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4 輸入図書等の共同物流構想 [団体ガイドライン11-2,11-3]

4 輸入図書等の共同物流構想 [団体ガイドライン11-2,11-3]

1 相談者

 洋書輸入取扱業者の団体(平成10年度)

2 相談の要旨

(1) 洋書の輸入については,従来,物流コストは輸入業者が負担するのが慣行となっている。

(2) 当団体では,会員の物流コストの低減を図るため,会員各社が輸入する書籍等を現地において取りまとめ,小口貨物を大きな一つの貨物(荷姿)にして運送することを計画している。

(3) この共同物流構想は,次のような方法により実施することを考えているが,独占禁止法上問題ないか。

[1] 共同物流構想へ参加するかどうかは個々の会員の任意によることとする。

[2] 現地のフォワーダー(貨物混載業者)での集荷・混載は,個々の会員から海外の発注先出版社ヘ指図し,当該フォワーダーの集配基地(現地指定倉庫等)へ配送することにより行われる。海外出版社が梱包したままの物を寄せ集めて,網に包むかあるいは航空コンテナにまとめるなどして運送し,国内の空港に到着後フォワーダーが荷主別に通関・配送する。

[3] フォワーダーの選定は,一番安い見積運賃を提示してきた事業者とする。また,会員の支払運賃の配分は,各社の当該輸入量の割合に応じた額とする。

3 独占禁止法上の考え方

(1) 共同事業の内容が,事業者の主たる事業に附随する運送や保管に係るものであるときには,それ自体としては,本来,対象となる商品の価格,数量や取引先に影響を与えるものではなく,共同販売等に比べて独占禁止法上問題となる可能性は低いが,共同事業の実施を通じて,構成事業者に係る対象商品の価格又は数量,顧客・販路等の競争手段を制限することにつながる場合には,独占禁止法上問題となる。
 また,共同事業に関して,参加若しくは利用を構成事業者に対して強制し,又は参加若しくは利用について事業者間で差別的な取扱いをすることは,独占禁止法上問題となるおそれがある。
[団体ガイドライン11-2(共同運送・共同保管),11-3(共同事業への参加の強制等)]

(2) 相談の場合においては,共同物流事業を実施するに際して,団体において会員の競争手段である価格,数量,取引先等に関与するものではなく,また,共同物流事業に参加するか否かは,個々の会員の判断にゆだねられていることから,独占禁止法上問題となるおそれは少ない。

4 回答の要旨

 団体として,会員の物流コストの低減を図るために,共同物流を行うことは,独占禁止法上問題ない。

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