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情報公開法に基づく処分に係る基準について

平成13年4月1日
公正取引委員会

改正 平成18年3月23日
改正 平成25年4月1日

 行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成11年法律第42号)に基づく処分に係る行政手続法(平成5年法律第88号)第5条第1項の規定による基準は、次のとおりとする。 

第1 開示決定等の基準

 行政機関の保有する情報の公開に関する法律(以下「法」という。)第9条の規定に基づく開示又は不開示の決定(以下「開示決定等」という。)は、以下により行う。

1 開示する旨の決定(法第9条第1項)は、次のいずれかに該当する場合に行う。

(1) 開示請求に係る行政文書に不開示情報が記録されていない場合
(2) 開示請求に係る行政文書の一部に不開示情報が記録されている場合であって、当該不開示情報が記録されている部分を容易に区分して除くことができるとき。ただし、この場合には、不開示情報が記録されている部分を除いて開示する。
(3) 開示請求に係る行政文書に不開示情報が記録されている場合であっても、公益上特に当該行政文書を開示する必要があると認めるとき(法第7条)。

2 開示しない旨の決定(法第9条第2項)は、次のいずれかに該当する場合に行う。

(1) 開示請求書に法第4条第1項各号に規定する事項の記載に不備がある場合又は開示請求手数料が納付されていない場合。ただし、当該不備を補正することが可能と認められる場合は、原則として、開示請求者に補正を求めるものとする。
(2) 開示請求に係る行政文書を公正取引委員会において保有していない場合
(3) 開示請求に係る行政文書に記録されている情報がすべて不開示情報に該当する場合
(4) 開示請求に係る行政文書の一部に不開示情報が記録されている場合であって、当該不開示情報が記録されている部分と他の部分とを容易に区分して除くことができないとき。
(5) 開示請求に係る行政文書の存在の有無を明らかにするだけで、不開示情報を開示することになる場合(法第8条)
(6) 開示請求が権利濫用に当たる場合。この場合において、権利濫用に当たるか否かの判断は、開示請求の態様、開示請求に応じた場合の公正取引委員会の業務への支障及び国民一般の被る不利益等を勘案し、社会通念上妥当と認められる範囲を超えるものであるか否かを個別に判断する。公正取引委員会の業務を混乱又は停滞させることを目的とする等開示請求権の本来の目的を著しく逸脱する開示請求は、権利の濫用に当たる。

3

 前2項の判断に当たっては、行政文書かどうかの判断は「第2 行政文書該当性の判断基準」に、開示請求に係る行政文書に記録されている情報が不開示情報に該当するかどうかの判断は「第3 不開示情報該当性の判断基準」に、部分開示をすべき場合かどうかの判断は「第4 部分開示に関する判断基準」に、公益上の理由による裁量的開示をすべきかどうかの判断は「第5 公益上の理由による裁量的開示に関する判断基準」に、行政文書の存否を明らかにせずに開示請求を拒否すべき場合かどうかの判断は「第6 行政文書の存否に関する情報に関する判断基準」に、それぞれよる。

第2 行政文書該当性の判断基準

 開示請求の対象が法第2条第2項に規定する行政文書に該当するかどうかの判断は、以下の基準により行う。

1

 「行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した」とは、行政機関の職員が当該職員に割り当てられた仕事を遂行する立場で、すなわち公的立場において作成し、又は取得したことをいい、作成したこと又は取得したことについて、文書管理のための帳簿に記載すること、収受印があること等の手続的な要件を満たすことを必要とするものではない。

2

 「文書、図画及び電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。)」とは、行政機関において現に事務及び事業に用いられている記録の形式を網羅するものである。

3

 「当該行政機関の職員が組織的に用いるもの」とは、作成又は取得に関与した職員個人の段階のものではなく、組織の共用文書としての実質を備えた状態、すなわち、当該行政機関の組織において、業務上必要なものとして、利用又は保存されている状態のものを意味する。

 したがって、[1]職員が単独で作成し、又は取得した文書であって、専ら自己の職務の遂行の便宜のためにのみ利用し、組織としての利用を予定していないもの(自己研鑚のための研究資料、備忘録等)、[2]職員が自己の職務の遂行の便宜のために利用する正式文書と重複する当該文書の写し、[3]職員の個人的な検討段階に留まるもの(決裁文書の起案前の職員の検討段階の文書等。ただし、担当職員が原案の検討過程で作成する文書であっても、組織において業務上必要なものとして保存されているものは除く。)等は、「組織的に用いるもの」には該当しない。

 作成又は取得された文書が組織的に用いるものに当たるかどうかの判断は、[1]文書の作成又は取得の状況(職員個人の便宜のためにのみ作成又は取得するものであるかどうか、直接的又は間接的に当該行政機関の長等の管理監督者の指示等の関与があったものであるかどうか)、[2]当該文書の利用の状況(業務上必要として他の職員又は部外に配付されたものであるかどうか、他の職員がその職務上利用しているものであるかどうか)、[3]保存又は廃棄の状況(専ら当該職員の判断で処理できる性質の文書であるかどうか、組織として管理している職員共用の保存場所で保存されているものであるかどうか)などを総合的に考慮して行う。

