は,独占禁止法上問題となる個別の違反行為に対し, 厳正に対処しているほか,中小事業者の取引の公正化を図る必要が高い分野について,実態調査等を実施し,普及・啓発に努めている。平成25年度においては,「外食事業者と納入業者との取引に関する実態調査報告書」(平成25年5月27日公表)及び「物流センターを利用して行われる取引に関する実態調査報告書」(平成25年8月8日公表)を公表したほか,荷主と物流事業者との取引に関する書面調査を実施した。
  ウ 公正取引委員会は,過去に優越的地位の濫用規制に対する違反がみら れた業種,各種の実態調査で問題がみられた業種等の事業者に対して一層の法令遵守を促すことを目的として,業種ごとの実態に即した分かりやすい具体例を用いて説明を行う業種別講習会を合計40回実施した。
 エ 公正取引委員会は,「中小事業者のための移動相談会」を全国16か所で実施したほか,事業者団体が開催する研修会等に職員を講師として派遣した。

(2)不当廉売に対する取組

 酒類,石油製品,家庭用電気製品等の小売業において,不当廉売につながるおそれがあるとして1,366件(酒類847件,石油製品452件,家庭用電気製品29件,その他38件)の事案に対して注意を行った。

(3)下請法違反行為の積極的排除

 下請取引の公正化及び下請事業者の利益保護を図るため,親事業者38,974名及びこれらと取引している下請事業者214,044名を対象に書面調査を行った。書面調査等の結果,下請法に基づき勧告を行ったものは10件(第3図参照),指導を行ったものは4,949件であった。
平成25年度においては,下請事業者が被った不利益について,親事業者244名から,下請事業者5,604名に対し,下請代金の減額分の返還等,総額6億7087万円相当の原状回復が行われた(第4図参照)。
 また,公正取引委員会は,親事業者の自発的な改善措置が下請事業者が受けた不利益の早期回復に資することに鑑み,当委員会が調査に着手する前に,違反行為を自発的に申し出,かつ,自発的な改善措置を採っているなどの事由が認められる事案については,親事業者の法令遵守を促す観点から,下請事業者の利益を保護するために必要な措置を採ることを勧告するまでの必要はないものとして取り扱うこととし,この旨を公表している。平成25年度においては,前記のような親事業者からの違反行為の自発的な申出は12件あり,これらについては,前記の取扱いがなされた。
 このほか,公正取引委員会は,下請代金の支払遅延,下請代金の減額,買いたたき等の行為が行われることのないよう,平成25年11月22日,約18万9千名の親事業者及び関係事業者団体に対し,下請法の遵守の徹底等について,公正取引委員会委員長及び経済産業大臣連名の文書をもって要請を行った。

第3図 下請法の事件処理件数の推移

第4図 原状回復の状況

4 消費税転嫁対策に関する取組

(1)公正取引委員会は,消費税の転嫁拒否等の行為(転嫁拒否行為)に関する情報収集を積極的に行うため,平成25年度においては,中小企業庁と合わせて15万件の書面調査を実施した。書面調査等の結果,消費税転嫁対策特別措置法に基づき指導を行ったものは724件であった。

(2)公正取引委員会は,転嫁拒否行為等に関する事業者からの相談や情報提供を一元的に受け付けるための相談窓口を設置し,平成25年度においては,1,944件の相談に対応した。また,事業者にとって,より一層相談しやすい環境を整備するため,全国各地で移動相談会を実施することとし,平成25年度においては,移動相談会を75回実施した。

(3)公正取引委員会は,平成25年度においては,消費税の転嫁の方法の決定に係る共同行為152件,消費税についての表示の方法の決定に係る共同行為136件の合計288件の届出を受け付けたほか,1,235件の相談に対応した。

(4)公正取引委員会は,消費税転嫁対策特別措置法の内容を広く周知するため,事業者及び事業者団体を対象として,当委員会主催の説明会を実施しており,平成25年度においては,全国31か所において合計40回の説明会を実施したほか,商工会議所,商工会及び事業者団体が開催する説明会等に公正取引委員会事務総局の職員を講師として派遣した。

(5)公正取引委員会は,転嫁拒否行為が行われることのないよう,平成25年11月15日,約20万名の事業者に対し,消費税転嫁対策特別措置法の遵守の徹底について,公正取引委員会委員長及び経済産業大臣の連名の文書をもって要請するなどした。

5 企業結合審査の充実

(1)企業結合規制の的確な運用

 独占禁止法は,一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる会社の株式取得・所有,合併等を禁止している。公正取引委員会は,我が国における競争的な市場構造が確保されるよう,企業結合規制の的確な運用に努めており,平成25年度においては,次のような企業結合事案について,的確に処理するとともに,その内容を公表した。

<平成25年度における主な企業結合事案>
○ イオン株式会社による株式会社ダイエーの株式取得
○ 三菱重工業株式会社と株式会社日立製作所の火力発電システム事業の統合

(2)「独占禁止法第11条の規定による銀行又は保険会社の議決権の保有等の認可についての考え方」等の一部改定

 公正取引委員会は,「日本再生加速プログラム」(平成24年11月30日閣議決定)及び「日本経済再生に向けた緊急経済対策」(平成25年1月11日閣議決定)を踏まえ,独占禁止法第11条の規制趣旨に照らして金融機関の取得・保有可能な議決権の割合の上限について適用除外・例外規定の在り方を含め検討を行った結果,「独占禁止法第11条の規定による銀行又は保険会社の議決権の保有等の認可についての考え方」及び「債務の株式化に係る独占禁止法第11条の規定による認可についての考え方」を平成26年3月31日に一部改定して公表し,同年4月1日から施行した。

