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(平成28年6月1日)平成27年度における下請法の運用状況及び企業間取引の公正化への取組

(平成28年6月1日)平成27年度における下請法の運用状況及び企業間取引の公正化への取組

平成28年6月1日
公正取引委員会

第1 下請法の運用状況

1 下請法違反行為に対する勧告等

(1) 平成27年度の勧告件数は4件。
 勧告の対象となった違反行為類型の内訳は,下請代金の減額が3件,下請代金の減額及び返品が1件。

【勧告件数の推移】

勧告件数の推移

(注1) 各年度の勧告事件については参考資料2参照
(注2) 「製造委託等」とは製造委託及び修理委託を,「役務委託等」とは情報成果物作成委託及び役務提供委託をいう。
(注3) 勧告を行った事件の中には,製造委託等及び役務委託等の双方において違反行為が認められたものがあるが,本図においては,当該事件の違反行為が主として行われた取引に区分して,件数を計上している。

(2) 平成27年度の指導件数は過去最多の5,980件。

【指導件数の推移】

指導件数の推移

2 下請事業者が被った不利益の原状回復の状況

 平成27年度においては,下請事業者が被った不利益について,親事業者236名から,下請事業者7,760名に対し,下請代金の減額分の返還等,総額13億2622万円相当の原状回復が行われた。

【原状回復額の推移】

原状回復額の推移

【原状回復を行った親事業者数・原状回復を受けた下請事業者数の推移】

原状回復を行った親事業者数の推移

3 下請法違反行為を自発的に申し出た親事業者に係る事案

 公正取引委員会は,親事業者の自発的な改善措置が下請事業者が受けた不利益の早期回復に資することに鑑み,公正取引委員会が調査に着手する前に,違反行為を自発的に申し出,かつ,自発的な改善措置を採っているなどの事由が認められる事案については,親事業者の法令遵守を促す観点から,下請事業者の利益を保護するために必要な措置を採ることを勧告するまでの必要はないものとしている(平成20年12月17日公表)。
 平成27年度においては,上記のような親事業者からの違反行為の自発的な申出は52件であり,当該申出件数は年々増加している(平成25年度14件,平成26年度47件)。また,同年度に処理した自発的な申出は45件であり,そのうちの2件については,違反行為の内容が下請事業者に与える不利益が大きいなど勧告に相当するような事案であった。平成27年度においては,親事業者からの違反行為の自発的な申出により,下請事業者4,524名に対し,下請代金の減額分の返還等,総額9億9147万円相当の原状回復が行われた(前記2記載の金額の内数である。)。
 なお,勧告に相当するような事案に対して上記のような取扱いを行った件数は,これまで9件である(平成20年度2件,平成24年度3件,平成25年度1件,平成26年度1件,平成27年度2件)。

第2 企業間取引の公正化への取組

 公正取引委員会は,企業間取引の公正化を目的として,下請法及び優越的地位の濫用規制(以下「下請法等」という。)に係る違反行為を未然に防止するための各種の施策を実施している。平成27年度の状況は次のとおりである。

1 下請取引適正化推進月間の実施

(1) 概要

 公正取引委員会は,中小企業庁と共同して,毎年11月を「下請取引適正化推進月間」と定め,下請法の概要等を説明する「下請取引適正化推進講習会」を全国各地で実施するなど,下請法の普及・啓発を図っている。

(2) 下請取引適正化推進講習会

 平成27年度においては,47都道府県61会場(うち公正取引委員会主催分26都道府県33会場)で実施した。

(3) キャンペーン標語の一般公募

 平成27年度においては,キャンペーン標語についての一般公募を実施し,「押しつけず 叩かず 決めよう 適正価格」を選定した。

(4) 下請法遵守の要請文書の発出

 平成27年度においては,親事業者約205,000名及び関係事業者団体約650団体に対し,下請法の遵守の徹底等について,11月13日に要請を行った。

2 下請法等に係る講習会

(1) 下請法基礎講習会

 下請法に関する基礎知識を習得することを希望する者を対象とした「下請法基礎講習会」を実施している。平成27年度においては,61回の講習会を実施した。

(2) 下請取引適正化推進講習会(再掲)

 平成27年度においては,47都道府県61会場(うち公正取引委員会主催分26都道府県33会場)で実施した。

(3) 下請法応用講習会

 下請法に関する基礎知識を有する者を対象として,より具体的な事例研究を中心とする「下請法応用講習会」を実施している。平成27年度においては,6回の講習会を実施した。