 また、組織の共用文書たる実質を備えた状態になる時点の判断は、当該組織における文書の利用又は保存の実態により行うものであるが、例えば、[1]決裁を要するものについては起案文書が作成され、稟議に付された時点、[2]会議に提出した時点、[3]申請書等が行政機関の事務所に到達した時点、[4]組織として管理している職員共用の保存場所に保存した時点等が挙げられる。

4

 「保有しているもの」とは、所持している文書をいう。この所持とは、物を事実上支配している状態をいい、当該文書を書庫等で保管し、又は倉庫業者等をして保管させている場合にも、当該文書を事実上支配(当該文書の作成、保存、閲覧・提供、移管・廃棄等の取扱いを判断する権限を有していることを意味する。例えば、法律に基づく調査権限により関係人に対し帳簿書類を提出させこれを留め置く場合に、当該行政文書については返還することとなり、廃棄はできないなど、法令の定めにより取扱いを判断する権限について制限されることはあり得る。)していれば、所持に該当し、「保有しているもの」に当たることになる。

 なお、一時的に文書を借用し又は預かっている場合等、当該文書を支配していると認められない場合は、「保有しているもの」には当たらない。

5

 「官報、白書、新聞、雑誌、書籍その他不特定多数の者に販売することを目的として発行されるもの」(法第2条第2項第1号)とは、紙媒体のものに限られるものではなく、インターネット上で不特定多数の者への有償頒布を目的として発行される新聞、雑誌、書籍等も含まれる。

第3 不開示情報該当性等の判断基準

 開示請求に係る行政文書に記録されている情報が不開示情報に該当するかどうかの判断は、以下の基準により行う。
 なお、当該判断は、開示決定等を行う時点における状況に基づき行う。

