24 カタログに掲載する品種に関する自主基準 [団体ガイドライン7(2),7-3]

1 相談者

 サッシ製造業者の団体(平成11年度)

2 相談の要旨

(1) 従来から,政府において住宅用品の高コスト是正の取組がなされているが,その一環として,サッシのコスト削減も焦点の一つとなっている。サッシは非常に品種が多く,これがコスト増の要因となっている。
 これは,従来,会員が住宅メーカーのニーズに過度に対応してきたため,住宅メーカーの要望を受けて開発した商品をすべてカタログに掲載してきた(カタログに掲載した品種は,業界の慣行として常時在庫を保有しており,掲載されていないものは受注生産となる。)ためである。現在,業界全体で約1万種類の品種があり,これが生産・保管コストの増大につながっていると考えられる。

(2) このため,当団体では,品種の削減に取り組むことを検討している。サッシは,主要な約2,000種で95%以上の売上げを占めており,それ以外の約8,000種はほとんど販売実績がないもの(以下「低頻度品種」という。)であることから,各社のカタログに低頻度品種を掲載しないことを呼び掛けることにより,会員の生産・保管コストの削減を図りたいと考えている。
 具体的にどの品種をカタログに掲載しないこととするかについては,会員の任意の判断に委ねることとする。低頻度品種であっても,会員が営業上必要であると判断したものは,カタログに掲載することになる。団体のこのような取組は,独占禁止法上問題ないか。

3 独占禁止法上の考え方

(1) 商品又は役務の種類,品質,規格等に関連して,生産・流通の合理化や消費者の利便向上を図るために事業者団体が行う規格の標準化に係る自主基準の設定や自主規制あるいは自主認証・認定等の活動には,独占禁止法上問題を生じないものが多いが,一方,活動の内容・態様等によっては競争を阻害する場合があり,その場合には独占禁止法上問題となる。競争阻害性の有無については,

[1] 競争手段を制限し需要者の利益を不当に害するものではないか,

[2] 事業者間で不当に差別的なものではないか,

[3] 社会公共的な目的等正当な目的に基づいて合理的に必要とされる範囲内のものか,

 の要素を勘案しつつ,判断される。ただし,構成事業者に,自主規制等の利用又は遵守を強制することは,独占禁止法上問題となるおそれがある。
 [団体ガイドライン7(2)(自主規制等,自主認証・認定等),7-3(自主規制等の強制)]

(2) 相談の場合においては,

[1] 会員がカタログに掲載する品種の数を削減するものであり,生産を制限するものではなく,カタログに掲載しない品種でもユーザーから注文があったときには生産するものであることから,競争手段を制限し需要者の利益を不当に害するものではないこと,

[2] どの品種をカタログに掲載しないこととするかは各会員が独自に判断することから,会員間で不当に差別的なものではないこと,

[3] 住宅用品の高コスト是正の取組の一環として,生産・保管コストの増大の原因となっているサッシの品種の増大を抑制するものであり,社会公共的な目的等正当な目的に基づいて合理的に必要とされる範囲内のものと考えられること

から,独占禁止法上問題ない。ただし,団体が,会員に対し,特定の品種のサッシをカタログに掲載しないことや特定の品種を供給しないよう強制することは,独占禁止法上問題となるおそれがある。

4 回答の要旨

 団体が会員に対し,住宅用品の高コスト是正の取組の一環として,低頻度品種のサッシをカタログに掲載しないよう要請することは,独占禁止法上問題ない。

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