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(平成21年度:事例1)(株)三菱ケミカルホールディングスによる三菱レイヨン(株)の株式取得

第1 本件の概要

 本件は,化学品の製造販売業を営む三菱化学株式会社(以下「三菱化学」という。)等を子会社とする株式会社三菱ケミカルホールディングス(以下「三菱ケミカルHD」という。)が,化学品の同業を営む三菱レイヨン株式会社(以下「三菱レイヨン」という。)の発行済株式のすべてを取得し子会社とするものである。関係法条は独占禁止法第10条である。

第2 一定の取引分野

 当事会社間で競合する7品目のうち,市場規模が大きい,競争に及ぼす影響が大きいなどと考えられる品目は,PBT樹脂配合品,アクリルアミド及びUV硬化型ハードコーティング材料である。
 地理的範囲については,輸送上の制約がなく国内の地域によってユーザーが購入できる商品に差異はないこと,当事会社が全国的に事業を展開していること等から,「日本全国」を地理的範囲として画定した。

1 PBT樹脂配合品

 PBT樹脂は,ブチレングリコールとテレフタル酸の重合によって生成される樹脂で,熱安定性,強度,絶縁性に優れるなどの特徴を有している。PBT樹脂は単独で用いられることは少なく,ほとんどの場合,PBT樹脂に添加剤やガラス繊維等を配合(コンパウンド)して,自動車・車両部品(ドアミラーのステー部分等),電気・電子部品(DVDドライブのフレーム部分等)等に使用される。PBT樹脂配合品には,ユーザーのニーズにきめ細かく対応する様々なグレードの商品が存在するところ,グレードの異なる商品間において,備えられた機能が異なっているため,需要の代替性は高くはないと考えられる。
 しかしながら,PBT樹脂配合品メーカーは,配合材又は配合比率の変更と製造設備内部の清掃を行うことで,容易に異なるグレードの商品を製造することが可能である。そして,実際に,各メーカーは,随時,製造する商品のグレードを変更して様々なグレードの商品を製造している。したがって,グレードの異なる商品間における供給の代替性が高いと考えられる。
 したがって,「PBT樹脂配合品」全体を商品範囲として画定した。

2 アクリルアミド

 アクリルアミドは,アクリルニトリルの誘導品であり,主に,紙力増強剤として紙の繊維同士の結合力を強め,紙の強度を高める用途で使用される。アクリルアミドについては,品質差はなく,また,どの用途においても同質のアクリルアミドが使用されていることから,「アクリルアミド」を商品範囲として画定した。

3 UV硬化型ハードコーティング材料

 プラスチックは,成形加工が容易であることを主な理由に,金属やガラスからの代替が進んできたが,金属やガラスに比べて,硬度,耐摩耗性,耐薬品性,耐久性等の物性が劣る。この物性を改良するためにプラスチックの表面に塗付する材料(塗料)を「ハードコーティング材料」(プラスチックハードコーティング材料)という。ハードコーティング材料は,自動車の内外装品やヘッドライト,携帯電話の躯体,光学フィルム,プラスチックレンズといった様々な用途で使用されるプラスチックのコーティングに使用されている。
 ハードコーティング材料のうち,紫外線(UV)を照射することによって硬化させるものをUV硬化型といい,そのほか,熱硬化型,電子線硬化型等があるところ,これらの用途間で代替性が認められないため,当事会社間で競合している「UV硬化型ハードコーティング材料」を商品範囲として画定した。

第3 本件行為が競争に与える影響

1 PBT樹脂配合品

(1)市場シェア
 平成19年度におけるPBT樹脂配合品の国内市場規模は約570億円である。
 本件行為により,当事会社の合算市場シェア・順位は約25%・第3位となる。また,本件行為後のHHIは約2,800,HHIの増分は約200であり,水平型企業結合のセーフハーバー基準に該当しない。

本件の概要図

(2)競争事業者の状況
 市場シェアが10%を超える有力な競争事業者が複数存在する。

(3)輸入
 現在のところ市場シェアはわずかであるが,PBT樹脂配合品の海外メーカーが,日本国内に参入している。当該海外メーカーが販売するPBT樹脂配合品と国内メーカーが販売するPBT樹脂配合品は,ほぼ共通のグレードの設定となっており,品質面における差異もほとんどない。
 したがって,輸入圧力が一定程度存在すると認められる。