1 個人に関する情報(法第5条第1号)についての判断基準

(1) 不開示情報(特定の個人を識別することができる情報等(法第5条第1号本文))について
ア 「個人に関する情報」とは、個人(死亡した者を含む。)の内心、身体、身分、地位その他個人に関する一切の事項についての事実、判断、評価等のすべての情報を含むものであり、個人に関連する情報全般を意味する。したがって、個人の属性、人格及び私生活に関する情報に限らず、個人の知的創作物に関する情報、組織体の構成員としての個人の活動に関する情報も含まれる。
 また、不開示情報該当性の判断に当たっては、開示請求者が誰であるかは考慮しないことから、開示請求者本人に関する情報であっても、他の個人に関する情報と同様に取り扱う。
 ただし、事業を営む個人の当該事業に関する情報は、法第5条第2号の規定により判断する。
イ 本号の対象とする個人に関する情報の範囲は、特定の個人を識別させることとなる氏名、生年月日その他の記述等の部分だけではなく、当該記述等により識別される特定の個人に関する情報の全体である。
 ただし、法第6条第2項の規定により、氏名、生年月日その他の特定の個人を識別することができる記述等の部分を除くことにより、公にしても、個人の権利利益が害されるおそれがないと認められる場合には、特定の個人を識別させる部分以外の部分について同条第1項(部分開示)の適用の可否を検討する。この場合において、作文、カルテ等個人の人格と密接に関連する情報が記録された行政文書、個人の未公表の研究論文等、特定の個人を識別させる部分を除いても開示することが不適当であると認められるものは、不開示とする。
ウ 「その他の記述等」には、住所、電話番号、役職名、個人別に付された記号、番号(振込口座番号、保険証の記号番号、試験の受験番号等)等が含まれる。氏名以外の記述等単独では特定の個人を識別することができない場合であっても、当該情報に含まれるいくつかの記述等が組み合わされることにより特定の個人を識別することができる場合も「特定の個人を識別することができるもの」に含まれる。
エ 当該情報単独では特定の個人を識別することができないものであっても、他の情報と照合することにより特定の個人を識別することができることとなるものも「特定の個人を識別することができるもの」に含まれる。照合の対象となる「他の情報」としては、公知の情報、図書館等の公共施設で一般に入手可能な情報など一般人が通常入手し得る情報が含まれる。
オ 厳密には特定の個人を識別することができる情報でない場合であっても、特定の集団に属する者に関する情報を開示すると、当該集団に属する個々人に不利益を及ぼすおそれがある場合には、当該情報の性質、集団の性格、規模等により、個人の権利利益の十全な保護を図る観点から、個人識別性を認めるべき場合があり得る。
カ 「公にすることにより、なお、個人の権利利益を害するおそれがあるもの」には、匿名の作文、無記名の個人の著作物等、個人の人格と密接に関連するもの及び公にすれば財産権その他の個人の正当な利益を害するおそれがあると認められるものが含まれる。
(2)  不開示情報とならない情報について
ア 法令の規定により又は慣行として公にされている情報等(法第5条第1号ただし書イ)について
(ア) 「法令の規定」とは、何人に対しても等しく当該情報を公開することを定めている規定に限られる。したがって、公開を求める者又は公開を求める理由によって公開を拒否する場合が定められている規定は含まれない。
(イ) 「慣行として」とは、公にすることが慣習として行われていることを意味するが、慣習法としての法規範的な根拠を要するものではなく、事実上の慣習として公にされていること又は公にすることが予定されていることで足りる。ただし、当該情報と同種の情報が公にされた事例があったとしても、それが個別的な事例にとどまる限り、「慣行として」には当たらない。
(ウ) 「公にされ」とは、当該情報が現に公衆が知り得る状態に置かれていれば足り、現に周知の事実であるかどうかは問わない。ただし、過去に公にされた情報について、時の経過により、開示決定等の時点では「公にされ」に当たらない場合がある。
(エ) 「公にすることが予定されている情報」とは、将来的に公にする予定(具体的に公表が予定されている場合に限らず、求めがあれば何人にも提供することを予定しているものを含む。)の下に保有されている情報をいう。ある情報と同種の情報が公にされている場合であって、当該情報のみ公にしないとする合理的な理由がない場合等、当該情報の性質上通例公にされるものを含む。
イ 人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報(法第5条第1号ただし書ロ)について
 個人に関する情報を公にすることにより害されるおそれがある当該個人の権利利益よりも、当該情報を公にすることにより人の生命、健康、生活又は財産を保護する必要性が上回ると認められる場合には、当該情報は開示する。現実に、人の生命、健康、生活又は財産に被害が発生している場合に限らず、将来これらが侵害される蓋然性が高い場合も含まれる。
 この比較衡量に当たっては、個人の権利利益には様々なものがあり、また、人の生命、健康、生活又は財産の保護についても、保護すべき権利利益の程度に差があることから、個別の事案に応じた慎重な検討を行うものとする。
ウ  公務員の職務の遂行に係る情報(法第5条第1号ただし書ハ)について
(ア)  公務員に関する情報も個人に関する情報に含まれるが、このうち、公務員の職務遂行に係る情報については、当該情報のうち、当該公務員の職及び当該職務遂行の内容に係る部分については、個人に関する情報として不開示情報に当たらない。
 なお、公務員の職務の遂行に係る情報が職務遂行の相手方等公務員以外の個人に関する情報でもある場合には、各個人ごとに不開示情報該当性を判断する。すなわち、一つの情報が複数の個人情報である場合には、当該公務員にとっての不開示情報該当性と他の個人にとっての不開示情報該当性とを別個に検討し、そのいずれかに該当すれば、当該部分は不開示とする。
(イ) 「公務員」とは、広く公務遂行を担任する者を含むものであり、一般職か特別職か、常勤か非常勤かを問わず、国及び地方公共団体の職員のほか、国務大臣、国会議員、裁判官等を含む。また、退職した者であっても、公務員であった当時の情報については、当該規定は適用される。
(ウ) 「職務の遂行に係る情報」とは、公務員が行政機関の一員として、その担任する職務を遂行する場合における当該活動についての情報を意味する。例えば、行政処分その他の公権力の行使に係る情報、職務としての会議への出席、発言その他の事実行為に係る情報がこれに含まれる。
 ただし、法第5条第1号ただし書ハの規定は、具体的な職務の遂行との直接の関連を有する情報を対象とするものであるので、公務員に関する情報であっても、職員の人事管理上保有する健康情報、休暇情報、職務の級等は、「職務の遂行に係る情報」には含まれない。
(エ)  公務員の職務の遂行に係る情報に含まれる当該公務員の氏名は、法第5条第1号ただし書ハには該当しないが、当該公務員が補助的業務に従事する非常勤職員である場合を除き、同号ただし書イに該当し、以下の特段の支障の生ずるおそれがある場合を除き開示するものとする。
a 氏名を公にすることにより、法第5条第2号から第6号までに掲げる不開示情報を公にすることとなるような場合
b 氏名を公にすることにより、個人の権利利益を害することとなるような場合

(参考) 不開示事由に該当する可能性がある情報の具体例について

 法第5条第1号の不開示事由に該当する可能性がある情報の具体例としては、以下のものが挙げられる。ただし、当該事例は、あくまで一般的な考え方を示したものであり、個別の開示決定等を行う時点の状況に応じ、慎重に判断するものとする。

 (情報の具体例)

民間人の情報について
  • 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号)、下請代金支払遅延等防止法(昭和31年法律第120号)及び不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号)(以下「独占禁止法等」という。)に関する相談者、事件についての申告者等の氏名等
  • 独占禁止法等違反の疑いで審査等を行った事案に係る情報であって、特定の個人を識別することができるもの又は公にすることにより、個人の権利利益を害するおそれがあるもの
  • 事業活動に関する実態調査等に係る情報であって、特定の個人を識別することができるもの又は公にすることにより、個人の権利利益を害するおそれがあるもの
  • 公正取引委員会が開催する研究会等の会員の住所、電話番号、金融機関の振込口座番号等
  • 叙勲の推薦や表彰に係る個人の履歴
職員の情報について
  • 職員の個人情報のうち、職員別人事記録、給与簿、健康管理票等

