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(平成27年6月10日)平成25年10月から平成27年3月までにおける東北地区の消費税転嫁対策の取組について

(平成27年6月10日)平成25年10月から平成27年3月までにおける東北地区の消費税転嫁対策の取組について

平成27年6月10日
公正取引委員会事務総局
東北事務所

はじめに

 公正取引委員会は,平成26年4月1日の消費税率の引上げを踏まえ,消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保する観点から,消費税の転嫁拒否等の行為(以下「転嫁拒否行為」という。)の未然防止のための取組と,転嫁拒否行為に対する迅速かつ厳正な対処のための取組を進めてきたところである。
 東北事務所においても,転嫁拒否行為等に対して迅速かつ厳正に対処することを目的として,平成25年10月1日に「消費税転嫁対策調査室」を設置し,東北事務所管内(青森県,岩手県,宮城県,秋田県,山形県及び福島県)において消費税転嫁対策に係る取組を実施してきたところ,平成25年10月から平成27年3月までの管内における取組状況は以下のとおりである。

第1 転嫁拒否行為に対する迅速かつ厳正な対処のための取組

1 調査及び処理の概況

 管内において調査に着手した転嫁拒否行為に係る事案は118件であり,43件について立入検査を実施した。調査の結果,重大な転嫁拒否行為が認められた2件について勧告を行っているほか,56件について指導を行っている。勧告の概要は別紙1,主な指導の概要は別紙2のとおりである。

表1:転嫁拒否行為に対する対応状況(注1)
  調査着手(注2) 立入検査 処 理
勧告 指導
全国 2,567 747 19 1,040
≪4≫ ≪80≫
東北地区 118 43 2 56
≪0≫ ≪5≫

(注1) 平成27年3月までの累計(平成25年10月~平成27年3月)。以下表2,表3及び表4において同じ。≪ ≫内の件数は,大規模小売事業者に対する勧告又は指導の件数で内数である。
(注2) 調査着手件数には,中小企業庁長官からの措置請求に基づくものを含み,全国には3件が含まれている。

2 業種別の処理状況

 指導の件数について業種別で分類すると,管内においては製造業が20件(34.5%)と最も多く,以下,運輸業(道路貨物運送業等)及び小売業がそれぞれ8件(13.8%)と続いている。

表2:勧告及び指導件数の内訳(業種別)(注1)
業種 全国 東北地区
勧告 指導 合計(割合) 勧告 指導 合計(割合)
建設業 0 73 73 0 3 3
6.9% 5.2%
製造業 0 337 337 0 20 20
31.8% 34.5%
情報通信業 1 72 73 0 1 1
6.9% 1.7%
運輸業(道路貨物運送業等) 0 89 89 0 8 8
8.4% 13.8%
卸売業 1 88 89 0 5 5
8.4% 8.6%
小売業 4 134 138 0 8 8
13.0% 13.8%
不動産業 2 24 26 0 0 0
2.5% 0.0%
技術サービス業(広告・建築設計業等) 0 64 64 0 4 4
6.0% 6.9%
医療福祉 1 7 8 1 1 2
0.8% 3.4%
事業サービス業(ビルメンテナンス業・警備業等) 0 19 19 0 0 0
1.8% 0.0%
その他(注2) 10 133 143 1 6 7
13.5% 12.1%
合 計 19 1,040 1,059 2 56 58

(注1) 複数の業種にわたる事業者が勧告又は指導の対象となった場合は,当該事業者の主な業種を1件として計上している。
(注2) 「その他」は,旅行業,自動車整備業・機械等修理業,労働者派遣業等である。

3 行為類型別の処理状況

 指導について行為類型別で分類すると,管内においては買いたたき(消費税転嫁対策特別措置法第3条第1号後段)が40件(63.5%)となっており,延べ合計63件のうち大半を占めている。

表3:勧告及び指導件数の内訳(行為類型別)
行為類型 全国 東北地区
勧告 指導 合計(割合) 勧告 指導 合計(割合)
減額 3 33 36 1 5 6
3.3% 9.5%
買いたたき 19 748 767 2 38 40
70.5% 63.5%
役務利用・利益提供の要請 0 46 46 0 5 5
4.2% 7.9%
本体価格での交渉の拒否 0 239 239 0 12 12
22.0% 19.0%
合 計(注) 22 1,066 1,088 3 60 63

