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(平成29年6月2日)平成28年度における消費税転嫁対策の取組について

(平成29年6月2日)平成28年度における消費税転嫁対策の取組について

平成29年6月2日
公正取引委員会

はじめに

 公正取引委員会は,平成26年4月1日の消費税率の引上げを踏まえ,消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保する観点から,消費税の転嫁拒否等の行為(以下「転嫁拒否行為」という。)の未然防止のための取組と,転嫁拒否行為に対する迅速かつ厳正な対処のための取組を進めてきたところ,平成28年度の消費税転嫁対策に関する取組状況は以下のとおりである。

第1 転嫁拒否行為に対する迅速かつ厳正な対処のための取組

1 転嫁拒否行為に関する情報収集

(1) 転嫁拒否行為等についての相談対応
 公正取引委員会は,転嫁拒否行為等に関する事業者からの相談や情報提供を一元的に受け付けるための相談窓口を,本局及び全国の地方事務所等に設置しており,平成28年度において,444件の相談に対応した(第1表参照)。

第1表:転嫁拒否行為等に関する相談件数
年度
件数
平成28年度 444件
平成27年度

548件

平成26年度
1,420件
平成25年度
3,179件
累計
5,591件

(注) 転嫁カルテル及び表示カルテルの届出に関する相談を含む。

(2) 事業者及び事業者団体に対するヒアリング調査
 公正取引委員会は,様々な業界における転嫁拒否行為に関する情報や取引実態を把握するため,平成28年度において,2,385名の事業者及び581の事業者団体に対してヒアリング調査を実施した(第2表参照)。

第2表:事業者及び事業者団体に対するヒアリング調査の実施件数
年度
件数
事業者
事業者団体
平成28年度 2,385件 581件
平成27年度
4,344件

682件

平成26年度
8,744件
1,263件
平成25年度
1,326件
401件
累計
16,799件
2,927件

(3) 移動相談会
 公正取引委員会は,事業者にとって,より一層相談しやすい環境を整備するため,全国各地で移動相談会を実施することとしており,平成28年度において,移動相談会を36回実施した(第3表参照)。

第3表:移動相談会の実施回数
年度
回数
平成28年度 36回
平成27年度
52回
平成26年度
47回
平成25年度
75回
累計
210回

(4) 書面調査
ア 中小企業・小規模事業者等に対する書面調査
 公正取引委員会は,転嫁拒否行為を受けた事業者にとって自らその事実を申し出にくい場合もあると考えられることから,転嫁拒否行為を受けた事業者からの情報提供を受身的に待つだけではなく,書面調査を実施し,転嫁拒否行為に関する情報収集を積極的に行うこととしている。
 公正取引委員会は,平成28年度においても転嫁拒否行為を監視するため,平成27年度に引き続き中小企業庁と合同で,中小企業・小規模事業者等(約285万名)に対する悉皆的な書面調査を実施した。また,中小企業庁と合同で,個人事業者(約350万名)に対する書面調査を実施した。

イ 下請法の書面調査等の活用
 公正取引委員会は,下請法の書面調査等を通じて,転嫁拒否行為に関する情報も併せて収集し,転嫁拒否行為に関する情報が得られた場合には,速やかに調査を行うとともに,消費税転嫁対策特別措置法に基づく調査において,下請法に違反する事実が判明した場合には,下請法に基づき迅速かつ厳正に対処するなど,下請法と一体的に効率的な運用を行っている。

2 転嫁拒否行為に対する処理状況

(1) 措置件数
 公正取引委員会は,様々な情報収集活動によって把握した情報を踏まえ,立入検査等の調査を積極的に実施しており,違反行為が認められた事業者に対しては転嫁拒否行為に係る不利益の回復などの必要な改善措置を迅速に行っている。
 平成28年度は,勧告6件,指導362件の措置を講じている(第4表参照)。勧告については,勧告を行うとともに,特定事業者名,違反行為の概要等を公表している(勧告の概要は別紙1,主な指導の概要は別紙2参照)。
 なお,措置件数(勧告又は指導を行った事件の件数をいう。以下同じ。)368件の地区ごとの内訳は,第5表のとおりである。

