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(平成17年度:事例4)三共株式会社及び第一製薬株式会社による共同持株会社の設立について

第1 本件の概要

 本件は,三共株式会社(以下「三共」という。)及び第一製薬株式会社(以下「第一製薬」という。)が,共同で株式移転を行うことにより共同持株会社を設立し,その後,三共及び第一製薬の医療用医薬品事業を共同持株会社に統合することを計画したものである。
 本件の関係法条は,独占禁止法第10条である。

第2 一定の取引分野

1 製品の概要

 当事会社が取り扱う製品は,次表のとおりである。

[製品概要]

取扱品目 概要 主なユーザー
医療用医薬品 医療機関において医師が治療に使用し,又は処方する医薬品(保険医療で使用される医薬品)であり,新薬(新規に開発・製造された医薬品)と後発品(新薬の特許消滅後に製造される新薬と同じ薬効の医薬品)がある。 医療機関, 薬局
一般用医薬品 最終ユーザーである一般消費者が薬局・薬店で購入可能であり,医師の処方箋を必要としない医薬品。 薬局・薬店
食品添加物 食品の製造・加工の過程において,食品に添加,混和,浸潤等することにより,甘味付加,着色,着香,保存性強化,栄養成分強化等を図ることを目的に使用される物質。 食品メーカー
医薬品原料 医薬品を製造するための原料となる物質。 医薬品メーカー

2 一定の取引分野の画定

(1) 医療用医薬品

 医療用医薬品については,その需要者である医療機関等からみて機能・効用が同種であるかどうかという観点から市場が画定されることから,含まれる主成分の主な薬効により医療用医薬品を分類している「ATCコード」(「Anatomical Therapeutic Chemical Classification」の略称であり,世界的な分類コード。)のうち医療用医薬品の効能・効果がある程度特定できるレベル3によって区分された医療用医薬品ごとに,一定の取引分野を画定した。
 ただし,ATCコードのレベル3による分類では,効能・効果が異なる医療用医薬品が包含されるなど,医療機関等からみて機能・効用が同種であるとはいえない場合がある。このような場合には,より細かな分類によって一定の取引分野における製品の範囲を画定する必要があるので,レベル4の分類(又はそれと同様の詳細な分類)で検討することとした。

[ATCコードの具体例]


ATCコード 名称
レベル1 J 一般的全身性抗感染剤
レベル2 J07 ワクチン類(トキソイドを含む)
レベル3 J07A 単一ワクチン類
レベル4 J07A1 インフルエンザワクチン

 (注)レベルが1から4に進むごとに分類が細分化され,レベル4では個別の医薬品に近い分類になる。

(2) 一般用医薬品

 一般用医薬品については,その需要者である一般消費者からみて機能・効用が同種であるかどうかという観点から,薬効によって区分された一般用医薬品ごとに一定の取引分野を画定した。

(3) 食品添加物及び医薬品原料

 食品添加物及び医薬品原料については,その需要者である食品メーカー,医薬品メーカー等からみて機能・効用が同種であるかどうかという観点から,一定の取引分野を画定した。

(4) 地理的範囲

 当事会社を含む医薬品の製造販売業者は全国を事業地域としており,商品の特性や輸送費用等からみて特段の事情も認められないことから,地理的範囲は全国で画定した。

第3 本件企業結合が競争に与える影響の検討

1 検討を要する製品について

 上記第2の2により画定した一定の取引分野のうち,当事会社間で競合関係にあり,統合後のシェアが10%以上かつ両当事会社とも1%以上のシェアを有する以下の製品について,本件統合が競争に与える影響を検討した。

種類 検討対象製品
医療用医薬品
(いずれもATCコードのレベル3 分類で検討)
  •  ACE阻害剤(降圧剤の一つ。血圧上昇の原因物質の生成を抑制することで,血圧の上昇を抑える。)
  •  創傷治療剤(熱湯等による皮膚潰瘍,褥瘡(床ずれ)に対する治療薬。)
  •  非ステロイド剤(消炎鎮痛剤の一つ。炎症や痛みの原物質の発生を抑えることにより,消炎鎮痛効果をもたらす。)
食品添加物 ビタミンB6,ビタミンC