2 法人等又は事業を営む個人の当該事業に関する情報(法第5条第2号)についての判断基準

(1) 不開示情報 - 法人その他の団体に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報(法第5条第2号本文並びに同号イ及びロ)について
ア 法第5条第2号本文について
(ア) 「法人その他の団体」(以下「法人等」という。)には、株式会社等の商法上の会社及び財団法人、社団法人、学校法人、宗教法人等の民間の法人のほか、独立行政法人、特殊法人、認可法人、政治団体、外国法人、権利能力なき社団等も含まれる。ただし、国及び地方公共団体は、法第5条第2号の対象から除かれており、その事務又は事業に係る情報は、同条第6号等の規定に基づき判断する。
(イ) 「法人その他の団体に関する情報」とは、法人等の組織及び事業に関する情報のほか、法人等の権利利益に関する情報など法人等と何らかの関連性を有する情報を意味する。なお、法人等の構成員に関する情報は、法人等に関する情報であると同時に、構成員各個人に関する情報でもあり、法第5条第1号の不開示情報に当たるかどうかも検討する必要がある。
(ウ) 「事業を営む個人の当該事業に関する情報」は、事業に関する情報であるので、法人等に関する情報と同様の要件により、事業を営む上での正当な利益等について不開示情報該当性を判断する。
イ  公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれ(法第5条第2号イ)について
(ア) 「権利」とは、信教の自由、集会・結社の自由、学問の自由、財産権等、法的保護に値する権利一切を指す。
(イ) 「競争上の地位」とは、法人等又は事業を営む個人の公正な競争関係における地位をいう。
(ウ) 「その他正当な利益」には、ノウハウ、信用等法人等又は事業を営む個人の運営上の地位を広く含むものである。
(エ) 権利、競争上の地位その他正当な利益を「害するおそれ」があるかどうかの判断に当たっては、法人等又は事業を営む個人には様々な種類、性格のものがあり、その権利利益にも様々のものがあるので、法人等又は事業を営む個人の性格、権利利益の内容及び性質等に応じ、当該法人等又は事業を営む個人の憲法上の権利(信教の自由、学問の自由等)の保護の必要性、当該法人等又は事業を営む個人と行政との関係等を十分考慮して適切に判断する必要がある。
ウ  いわゆる任意提供情報(法第5条第2号ロ)について
(ア) 法第5条第2号ロは、法人等又は事業を営む個人から公にしないとの条件の下に任意に提供された情報については、情報提供者の信頼と期待を保護するため、当該条件が合理的なものと認められる限り、不開示情報とするものである。
(イ) 「行政機関の要請を受けて、公にしないとの条件で任意に提供されたもの」には、行政機関の要請を受けずに、法人等又は事業を営む個人から提供された情報は含まれない。ただし、行政機関の要請を受けずに法人等又は事業を営む個人から情報の提供を申し出た場合であっても、提供に先立ち、法人等又は事業を営む個人から非公開の条件が提示され、行政機関が合理的理由があるとしてこれを受諾した上で提供を受けた場合は含まれる。
(ウ) 「行政機関の要請」には、法令に基づく報告又は提出の命令は含まれないが、行政機関の長が報告徴収権限を有する場合であっても、当該権限を行使することなく、任意に提出を求めた場合は含まれる。
(エ) 「公にしないとの条件」とは、情報の提供を受けた行政機関が第三者に対して当該情報を提供しないとの条件を意味する。また、特定の行政目的以外の目的には使用しないとの条件も含まれる。
(オ) 「条件」については、行政機関の側から公にしないとの条件で情報の提供を申し入れた場合も、法人等又は事業を営む個人の側から公にしないとの条件を付すことを申し出た場合も含まれるが、いずれの場合も双方の合意により成立するものである。また、条件を設ける方法としては、黙示的なものも含まれる。
(カ) 「法人等又は個人における通例として公にしないこととされているもの」とは、当該法人等又は個人の個別具体的な事情ではなく、当該法人等又は個人が属する業界における通常の取扱いを意味し、当該法人等において公にしていないことだけでは足りない。
(キ) 公にしないとの条件を付することの合理性の判断に当たっては、情報の性質に応じ、当該情報の提供当時の諸般の事情を考慮して判断するが、必要に応じ、その後の事情の変化も考慮する。公にしないとの条件が付されていても、現に当該情報が公にされている場合には、法第5条第2号ロには該当しない。
(2) 不開示情報とならない情報 - 人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報(法5条第2号ただし書)について
 法人又は事業を営む個人の当該事業に関する情報を公にすることにより保護される人の生命、健康等の利益と、これを公にしないことにより保護される法人等又は事業を営む個人の権利利益とを比較衡量し、前者の利益を保護することの必要性が上回ると認められる場合は、当該情報は開示される。現実に人の生命、健康等に被害が発生している場合に限らず、将来これらが侵害される蓋然性が高い場合も含まれる。

(参考) 不開示事由に該当する可能性がある情報の具体例について

 法第5条第2号の不開示事由に該当する可能性がある情報の具体例としては、以下のものが挙げられる。ただし、当該事例は、あくまで一般的な考え方を示したものであり、個別の開示決定等を行う時点の状況に応じ、慎重に判断するものとする。

(情報の具体例)