(注)事業者の中には,複数の行為を行っている場合があり,表1及び表2に記載の件数とは一致しない。

4 特定供給事業者が被った不利益の原状回復の状況

 管内においては,平成27年3月までに,転嫁拒否行為によって特定供給事業者が被った不利益について,特定事業者12名から,特定供給事業者435名に対し,総額2541万円の原状回復が行われた。

5 転嫁拒否行為等に関する相談件数

 転嫁拒否行為等に関する事業者からの相談や情報提供を一元的に受け付けるための相談窓口を平成25年10月1日に東北事務所に設置し,当該相談窓口において57件の相談に対応した。

表4:転嫁拒否行為等に関する相談件数
  平成25年度 平成26年度 合計
全国 3,179 1,420 4,599
東北地区 35 22 57

(注)転嫁カルテル及び表示カルテルの届出に関する相談を含む。

6 事業者及び事業者団体に対するヒアリング調査

 様々な業界における転嫁拒否行為に関する情報や取引実態を把握するため,管内において207名の事業者及び12の事業者団体に対してヒアリング調査を実施した。

表5:事業者及び事業者団体に対するヒアリング調査の実施件数
  事業者 事業者団体
全国 東北地区 全国 東北地区
平成25年度 1,326 60 401 11
平成26年度 8,744 147 1,263 1
合計 10,070 207 1,664 12

7 移動相談会

 事業者にとって,より一層相談しやすい環境を整備するため,管内において移動相談会を4回実施した。

表6:移動相談会の実施回数
  平成25年度 平成26年度 合計
全国 75 47 122
東北地区 15 8 23

第2 転嫁拒否行為の未然防止のための取組

1 公正取引委員会主催説明会

 消費税転嫁対策特別措置法の内容を広く周知するため,事業者及び事業者団体を対象として,公正取引委員会主催の説明会を管内の全県において実施した(6か所合計9回)。

表7:公正取引委員会主催説明会の実施回数
  平成25年度 平成26年度 合計
全国 40 30 70
東北地区 5 4 9

2 講師派遣

 管内において,商工会議所,商工会及び事業者団体が開催する説明会等に,公正取引委員会事務総局の職員を講師として18回派遣した。

表8:講師の派遣回数
  平成25年度 平成26年度 合計
全国 384 59 443
東北地区 15 3 18

第3 転嫁カルテル及び表示カルテルの届出

 平成25年10月1日から消費税の転嫁の方法の決定に係る共同行為(転嫁カルテル)及び消費税についての表示の方法の決定に係る共同行為(表示カルテル)の届出の受付を開始し,管内において,転嫁カルテル2件,表示カルテル3件の合計5件の届出を受け付けた。
 また,届出書の記載方法等に関して,管内において14件の相談に対応した。

表9:転嫁カルテル及び表示カルテルの届出件数
  転嫁カルテル 表示カルテル 合計
全国 東北地区 全国 東北地区 全国 東北地区
平成25年度 152 2 136 3 288 5
平成26年度 13 0 3 0 16 0
合計 165 2 139 3 304 5
表10:届出に関する相談件数
  平成25年度 平成26年度 合計
全国 1,235 50 1,285
東北地区 14 0 14

別紙1

勧告事件(2件)

1 山形市(山形市立病院済生館)に対する件(平成26年6月17日)

特定事業者

山形市(山形市)

事業内容

総合病院の運営(内科,外科,小児科,整形外科他)

取引の内容

医療材料,医療機器等の購入

違反行為の概要

【買いたたき(第3条第1号後段)】
 山形市立病院済生館は,消費税率の引上げに対応するため,医療材料の納入価格を引き下げることとし,納入業者(特定供給事業者)に対し,平成25年度下期の納入価格に一定率を乗じた額等を減じて算出した医療材料ごとの納入価格の目標値を定めた。

事件の詳細については,下記リンク先を参照。
http://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h26/jun/140617kankoku.html

2 株式会社北日本吉野家に対する件(平成26年9月24日)

特定事業者

株式会社北日本吉野家(仙台市)

