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(令和4年6月2日)エクスペディア・ロッジング・パートナー・サービシーズ・サールから申請があった確約計画の認定等について

(令和4年6月2日)エクスペディア・ロッジング・パートナー・サービシーズ・サールから申請があった確約計画の認定等について

令和4年6月2日
公正取引委員会

 公正取引委員会は、エクスペディア・ロッジング・パートナー・サービシーズ・サール(以下「エクスペディア」という。)に対し、独占禁止法の規定に基づき審査を行ってきたところ、同社の後記2の行為が独占禁止法第19条(不公正な取引方法第12項(拘束条件付取引))の規定に違反する疑いが認められた。公正取引委員会は、当該行為について、確約手続に付すことで、エクスペディアによって当該行為を排除するための措置が速やかに実施されることにより、競争の早期回復が図られると認め、令和4年2月25日、同法第48条の2の規定に基づき、同社に対し確約手続に係る通知を行った。
 今般、エクスペディアから、公正取引委員会に対し、同法第48条の3第1項の規定に基づき、後記2の行為を排除するために必要な措置の実施に関する確約計画の認定を求める申請があった。公正取引委員会は、当該確約計画は後記2の行為を排除するために十分なものであり、かつ、その内容が確実に実施されると見込まれるものであると認め、本日、同法第48条の3第3項の規定に基づき、当該確約計画を認定した(注1)(注2)
 なお、本認定は、公正取引委員会がエクスペディアの当該行為が独占禁止法の規定に違反することを認定したものではない。

(注1)確約計画の認定は、確約手続に係る通知を受けた事業者から申請された確約計画を公正取引委員会が認定するという、独占禁止法に基づく行政処分である。

(注2)公正取引委員会は、認定した確約計画に従って確約計画が実施されていないなどの場合には、独占禁止法第48条の5第1項の規定により当該認定を取り消し、確約手続に係る通知を行う前の調査を再開することとなる。

1 申請者の概要

名称 エクスペディア・ロッジング・パートナー・サービシーズ・サール
所在地 スイス連邦 ジュネーブ 12月31日通り40-42及び44-46
代表者 ニコラス・ヴィンセンティ

2 違反被疑行為の概要

 エクスペディアは、自社の企業グループに属する事業者が運営する「Expedia」と称する宿泊予約サイト(注3)(以下「Expediaサイト」という。)に我が国所在の宿泊施設(注4)を掲載する宿泊施設の運営業者(以下「宿泊施設運営業者」という。)との間で締結し、又は自社の企業グループに属する事業者をして締結させる契約において、Expediaサイトに宿泊施設運営業者が掲載する我が国所在の宿泊施設に係る宿泊料金及び部屋数について、他の販売経路と同等又は他の販売経路よりも有利なものとする条件(ただし、当該契約において定めている、当該宿泊料金について自社ウェブサイト等の販売経路(注5)と同等又は当該販売経路よりも有利なものとする条件(以下「宿泊料金のナロー同等性条件」という(注6)。)を除く。)を定めるとともに、宿泊施設運営業者に対し、当該条件の遵守について、自ら要請し、又は我が国においてエクスペディアに対する支援業務を行うエクスペディアホールディングス株式会社(以下「エクスペディアホールディングス」という。)をして要請させている。

(注3)「宿泊予約サイト」とは、インターネットを通じて宿泊施設の予約サービスを提供するウェブサイトをいう。

(注4)「宿泊施設」とは、旅館業法(昭和23年法律第138号)第3条第1項の許可を受けて行う同法第2条第2項に規定する「旅館・ホテル営業」の用に供する施設をいう。

(注5)「自社ウェブサイト等の販売経路」とは、宿泊施設運営業者自身が運用し、又は宿泊施設運営業者の属するホテルチェーン等の運営主体が専ら当該ホテルチェーン等に属する宿泊施設の運営業者のために運用するウェブサイト等の販売経路をいう。

(注6)いわゆる同等性条件には、同等性を求める対象が、自社ウェブサイト等の販売経路で提示される宿泊料金等に限定されるナロー型のものと、そのような限定なく、全ての販売経路で提示される宿泊料金等との同等性を求めるワイド型のものがある。