法第5条第2号イに係る情報について
  • 事業者の製造原価及び仕入原価、取引先名、営業上のノウハウ等いわゆる「事業者の秘密」に当たると考えられるもの
  • 独占禁止法等に関する事業者等からの相談、事件についての申告等に関する情報であって、公にすることにより、当該事業者等の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの
  • 独占禁止法等違反の疑いで審査等を行った事案に係る情報であって、公にすることにより、当該事業者等の権利、競争上の地位その他の正当な利益を害するおそれがあるもの
  • 事業活動に関する実態調査等に係る情報であって、公にすることにより、当該事業者等の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの
  • 会議等の開催に係る債権者(茶菓、弁当、貸会議室等関係事業者)の印影、金融機関名・口座番号等
法第5条第2号ロに係る情報について
  • 独占禁止法等に基づく届出書や報告書の提出に関連して、事業者等から公にしないことを条件として任意に提出を受けたもの
  • 独占禁止法等に関する事業者等からの相談、事件についての申告等に関する情報であって、事業者等から公にしないことを条件として任意に提出を受けたもの
  • 独占禁止法等違反の疑いで審査等を行った事案に係る情報であって、事業者等から公にしないことを条件として任意に提出を受けたもの
  • 事業活動に関する実態調査等に係る情報であって、事業者等から公にしないことを条件として任意に提出を受けたもの

3 国の安全等に関する情報(法第5条第3号)についての判断基準

(1) 「国の安全が害されるおそれ」とは、国家の構成要素である国土、国民及び統治体制が害されることなく平和で平穏な状態に保たれていること、すなわち、国としての基本的な秩序が平穏に維持されている状態に対する侵害のおそれ(当該重大な利益を維持するための手段の有効性を阻害され、国の安全が害されるおそれがあると考えられる場合を含む。)をいう。
(2) 「他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ」とは、「他国若しくは国際機関」(外国の地方政府又は国際会議その他国際協調の枠組みに係る組織(OECD、WTO、APEC等)の事務局等を含む。以下「他国等」という。)との間で、相互の信頼に基づき保たれている正常な関係に支障を及ぼすおそれをいう。例えば、公にすることにより、他国等との取決め又は国際慣行に反することとなるもの、他国等の意思に一方的に反することとなるもの、他国等に不当に不利益を与えることとなるもの等、我が国との関係に悪影響を及ぼすおそれがある情報が該当する。
(3) 「他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれ」とは、他国等との現在進行中の又は将来予想される交渉において、我が国が望む交渉成果が得られなくなる、我が国の交渉上の地位が低下する等のおそれをいう。例えば、交渉(過去のものを含む。)に関する情報であって、公にすることにより、現在進行中の又は将来予想される交渉に関して我が国が採ろうとしている立場が明らかにされ、又は具体的に推測されることになり、交渉上の不利益を被るおそれがある情報が該当する。

(参考) 不開示事由に該当する可能性がある情報の具体例について

 法第5条第3号の不開示事由に該当する可能性がある情報の具体例としては、以下のものが挙げられる。ただし、当該事例は、あくまで一般的な考え方を示したものであり、個別の開示決定等を行う時点の状況に応じ、慎重に判断するものとする。

(情報の具体例)

・他国等との会議に係る情報のうち、公にすることにより、他国や国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国や国際機関との交渉上不利益を被るおそれがあるもの

4 公共の安全等に関する情報(法第5条第4号)についての判断基準

(1) 「公共の安全と秩序の維持」とは、犯罪の予防、鎮圧又は捜査、公訴の維持及び刑の執行に代表される刑事法の執行を中心としたものを意味する。
(2) 刑事訴訟法以外の特別法により、臨検、捜索、差押え、告発等が規定され、犯罪の予防・捜査とも関連し、刑事司法手続に準ずるものと考えられる犯則事件の調査や独占禁止法違反の調査等の規制に関する情報であって、公にすることにより、公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあるものは、法第5条第4号に含まれる。

(参考) 不開示事由に該当する可能性がある情報の具体例について

 法第5条第4号の不開示事由に該当する可能性がある情報の具体例としては、以下のものが挙げられる。ただし、当該事例は、あくまで一般的な考え方を示したものであり、個別の開示決定等を行う時点の状況に応じ、慎重に判断するものとする。

 (情報の具体例)

  • 独占禁止法等違反の疑いで審査等を行った事案に係る情報であって、公にすることにより、公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあるもの

