このページの先頭ですサイトメニューここから
このページの本文へ移動
公正取引委員会
  • サイトマップ
  • 音声読み上げ・文字拡大
  • ENGLISH
  • 公正取引委員会について
  • 報道発表・広報活動
  • 相談・手続窓口
  • 独占禁止法
  • 下請法
  • CPRC(競争政策研究センター)
サイトメニューここまで

本文ここから

(平成18年度:事例7)日鐵建材工業株式會社及び住友金属建材株式会社による道路・土木商品関連事業の統合について

第1 本件の概要

 本件は,日鐵建材工業株式會社(以下「日鐵建材」という。)と住友金属建材株式会社(以下「住金建材」という。)が,会社分割により,住金建材の道路・土木商品関連事業を日鐵建材に承継させることによって,両社の道路・土木商品関連事業を統合することを計画したものである。
 関係法条は,独占禁止法第15条の2である。

第2 一定の取引分野

 本件においては,当事会社間で競合する製品が多数に上るが,そのうちライナープレート及び軽量鋼矢板については,いずれも市場規模は小さいものの,競争事業者数が少なくなり,統合後における当事会社の合算シェアが過半となるため,この2品目について,競争に及ぼす影響の有無を詳細に検討した。

1 ライナープレート

 ライナープレートは,熱延鋼板を加工した製品であり,その大部分が,深礎杭工事(注)における土留め(土中に埋められてほとんど回収されることはない。)や,シールド工法を用いた下水道工事における仮設土留め用の資材(工事の終了とともに,その過半が回収される。)として使用されている。
 深礎杭工事及び下水道工事に用いられる工法には,ライナープレートを使用するものを含めて複数のものがあり,工事の発注者又は施工業者は,施工現場の状況に応じて,その中から最も適切な工法を採用している。

 (注) 深礎杭工事とは,橋梁用の柱などを立てるための縦穴を掘削する工事であり,掘削した縦穴の内壁の崩落を防ぐためにライナープレートが使用される。

2 軽量鋼矢板

 軽量鋼矢板は冷間ロール成形(鋼板を常温で成形する方法)によって製造される形鋼の一つで,開削工法を用いた下水道工事やその他一般土木工事における仮設土留め用の資材(工事の終了とともに,そのほとんどが回収される。)として使用されるほか,護岸工事等における浸食防止用の資材(土中に埋められて回収されることはない。)として使用されている。
 これらの工事に用いられる工法には,軽量鋼矢板を使用するものを含めて複数のものがあり,工事の発注者又は施工業者は,施工現場の状況に応じて,その中から最も適切な工法を採用している。

第3 本件企業結合が競争に与える影響の検討

1 ライナープレート

(1) 市場規模・市場シェア

 平成17年度におけるライナープレートの市場規模は,約70億円である。
 本件統合後における競争事業者数は,当事会社を含めて3社から2社となり,結合後の当事会社の合算シェアは過半となる。

(2) ライナープレートを扱う特約店の存在

 ライナープレートは,特約店と呼ばれる卸業者を経由して施工業者に供給されているところ,特約店の中には,当事会社と資本関係を有しない大手事業者が存在しており,当該大手特約店は,我が国で販売されるライナープレートの過半を購入している。
 また,特約店は,メーカーから購入するだけでなく他の特約店からもライナープレートを購入できるため,メーカーが,大手特約店だけを対象として異なる価格を設定することは難しい状況にある。
 さらに,下水道工事における仮設土留めに用いられたライナープレートの過半は,特約店によって買い戻され,最終的に廃棄されるまでの2~3年間に数回程度再利用されている。このため,特約店は,買戻し品のライナープレートの在庫を相当量有しており,メーカーの販売価格に応じて新品の購入量を調整することが可能である。
 これらのことにかんがみれば,特約店は,メーカーに対する価格交渉力を有しているだけでなく,相当量の買戻し品の在庫を保有することによって,当事会社及び競争事業者による価格引上げや供給量の制限に対する牽制力を有しているものと考えられる。

