ホーム >報道発表・広報活動 >報道発表資料 >平成28年 >11月 >

(平成28年11月9日)平成28年度上半期における下請法の運用状況,企業間取引の公正化への取組等

(平成28年11月9日)平成28年度上半期における下請法の運用状況,企業間取引の公正化への取組等

平成28年11月9日
公正取引委員会

第1 下請法の運用状況

1 下請法違反行為に対する勧告等

(1)平成28年度上半期(4月~9月)の勧告件数は3件(前年度上半期は2件)。このうち2件が製造委託に係るもの,1件が役務委託に係るものであった。
勧告の対象となった違反行為類型の内訳については,下請代金の減額が2件,購入・利用強制が1件,不当な経済上の利益の提供要請が1件(注)。
(注) 一つの勧告事件において複数の違反行為類型について勧告を行っているものがあるため,違反行為類型の内訳の合計数と勧告件数とは一致しない。

(2)平成28年度上半期の指導件数は3,796件(前年度上半期は3,363件)。

指導件数の推移

2 下請事業者が被った不利益の原状回復の状況

 平成28年度上半期においては,下請事業者が被った不利益について,下請代金の減額分の返還等,総額9億1220万円相当の原状回復が行われた(前年度上半期は11億1523万円相当)。

原状回復額の推移

第2 企業間取引の公正化への取組

 公正取引委員会は,企業間取引の公正化を目的として,下請法及び優越的地位の濫用規制(以下「下請法等」という。)に係る違反行為を未然に防止するための各種の施策を実施している。平成28年度上半期の状況は次のとおりである。

1 下請法等に係る講習会

(1) 基礎講習会

 下請法に関する基礎知識を習得することを希望する者を対象とした「基礎講習会」を実施している。平成28年度上半期においては, 44回の講習会を実施した。

(2) 業種別講習会

 過去に下請法等に係る違反行為がみられた業種,各種の実態調査で問題がみられた業種等に一層の法令遵守を促すことを目的とする「業種別講習会」を実施している。平成28年度上半期においては,荷主・物流事業者向けに10回の講習会を実施した。

2 下請法等に係る相談

(1) 相談受付

 地方事務所等を含めた全国の相談窓口において,下請法等に係る相談を受け付けており,平成28年度上半期においては,下請法等に係る相談4,287件に対応した。

(2) 中小事業者のための移動相談会

 下請事業者を始めとする中小事業者からの求めに応じ,公正取引委員会の職員が出向いて,下請法等の内容を分かりやすく説明するとともに相談受付等を行う相談会を実施している。平成28年度上半期においては,17か所で実施した。

3 下請法の講習用動画「やさしく解説・よくわかる下請法講座~下請取引で困らないために~」の作成・公表

 下請法に係る各種講習会を受講しなくとも,手軽に下請法の説明を視聴し,親事業者と下請事業者それぞれが下請法を正しく理解することができるよう,下請法の講習用動画「やさしく解説・よくわかる下請法講座~下請取引で困らないために~」を作成し,公正取引委員会のホームページ及びYouTube公正取引委員会チャンネルに公開した(平成28年7月1日)。
 http://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h28/jul/160701_1.html


4 取引実態調査等

(1) 葬儀及びブライダルの取引に関する実態調査

 葬儀及びブライダルの取引についての実態調査のため,平成28年6月に葬儀業者及びブライダル業者(3,500名)を対象に調査票を発送し,同年9月に取引先事業者(飲食業者,生花業者等7,000名)を対象に調査票を発送した。

(2) 荷主と物流事業者との取引に関する書面調査

 荷主と物流事業者との取引について,平成28年10月に,荷主(30,000名。前回,平成27年度調査時の15,000名から倍増)を対象とする書面調査を開始し,調査票を発送した。今後,調査対象とした荷主と取引のある物流事業者に対する書面調査の実施を予定している。

5 下請保護情報ネットワークの拡充

 公正取引委員会は,「ニッポン一億総活躍プラン」を踏まえ,厚生労働省が,賃金支払や労働時間に係る労働基準関係法令の違反の背景に下請法第4条の違反行為に該当する行為又は物流特殊指定に該当する独占禁止法第19条の違反行為に該当する行為が存在しているおそれのある事案を把握した場合に,公正取引委員会又は経済産業省に通報する制度を整備した(平成28年6月3日)。
 

6 下請法運用基準の改正

 公正取引委員会は,中小事業者の取引条件の改善を図る観点から,下請法・独占禁止法の一層の運用強化に向けた取組を進めることとし,その取組の一環として,下請法の運用基準における違反行為事例の充実等を行うべく平成28年10月26日,改正案をパブリックコメントに付した(意見提出期限同年11月24日)。

第3 今後の取組

1 下請法違反行為に対する迅速かつ効果的な対処

 下請法違反被疑行為を行っている親事業者に対して積極的に調査を行い,重大な違反行為に対しては勧告を積極的に行うなど,下請法違反行為に対して迅速かつ効果的に対処していく。

2 下請法違反行為の未然防止

(1) 下請取引適正化推進月間の実施

 公正取引委員会は,中小企業庁と共同して,毎年11月を「下請取引適正化推進月間」と定め,下請法の概要等を説明する「下請取引適正化推進講習会」を全国各地で実施するなど,下請法の普及・啓発を図っている。平成28年度においては,一般公募を実施して,「下請けの 確かな技術に 見合った対価」をキャンペーン標語として選定し,47都道府県63会場(うち公正取引委員会主催分26都道府県32会場)において講習会を実施することとしている。

(2) 応用講習会

 下請法等に関する基礎知識を有するものを対象として,より具体的な事例研究を中心とする「応用講習会」について,平成28年12月以降,12回の実施を予定している。

(3) 下請法遵守の要請文書の発出

 年末にかけての金融繁忙期においては,下請事業者の資金繰り等について厳しさが増すことが懸念されることから,平成28年11月25日に,親事業者及び関係事業者団体に対し,下請法の遵守の徹底等について要請する文書の発出を予定している。

関連ファイル

問い合わせ先

公正取引委員会事務総局経済取引局取引部
下請取引調査室 電話03-3581-3374(直通)(第1関係)
企業取引課 電話03-3581-3373(直通)(第2及び第3関係)
ホームページ http://www.jftc.go.jp/
(下請法に係る相談・申告等 http://www.jftc.go.jp/shitauke/madoguti.html

ページトップへ