5 審議、検討等情報(法第5条第5号)についての判断基準

(1) 「国の機関及び地方公共団体の内部又は相互間」とは、国会、内閣、裁判所及び会計検査院(これらに属する機関を含む。)並びに地方公共団体について、それぞれの機関の内部又は他の機関との相互間を意味する。
(2) 「審議、検討又は協議に関する情報」とは、行政機関としての意思決定に至るまでの過程の各段階において行われている様々な審議、検討及び協議に関連して作成され、又は取得された情報をいう。
(3) 「率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ」とは、公にすることにより、外部からの圧力、干渉等の影響を受けることなどにより、率直な意見の交換又は意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがある場合が想定されているものであり、適正な意思決定手続の確保を保護利益とするものである。
 例えば、「率直な意見の交換が不当に損なわれるおそれ」には、審議、検討等の場における発言内容が公になることにより、発言者やその家族に対して危害が及ぶおそれが生じる場合が含まれる(この場合には、法第5条第4号等の不開示情報に該当する可能性もある。)。また、「意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ」には、行政機関内部における政策の検討が十分でない段階での情報が公になることにより、外部からの圧力によって当該政策に不当な影響を受けるおそれが生じる場合が含まれる。
(4) 「不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれ」とは、未成熟な情報、事実関係の確認が不十分な情報等を公にすることにより、国民の誤解や憶測を招き、不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれがある場合をいう。情報が公にされることによる国民への不当な影響が生じないようにする趣旨である。
(5) 「特定の者に不当に利益を与え若しくは不利益を及ぼすおそれ」とは、尚早な時期に事実関係等の確認が不十分な情報等を公にすることにより、投機を助長するなどによって、特定の者に不当に利益を与え又は不利益を及ぼす場合が想定されており、事務及び事業の公正な遂行を図るとともに、国民への不当な影響が生じないようにする趣旨である。
(6) 法第5条第5号の「不当に」とは、審議、検討等途中の段階の情報を公にすることの公益性を考慮してもなお、適正な意思決定の確保等への支障が看過し得ない程度のものを意味する。予想される支障が「不当」なものかどうかの判断は、当該情報の性質に照らし、公にすることによる利益と不開示にすることによる利益とを比較衡量した上で判断する。
(7) なお、行政機関としての意思決定が行われた後は、審議、検討等に関する情報
を公にしても、一般的には、「率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ」が生じる可能性が少なくなるものと考えられる。また、審議、検討等に関する情報であっても、当該情報が専門的な検討を経た調査データ等の客観的、科学的事実又はこれに基づく分析等を記録したものについては、一般的には、本号に該当する可能性が低いものと考えられる。
 ただし、当該意思決定が政策決定の一部の構成要素である場合、当該意思決定を前提として次の意思決定が行われる場合等審議、検討等の過程が重層的又は連続的な場合には、当該意思決定が行われた後であっても、政策全体の意思決定又は次の意思決定に関して本号に該当するかどうか判断する必要がある。また、意思決定が行われた後であっても、審議、検討等に関する情報が公になることにより、不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれがある場合、将来予定されている同種の審議、検討等に係る意思決定に不当な影響を与えるおそれがある場合は、本号に該当する。

(参考) 不開示事由に該当する可能性がある情報の具体例について

 法第5条第5号の不開示事由に該当する可能性がある情報の具体例としては、以下のものが挙げられる。ただし、当該事例は、あくまで一般的な考え方を示したものであり、個別の開示決定等を行う時点の状況に応じ、慎重に判断するものとする。

(情報の具体例)

  • 独占禁止法等違反被疑事案に係る公正取引委員会議事録
  • 公正取引委員会に報告される審査報告書及び勧告書(案)
  • 法律、規則、運用基準等の制定過程に係る情報であって、公にすることにより、率直な意見の交換や意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ、不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれ等があるもの