第4表:措置件数
  
平成28年度

平成27年度

累計(注)
措  置

勧  告

  6件
  《0件》

13件
《3件》
38件
《7件》

指  導

  362件
 《20件》

349件
《24件》
1,751件
《124件》

合  計

  368件
 《20件》

362件
《27件》
1,789件
《131件》
違反事実なし
  218件
472件
1,150件

(注) 累計の数値は,平成25年10月から平成29年3月までの累計。《 》内の件数は,大規模小売事業者に対する勧告又は指導の件数で内数。

第5表:措置件数(368件)の地区ごとの内訳 [単位:件]
地 区

平成28年度

平成27年度

累計

北海道地区(北海道)

14
19
67

東北地区(青森県,岩手県,宮城県,秋田県,山形県,福島県)

20
17
95

関東甲信越地区(茨城県,栃木県,群馬県,埼玉県,千葉県,
東京都,神奈川県,新潟県,長野県,山梨県)

146
120
720

中部地区(富山県,石川県,岐阜県,静岡県,愛知県,三重県)

51
52
251

近畿地区(福井県,滋賀県,京都府,大阪府,兵庫県,奈良県,和歌山県)

52
36
240

中国地区(鳥取県,島根県,岡山県,広島県,山口県)

26
43
130

四国地区(徳島県,香川県,愛媛県,高知県)

12
9
86

九州地区(福岡県,佐賀県,長崎県,熊本県,大分県,宮崎県,鹿児島県)

41
58
177

沖縄地区(沖縄県)

6
8
23
合計
368
362
1,789

(注1) 措置を採った特定事業者の本社所在地により区分している。
(注2) 地区ごとの消費税転嫁対策特別措置法の運用状況等について別途公表することとしている。
(注3) 累計の数値は,平成25年10月から平成29年3月までの累計。

(2) 措置件数の業種別内訳
 平成28年度に措置を採った特定事業者について,業種別で分類すると,製造業が66件(17.9%)と最も多く,以下,建設業56件(15.2%),小売業39件(10.6%)と続いている(第6表及び第1図参照)。

第6表:措置件数の内訳(業種別)  [単位:件,(%)]
業種(注)
合計(割合)
建設業
平成28年度

56(15.2)

平成27年度

57(15.7)

累計

186(10.4)

製造業
平成28年度
66(17.9)
平成27年度
67(18.5)
累計
470(26.3)
情報通信業
平成28年度
38(10.3)
平成27年度
44(12.2)
累計

155( 8.7)

運輸業 平成28年度
15( 4.1)
平成27年度
15( 4.1)
累計
119( 6.7)
卸売業 平成28年度
20( 5.4)
平成27年度
20( 5.5)
累計
129( 7.2)
小売業
平成28年度
39(10.6)
平成27年度
38(10.5)
累計
215(12.0)
不動産業
平成28年度
19( 5.2)
平成27年度
24( 6.6)
累計
69( 3.9)
技術サービス業
平成28年度
15( 4.1)
平成27年度
20( 5.5)
累計
99( 5.5)
学校教育・教育支援業
平成28年度
20( 5.4)
平成27年度
9( 2.5)
累計
40( 2.2)
その他
平成28年度
80(21.7)
平成27年度
68(18.8)
累計
307(17.2)
全業種
平成28年度
368 ( 100)
平成27年度
362 ( 100)
累計
1,789 ( 100)

(注1) 複数の業種にわたる場合は,当該事業者の主たる業種により分類している。「その他」は医療福祉,事業サービス業,自動車整備業・機械等修理業,旅行業等である。
(注2) ()内の数値は小数点第2位を四捨五入しているため,合計は必ずしも100とならない。
(注3) 累計の数値は,平成25年10月から平成29年3月までの累計。

(3) 措置件数の行為類型別内訳
 平成28年度の措置件数について行為類型別で分類すると,減額(消費税転嫁対策特別措置法第3条第1号前段)が19件,買いたたき(同法第3条第1号後段)が362件,本体価格での交渉の拒否(同法第3条第3号)が3件となっている(第7表及び第2図参照)。

第7表:措置件数の内訳(行為類型別) [単位:件,(%)]
行為類型
年度
合計(割合)
減額
平成28年度
19( 4.9)
平成27年度
18( 4.9)
累計
73( 4.0)
買いたたき
平成28年度
362(94.3)
平成27年度
344(92.7)
累計
1,473(79.9)