(4) 業種別講習会

 過去に下請法等に係る違反行為がみられた業種,各種の実態調査で問題がみられた業種等に一層の法令遵守を促すことを目的とする「業種別講習会」を実施している。平成27年度においては,合計36回(荷主・物流事業者向けに21回,テレビ局等向けに9回,放送番組制作事業者等向けに3回,ソフトウェア開発事業者等向けに3回)の講習会を実施した。

3 下請法等に係る相談

(1) 相談

 平成27年度においては,下請法等に係る相談7,443件に対応した。

(2) 中小事業者のための移動相談会

 下請事業者を始めとする中小事業者からの求めに応じ,公正取引委員会の職員が出向いて,下請法等の内容を分かりやすく説明するとともに相談受付等を行う相談会を実施している。平成27年度においては,63か所で実施した。

4 取引実態調査等

(1) テレビ番組制作の取引に関する実態調査

 テレビ番組制作の取引について,テレビ局及び局系列テレビ番組制作会社(以下「テレビ局等」という。)(576名)並びにテレビ番組制作会社(800名)を対象とする実態調査を実施し,その結果を公表した(平成27年7月29日)。
 調査結果によると,テレビ局等とテレビ番組制作の取引を行っていると回答したテレビ番組制作会社の39.4%において,テレビ局等から「採算確保が困難な取引(買いたたき)」等の不利益を受けたとの回答がみられ,中でも,「採算確保が困難な取引(買いたたき)」が20.2%と他の行為類型に比べ特に高くなっていたほか,「著作権の無償譲渡等」(12.8%)や「二次利用に伴う収益の不配分等」(10.1%)の著作権の取扱いについての行為が比較的高い割合となっていた。
 こうしたテレビ局等による不利益を受け入れたテレビ番組制作会社の全てが,「要請を断った場合に,今後の取引に影響があると自社が判断したため」又は「テレビ局等から今後の取引への影響を示唆されたため」を理由として回答しているように,テレビ番組制作会社は,テレビ局等との取引の継続への影響などを考慮して,やむを得ず不利益を受け入れているものであり,テレビ局等による優越的地位の濫用規制上問題となり得る行為が行われている実態がみられた。

(2) 荷主と物流事業者との取引に関する書面調査

 公正取引委員会は,荷主による物流事業者に対する優越的地位の濫用を効果的に規制する観点から,平成16年3月8日,「特定荷主が物品の運送又は保管を委託する場合の特定の不公正な取引方法」(以下「物流特殊指定」という。)を指定し,荷主と物流事業者との取引の公正化を図っている。
 平成27年度においては,物流特殊指定の遵守状況及び荷主と物流事業者との取引状況を把握するため,荷主15,000名及び物流事業者17,666名を対象とする書面調査を実施した。当該調査の結果,物流特殊指定に照らして問題となるおそれがあると認められた659名の荷主に対して,物流事業者との取引内容の検証・改善を求める文書を発送した(平成28年4月)。
 当該659名の荷主のうち,業種について回答のあった637名を業種別にみると,製造業が最も多く(317名,49.8%),卸売業(127名,19.9%),小売業(53名,8.3%)がこれに続いている。また,問題となるおそれがある行為733件を類型別にみると,代金の支払遅延が最も多く(455件,62.1%),代金の減額(75件,10.2%),割引困難な手形の交付(58件,7.9%)がこれに続いている。

5 政府広報の活用

 政府の動きや重要施策を動画で紹介する「政府インターネットテレビ」に,下請法の重要性などを紹介する番組「下請事業者の強い味方!知っておきたい『下請法』」が公開された(平成27年10月15日)。
 また,国民に身近な政策や行政の取組などについて分かりやすく解説する政府広報ラジオ番組「なるほど!!ニッポン情報局」において,下請法についてクイズ形式などを用いて紹介する番組「下請事業者を助ける!『下請法』って何だ!?」が放送された(平成28年1月23日,24日)。
 公正取引委員会では,これらの政府広報を下請法の普及・啓発に積極的に活用した。

関連ファイル

参考:平成27年度の中小企業庁における下請法に基づく取締状況等

平成27年度の中小企業庁における下請法に基づく取締状況については下記の中小企業庁Webサイトで公表されております。
(URL)http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/2016/160713shitauke.htm

問い合わせ先

公正取引委員会事務総局経済取引局取引部
下請取引調査室 電話03-3581-3374(直通)(主に,第1関係)
企業取引課 電話03-3581-3373(直通)(主に,第2関係)
ホームページ http://www.jftc.go.jp/
(下請法に係る相談・申告等 http://www.jftc.go.jp/shitauke/madoguti.html

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