2 ACE阻害剤,創傷治療剤及び非ステロイド剤について

(1) 市場の状況

 医療用医薬品のうち,検討対象3製品の市場規模,本件統合による当事会社のシェア・HHIの変化等についてみると,下表のとおりである。

[ACE阻害剤]
総販売金額 約916億円
同業者数 47社

順位 会社名 シェア
3 三共 約15%
4 第一製薬 約10%
(2) 当事会社合算 約25%
HHI 約1,900
HHI増加分 約300

[創傷治療剤]
総販売金額 約124億円
同業者数 37社

順位 会社名 シェア
3 第一製薬 約10%
7 三共 約5%
(3) 当事会社合算 約15%
HHI 約1,600

[非ステロイド剤]
総販売金額 約939億円
同業者数 88社

順位 会社名 シェア
1 三共 約35%
3 第一製薬 約10%
(1) 当事会社合算 約45%
HHI 約2,300
HHI増加分 約700

 (出所:いずれも当事会社提出資料を基に当委員会にて作成)

(2) 有力な競争事業者の存在

 各製品とも,シェア10%以上の有力な競争事業者が存在している。
 また,各製品ともに,多数の企業が参入している。

(3) 供給余力及び取引先変更可能性

 競争事業者は,検討対象の医療用医薬品の増産を容易に行うことができ,また,製造委託も容易に行えることから,競争事業者には,十分な供給余力が認められる。さらに,競争事業者間で製品に大きな品質差は認められない。したがって,医療機関等は,他の競争事業者から容易に製品を調達できると考えられる。

(4) 新規参入

 非ステロイド剤については,競争事業者が約2年のうちに,日本国内で新薬の発売を予定している。同新薬は,欧米では既に販売されており,非ステロイド剤の中では最も販売量の多い製品であることから,日本においても一定のシェアを獲得することが予想される。
 また,創傷治療剤は,平成13年に競争事業者より新薬が発売され,年々売上高を伸ばしており,現在は同社のシェアが約3割となっている。

(5) 川下市場からの競争圧力

 医療機関等は,近年の医療費抑制施策に伴い,経営の効率化が求められており,より安価な医療用医薬品の調達を図っている。医療機関等では,安価な調達のための様々な取組が行われており,医療機関等に対する販売競争が活発に行われている。

(6) 隣接市場からの競争圧力

 ACE阻害剤については,同種のARB製剤が隣接市場として存在し,ARB製剤(注)へ需要が移行しつつある。
 非ステロイド剤については,ATCコード・レベル3の「その他のワクチン」や「非麻薬性および解熱性鎮痛剤」との間で一部競合関係が認められ,隣接市場を形成している。

 (注) ARB製剤とは,アンジオテンシン2受容体拮抗剤のことで,昇圧物質であるアンジオテンシン2の受容体に直接作用し,その働きを抑えることで,血圧を下げる医薬品である。

3 ビタミンB6及びビタミンCについて

(1) 市場の状況

 食品添加物であるビタミンB6及びビタミンCは,海外に大手メーカーが存在し,そのメーカーの日本法人等が「輸入元」となり,国内で海外品を販売している。海外メーカーの日本法人等は,直接,ユーザーや小口の卸売業者に販売する方法を採っているが,自社の販売力のみでは十分な流通網を確保できないことから,当事会社を含む製薬メーカー等が「代理店」となり,輸入元の日本法人と同様にユーザーや小口の卸売業者に販売している。
 本件の検討対象であるビタミンB6及びビタミンCの市場規模,本件統合による当事会社のシェア・HHIの変化等についてみると,下表のとおりである。

[ビタミンB6]
総販売数量 約18トン

順位 会社名 シェア
2 第一ファインケミカル 約15%
10 三共ライフテック 0~5%
(2) 当事会社合算 約15%

[ビタミンC]
総販売数量 約7,000トン

順位 会社名 シェア
3 第一ファインケミカル 約10%
7 三共ライフテック 0~5%
(3) 当事会社合算 約15%
HHI 約1,200
HHI増加分 100未満

