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(平成27年6月24日)独占禁止懇話会第201回会合議事概要

(平成27年6月24日)独占禁止懇話会第201回会合議事概要

平成27年6月24日
公正取引委員会

1 日時

 平成27年6月12日(金曜)10時00分から12時00分

2 場所

 公正取引委員会大会議室

3 議題

  • 平成26年度における独占禁止法違反事件の処理状況
  • 平成26年度における下請法の運用状況及び企業間取引の公正化への取組
  • 平成26年度における主要な企業結合事例
  • 我が国企業における外国競争法コンプライアンスに関する取組状況

4 議事概要

 各議題について,事務総局から説明を行い,会員から大要以下のような意見・質問が出された。

(1)平成26年度における独占禁止法違反事件の処理状況

 会員 不当廉売事案の注意件数が年々減少してきており,また,申告件数も約5,600件と件数自体は多いものの,年々減少してきている。これらの背景には,不当廉売が違法行為であるとの事業者の認識が高まったことがあるのか。

 事務総局 不当廉売事案の注意件数の減少は,公正取引委員会が不当廉売に対して対処してきたこと及び事業者においても独占禁止法に関するコンプライアンスの徹底が行われるようになってきていることの効果ではないかと考えている。他方,申告件数については,平成19年度以前は5,000件未満であったことを踏まえると,年々減少してきているとはいえ,まだ高い水準にあるとの評価も可能であることや申告されない事案も多数あると思われることも念頭に置いておく必要があると考えている。

 会員 家電製品に係る不当廉売の注意件数は,一時期非常に多かったものの,現在は少なくなっているが,何か理由があるのか。
 事務総局 平成20年度以降に大手家電量販店に対して優越的地位の濫用に当たるものとして,公正取引委員会が法的措置を採ったことや,事業者の不当廉売を含む独占禁止法に関するコンプライアンス意識の向上が理由ではないかと考えられる。

 会員 独占禁止法では酒類の安売りに対して注意しかできず,対応が不十分とも考えられるが,公正取引委員会としてはどのように考えているのか。
 事務総局 注意は独占禁止法違反行為の認定までは至っていないが,違反行為の未然防止の観点から行っているものである。関係事業者に注意を行うに当たっては,当該行為を継続すれば独占禁止法違反に至る可能性があること,最終的には課徴金を課せられる可能性もあること等の不当廉売規制の制度の中身も含めて説明している。また,注意相当の廉売を繰り返す事業者には責任者を招致する等の対応を行っているところ,関係事業者には注意の趣旨をよく理解いただいていると考えており,注意による抑止効果が不十分とは考えていない。

 会員 平成26年度において,優越的地位の濫用に対して法的措置を採った事案が1件,注意を行った事案が49件あるとのことであるが,注意事案の内容を見ると,注意の対象となった行為は法的措置を採った事案とほぼ同じように思える。取引の相手方に従業員の派遣等の要請をしただけであれば注意,要請に従って実際に従業員の派遣等が行われれば法的措置を採るという判断基準になっているのか。
 事務総局 法的措置を採るかどうかは,当該行為の取引先事業者が多数であったり,取引先事業者が被った不利益が大きい場合など,当該行為の悪質性等から判断しており,要請に従った行為が実際に行われたか否かだけで判断しているわけではない。

 会員 違反行為に対する課徴金納付命令は事業者にとって非常に厳しい措置であり,違反行為への抑止効果もある一方で,注意は何ら不利益を課されない措置であり,公正取引委員会による措置が二極化しているのではないかと考えている。注意では措置が軽すぎるが,排除措置命令や課徴金納付命令を行うには違反事実の立証が難しいような事案が何ら措置を採られないまま,埋もれているのではないかと感じているが,公正取引委員会としてどのように考えているか。
 事務総局 排除措置命令を行うに足る立証が難しい場合であっても,違反行為の疑いがある事案に対しては警告という措置があり,公正取引委員会は行為の悪質性に応じて適切な措置を採ることが可能なので,公正取引委員会として何かしらの措置を採ることが適当な事案が埋もれてしまうようなことはないと考えている。

(2)平成26年度における下請法の運用状況及び企業間取引の公正化への取組

 会員 下請法の周知活動として様々な取組を行っていることは理解したが,個人事業主に対してはどのように取り組んでいるか。例えば,最近では,IT業界等で若い方が個人で事業を請け負っていることがあるが,そのような個人事業主に対しても何か情報発信をしているのか。
 事務総局 公正取引委員会ウェブサイトに下請法を解説した動画や,下請法講習会で使用している資料等を掲載し,YouTube,Twitter,Facebook等,様々なツールを利用して情報発信を行っている。しかし,下請法講習会は参加人数を確保する観点から中核都市で行われることが多く,足を運べない個人事業主も多いと思われるので,ITを活用する等により講習会と同等の効果を得られるような取組が可能かどうか,今後検討していきたい。