事業内容

飲食店の運営

取引の内容

店舗等の賃貸借

違反行為の概要

【減額(第3条第1号前段)及び買いたたき(第3条第1号後段)】
 飲食店を営む株式会社北日本吉野家は,自社が運営する店舗の賃貸人の一部(特定供給事業者)に対し,平成26年4月分以後の賃料について,賃料の消費税率の引上げ分を減額し,又は賃料の消費税率の引上げ分を上乗せせずに同年3月分と同額に据え置いた。

備考

中小企業庁長官からの措置請求案件
(参考)株式会社吉野家資産管理サービス(東京都北区)及び株式会社中日本吉野家(名古屋市)についても同日勧告

事件の詳細については,下記リンク先を参照。
http://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h26/sep/140924kankoku.html

主な指導事例

1減額(第3条第1号前段)
業種
概 要

建設業

A社は,産業廃棄物の運搬を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後に供給を受けたもの(消費税率8%が適用されるもの)について,発注時に取り決めていた単価に対し,消費税相当額を上乗せせずに支払っていた。

食料品製造業

B社は,食品検査機器の製造を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後に供給を受けたものについて,経費削減の目的で,既に取り決めていた委託代金から消費税相当額を減じて支払っていた。

小売業

C社は,自社で販売する食料品等の納入業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日からの消費税率の引上げに対応するため,仕入商品ごとの単価(税抜価格)に仕入数量を乗じて計算した仕入価格(税抜価格)について1円未満の端数を切り捨てた金額を算出し,その合計した金額に消費税率を乗じた金額を支払う方法を採用していた。

2買いたたき(第3条第1号後段)
業種
概 要

建設業

D社は,大工工事等を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後も消費税率の引上げ分を上乗せすることなく,消費税込みの一日当たりの作業単価を据え置いていた。

建設業

E社は,建築工事等を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後も消費税率の引上げ分を上乗せすることなく,消費税込みの委託代金を据え置いていた。

繊維工業

F社は,衣料品の製造加工を委託している個人事業者(特定供給事業者)に対し,消費税込みの単価表を基に委託代金を決定しているところ,平成26年4月1日以後も消費税率の引上げ分を上乗せすることなく,消費税込みの委託代金を据え置いていた。

飲食料品卸売業

G社は,自社が使用する事務所の賃貸人(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後も消費税率の引上げ分を上乗せすることなく,消費税込みの賃料を据え置いていた。

介護サービス業

H法人は,自らが運営する社会福祉施設の清掃を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後も消費税率の引上げ分を上乗せすることなく,消費税込みの委託代金を据え置いていた。

農業協同組合

I農業協同組合は,清掃業務を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後も消費税率の引上げ分を上乗せすることなく,消費税込みの委託代金を据え置いていた。

3利益提供の要請(第3条第2号)
業種
概 要

小売業

大規模小売事業者であるJ社は,自社で販売する衣料品等の納入業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日からの消費税率の引上げに伴い,値札の変更及び値札発行機のソフトウェアの更新費用を納入業者の負担とすることを要請した。また,自社の費用負担を明確にすることなく,自社の店舗内で使用する店頭ポップ及びプライスカードの付け替え作業を要請した。

小売業

大規模小売事業者であるK社は,自社で販売する衣料品等の納入業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日からの消費税率引上げに伴い,自社の費用負担を明確にすることなく,既に納入した商品について消費税率の引上げに対応した値札に付け替える作業を要請した。

4本体価格での交渉の拒否(第3条第3号)
業種
概 要

繊維工業

L社は,衣料品の製造加工を委託している者(特定供給事業者)に対し,当該事業者との価格交渉において,平成26年4月1日以後も税込価格のみを用いることとしていた。

小売業

大規模小売事業者であるM社は,自社で販売する食料品等の納入業者(特定供給事業者)に対し,当該事業者との価格交渉において,平成26年4月1日以後も税込価格のみを用いることとしていた。

関連ファイル

問い合わせ先

問い合わせ先 公正取引委員会事務総局東北事務所
 消費税転嫁対策調査室 電話022-225-7095(代表)
 ホ-ムペ-ジ http://www.jftc.go.jp/regional_office/tohoku/

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