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(平成27年5月27日)平成26年度における独占禁止法違反事件の処理状況について

(注)図2の平成23年度の対象事業者数及び図3の平成24年度の金額に誤りがありましたので修正しました(平成27年5月29日)

平成27年5月27日
公正取引委員会

はじめに

公正取引委員会は,迅速かつ実効性のある事件審査を行うとの基本方針の下,国民生活に影響の大きい価格カルテル・入札談合・受注調整,中小事業者等に不当に不利益をもたらす優越的地位の濫用や不当廉売など,社会的ニーズに的確に対応した多様な事件に厳正かつ積極的に対処することとしている。
平成26年度における独占禁止法違反事件の処理状況は,次のとおりである。

第1 審査事件の概況

1 法的措置等の状況

平成26年度においては,独占禁止法違反行為について,延べ132名の事業者等に対して,10件の法的措置(注1)を採った。法的措置10件の内訳は,価格カルテル5件,受注調整(民需)2件,私的独占1件,不公正な取引方法2件となっている。不公正な取引方法2件を除いた8件の市場規模は,年間約3900億円である。

(注1) 法的措置とは排除措置命令及び課徴金納付命令であり,1つの事件について,排除措置命令と課徴金納付命令がともに行われている場合には,法的措置件数を1件としている。

図1 法的措置件数と対象事業者等の数の推移

また,法的措置を採るに足る証拠が得られなかった場合であっても,違反の疑いのある行為が認められたときには,関係事業者等に対し,事前説明を行った上で警告・公表を行い,必要に応じ是正措置を採るよう指導しているところであり,平成26年度においては,1件の警告・公表を行った。

2 課徴金納付命令等の状況

平成26年度においては,延べ128名の事業者に対して,総額171億4303万円の課徴金納付命令を行った。一事業者当たりの課徴金額は1億3392万円(注2)であった。

(注2) 一事業者当たりの課徴金額については,1万円未満切捨て。

図2 課徴金額等の推移

図3 一事業者当たりの課徴金額の推移

価格カルテル・入札談合等の不当な取引制限に対する課徴金算定率については,違反を繰り返した事業者又は違反行為において主導的な役割を果たした事業者に対する算定率の5割の割増し及び早期に違反行為をやめた事業者に対する算定率の2割の軽減が適用されることとなっている(注3)。
平成26年度においては,違反を繰り返した事業者に対する割増算定率が1件における1名に対して,また,早期に違反行為をやめた事業者に対する軽減算定率が1件における延べ3名に対して,それぞれ適用された。

(注3)[1] 調査開始日から遡り,10年以内に課徴金納付命令を受けたことがある場合,又は違反行為において主導的な役割を果たした場合,5割加算した率を適用(例えば,製造業(中小事業者以外)にあっては,課徴金算定率が10パーセントであるところ15パーセントに,また,両方の場合を満たすときは20パーセントに,それぞれ割増しされる。)。
[2] 違反行為の期間が2年未満で,調査開始日の1か月前までに違反行為をやめていた場合,2割軽減した率を適用(例えば,製造業(中小事業者以外)にあっては,課徴金算定率が10パーセントであるところ,8パーセントに軽減される。)。

3 申告の状況

平成26年度において,独占禁止法の規定に違反すると考えられる事実について公正取引委員会に寄せられた報告(申告)の件数は,6,886件であった。
申告が書面で具体的な事実を摘示して行われるなど一定の要件を満たした場合には,申告者に対して措置結果等を通知することとされているところ,平成26年度においては,5,849件の通知を行った。

図4 申告件数の推移

4 課徴金減免制度

課徴金減免制度に基づき,事業者により自らの違反行為に係る事実の報告等が行われた件数は,平成26年度において,61件であった(平成18年1月の制度導入時から平成26年度末までの累計は836件)。
また,平成26年度においては,価格カルテル・受注調整事件4件における延べ10名の課徴金減免制度の適用事業者について,当該事業者からの申出により,これらの事業者の名称,減免の状況等を公表した(注4)。

(注4) 公正取引委員会は,課徴金減免制度の適用を受けた事業者から公表の申出がある場合には,課徴金納付命令を行った際などに,公正取引委員会のウェブサイト上に,当該事業者の名称,所在地,代表者名及び免除の事実又は減額の率等を公表することとしている。
ホームページ http://www.jftc.go.jp/dk/seido/genmen/kouhyou/index.html

表1 課徴金減免申請件数の推移
年度
20
21
(注5)
22
23
24
25
26
累計
(注6)
申請
件数
85
85
131
143
102
50
61
836