役務利用又は利益提供の要請

平成28年度
0( 0.0)
平成27年度
3( 0.8)
累計
49( 2.7)

本体価格での交渉の拒否

平成28年度
3( 0.8)
平成27年度
6( 1.6)
累計
248(13.5)
合計
平成28年度
384(100)
平成27年度
371(100)
累計
1,843(100)

(注1) 事業者の中には,複数の行為を行っている場合があり,第4表~第6表に記載の件数とは一致しない。
(注2) ( )内の数値は小数点第2位を四捨五入しているため,合計は必ずしも100とならない。
(注3) 累計の数値は,平成25年10月から平成29年3月までの累計。

(4) 特定供給事業者が被った不利益の原状回復の状況
 平成28年度において,転嫁拒否行為によって特定供給事業者が被った不利益については,特定事業者293名から,特定供給事業者36,137名に対し,総額9億2957万円の原状回復が行われた(第8表参照)。行為類型別でみると,買いたたきに係る原状回復が最も多い(第9表参照)。原状回復額に関し転嫁拒否行為を行った特定事業者について業種別にみると,[1]運輸業が最も多く(1億9078万円,20.5%),[2]情報通信業(1億8998万円,20.4%),[3]学校教育・教育支援業(1億2026万円,12.9%)がこれに続いている(第3図参照)。

第8表:特定供給事業者が被った不利益の原状回復の状況
年度

原状回復を行った特定事業者数

原状回復を受けた特定供給事業者数

原状回復額

平成28年度

293名
36,137名
9億2957万円

平成27年度

333名
25,059名
6億7444万円
累 計
854名
94,290名
20億1555万円

(注1) 累計の数値は,平成26年4月から平成29年3月までの累計。
(注2) 各期間の原状回復額は1万円未満を切り捨てている。

第9表:行為類型別の原状回復の状況
行為類型
年度

原状回復を行った特定事業者数

原状回復を受けた特定供給事業者数

原状回復額
減額
28年度
14名
235名
181万円
27年度
15名
1,842名
2017万円
買いたたき
28年度
287名
35,397名
9億1701万円
27年度
321名
23,202名
6億5418万円

役務利用又は利益提供の要請

28年度
1名
505名
1074万円
27年度
1名
15名
8万円
合計
28年度
302名
36,137名
9億2957万円
27年度
337名
25,059名
6億7444万円
累計
876名
94,353名
20億1555万円

(注1)  特定事業者数及び特定供給事業者数は延べ数であり,合計の値は第8表に記載の合計事業者数とは必ずしも一致しない。 
(注2) 累計の数値は,平成26年4月から平成29年3月までの累計。

第2 転嫁拒否行為の未然防止のための取組

 公正取引委員会は,消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保することを目的として,消費税転嫁対策特別措置法の周知等の転嫁拒否行為を未然に防止するための各種の施策を実施している。消費税転嫁対策の広報として,当委員会のウェブサイトに「消費税転嫁対策コーナー」を設けて各種の資料を掲載しているほか,リーフレット,パンフレット及びポスターの配布を行っている。また,消費税転嫁対策特別措置法の運用を踏まえて,「消費税の転嫁拒否等の行為に関するよくある質問」を作成し,当委員会のウェブサイトに掲載している(注)。このほか,下記のとおり,消費税転嫁対策特別措置法に係る説明会等の開催や,講師の派遣を実施している。
(注) 以下のURLに掲載している。
http://www.jftc.go.jp/tenkataisaku/tenka-FAQ.html

1 消費税転嫁対策特別措置法に係る説明会

 公正取引委員会は,消費税転嫁対策特別措置法の内容を広く周知するため,事業者及び事業者団体を対象として,当委員会主催の説明会を実施しており,平成28年度において,36回の説明会を実施した(第10表参照)。

第10表:公正取引委員会主催説明会の実施回数
年度
回数
平成28年度 36回
平成27年度
51回
平成26年度
30回
平成25年度
40回
累計
157回

2 講師派遣

 公正取引委員会は,商工会議所,商工会及び事業者団体が開催する説明会等に,当委員会事務総局の職員を講師として派遣しており,平成28年度において,職員を73回派遣した(第11表参照)。

