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(平成12年度:事例13)日鉱金属(株)と三井金属鉱業(株)の銅製錬関連事業に関する共同出資会社の設立等

(平成12年度:事例13)日鉱金属(株)と三井金属鉱業(株)の銅製錬関連事業に関する共同出資会社の設立等

1 本件の概要

(1) 日鉱金属(株)(以下「日鉱金属」という。)と三井金属鉱業(株)(以下「三井金属」という。)は,銅製錬関連事業について,コスト競争力の向上を図り,国際競争力を確保することを目的として,原料調達の共同化,生産受委託の拡大等を行うとともに,当事会社の銅製錬関連事業製品を販売する共同出資会社(出資比率は日鉱金属が65%,三井金属が35%)を設立するものである。

(2) 銅は,LME(ロンドン金属取引所)で取引される国際商品であり,LMEで品位基準を定めている。我が国で製造される銅の品位は99.99%以上である。
 国内の価格は,LME価格に連動して推移しており,また,銅は,国内の販売数量に占める輸入数量の割合が高く,近年においては約20%前後で推移している。
 銅の主たるユーザーは,電線メーカー及び伸銅品メーカーである。

2 独占禁止法上の考え方

(1) 一定の取引分野

 本件においては,銅の製造販売分野に一定の取引分野が成立すると判断した。

(2) 競争への影響

 本件行為により,当事会社の合算シェアが,製造分野で約40%で,その順位が第1位となり,また,販売分野で約30%で,その順位が第1位となる。
 しかしながら,以下の事情を総合的に勘案すれば,本件行為により,(1)で画定した取引分野における競争を実質的に制限することとはならないと判断した。

 銅は,内外メーカーによる品質の差はなく,また,国産品と輸入品の価格差もないことから,輸入品の割合が高く,近年においても輸入品が国内需要の約20%前後を占めており,輸入品が競争圧力として働いていると考えられること。

 銅の国内販売価格は,LME価格と連動して推移している状況にあることから,大手銅製錬メーカーであっても,市場価格を左右することは困難であること。

 国内における生産数量シェアが20%を超える大手の競争業者を含め,10%を超す有力な競争業者が複数存在し,これらは,販売数量でも10%を超すシェアを有していること。

 大口ユーザーである電線メーカー等は,複数購買を行っているとともに,自ら海外のいわゆる産銅メジャー等から銅を輸入していること。

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