(単位:件)
(注5) 平成21年独占禁止法改正法(平成21年法律第51号)により,平成22年1月1日から課徴金減免制度が拡充されている([1]減免申請者数の拡大:調査開始前と開始後で併せて5社まで(ただし,調査開始後は最大3社まで)に拡大する。[2]共同申請:同一企業グループ内の複数の事業者による共同申請を認める。)。
(注6) 課徴金減免制度が導入された平成18年1月4日から平成27年3月末までの件数の累計。

表2 課徴金減免制度の適用状況
年度
20
21
22
23
24
25
26
累計
(注7)

課徴金減免制度の適用が公表された法的措置件数

8
21
7
9
19
12
4
102

課徴金減免制度の適用が公表された事業者数

21
50
10
27
41
33
10
245

(単位:件,名)
(注7) 課徴金減免制度が導入された平成18年1月4日から平成27年3月末までの件数の累計。

第2 行為類型別の事件概要

1 私的独占・入札談合・受注調整・価格カルテル事件

(1) 私的独占事件

平成26年度においては,福井県経済農業協同組合連合会による私的独占事件について1件の法的措置を採った。

農協発注の穀物乾燥・調製・貯蔵施設工事について,福井県経済農業協同組合連合会は当該農協からの委託を受けて施主代行業務を行っていたところ,受注予定者を指定するとともに,受注予定者が受注できるように,入札参加者に入札すべき価格を指示し,当該価格で入札させることによって,これらの事業者の事業活動を支配していた。
(平成27年1月16日 排除措置命令)

(2) 入札談合・受注調整事件

平成26年度においては,北海道に所在する農業協同組合等が発注する低温空調設備工事の工事業者による受注調整事件及び農業協同組合等が発注する穀物の乾燥・調製・貯蔵施設及び精米施設の製造請負工事等の施工業者による受注調整事件について,2件の法的措置を採った。

農協等発注の低温空調設備工事について,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにしていた。
(平成27年1月20日 排除措置命令及び課徴金納付命令)
(課徴金総額:1655万円)

農協等発注の穀物乾燥・調製・貯蔵施設及び精米施設工事について,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにしていた。
(平成27年3月26日 排除措置命令及び課徴金納付命令)
(課徴金総額:11億7589万円)

(3) 価格カルテル事件

平成26年度においては,東日本地区に交渉担当部署を有する需要者向け段ボールシート又は段ボールケースの製造業者及び大口需要者向け段ボールケースの製造業者による価格カルテル事件,鋼球の製造業者による価格カルテル事件並びに網走管内コンクリート製品協同組合による価格カルテル事件(注8)について,5件の法的措置を採った。
また,山形県庄内地区所在の農業協同組合による価格カルテル事件について,1件の警告を行った。

(注8)その他のカルテルと価格カルテルが関係している事件であり,分類上は価格カルテルとしている。

段ボールシート又は段ボールケースの販売価格を引き上げる旨を合意し,大口需要者向け段ボールケースの販売価格又は加工賃を引き上げる旨を合意していた。
(平成26年6月19日 排除措置命令(3件)及び課徴金納付命令)
(課徴金総額:132億9313万円)

鋼球の販売価格を引き上げ又は維持する旨を合意していた。
(平成26年9月9日 排除措置命令及び課徴金納付命令)
(課徴金総額:13億2471万円)

コンクリート二次製品について,需要者ごとに契約予定者として組合員等のうち1社を割り当て,その販売価格に係る設計価格からの値引き率を制限する決定をしていた。
(平成27年1月14日 排除措置命令及び課徴金納付命令)
(課徴金総額:5859万円)

主食用米の販売手数料について,具体的な額を目安として定額とすることとしていた。
(平成26年9月11日 警告)

2 中小事業者等に不当に不利益をもたらす不公正な取引方法

(1) 優越的地位の濫用

ア 平成26年度においては,総合ディスカウント業者による納入業者に対する優越的地位の濫用事件について,1件の法的措置を採った。

取引上の地位が自社に対して劣っている納入業者に対して,次の行為を行っていた。
[1] 新規開店等に際し,あらかじめ納入業者の従業員等の派遣の条件について合意することなく,かつ,派遣のために通常必要な費用を自社が負担することなく,従業員等を派遣させていた。
[2]1) 閉店の際に実施するセールに際し,「協賛金」等の名目で,あらかじめ算出根拠等について明確に説明することなく,納入業者が販売促進効果を得ることができないにもかかわらず,商品の割引額に相当する額の一部等の金銭を提供させていた。
 2) 自社店舗の火災に際し,滅失又は毀損した商品当該の納入価格に相当する額の一部等の金銭を提供させていた。
(平成26年6月5日 排除措置命令及び課徴金納付命令)
(課徴金額:12億7416万円)

