80 発注者に対する建設工法団体からの見積書の提出 [入札ガイドライン2-2]

1 相談者

 建設工法団体(平成12年度)

2 相談の要旨

 公共工事の発注者である自治体等から,工事の積算基準作成の参考資料とするため,当団体に対して,個別の工事ではなく,一定の架空の条件に基づいた見積書の提出を求められることがある。このような要請に応じて見積書を提出することは,独占禁止法上問題ないか。
 また,個別の公共工事について,工事の発注者である自治体等から直接又は会員の工事業者を通じて,当団体に参考見積の提出を求められることがある。このような要請に応じて見積書を提出することは,独占禁止法上問題ないか。

3 独占禁止法上の考え方

(1) 入札の対象となる商品又は役務の価格水準や価格動向に関する情報について,発注者からその予定価格の積算に資するための情報提供の依頼を受ける等して,当該入札に参加しようとする事業者間で情報交換を行い,又は事業者団体が,それら事業者との間で情報を収集・提供し,若しくはそれら事業者間の情報交換を促進することは,独占禁止法上問題となるおそれがある。
 また,提供される価格水準に関する情報を基礎に発注者が予定価格を算定することを認識する等しながら,事業者が共同して又は事業者団体が,商品又は役務の価格について発注者に情報提供する内容を決定することは,価格制限行為につながるものとして,独占禁止法上問題となる。
 [入札ガイドライン2-2(入札の対象となる商品又は役務の価格水準に関する情報交換等)]

(2) 発注者が,具体的な個別の工事についてではなく,一般的に工事の積算基準作成の参考資料とするため,架空の条件に基づいた見積書の提出を求めた場合,あるいは,具体的な工事について参考見積を求めた場合に,団体がこれに応じて見積書を提出することは,見積書作成の過程等において,団体が会員との間で情報を収集・提供し,若しくは会員間の情報交換を促進することとなり,会員に対する標準的な費用項目を掲げた一般的な積算方法の指導の範囲を超えて,会員の間で積算金額に関する共通の目安が形成されることにつながるおそれがあることから,独占禁止法上問題となる。

回答の要旨

 発注者からの求めに応じて,団体が発注者に見積書を提出することは,会員の間で積算金額に関する共通の目安が形成されるおそれがあることから,独占禁止法上問題となる。

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