 会員 事業者がカルテル等の独占禁止法違反行為を行った場合は,課徴金減免制度によるインセンティブがあるため,事業者が違反行為を自発的に公正取引委員会に申告することは理解できるが,下請法において事業者が違反行為を自発的に公正取引委員会に申告するのは,どのような理由によるものか。また,自発的な申告には,公正取引委員会による調査着手前に事業者が自ら違反行為を発見する必要があると思うが,事業者はどのような理由で違反行為を発見しているのか。
 事務総局 勧告を行った場合には,事業社名を公表しているが,自発的申出と認められた場合には勧告は行わないこととしている。事業者名が公表されることによって,社会的な信用を失うおそれが生じると考えて,そのようなことを回避するために自発的申出を行うということではないかと考える。また,親事業者に対しては,定期的な書面調査を実施しており,調査票を送付しているところ,調査票への回答作成に当たって,下請法に違反する行為の存在に気付いて,自発的申出を行ってくる場合もある。
なお,この場合,申出の時点では当該親事業者に対する公正取引委員会の調査は未着手の段階にある。

(3)平成26年度における主要な企業結合事例

 会員 平成26年度における主要な企業結合事例集は,非常に面白く興味深い事例が多く,研究者として大変勉強になった。

 会員 公正取引委員会が問題解消措置の実効性担保手段として,いわゆるトラスティ制度(trustee)を採用したのは,これまで,外国企業同士の企業結合について1件だけであったと記憶しているが,今後,公正取引委員会としてトラスティ制度を積極的に採用していくのか。
 事務総局 平成26年度に問題解消措置を前提に問題なしとした2件のうち,ジンマーとバイオメットの事案については,一部の事業を譲渡する問題解消措置が公正取引委員会に提出されたが,一定期間経過後に事業譲渡先が見つからなかった場合は,独立した第三者(事業処分受託者),いわゆるトラスティに対し,価格の下限を定めずに事業譲渡をする権限を与えることとなっている。一方で,王子ホールディングスと中越パルプ工業の事案については,問題解消措置の内容が当事会社が内部調査した上で公正取引委員会に報告すれば十分なものであったことから,トラスティのようなものは含まれていない。

 会員 米国の競争当局においては,研究開発段階の商品を企業結合の審査対象とした事案もあるが,公正取引委員会において,研究開発段階の商品を企業結合の審査対象としたのは,今回の事例集に掲載されたノバルティスとグラクソ・スミスクラインの事案が初めてと理解してよいか。
 事務総局 過去にも,公正取引委員会として研究開発段階の商品を審査対象とした事案は存在するが,今後も,このように研究開発段階の商品を企業結合審査の対象とする可能性があることを示す必要があると考え,今回,事例集に掲載し,公表することとした。

(4)我が国企業における外国競争法コンプライアンスに関する取組状況

 会員 今回の報告書を拝見して,日本企業が世界中に事業展開をしているにもかかわらず,外国競争法コンプライアンスに対する意識が低いことに驚いた。
まず,外国競争法コンプライアンスの重要性について認識してもらうべきは企業のCEO(最高経営責任者)であると考えているが,CEOに助言等を行う立場である監査役や社外役員に対して,本報告書の内容について説明会を行うなど,報告書の周知に当たり工夫をしてもらいたい。
 事務総局 現在,様々な経済団体等に対して本報告書の周知活動を行っているところであるが,御指摘の監査役等によって構成される団体に対しても積極的にアプローチを行ってまいりたい。

 会員 アンケートへの回答が不十分であった企業に対して,再回答の要請は行わなかったのか。
 事務総局 そのような企業に対する再回答の要請は行っていない。一方,興味深い回答をいただいた企業に対してその内容を深堀りするため,32社に対して電話や対面でのヒアリング調査を行っている。これは,ヒアリング結果等を踏まえ,他の企業が参考となるような取組を報告書に紹介することで,外国競争法におけるコンプライアンスに対する意識が不十分な企業にとって有用な報告書となると考えたからである。

 以上

 (文責:公正取引委員会事務総局 速報のため事後修正の可能性あり。)

関連ファイル

参考

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独占禁止懇話会の最近の開催状況

問い合わせ先

公正取引委員会事務総局経済取引局総務課
電話 03-3581-5476(直通)
ホームページ http://www.jftc.go.jp/

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