5 競争環境の整備に向けた調査等

(1)保育分野に対する調査・提言

 公正取引委員会は,平成25年度において,事業者の公正かつ自由な競争を促進し,もって消費者の利益を確保することを目的とする競争政策の観点から,保育分野の現状について調査・検討を行った。
 その後,平成26年6月25日,競争政策上の考え方や提言を取りまとめた「保育分野に関する調査報告書」を公表した。同調査報告書では,[1]多様な事業者の参入促進,[2]補助制度・税制におけるイコールフッティングの確保,[3]情報公開・第三者評価の充実,[4]付加的なサービスの拡大について提言を行った。

(2)競争評価に関する取組

 平成19年10月以後,各府省が規制の新設又は改廃を行おうとする際,原則として,規制の事前評価の実施が義務付けられ,その際,規制による競争状況への影響分析(競争評価)を行うこととされており,平成22年4月から試行的に実施されている。競争評価については,各府省は,規制等に関して,競争状況への影響・分析に関する競争評価チェックリストの記入を行い,評価書と共に総務省に提出し,総務省は競争評価チェックリストを公正取引委員会へ送付することとされている。平成25年度においては,総務省から143件の競争評価チェックリストを受領し,内容を精査した。

(3)入札談合の防止への取組

 入札談合の防止を徹底するためには,発注者側の取組が極めて重要であるとの観点から,公正取引委員会は,地方公共団体等の調達担当者等に対する独占禁止法や入札談合等関与行為防止法の研修会を開催するとともに,国,地方公共団体等が実施する調達担当者等に対する同様の研修会への講師の派遣及び資料の提供等の協力を行っている。平成25年度においては,研修会を全国で24回開催するとともに,国,地方公共団体及び特定法人に対して288件の講師の派遣を行った。

(4)独占禁止法コンプライアンスの向上に向けた取組

 独占禁止法コンプライアンスの向上に関連した企業の取組を促していく観点から,公正取引委員会では,企業における独占禁止法に関するコンプライアンス活動の状況を調査し,改善のための方策等と併せて,報告書の取りまとめ・公表を行うとともに,その周知に努めている。平成25年度においては,地方有識者との懇談会や企業法務を専門とする弁護士等に対する講演会等の機会を利用して周知を行った。

(5)ガソリンの取引に関する調査

 公正取引委員会は,石油元売会社とガソリン販売業者等における企業間 取引等に関する実態を把握するために調査を実施し,平成25年7月23日,「ガソリンの取引に関する調査について」として取りまとめ,公表した。

7 経済のグローバル化への対応

 近年,複数の国・地域の競争法に抵触する事案,複数の国・地域の競争当局が同時に審査を行う必要のある事案等が増加するなど,競争当局間の協力・連携の強化の必要性が高まっている。このような状況を踏まえ,公正取引委員会は,二国間独占禁止協力協定,経済連携協定等に基づき,関係国の競争当局と連携して執行活動を行うなど,外国の競争当局との間で緊密な協力を行っているほか,国際競争ネットワーク(ICN),経済協力開発機構 (OECD),アジア太平洋経済協力(APEC),国連貿易開発会議 (UNCTAD)等といった多国間会議にも積極的に参加している。さらに,発展途上国の競争当局等に対し,職員の派遣や研修の実施等による技術支援を行っている。

<平成25年度における主な国際的な取組>
○ ICN第12回年次総会への参加(平成25年4月)
○ 企業結合審査に係る国際協力枠組みの運用
○ 東アジア競争政策トップ会合及び東アジア競争法・政策カンファレンスへの参加(平成25年8月)
○ 競争当局間協議の開催(韓国,米国,カナダ及びEU)
○ 競争当局間の協力に関する覚書等の署名(フィリピン及びベトナム)
○ 競争政策に関する技術支援の実施(ベトナム,インドネシア,中国,フィリピン等)

8 競争政策の普及啓発に関する広報・広聴活動

  競争政策に関して,有識者から広く意見を聞くとともに,競争政策の一層の理解を求めること等を目的として,独占禁止政策協力委員から個別の意見聴取を行ったほか,独占禁止懇話会を開催した。また,全国各地において,公正取引委員会委員と各地の有識者との懇談会及び地方事務所長等の事務総局職員と有識者との懇談会を開催した。
  前記以外の活動として,「一日公正取引委員会」,「消費者セミナー」を開催したほか,中学校,高等学校及び大学等からの要請を受けて講師を派遣して経済活動における競争の役割等について授業を行う独占禁止法教室(出前授業)の開催など,学校教育等を通じた競争政策の普及に努めた。

<平成25年度における主な取組>
○ 独占禁止政策協力委員150名に対する意見聴取の実施
○ 独占禁止懇話会の開催(3回)
○ 地方有識者との懇談会の開催(北海道釧路市,山形市,長野市,富山市,奈良市,山口市,高松市及び長崎市)
○ その他の地方有識者との懇談会の開催(80回)
○ 一日公正取引委員会の開催(北海道釧路市,山形市,水戸市,静岡市,奈良市,鳥取市,徳島市及び大分市)
○ 消費者セミナーの開催(49回)
○ 独占禁止法教室の開催(中学生向け54回,高校生向け14回,大学生等向け73回)

関連ファイル

 平成25年度公正取引委員会年次報告(PDF:4,014KB)

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問い合わせ先

公正取引委員会事務総局官房総務課
電話 03-3581-3574(直通)
ホームページ http://www.jftc.go.jp/

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