第11表:講師の派遣回数
年度
回数
平成28年度 73回
平成27年度
27回   
平成26年度
59回
平成25年度
384回
累計
543回

3 転嫁拒否行為の未然防止に係る集中的な広報

 公正取引委員会は,転嫁拒否行為が禁止されていること,転嫁拒否行為に対して当委員会が厳しく監視していること及び転嫁拒否行為に関する積極的な情報提供を求めていることを広く周知するため,平成28年11月に,新聞広告及びインターネット広告により,事業者向け広報を集中的に実施した(詳細については,別紙3参照)。

第3 転嫁カルテル及び表示カルテルの届出

 消費税転嫁対策特別措置法では,消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保するため,事業者又は事業者団体が行う,消費税の転嫁の方法の決定に係る共同行為(転嫁カルテル)及び消費税についての表示の方法の決定に係る共同行為(表示カルテル)について,公正取引委員会に事前に届け出ることにより独占禁止法に違反することなく行うことができるものとしている。
 公正取引委員会は,平成28年度において,転嫁カルテルについて11件の届出を受け付けた。また,平成29年3月末現在で,転嫁カルテルについては187件,表示カルテルについては139件となっている(別紙4参照)。
なお,転嫁カルテル及び表示カルテルの届出状況は,届出を受け付けた月ごとに取りまとめて,翌月,公正取引委員会のウェブサイトに掲載している。(注)
(注) 以下のURLに掲載している。
http://www.jftc.go.jp/tenkataisaku/tenka-hyoujitodokede.html

別紙1 勧告事件(6件)(平成28年4月~平成29年3月)

[1] 株式会社Q配サービスに対する件(平成28年6月16日)

特定事業者

株式会社Q配サービス

事業内容

貨物利用運送事業・貨物軽自動車運送事業等

取引の内容

[1] 荷主から請け負った配送業務の委託
[2] 事業所等の賃借

違反行為の概要

【買いたたき(第3条第1号後段)】
ア 荷主から請け負った配送業務を委託している個人事業者又は法人事業者の一部に対し,消費税率の引上げ分を上乗せせずに支払った。
イ 個人事業者等の賃貸人の一部に対し,消費税率の引上げ分を上乗せせずに賃料を据え置いて支払った。

原状回復額

特定供給事業者2,025名に対し,総額1億7172万5347円
【勧告前に一部返還済み】

事件の詳細については,下記のリンク先を参照。
http://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h28/jun/160616_2.html

[2] 株式会社松下サービスセンターに対する件(平成28年8月31日)

特定事業者

株式会社松下サービスセンター

事業内容

建築リフォーム工事業

取引の内容

[1] サイディング工事の請け負わせ
[2] 駐車場等の賃借

違反行為の概要

【買いたたき(第3条第1号後段)】
ア サイディング工事を請け負わせている個人事業者又は法人事業者に対し,消費税率の引上げ分を上乗せせずに工事代金を据え置いて支払った。
イ 駐車場等の賃貸人等の一部に対し,消費税率の引上げ分を上乗せせずに賃料等を据え置いて支払った。

原状回復額

特定供給事業者118名に対し,総額5272万3130円
【勧告前に返還済み】

事件の詳細については,下記のリンク先を参照。
http://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h28/aug/160831_3.html

[3] 株式会社APサービスセンターに対する件(平成28年8月31日)

特定事業者

株式会社APサービスセンター

事業内容

建築リフォーム工事業

取引の内容

[1] サイディング工事の請け負わせ
[2] 駐車場等の賃借

違反行為の概要

【買いたたき(第3条第1号後段)】
ア サイディング工事を請け負わせている個人事業者又は法人事業者に対し,消費税率の引上げ分を上乗せせずに工事代金を据え置いて支払った。
イ 駐車場等の賃貸人等の一部に対し,消費税率の引上げ分を上乗せせずに賃料等を据え置いて支払った。

原状回復額

特定供給事業者66名に対し,総額1571万6646円
【勧告前に返還済み】

事件の詳細については,下記のリンク先を参照。
http://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h28/aug/160831_3.html

[4] 株式会社KATEKYOグループに対する件(平成28年10月21日)