イ 優越的地位の濫用行為に係る審査を効率的かつ効果的に行い,必要な是正措置を講じていくことを目的とした「優越的地位濫用事件タスクフォース」を設置し,審査を行っているところ,平成26年度においては,49件の注意を行った(別添参照)。

(2) 不当廉売

平成26年度においては,酒類,石油製品,家庭用電気製品等の小売業に係る不当廉売の申告に対し迅速処理を行い,不当廉売につながるおそれがあるとして982件の事案に対して注意を行った(表3)。

 表3 平成26年度の不当廉売事案の注意件数(迅速処理(注9)によるもの)

酒類
石油製品
家電製品
その他
合計
注意件数
635
326
3
18
982

(単位:件)
(注9) 原則として,申告のあった不当廉売事案に対し可能な限り迅速に処理する(原則2か月以内)という方針に基づいて行う処理をいう。

図5 不当廉売事案の注意件数の推移

3 その他の不公正な取引方法

平成26年度においては,岡山県北生コンクリート協同組合による取引妨害事件について,1件の法的措置を採った。

取引先が生コンを非組合員から購入した場合には当該取引先との以後の取引条件を現金による定価販売とする旨を決定し,取引先に対してその旨を告知することにより,取引先に非組合員から生コンを購入しないようにさせている。

(平成27年2月27日 排除措置命令)

4 事業者団体等への要請・申入れ

○ 東日本段ボール工業組合に対する申入れ(平成26年6月19日)

東日本地区に交渉担当部署を有する需要者向け段ボールシート又は段ボールケースの製造業者による価格カルテル事件において,東日本段ボール工業組合の会合の場を利用して販売価格に係る合意及び情報交換が行われ,会合に出席していた事務局は,価格に関する情報交換を取りやめさせるための措置を何ら講じなかったことを踏まえ,同組合に対し,同様の行為が行われないよう,再発防止のための措置を講じるよう申し入れた。

○ 山形県農業協同組合中央会及び全国農業協同組合連合会の山形県本部に対する要請(平成26年9月11日)

山形県庄内地区に所在する農業協同組合による価格カルテル事件(警告事件)において,山形県農業協同組合中央会の求めを受けてカルテルの疑いのある行為が行われたことから,同中央会に対し,会員による独占禁止法違反行為を誘発しないよう,指導等を行うに際しては,その趣旨・内容を明確にして行うよう要請した。また,全国農業協同組合連合会の山形県本部庄内統括事務所において,カルテルの疑いのある行為に係る会合が開催され,同事務所の職員が出席するなどしていたことから,同本部に対し,独占禁止法の周知徹底のための措置を講ずるよう要請した。

○ 福井市農業協同組合及び福井県経済農業協同組合連合会に対する申入れ(平成27年1月16日)

福井県経済農業協同組合連合会による私的独占事件において,福井市農業協同組合が,福井県実施の補助事業等により発注した工事の一部について,原則,指名競争入札により契約しなければならないにもかかわらず,入札等の方法によらずに既設業者に発注し,適正な入札を実施したかのように体裁を整えていたことから,同組合に対し,同様の行為を再び行わないよう申し入れた。また,福井県所在の農協が,同県実施の補助事業により発注した食味分析計の調達に係る入札について,原則,指名競争入札により契約しなければならないにもかかわらず,入札等の方法によらずに福井県経済農業協同組合連合会に発注し,適正な入札を実施したかのように体裁を整えていたところ,同連合会が,この行為に関与していたことから,同連合会に対し,同様の行為を再び行わないよう申し入れた。

○ ホクレン農業協同組合連合会に対する申入れ(平成27年1月20日)

北海道に所在する農業協同組合等が発注する低温空調設備工事の受注調整事件において,ホクレン農業協同組合連合会の担当者が,特定の工事業者に対して受注予定者についての意向を示す等の行為を行っていたことから,同連合会に対し,同様の行為が再び行われることがないよう適切な措置を講ずることを申し入れた。

○ 全国農業協同組合連合会に対する申入れ(平成27年3月26日)

