自動車部品メーカーが,共同出資会社を通じて原材料の共同購入を行うことは,独占禁止法上問題ないと回答した事例

1 相談者

 A社(自動車部品メーカーによる共同出資会社)

2 相談の要旨

(1) 自動車用a部品メーカー5社(以下「5社」という。)は,5社らが共同出資して設立したA社を通じて,現在,5社が使用する事務用品等の共同購入を行っている。今後,5社は,A社を通じて自動車用a部品(以下「a部品」という)の原材料を共同購入することを予定している。

(2) 共同購入の具体的な方法は,A社が,現在5社がそれぞれ購入している原材料別の購入金額,取引条件等を確認した上で共同購入を行う原材料を決定するとともに,原材料ごとに購入先候補を数社ずつ選定し,その後,選定された購入先候補から見積書等を提出してもらい,最終的な購入先及び購入価格を決定するものである。

(3) 5社のa部品出荷シェアの合計は約50%,a部品の製造コストに占める共同購入予定原材料の購入予定額の割合は1%以下である。
 また,共同購入の対象となる原材料の需要全体に占める5社のシェアは1%以下となっている。
 このような共同購入を行うことは,独占禁止法上問題ないか。

3 独占禁止法上の考え方

 5社が,A社を通じて共同でa部品の原材料の共同購入を行おうとするものであることから,不当な取引制限の観点から検討する。

(1) 事業者が,他の事業者と共同して,物品・資材の購入を制限するなど競争手段を相互に制限することにより,一定の取引分野における競争を実質的に制限する場合には,独占禁止法上問題となる。[独占禁止法第3条(不当な取引制限)]

(2) 一般に,(1)製品の供給分野における参加者のシェアが高く,かつ,その供給に要するコストに占める共同購入の対象となる原材料の購入額の割合が高い場合には製品の供給分野において,また,(2)共同購入の対象となる原材料の需要全体に占める共同購入参加者のシェアが高い場合には当該原材料の購入分野において,独占禁止法上問題が生じる。

(3) 本件相談においては,(1)共同購入に参加する5社のa部品市場におけるシェアは約50%であるが,a部品の製造コストに占める共同購入を予定している各原材料の購入予定額の割合は1%以下であること,(2)共同購入の対象となる原材料の需要全体に占める5社のシェアは1%以下となっていることから,競争に与える影響は小さく,独占禁止法上問題ないと考えられる。

4 回答の要旨

 5社が,共同出資会社を通じてa部品の原材料の共同購入を行うことは,独占禁止法上問題ない。

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