特定事業者

株式会社KATEKYOグループ

事業内容

学習塾の運営等

取引の内容

[1] 学習指導業務の業務委託
[2] 教室施設等の賃借

違反行為の概要

【買いたたき(第3条第1号後段)】
ア 学習指導業務を委託している個人事業者に対し,消費税率の引上げ分を上乗せせずに委託料を据え置いて支払った。
イ 教室施設等の賃貸人の一部に対し,消費税率の引上げ分を上乗せせずに賃料等を据え置いて支払った。
※中小企業庁長官からの措置請求案件

原状回復額

特定供給事業者1640名に対し,総額8325万9621円
【勧告前に返還済み】

事件の詳細については,下記のリンク先を参照。
http://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h28/oct/161021_4.html

[5]株式会社スーパーホテルに対する件(平成29年2月22日)

特定事業者

株式会社スーパーホテル

事業内容

ホテル業

取引の内容

[1] 支配人業務の業務委託
[2] ホテル建設,税務会計等に関する指導業務等(「顧問業務」)の委託
[3] 朝食用惣菜の仕入れ

違反行為の概要

【買いたたき(第3条第1号後段)】
 ア 支配人業務を委託している個人事業者に対し,消費税率の引上げ分を上乗せせずに委託料を据え置いて支払った。
 イ ホテル建設,税務会計等に関する指導業務等(「顧問業 務」)を委託している個人事業者に対し,消費税率の引上げ分を上乗せせずに顧問料を据え置いて支払った。
 ウ 朝食用惣菜の仕入先である法人事業者に対し,消費税率の引上げ分を上乗せせずに仕入代金を据え置いて支払った。

原状回復額

特定供給事業者171名に対し,総額6594万8541円
【勧告前に一部返還済み】

事件の詳細については,下記のリンク先を参照。
http://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h29/feb/170222_2.html

[6] 株式会社帝国データバンクに対する件(平成29年3月9日)

特定事業者

株式会社帝国データバンク

事業内容

専門サービス業(企業の信用調査,企業情報の提供等)

取引の内容

企業信用調査等業務の業務委託

違反行為の概要

【買いたたき(第3条第1号後段)】
 企業信用調査等業務を委託している個人事業者に対し,消費税率の引上げ分を上乗せせずに委託料を据え置いて支払った。
 ※中小企業庁長官からの措置請求案件

原状回復額

特定供給事業者724名に対し,総額1億320万4719円
【勧告前に返還済み】

事件の詳細については,下記のリンク先を参照。
http://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h29/mar/170309.html

別紙2 主な指導事例(平成28年4月~平成29年3月)

1 減額(第3条第1号前段)

[1] 建設業を行うA社は,非破壊検査業務を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,あらかじめ定めた平成26年4月1日以後に支払う消費税込みの委託代金について,代金を支払う際に消費税相当額を減じて支払っていた。

[2] 建設業を行うB社は,住宅の建築工事を委託する事業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後に引渡しを受けた物件の工事代金(消費税率8%が適用されるもの)について,委託代金を支払う際に消費税率の引上げ分相当額を減じて支払っていた。

[3] ガラス製品製造業を行うC社は,自社が使用する駐車場の賃貸人(特定供給事業者)に対し,あらかじめ定めた平成26年4月分の消費税込みの駐車場の賃料について,消費税率の引上げ分相当額を減じて支払っていた。

[4] 放送業を行うD社は,自社制作番組及び結婚式の撮影等の業務を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,委託代金を本体価格で合意しているところ,平成26年4月1日以後も,消費税相当額を支払っていなかった。

[5] 大規模小売業者であり,アウトドア用品店を営むE社は,自社が運営する店舗の賃貸人(特定供給事業者)に対し,本体価格で定めた平成26年4月分の賃料について,対価を支払う際に消費税率の引上げ分相当額を減じて支払っていた。

[6] 旅館業を行うF社は,産業廃棄物の処理を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月以降の委託料の支払について,特定供給事業者が消費税率5%で計算した請求書に基づき,消費税率の引上げ分相当額を減じて支払っていた。

[7] 空港施設運営業を行うG社は,建物内に設置する観賞用の鉢植えの納入業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後の鉢植えの対価について,消費税相当額を支払っていなかった。

2 買いたたき(第3条第1号後段)

