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(平成17年度:事例6)新日本製鐵株式会社及び株式会社中山製鋼所による普通線材事業における生産の共同化

第1 本件の概要

 本件は,新日本製鐵株式会社(以下「新日鐵」という。)及び株式会社中山製鋼所(以下「中山製鋼」という。)が,普通線材事業について,共同出資会社である株式会社NS棒線(以下「NS棒線」という。)に中山製鋼の普通線材圧延設備を譲渡し,NS棒線を両社の共同生産会社とすることを計画したものである。
 本件の関係法条は,独占禁止法第10条及び第16条である。

第2 一定の取引分野

1 製品の概要

 線材は,細く長い線状の鋼材であり,鋼材の中で最も断面が小さく,主として鉄線,針金,釘,金網等の材料となる。線材は,鋼片を圧延設備で線状に引き伸ばして製造される。
 線材には,普通線材と特殊鋼線材があるが,特殊鋼線材の方が耐食性,光沢性,強度などの機能・効用が優れており,比較的高価であることから,両者は用途が区別されている。また,普通線材の中には,成分である炭素含有量の違いにより特殊線材と定義されるものがあるが,特殊線材は,強度,光沢性が若干優れているのみであって,製造方法や用途の違いはない。
 普通線材のほとんどはJIS規格品であり,メーカー間に品質差はない。

2 本件行為後における当事会社の普通線材事業

 NS棒線は,新日鐵及び中山製鋼から両社が販売する普通線材の圧延業務を受託することとなる。新日鐵が自らの生産設備によって行っていた普通線材の生産については,本件実施後も引き続き行われる。NS棒線が中山製鋼から受託する圧延量は,中山製鋼が希望する限り,原則として前年度の販売数量を下回らないものとする。当事会社は,それぞれ自社の販売分としてNS棒線で製造される線材の製造に必要な量の鋼片をNS棒線に供給し,NS棒線で製造された線材の販売は当事会社がそれぞれ独立して行う。当事会社は,販売面における独立を確保するため,販売価格,数量,ユーザー等に関する情報の交換を行わない旨申し出ている。

3 一定の取引分野の画定

 本件は,普通線材を対象とした事業統合である。線材には,普通線材と特殊鋼線材があるが,普通線材と特殊鋼線材では,用途,価格に違いがあり,相互に代替関係はないことから,普通線材について一定の取引分野を画定した。
 また,当事会社を含む普通線材の製造販売業者は全国を事業地域としており,商品の特性や輸送費用等からみて特段の事情も認められないことから,地理的範囲は全国で画定した。

第3 本件企業結合が競争に与える影響の検討

1 市場規模

 土木建築に係る普通線材の需要の落ち込みにより,出荷量は下落傾向にあったが,最近は民間建築の需要が持ち直しており,平成15年度の普通線材の市場規模は約1030億円である。

2 市場シェア・集中度

 第2の2のとおり,NS棒線の生産量のうち中山製鋼に割り当てられる数量は,中山製鋼が希望する限り,原則として中山製鋼の前年度の販売数量を下回らない数量となる。新日鐵は,本件の目的は本件により得られる普通線材生産能力相当の同社他事業所の普通線材生産能力を特殊鋼線材生産能力に転化させることにより,特殊鋼線材生産能力を増加させることにあると表明している。このため,本件の前後で中山製鋼の生産能力は減少するものの,新日鐵の生産能力は増加しないと考えられるが,念のため,新日鐵が本件により獲得する普通線材生産能力分だけ同社の普通線材生産能力が単純に増加したと仮定(具体的には,前年度の中山製鋼の生産数量を行為後の同社の生産能力とみなし,前年度の中山製鋼の生産余力(生産能力―生産数量)については行為後の新日鐵の生産能力に加算)して当事会社の生産能力を計算すると,行為後の新日鐵の生産能力シェアは約25%・第1位,中山製鋼の生産能力シェアは約15%・第5位(行為後のHHI約1,800,HHIの増加分約100)となる。

行為前 行為後
順位 会社名 シェア 順位 会社名 シェア
1 中山製鋼 約20% 1 新日鐵 約25%
2 新日鐵 約20% 2 A社 約25%
3 A社 約20% 3 B社 約15%
4 B社 約15% 4 C社 約15%
5 C社 約15% 5 中山製鋼 約15%
6 D社 約5% 6 D社 約5%
7 E社 約5% 7 E社 約5%
  合計 100%   合計 100%

 (出所:当事会社提出資料を基に当委員会にて作成)

3 販売方法

 本件は,当事会社間で生産部門を統合するものであり,販売は当事会社がそれぞれ別個に行うこととしている。また,新日鐵は自らが保有する生産設備においても普通線材の生産を行うこととしており,本件により中山製鋼との間で生産が共通化される部分は,新日鐵の普通線材の生産量全体の一部である。さらに,当事会社は自社向けの普通線材の製造に使用する鋼片は自らNS棒線に供給することとしており,原料に係るコストも共通化されない。
 なお,当事会社は,相互に価格情報,販売数量,顧客情報等の交換を行わない旨申し出ている。

4 有力な競争事業者の存在

 販売分野における当事会社間の競争が維持されることに加え,生産分野でみて,10%以上のシェアを有する有力な競争事業者が複数存在する。

5 生産余力

 鉄鋼製品の製造工程には,各鉄鋼製品の母材(普通線材における鋼片)を製造する製鋼工程と,母材を使用し圧延作業を行う圧延工程とがあり,母材を供給する製鋼工程の設備は,鋼板,線材などの各鉄鋼製品で共用になっている。一方の圧延工程は,鋼板用,線材用など製品ごとに圧延設備が異なっている。
 公表資料等を基に競争事業者の生産余力をみると,圧延工程について十分な生産余力を有している事業者が複数存在する。

6 輸入

 平成15年度の輸入量は,国内販売量全体の5%程度であり,中国・韓国からの輸入が中心となっている。
 輸入品と国内製品との間に品質面での差はなく,主要輸出元である中国においては,平成15年だけで日本国内の線材の年間生産量を上回る設備増設(1000万トン程度)が行われており,現在,中国メーカーの最大供給能力は中国の国内需要を大きく上回る規模となっている。その結果,内需を上回った生産分が日本へ輸出されている。このため,平成14年度から同15年度にかけて,輸入量は6倍強に急増している。

[輸入量の推移]
平成11年度

平成12年度

平成13年度

平成14年度

平成15年度

45 78 52 21 139

(単位:千トン)

 中国や韓国などの鉄鋼メーカーは,日本国内へ販売拠点を設けており,また,関税率も0%であることから,今後も輸入量は増加すると見込まれる。

[中国における線材の設備投資状況]
生産能力増強分 100~ 50~100 ~50
会社数 4社 7社 6社

(単位:万トン)

第4 独占禁止法上の評価

1 単独行動による競争の実質的制限について

 競争事業者には供給余力があると認められること,輸入圧力も一定程度存在すると認められること,本件行為後も販売活動は独立して行うとしていること等から,当事会社の単独行動により一定の取引分野における競争を実質的に制限することとはならないと判断した。

2 協調的行動による競争の実質的制限について

 現在,一定量の輸入品が国内市場に流入しており,また,今後輸入量が増加することが見込まれていること等から,当事会社と競争事業者の協調的行動により一定の取引分野における競争を実質的に制限することとはならないと判断した。

第5 結論

 以上の状況から,当事会社が申し出た情報遮断行為も含めて総合的に勘案すれば,本件行為により普通線材の取引分野における競争を実質的に制限することとはならないと判断した。

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公表事例において輸入について検討を行った例

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