(3) 隣接市場からの競争圧力

 深礎杭工事及び下水道工事については,それぞれ,ライナープレートを使用する工法に代わる代替的な製品及び工法が存在しているところ,これらは,当事会社による価格引上げに対する大きな牽制力として機能しているものと考えられる。

ア 深礎杭工事
 深礎杭工事においては,ライナープレートを使用する工法のほかに,モルタルを吹き付けて土留めを行うモルタル吹付け工法が採用されている。モルタル吹付け工法は,工費の節減及び工期の短縮という点で優れているとされており,現在,ライナープレートを使用する工法からモルタル吹付け工法への切替えの動きがみられる。

イ 下水道工事
 シールド工法を用いた下水道工事における仮設土留め用の工法としては,ライナープレートを使用する工法のほかに,本矢板を使用する工法,H形鋼を使用する工法,地面を掘削しながら鋼管を埋め込むケコム工法等が採用されており,これらライナープレート以外を使用する工法は,工事量全体の3分の1程度を占めている。

ウ アンケート調査の結果
 本件対象製品は,そのほとんどが,官公庁等が発注する公共工事において使用されるものであることから,当委員会は,その主たる発注者である各都道府県に対してアンケート調査を行った。
 アンケート調査によれば,有効回答のうち90%以上は,何らかの理由によりライナープレートを使用できなくなったとしても,それ以外の製品を使用することにより対応可能であると回答している。

(4) 取引先変更の容易性

 ライナープレートは,メーカー間における品質差が存在しないため,ユーザーにとっては容易に調達先を変更することができる。

(5) 供給余力

 公共事業の削減により深礎杭工事及び下水道工事の需要は縮小傾向にあるため,当事会社及び競争事業者は十分な供給余力を有している。

(6) 輸入

 最近発注された工事において,国内市場価格に比べ安価な韓国製品の採用が確実視されており,平成18~19年度にかけて数千トンの韓国製ライナープレートが国内に流入することが見込まれているところ,これにより,我が国で販売されるライナープレート全体の約1割は,韓国からの輸入品によって占められることとなる。

2 軽量鋼矢板

(1) 市場規模・市場シェア

 平成17年度における軽量鋼矢板の市場規模は,約10億円である。
 本件統合後における競争事業者数は,当事会社を含めて4社から3社になり,統合後の当事会社の合算シェアは過半となる。

(2) リース業者の存在

 軽量鋼矢板は,特約店又はリース業者を経由して施工業者に供給されており,軽量鋼矢板の用途のほとんどを占める仮設土留め工事にはリース品が使用されているのに対し,護岸工事等については,特約店を通じて販売される新品のほか,リース業者を通じて販売される新品及び仮設土留め工事に使用された回収品が使用されている。
 このように,軽量鋼矢板については,リース品が使用される比率が極めて高く,当事会社を含むメーカーの販売についても,リース業者向けがほとんどを占めているところ,リース業者の中には,当事会社と資本関係を有しない大手リース業者が複数存在しており,これらのリース業者は,我が国で販売される軽量鋼矢板の大部分を購入している。
 また,リース業者は,メーカーから購入するだけでなく他のリース業者からも軽量鋼矢板を借り受けることができるため,メーカーが,大手リース業者だけを対象として異なる価格を設定することは難しい状況にある。
 さらに,軽量鋼矢板は,最終的に廃棄されるまでの3~4年の間に数回程度リースすることが可能である。このため,リース業者は,リース品として,軽量鋼矢板の在庫を相当量有しており,メーカーの販売価格に応じて新品の購入量を調整することが可能である。
 これらのことにかんがみれば,リース業者は,メーカーに対する価格交渉力を有しているだけでなく,相当量のリース品の在庫を保有することによって,当事会社及び競争事業者による価格引上げや供給量の制限に対する牽制力を有しているものと考えられる。

(3) 隣接市場からの競争圧力

 軽量鋼矢板を使用する工事については,それぞれ,軽量鋼矢板を使用する工法に代わる代替的な製品及び工法が存在しているところ,これらは,当事会社による価格引上げに対する大きな牽制力として機能しているものと考えられる。