(4)隣接市場からの競争圧力
 PBT樹脂配合品には,用途ごとにポリアミド樹脂,ガラス繊維強化ポリエチレンテレフタレート,液晶ポリマーといった競合品が存在する。
 したがって,隣接市場からの競争圧力が一定程度存在すると認められる。

(5)需要者からの競争圧力
 PBT樹脂配合品のユーザー(プラスチック加工メーカー)の大半は,複数のPBT樹脂配合品メーカーと取引を行っている。各メーカーとも,製造する商品のグレードの切替えを行うことにより,ユーザーのニーズにきめ細かく対応することが可能であるため,各メーカーの商品間で,品質面における差異はほとんどない。そして,ユーザーは,複数のメーカーに引き合いを出して競争させ,商品の品質や価格などを比較した上で,最適な取引条件で供給を受けられるメーカーからPBT樹脂配合品を調達しており,どのユーザーも,メーカーに対しては,強い価格交渉力を有している。
 したがって,需要者からの競争圧力が存在すると認められる。

(6)独占禁止法上の評価
 上記(2)から(5)までの状況にかんがみれば,本件行為により,当事会社の単独行動又は当事会社と他の競争事業者との協調的行動によって,一定の取引分野における競争を実質的に制限することとはならないと判断した。

2 アクリルアミド

(1)市場シェア
 平成20年におけるアクリルアミドの国内市場規模は約100億円である。
 本件行為により,当事会社の合算市場シェア・順位は約60%・第1位となる。また,本件行為後のHHIは約5,100,HHIの増分は約1,400であり,水平型企業結合のセーフハーバー基準に該当しない。

本件の概要図

(2)競争事業者の状況
 市場シェアが10%を超える有力な競争事業者が存在するが,市場における事業者数は4社から3社に減少する。

(3)輸入
 アクリルアミドは毒性があるため,結晶状態ではなく,ほとんどが50%水溶液で運搬されているところ,重合を防止するための温度管理が難しいことからほとんど輸入はされておらず,輸入圧力が存在しないものと認められる。

(4)参入
 アクリルアミドの製造について,当事会社が特許を有しているなどの事情から,アクリルアミド市場に新規参入するためには,当事会社又は競争事業者から新たに製造技術に関する実施許諾等を得る必要があり,新規参入は困難と考えられ,参入圧力が存在しないものと認められる。

(5)独占禁止法上の評価

ア 競争上の概念

 上記(2)から(4)までの状況にかんがみれば,本件行為により,当事会社の単独行動又は当事会社と他の競争事業者との協調的行動によって,一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなるおそれがある。

イ 問題解消措置

 上記アの競争上の懸念を解消するため,当事会社から問題解消措置の申出があった。

(ア)内容

 現在,三菱レイヨンが行っている紙力増強剤向けのアクリルアミド販売事業を当事会社と資本関係のない会社(以下「譲受会社」という。)に譲渡する。当事会社は,紙力増強剤向けのアクリルアミドを,譲受会社の求めに応じてその必要とする数量を適切な条件で提供する。

(イ)評価

 譲受会社は,アクリルアミド等を原料とする高分子凝集剤に特化した世界最大級の水処理用高分子ポリマーメーカー(海外)の子会社であり,その日本国内における販売拠点として高分子凝集剤を中心とした化学品の輸入販売を行っている。
 したがって,当事会社が申し出た問題解消措置が確実に履行されれば,譲受会社は,有力な競争事業者となり得るものと評価できる。

ウ 独占禁止法上の評価

 当事会社が申し出た問題解消措置が確実に履行された場合には,本件行為により,当事会社の単独行動又は当事会社と他の競争事業者との協調的行動によって,一定の取引分野における競争を実質的に制限することとはならないと判断した。

3 UV硬化型ハードコーティング材料

 UV硬化型ハードコーティング材料については,本件行為後のHHIの水準及び本件行為によるHHIの増分が水平型企業結合のセーフハーバー基準に該当することから,本件行為により,一定の取引分野における競争を実質的に制限することとはならないと判断した。

第4 結論

 以上の状況から,本件行為により,一定の取引分野における競争を実質的に制限することとはならないと判断した。

本文ここまで


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