6 事務又は事業に関する情報(法第5条第6号)についての判断基準

(1) 「公にすることにより、次に掲げるおそれその他当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの」(法第5条第6号本文)について
ア 法第5条第6号イからホまでの規定は、各機関に共通的に見られる事務又は事業に関する情報であって、その性質上、公にすることにより、その適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると考えられる典型的な情報が挙げられているものであり、同号の規定の対象となる事務及び事業は、これらに限られない。
イ 「当該事務又は事業の性質上」とは、当該事務又は事業の本質的な性格、具体的には、当該事務又は事業の目的、その目的達成のための手法等に照らして、その適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるかどうかにより判断する。
ウ 「適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」は、各規定の要件の該当性を客観的に判断する必要があり、また、事務若しくは事業の根拠となる規定又はその趣旨に照らし、公益的な開示の必要性等の種々の利益を衡量した上での「適正な遂行」といえるものであることが求められる。
エ 「支障」の程度は名目的なものでは足りず実質的なものが要求される。また、「おそれ」の程度も単なる確率的な可能性ではなく、法的保護に値する蓋然性があると認められるかどうかにより判断する。
(2) 「監査、検査、取締り又は試験に係る事務に関し、正確な事実の把握を困難にするおそれ又は違法若しくは不当な行為を容易にし、若しくはその発見を困難にするおそれ」(法第5条第6号イ)について
ア 「監査」(主として監察的見地から、事務若しくは事業の執行又は財産の状況の正否を調べること。)、「検査」(法令の執行確保、会計経理の適正確保等のために帳簿書類その他の物件等を調べること。)、「取締り」(行政上の目的による一定の行為の禁止又は制限について適法・適正な状態を確保すること。)又は「試験」(人の知識、能力等又は物の性能等を試すこと。)に係る事務は、いずれも事実を正確に把握し、その事実に基づいて評価・判断を加えて、一定の決定を伴うことがあるものである。
イ これらの事務に関する情報の中には、例えば、監査等の対象、実施時期、調査事項等の詳細な情報等のように、事前に公にすると、適正かつ公正な評価又は判断の前提となる事実の把握が困難となるもの、行政客体における法令違反行為又は法令違反に至らないまでも妥当性を欠く行為を助長し、又はこれらの行為を巧妙に行うことにより隠ぺいをすることを容易にするおそれがあるものがあり、このような情報は、不開示とする。また、検査等の終了後であっても、例えば、違反事例等の詳細を公にすることにより、他の行政客体に法規制を免れる方法を示唆することになるものは、法第5条第6号イに該当する。
(3) 「契約、交渉又は争訟に係る事務に関し、国又は地方公共団体の財産上の利益又は当事者としての地位を不当に害するおそれ」(法第5条第6号ロ)について
 これらの契約、交渉又は争訟に係る事務に関する情報の中には、例えば、入札予定価格等を公にすることにより、公正な競争により形成されるべき適正な額での契約が困難になり財産上の利益が損なわれるものや、交渉、争訟等の対処方針等を公にすることにより、当事者として認められるべき地位を不当に害するおそれがあるものがあり、このような情報は、不開示とする。
(4)  「調査研究に係る事務に関し、その公正かつ能率的な遂行を不当に阻害するおそれ」(法第5条第6号ハ)について
 調査研究に係る事務に関する情報の中には、例えば、[1]知的所有権に関する情報、調査研究の途中段階の情報等であって、一定の期日以前に公にすることにより成果を適正に広く国民に提供する目的を損ね、特定の者に不当な利益や不利益を及ぼすおそれがあるもの、[2]試行錯誤の段階の情報について公にすることにより、自由な発想、創意工夫や研究意欲が不当に妨げられ、減退するなど、能率的な遂行を不当に阻害するおそれがある場合があり、このような情報は不開示とする。
(5) 「人事管理に係る事務に関し、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれ」(法第5条第6号ニ)について
 人事管理に係る事務に関する情報の中には、例えば、勤務評価や、人事異動、昇格等の人事構想等を公にすることにより、公正かつ円滑な人事の確保が困難になるおそれがあるものがあり、このような情報は不開示とする。
(6) 「独立行政法人等、地方公共団体が経営する企業又は地方独立行政法人に係る事業に関し、その企業経営上の正当な利益を害するおそれ」(法第5条第6号ホ)について
 独立行政法人等、地方公共団体が経営する企業又は地方独立行政法人に係る事業については、企業経営という事業の性質上、その正当な利益を保護する必要があり、これを害するおそれがあるものは不開示とする。

(参考) 不開示事由に該当する可能性がある情報の具体例について

 法第5条第6号の不開示事由に該当する可能性がある情報の具体例としては、以下のものが挙げられる。ただし、当該事例は、あくまで一般的な考え方を示したものであり、個別の開示決定等を行う時点の状況に応じ、慎重に判断するものとする。

(情報の具体例)

  • 独占禁止法等違反被疑事案の審査に関する方針等
  • 独占禁止法等違反被疑事案の審査活動で作成・取得される調書、留置物、審査報告書、公正取引委員会議事録等
  • 独占禁止法等違反に関する申告情報及び当該申告を受けて行った調査活動に係る情報
  • 独占禁止法等違反の疑いで審査等を行った事案に係る情報であって、公にすることにより、審査等の事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの
  • 争訟に関する情報であって、公にすることにより、当該事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの
  • 契約等に関する情報であって、公にすることにより、国の財産上の利益又は当事者としての地位を不当に害するおそれがあるもの
  • 職員の任免等、人事管理に関する情報であって、公にすることにより、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあるもの

第4 部分開示に関する判断基準

 開示請求に係る行政文書について、法第6条第1項に基づき部分開示をすべき場合に該当するかどうかの判断は、以下の基準により行う。

1

 「開示請求に係る行政文書の一部に不開示情報が記録されている場合」とは、一件の行政文書に複数の情報が記録されている場合に、各情報ごとに、法第5条各号に規定する不開示情報に該当するかどうかを審査した結果、不開示情報に該当する情報がある場合を意味する。 開示請求は、行政文書単位に行われるものであるため、法第5条では行政文書に全く不開示情報が記録されていない場合の開示義務が定められているが、本項の規定により、開示請求に係る行政文書に不開示情報が記録されている場合に、部分的に開示できるか否かの判断を行わなければならないものである。

2

 「容易に区分して除くことができるとき」について
(1) 当該行政文書のどの部分に不開示情報が記載されているかという記載部分の区分けが困難な場合だけではなく、区分けは容易であるがその部分の分離が技術的に困難な場合も、部分開示を行う義務はないと考えられる。 「区分」とは、不開示情報が記録されている部分とそれ以外の部分とを概念上区分けすることを意味し、「除く」とは、不開示情報が記録されている部分を、当該部分の内容が分からないように墨塗り、被覆等を行い、行政文書から物理的に除去することを意味する。 例えば、文章として記録されている内容そのものには不開示情報は含まれないが、特徴のある筆跡により特定の個人を識別することができる場合には、識別性のある部分を区分して除くことは困難である。(2) 文書の記載の一部を除くことは、コピー機で作成したその複写物に墨を塗り再複写するなどして行うことができ、一般的には容易であると考えられる。なお、部分開示の作業に多くの時間・労力を要することは、直ちに、区分し、分離することが困難であるということにはならない。