3 違反被疑行為による影響

 宿泊施設運営業者がExpediaサイト以外の宿泊予約サイトも利用している場合において、当該宿泊施設運営業者は、前記2の行為により、例えば、Expediaサイト以外の宿泊予約サイトに掲載する宿泊料金をExpediaサイトに掲載するものよりも引き下げた場合、引き下げた宿泊料金と同等又はそれより低額の宿泊料金をExpediaサイトにも掲載する必要が生じることとなる。
 このため、エクスペディアの前記2の行為により、Expediaサイトと競争関係にある宿泊予約サイトの運営業者において、例えば次のとおり、自らの事業活動に影響が生じた事例が認められた。

〇 宿泊予約サイトXの運営業者が、当該宿泊予約サイトに掲載された宿泊施設の宿泊料金を自らの負担で割り引くこととし、当該割引後の宿泊料金を掲載したところ、当該宿泊施設の運営業者から、当該宿泊施設の運営業者自らの負担で当該割引後の宿泊料金と同等の宿泊料金をExpediaサイトにも掲載せざるを得なくなるとして、当該割引後の宿泊料金の掲載の中止を求められた事例

〇 宿泊予約サイトYの運営業者が、当該宿泊予約サイトにおける集客を促進させるため、掲載する宿泊施設の宿泊料金について、期間を限定して引き下げる企画を立て、当該宿泊施設の運営業者に当該企画への参加を提案したところ、当該宿泊施設の運営業者から、当該企画への参加によって当該宿泊予約サイトに特徴的な利用者層からの集客の増加が期待される一方で、引下げ後の宿泊料金と同等の宿泊料金をExpediaサイトにも掲載する必要が生じるとして、当該企画への参加を断られた事例

4 確約計画の概要

(1) 前記2の行為を取りやめること。

(2) 前記2の行為を取りやめる旨及び前記2と同様の行為を行わないこととし、この措置を今後3年間実施する旨を意思決定機関において決議すること。

(3) 前記(2)に基づいて採った措置及び前記(1)の措置を採る旨を、宿泊施設運営業者に通知し、かつ、自社の従業員並びにエクスペディアホールディングスの役員及び従業員に周知徹底すること。

(4) 今後、前記2の行為と同様の行為を行わないこととし、この措置を今後3年間実施すること。

(5) 次の事項を行うために必要な措置を講じること。

ア 宿泊施設運営業者との取引に関する独占禁止法の遵守についての行動指針の作成並びにエクスペディア及びエクスペディアホールディングス又は我が国でエクスペディアに対する支援業務を行う者の従業員のうち宿泊施設運営業者との取引に関与する従業員に対する周知徹底

イ 宿泊施設運営業者との取引に関する独占禁止法の遵守についてのエクスペディア及びエクスペディアホールディングス又は我が国でエクスペディアに対する支援業務を行う者の従業員のうち宿泊施設運営業者との取引に関与する従業員に対する定期的な研修並びに法務担当者又は外部専門家による定期的な監査

(6) 前記(1)から(3)まで、及び(5)の措置の履行状況を公正取引委員会に報告すること。

(7) 前記(4)の措置及び(5)イに基づいて講じた措置の履行状況を、今後3年間、毎年、公正取引委員会に報告すること。

5 確約計画の認定

 公正取引委員会は、前記4の確約計画が独占禁止法に規定する認定要件のいずれにも適合すると認め、当該確約計画を認定した。

6 エクスペディアによる宿泊料金のナロー同等性条件に係る行為に対する今後の対応

 公正取引委員会は、エクスペディアが宿泊施設運営業者との間で締結し、又は同社の企業グループに属する事業者をして締結させる契約において定めている宿泊料金のナロー同等性条件について、当該宿泊施設運営業者によって必ずしも遵守されていない現状から、確約手続による処理の対象としなかった。
 しかしながら、今後、エクスペディアにおける宿泊料金のナロー同等性条件の運用によっては、独占禁止法上の問題が生じる場合もあり得るため、公正取引委員会は、引き続き、公正かつ自由な競争の維持・促進の観点から、宿泊料金のナロー同等性条件が宿泊予約サイトの運営業者間の競争に与える影響を注視していくとともに、独占禁止法上の問題が認められる場合には厳正に対処することとする。

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問い合わせ先

問い合わせ先 IT・デジタルタスクフォース
公正取引委員会事務総局審査局第四審査上席(デジタルプラットフォーマー担当)
電話 03-3581-4009(直通)
ホームページ https://www.jftc.go.jp/

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