ア 開削工法を用いた下水道工事
 開削工法を用いた下水道工事の仮設土留めについては,軽量鋼矢板を使用する工法に代わって,安全性や工費等の点で優れているとされる簡易土留めを使用する工法が主流であり(注),軽量鋼矢板を使用する工法が採用される割合はわずかにすぎない。

 (注) 簡易土留めのメーカーとしては,当事会社と資本関係を有しない有力な事業者が複数存在している。

イ 一般土木工事
 一般土木工事における仮設土留め工事においては,軽量鋼矢板を使用する工法のほかに,コンクリート矢板やH形鋼を使用する工法等が採用されており,これら軽量鋼矢板以外を使用する工法は,全体の半分弱を占めている。

ウ 護岸工事等
 護岸工事等については,軽量鋼矢板を使用する場合よりも,本矢板を使用する場合の方が圧倒的に多く,軽量鋼矢板は,農業用水路等の小規模な護岸工事のごく一部で使用されているにすぎない。

エ アンケート調査の結果
 上記1(3)ウと同様に,各都道府県に対して行ったアンケート調査によれば,有効回答のすべてが,何らかの理由で軽量鋼矢板が使用できなくなったとしても,それ以外の製品を使用することにより対応可能であると回答している。

(4) 取引先変更の容易性

 軽量鋼矢板は,メーカー間における品質差が存在しないため,ユーザーにとっては容易に調達先を変更することができる。

(5) 供給余力

 公共事業の削減により土木工事の需要はいずれも縮小傾向にあるため,当事会社及び競争事業者は十分な供給余力を有している。

第4 独占禁止法上の評価

1 ライナープレート

(1) 単独行動による競争の実質的制限についての検討

 大手特約店及び代替的な工法の存在が,当事会社による価格引上げ又は供給量の制限に対する大きな牽制力として機能し得ることに加えて,ユーザーにとっては容易に調達先を変更することができること,競争事業者が十分な供給余力を有していること及び今後は安価な韓国製品の流入が見込まれていることにかんがみれば,当事会社の単独行動により,一定の取引分野における競争を実質的に制限することとはならないと判断した。

(2) 協調的行動による競争の実質的制限についての検討

 大手特約店及び代替的な工法による競争圧力が存在すること並びに今後は輸入品による競争圧力も見込まれていることに加えて,当事会社及び競争事業者が十分な供給余力を有していることにかんがみれば,当事会社と競争事業者の協調的行動により,一定の取引分野における競争を実質的に制限することとはならないと判断した。

2 軽量鋼矢板

(1) 単独行動による競争の実質的制限についての検討

 大手リース業者及び代替的な工法の存在が,当事会社による価格引上げ又は供給量の制限に対する大きな牽制力として機能し得ることに加えて,ユーザーにとって調達先の切替えが容易であること及び競争事業者が十分な供給余力を有していることにかんがみれば,当事会社の単独行動により,一定の取引分野における競争を実質的に制限することとはならないと判断した。

(2) 協調的行動による競争の実質的制限についての検討

 大手リース業者及び代替的な工法による競争圧力が存在することに加えて,当事会社及び競争事業者が十分な供給余力を有していることにかんがみれば,当事会社と競争事業者の協調的行動により,一定の取引分野における競争を実質的に制限することとはならないと判断した。

第5 結論

 当委員会は,本件行為により,一定の取引分野における競争を実質的に制限することとはならないと判断した。

本文ここまで

サブナビゲーションここから

公表事例において輸入について検討を行った例

サブナビゲーションここまで

以下フッターです。

公正取引委員会 Japan Fair Trade Commission

〒100-8987 東京都千代田区霞が関1-1-1 電話 03-3581-5471(代表)
  • ご利用案内
  • 関連リンク
  • 所在地
Copyright © 2013 Japan Fair Trade Commission. All Rights Reserved.
フッターここまでこのページのトップに戻る