3

 「当該部分を除いた部分につき開示しなければならない」について(1) 部分的に削除すべき範囲は、文書であれば、一般的には、文、段落等、表であれば個々の欄等を単位として判断する。
(2) 本項は、義務的に開示すべき範囲が定められているものであり、部分開示の実施に当たり、具体的な記述をどのように削除するかについては、行政機関の長の本法の目的に沿った合目的的な裁量に委ねられていると考えられる。すなわち、不開示情報の記録部分の全体を完全に黒く塗るか、文字が判読できない程度に被覆するか、当該記録中の主要な部分だけ塗りつぶすかなどの方法の選択は、不開示情報を開示した結果とならない範囲内において、当該方法を講ずることの容易さ等を考慮して判断することとなる。その結果、観念的にはひとまとまりの不開示情報を構成する一部が開示されることになるとしても、実質的に不開示情報が開示されたと認められないのであれば、行政機関の長の不開示義務に反するものではないと考えられる。

4

 「有意の情報が記録されていないと認められるときは、この限りではない」について
(1) 「有意の情報が記録されていないと認められるとき」とは、不開示情報が記録されている部分を除いた残りの部分に記載されている情報の内容が、開示をしても意味がないと認められる場合を意味する。例えば、残りの部分に記載されている内容が、無意味な文字、数字等の羅列となる場合等である。
 この「有意」性の判断に当たっては、同時に開示される他の情報があれば、これも併せて判断する。
(2)  「有意の情報」かどうかの判断は、請求の趣旨を損なうか否か、すなわち、開示請求者が知りたいと考える事柄との関連によって判断すべきものではなく、個々の請求者の意図によらず、客観的に決めるべきものである。

第5 公益上の理由による裁量的開示に関する判断基準

 公益上の理由による裁量的開示(法第7条)を行うかどうかの判断は、以下の基準により行う。
 「公益上特に必要があると認めるとき」とは、法第5条各号の不開示情報の規定に該当する情報であるが、公にすることに、当該保護すべき利益を上回る公益上の必要性があると認められる場合を意味する。
 法第5条各号においても、同条第1号ただし書ロ、第2号ただし書等、当該規定により保護する利益と当該情報を公にすることの公益上の必要性との比較衡量が行われる場合があるが、法第7条では、法第5条の規定を適用した場合に不開示となる情報であっても、なお公にすることに公益上の必要性があると認められる場合には、開示することができるとするものである。

第6 行政文書の存否に関する情報に関する判断基準

 開示請求に対し、行政文書の存否を明らかにしないで当該開示請求を拒否すべき場合(法第8条)かどうかの判断は、以下の基準により行う。

1

 「開示請求に係る行政文書が存在しているか否かを答えるだけで、不開示情報を開示することとなるとき」とは、開示請求に係る行政文書が具体的にあるかないかにかかわらず、開示請求された行政文書の存否について回答すれば、不開示情報を開示することとなる場合をいう。

2

 開示請求対象に含まれる情報と不開示情報該当性とが結合することにより、当該行政文書の存否を回答できない場合がある。例えば、特定の個人の名を挙げて、その病歴情報が記録された文書の開示請求が行われた場合、当該行政文書に記録されている情報は不開示情報に該当するので不開示であると回答するだけで、当該個人の病歴の存在が明らかになることになる。このような特定の者又は特定の事項を名指しした探索的請求は、法第5条各号の不開示情報の類型すべてについて生じ得る。
 具体的には、次のような例は、本条の規定を適用することとする。
[1] 違反事件の内偵調査に関する情報(法第5条第4号、第6号等関係)
[2] 独占禁止法等違反に関する申告情報及び当該申告を受けて行った調査活動に係る情報(法第5条第1号、第2号、第6号等関係)
[3] 情報交換の存在を明らかにしない約束で他国等との間で交換された情報(法第5条第3号関係)

第7 開示実施手数料の減額又は免除に関する判断基準

 行政機関の保有する情報の公開に関する法律施行令(平成12年政令第41号)第14条第1項に基づく開示実施手数料の減額又は免除は、以下により行う。

1

 行政文書の開示を受ける者が経済的困難により開示実施手数料を納付する資力がないと認められるかどうかについては、同施行令第14条第3項の規定により申請書に添付される書面等を基に判断する。この場合において、生活保護法に基づく扶助を受けていること以外の事実を理由とする場合の当該事実を証明する書面については、生活保護法に基づく扶助を受けてはいないが、これに準ずる状態にあることを証明する書面を想定しており、例えば、同一の世帯に属する者のすべてが市町村民税が非課税であることを証明する書面等が挙げられる。

2

 開示実施手数料を減免することが適当と認めるときは、開示決定通知書に記載された開示実施手数料の額を基に算定した額が2,000円を超える場合には2,000円を減額し、2,000円以下となる場合には当該2,000円以下の額を免除することとする。

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