 (出所:いずれも当事会社提出資料を基に当委員会にて作成)

 (注) 三共は子会社である三共ライフテックが,第一製薬は子会社である第一ファインケミカルが,海外ビタミンメーカーの日本法人等の代理店又は製造者となって,ビタミンB6及びビタミンCを販売している。

(2) シェア・HHIの増加分

 三共ライフテックのシェアが小さいため,本件行為に伴うシェアの増加分及びHHIの増加分は小さくなっている。

(3) 有力な競争事業者の存在

 シェア10%以上の競争事業者が存在している。

(4) 輸入の状況

 ビタミンCについては,中国製品の品質に対する信頼が高まったこと及び当事会社が取り扱っている海外メーカーの製品に比べて中国製品が安価であることから,中国製品の輸入が拡大している。

第4 独占禁止法上の評価

1 ACE阻害剤

 ACE阻害剤については,第3でみたとおり,有力な競争事業者が存在していること,多数の競争事業者が存在していること,購入先の変更が容易であること,川下市場や隣接市場からの競争圧力が認められることから,当事会社の単独行動により一定の取引分野における競争を実質的に制限することとはならないと判断した。
 また,競争事業者が多数存在し,川下市場や隣接市場からの競争圧力が認められることから,当事会社と競争事業者の協調的行動により一定の取引分野における競争を実質的に制限することとはならないと判断した。

2 創傷治療剤

 創傷治療剤については,第3でみたとおり,有力な競争事業者が存在していること,多数の競争事業者が存在していること,購入先の変更が容易であること,川下市場からの競争圧力が認められることから,当事会社の単独行動により一定の取引分野における競争を実質的に制限することとはならないと判断した。
 また,競争事業者が多数存在し,川下市場や隣接市場からの競争圧力が認められることから,当事会社と競争事業者の協調的行動により一定の取引分野における競争を実質的に制限することとはならないと判断した。

3 非ステロイド剤

 非ステロイド剤については,第3でみたとおり,有力な競争事業者が存在していること,多数の競争事業者が存在していること,約2年のうちに新製品の参入が見込まれること,購入先の変更が容易であること,川下市場や隣接市場からの競争圧力が認められることから,当事会社の単独行動により一定の取引分野における競争を実質的に制限することとはならないと判断した。
 また,競争事業者が多数存在していること,新製品の参入が見込まれること,川下市場や隣接市場からの競争圧力が認められることから,当事会社と競争事業者の協調的行動により一定の取引分野における競争を実質的に制限することとはならないと判断した。

4 ビタミンB6

 ビタミンB6については,第3でみたとおり,当事会社のシェアの増加分やHHIの増加分が僅少であることに加え,有力な競争事業者が存在していることから,当事会社の単独行動により一定の取引分野における競争を実質的に制限することとはならないと判断した。
 また,HHIの水準が約1,300とそれほど高くなく,また,HHIの増加分が僅少であることから,当事会社と競争事業者の協調的行動により一定の取引分野における競争を実質的に制限することとはならないと判断した。

5 ビタミンC

 ビタミンCについては,第3でみたとおり,当事会社のシェアの増加分やHHIの増加分が僅少であることに加え,有力な競争事業者が存在していること,中国製品の輸入が拡大していることから,当事会社の単独行動により一定の取引分野における競争を実質的に制限することとはならないと判断した。
 また,HHIの水準が約1,200とそれほど高くなく,また,HHIの増加分が僅少であること,中国製品の輸入が拡大していることから,当事会社と競争事業者の協調的行動により一定の取引分野における競争を実質的に制限することとはならないと判断した。

第5 結論

 以上の状況から,本件行為により,上記第2の2で画定した一定の取引分野における競争を実質的に制限することとはならないと判断した。

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公表事例において輸入について検討を行った例

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