[1] 金融業を行うH社は,健康管理業務を委託している事業者(特定供給事業者)並びに自社が使用するATM設置場所及び駐車場の賃貸人(同)に対し,平成26年4月1日(賃料は同年4月分)以後も消費税率の引上げ分を上乗せすることなく,消費税込みの対価を据え置いていた。

[2] 新聞発行業を行うI社は,原稿作成等の業務を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後も消費税率の引上げ分を上乗せすることなく,委託単価(税込み)を据え置き,当該単価に基づいて算出した委託料を支払っていた。

[3] 出版業を行うJ社は,著作者及び原稿作成,校正等の業務を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,税込みで定めた利用許諾に対する対価(印税)及び委託代金について,平成26年4月1日以後も消費税率の引上げ分を上乗せすることなく据え置いていた。

[4] 不動産業を行うK社は,ポスティング業務を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後も消費税率の引上げ分を上乗せすることなく,消費税込みの委託代金を据え置いていた。

[5] 倉庫業を行うL社は,消費税率の引上げ後に同じグループ会社であるM社から事業を継承し,不動産賃貸業を営む事業者(特定供給事業者)から継続して倉庫等を賃借しているところ,倉庫等の賃料について,M社が平成26年4月1日の消費税率の引上げ以前に特定供給事業者に支払っていた賃料と同額に定め,消費税率の引上げ分を上乗せすることなく特定供給事業者に支払っていた。

[6] ホテル業を行うN社は,ホテル運営に係る会計業務を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後も消費税率の引上げ分を上乗せすることなく,消費税込みの委託代金を据え置いていた。

[7] 呉服・服地・寝具小売業を行うO社は,反物生地等を納入している事業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後も消費税率の引上げ分を上乗せすることなく,消費税込みの対価を据え置いていた。

[8] 施設運営・管理業を行うP社は,講師等の業務を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後も消費税率の引上げ分を上乗せすることなく,消費税込みの委託代金を据え置いていた。

3 本体価格(税込価格)での交渉拒否(第3条第3号)

[1] 建設工事業を行うQ社は,型枠工事を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,消費税込みで工事代金を定めていたところ,平成26年4月1日以後の価格交渉の際,事業者からの本体価格(税抜価格)での交渉の申出を拒否した。

[2] 土木工事業を行うR社は,建設工事を委託している事業者(特定供給事業者)との価格交渉において,税抜きで見積金額の提示を受けているにもかかわらず,平成26年4月1日以後も税込価格での交渉を余儀なくさせていた。

別紙3 平成28年度の公正取引委員会の集中的な広報について

別紙4 転嫁カルテル及び表示カルテルの届出状況(平成29年3月まで)

1 転嫁カルテル及び表示カルテルの届出件数


平成28年度
平成27年度
累計

うち政令指定組合(注2)

うち政令指定組合(注2)

うち政令指定組合(注2)

転嫁カルテル
11件
0件
11件
2件
187件
32件
表示カルテル
0件
0件
0件
0件
139件
25件
11件
0件
11件
2件
326件
57件

(注1) 累計の数値は,平成25年10月1日から平成29年3月31日までの累計。下記「2」において同じ。
(注2) 消費税転嫁対策特別措置法第13条第2項に基づき主務大臣への通知を要する組合からの届出である。

2 業種別届出件数

 
転嫁カルテル
表示カルテル
28
27
28
27

製造業

2件
5件
94件
0件
0件
79件
173件

卸売業

2件
3件
59件
0件
0件
49件
108件

小売業

4件
2件
50件
0件
0件
45件
95件

サービス業

3件
3件
46件
0件
0件
21件
67件

その他

2件
6件
26件
0件
0件
10件
36件

合計

13件
19件
275件
0件
0件
204件
479件

(注3) 複数の業種にわたる場合の届出があるので,合計の数字は上記「1」に記載の届出件数と一致しない。
(注4) 「その他」の業種は,運輸業,建設業等である。

3 届出に関する相談件数

      年度

件数
平成28年度  9件
平成27年度
 5件  
平成26年度
  50件
平成25年度
1,235件
累計
1,299件

関連ファイル

問い合わせ先

問い合わせ先 公正取引委員会事務総局経済取引局取引部取引企画課
電話 03-3581-1891(直通)
ホームページ http://www.jftc.go.jp/

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