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(平成12年度:事例10)第二電電(株),ケイディディ(株)及び日本移動通信(株)の合併(新会社名 KDDI(株))

(平成12年度:事例10)第二電電(株),ケイディディ(株)及び日本移動通信(株)の合併(新会社名 KDDI(株))

1 本件の概要

 本件は,第一種電気通信事業者である第二電電(株),ケイディディ(株)及び日本移動通信(株)が,電気通信事業における規制緩和,技術革新等の環境変化を踏まえ,国際通信,国内通信及び移動体通信(携帯電話及びPHS)を全国で提供する体制を整えることを目的に合併するものである。
 電気通信事業については,国際通信と国内通信に大別され,さらに国内通信については,地域通信及び長距離通信に分類される。
 電気通信分野においては,規制緩和が進展したこと等から,新規参入が相次ぎ,また,外資規制の緩和等により内外の事業者間の資本参加,業務提携等が進み,事業者間で活発な競争が行われている。

2 独占禁止法上の考え方

(1) 一定の取引分野

 本件においては,国際通信分野,長距離通信分野及び移動体通信分野のそれぞれについて,一定の取引分野が成立すると判断した。
 また,移動体通信分野については,全国を9に分けたブロックごとに事業の認可が与えられており,事業者はそれぞれのブロック内で事業活動を行っていることから,ブロックごとについて検討の対象とした。

(2) 競争への影響

 以下の事情を総合的に勘案すれば,本件合併により,(1)において画定したいずれの取引分野においても,競争を実質的に制限することとはならないものと判断した。

ア 国際通信分野

 当事会社のうちケイディディ(株)は,電気通信自由化前において唯一の国際通信事業者であったことから,現在でもなお国際通信分野において高いシェアを有しており,当事会社の国際通信分野におけるシェアは,合算すると60%超であり,その順位は第1位となる。
 しかしながら,本件合併によるシェアの増加分はごくわずかであり,かつ,国際的に総合的事業能力の高い外国事業者から出資を受けた競争業者が複数存在する。
 また,国際通信分野においては,新規事業者の参入により価格競争が活発に行われてきた結果,通話料は数次にわたり大幅に低下してきており,最近においても,外資系事業者を含め有力な事業者が参入し,引き続き競争が活発に行われている。
 さらに,国内の電気通信分野において極めて有力な事業者グループに属する会社が国際通信分野に参入したところ,当該会社は現時点では参入したばかりであるものの,当該グループの国内の電気通信分野における地位等にかんがみれば,当該会社は潜在的に非常に高い競争力を有しているものと評価でき,今後国際通信分野において有力な事業者となっていくことが見込まれる。
 加えて,「公専公」の解禁により第二種電気通信事業者の参入が本格化し,競争圧力として機能すると考えられる。

イ 長距離通信分野

 当事会社の長距離通信分野におけるシェアは,合算すると20%弱であり,その順位は第2位となる。
 しかしながら,他に第1位で60%超のシェアを有する事業者をはじめ有力な競争業者が複数存在する。
 また,長距離通信分野においては,価格競争が活発に行われてきたところ,最近においても,有力な事業者が参入し,引き続き競争が活発に行われている。

ウ 移動体通信分野

 本件合併によって,当事会社の合算シェアは,関東ブロックにおいて25%超,東海ブロックにおいて30%超となり,その順位はいずれも第2位となる。
 しかしながら,両ブロックにおいて5割程度のシェアを占める第1位の事業者を含め,有力な競争業者が複数存在する。
 また,移動体通信分野においては,価格競争が活発に行われてきたところ,最近においては,価格競争に加え,技術,付加価値サービスなどの面における競争も活発に行われている。

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