農業協同組合等が発注する穀物の乾燥・調製・貯蔵施設及び精米施設の製造請負工事等の受注調整事件において,全国農業協同組合連合会の県本部の担当者が,特定の施工業者に対して受注者についての意向を示す等の行為を行い,また,補助金等の助成対象について,原則,競争入札等を実施しなければならないにもかかわらず,競争入札等を実施したかのように体裁を整えるための行為を行っていたことから,同連合会に対し,同様の行為が再び行われることのないよう適切な措置を講ずることを申し入れた。

第3 審判及び審決等の概要

平成26年度中に係属していた審判事件数(注10)は307件(うち156件は課徴金納付命令に係るもの)である。平成26年度においては,142件(注11)の審判手続を開始する一方,33件の審決を行った。内訳は,排除措置命令に係る審判請求棄却審決15件,課徴金納付命令に係る審判請求棄却審決17件及び課徴金納付命令の一部を取り消す審決1件である。
なお,課徴金納付命令の一部を取り消す審決は,当委員会がエア・ウォーター株式会社に対して行った課徴金納付命令について,同社から審判請求がなされ,当委員会がこれを棄却する審決を平成25年11月21日付けで行ったところ,東京高等裁判所において当該審決を取り消す判決がなされたことを受け,改めて,当該課徴金納付命令の一部を取り消す旨の審決を行ったものであるため,審判係属事件数には算入していない。

(注10)審判事件数は,行政処分に対する審判請求ごとに付される事件番号の数である。
(注11)このうち140件は,東日本地区に交渉担当部署を有する需要者向け段ボールシート又は段ボールケースの製造業者及び大口需要者向け段ボールケースの製造業者による価格カルテル事件に係るものである。

図6 審判係属事件数の推移


(注12)平成27年3月末現在における審判係属事件数は275件である。

1 排除措置命令に係る審判請求棄却審決

平成26年度においては,次の合計15件の排除措置命令に係る審判請求棄却審決を行った。
・ 新潟市等に所在するタクシー事業者による価格カルテル事件に係るもの15件

2 課徴金納付命令に係る審判請求棄却審決

平成26年度においては,次の合計17件の課徴金納付命令に係る審判請求棄却審決を行った。
・ 自動車メーカーが発注する自動車用ワイヤーハーネス及び同関連製品の見積り合わせの参加業者らによる受注調整事件に係るもの1件
・ 国土交通省及び高知県が発注する一般土木工事等の入札談合事件に係るもの1件
・ 新潟市等に所在するタクシー事業者による価格カルテル事件に係るもの15件

3 課徴金納付命令の一部を取り消す審決

平成26年度においては,次の1件の課徴金納付命令の一部を取り消す審決を行った。
  ・ エアセパレートガスの製造業者及び販売業者による価格カルテル事件に係るもの1件(注13)

(注13) 本件は,当委員会がエア・ウォーター株式会社に対して行った課徴金納付命令について,同社から審判請求がなされ,当委員会がこれを棄却する審決を平成25年11月  21日付けで行ったところ,東京高等裁判所において当該審決を取り消す判決がなされたことを受け,改めて,当該課徴金納付命令の一部を取り消す旨の審決を行ったもの。

第4 審決取消請求訴訟

平成26年度当初において係属中の審決取消請求訴訟の件数(注14)は11件であったが,平成26年度中に新たに2件の審決取消請求訴訟が提起されたため,平成26年度に係属した審決取消訴訟は13件となった(別表第10表参照)。
平成26年度においては,これらのうち,東京高等裁判所において,原告の請求を棄却する判決が2件(うち1件は上訴期間の経過をもって確定,1件は原告が上訴),原告の請求を認容する判決が1件(前記エアセパレートガスの製造業者及び販売業者による価格カルテル事件。上訴期間の経過をもって確定)あった。また,平成25年度中に東京高等裁判所において原告の請求を棄却する判決がなされ,平成26年度に上訴期間の経過をもって確定した訴訟が1件あった。
さらに,最高裁判所において,原告からの上告及び上告受理申立てに対する上告棄却及び上告不受理決定が3件あった。
この結果,平成27年3月末時点では7件(注15)の審決取消請求訴訟が係属中である。

(注14) 審決取消請求訴訟の件数は,訴訟ごとに裁判所において付される事件番号の数である。
(注15) 平成27年4月に3件最高裁において判決又は決定が出されて確定したため,同年4月末時点では4件である。

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第1及び第2に関する問い合わせ  公正取引委員会事務総局審査局管理企画課
電話 03-3581-3381(直通)
第3及び第4に関する問い合わせ  公正取引委員会事務総局官房総務課審決訟務室
電話 03-3581-5478(直通)
ホームページ           http://www.jftc.go.jp/

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