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(令和4年6月30日)株式会社サイネックス及び株式会社スマートバリューから申請があった確約計画の認定等について

(令和4年6月30日)株式会社サイネックス及び株式会社スマートバリューから申請があった確約計画の認定等について

令和4年6月30日
公正取引委員会

 公正取引委員会は、株式会社サイネックス(以下「サイネックス」という。)及び株式会社スマートバリュー(以下「スマートバリュー」という。)の2社(以下「2社」という。)に対し、独占禁止法の規定に基づき審査を行ってきたところ、2社の後記2の行為が独占禁止法第19条(不公正な取引方法第14項(競争者に対する取引妨害))の規定に違反する疑いが認められた。公正取引委員会は、当該行為について、確約手続に付すことで、2社によって当該行為を排除するための措置が速やかに実施されることにより、競争の早期回復が図られると認め、令和4年5月12日、同法第48条の2の規定に基づき、2社に対し確約手続に係る通知を行った。
 今般、2社から、それぞれ、公正取引委員会に対し、同法第48条の3第1項の規定に基づき、後記2の行為を排除するために必要な措置の実施に関する確約計画の認定を求める申請があった。公正取引委員会は、当該確約計画は後記2の行為を排除するために十分なものであり、かつ、その内容が確実に実施されると見込まれるものであると認め、本日、同法第48条の3第3項の規定に基づき、当該確約計画を認定した(注1)(注2)
 なお、本認定は、公正取引委員会が2社の当該行為が独占禁止法の規定に違反することを認定したものではない。

(注1) 確約計画の認定は、確約手続に係る通知を受けた事業者から申請された確約計画を公正取引委員会が認定するという、独占禁止法に基づく行政処分である。

(注2) 公正取引委員会は、認定した確約計画に従って確約計画が実施されていないなどの場合には、独占禁止法第48条の5第1項の規定により当該認定を取り消し、確約手続に係る通知を行う前の調査を再開することとなる。

1 申請者の概要

⑴ サイネックス

法人番号 1120001079723
名称 株式会社サイネックス
所在地 大阪市天王寺区上本町五丁目3番15号
代表者 代表取締役 村田 吉優
 
 

⑵ スマートバリュー

法人番号 6120101002687
名称 株式会社スマートバリュー
所在地 大阪市中央区道修町三丁目6番1号
代表者 代表執行役 渋谷 順

2 違反被疑行為の概要

 2社は、平成31年2月頃以降、自らのホームページをリニューアルする業務(以下「本件業務」という。)の発注を検討している市町村及び特別区(以下「市町村等」という。)に対してそれぞれが行う受注に向けた営業活動において、当該市町村等が本件業務の仕様において定める、ホームページの管理を行うために導入するコンテンツ管理システム(以下「CMS」という。)(注3)について、2社によって作成された、オープンソースソフトウェア(注4)ではないCMSとすることが当該ホームページの情報セキュリティ対策上必須である旨を記載した仕様書等の案を、自らだけではCMSに係る仕様を設定することが困難な市町村等に配付するなどして、オープンソースソフトウェアのCMSを取り扱う事業者が本件業務の受注競争に参加することを困難にさせる要件を盛り込むよう働き掛けている。

(注3) 組織が持つ情報(コンテンツ)の配信、版管理等を行うためのシステムをいう。

(注4) ソフトウェアのソースコードが無償で公開され、利用や改変、再配布を行うことが誰に対しても許可されているソフトウェアをいう。

3 違反被疑行為による影響等

⑴ オープンソースソフトウェアについては、ソースコードが公開されている点で、脆弱性が発見されやすく第三者からの攻撃の標的になりやすいとの指摘がある。しかしながら、オープンソースソフトウェアではないソフトウェアについても、脆弱性が存在している場合はある。このため、情報システムにおける情報セキュリティ上の問題への対応においては、使用するソフトウェアがオープンソースソフトウェアであるか否かにかかわらず、適切に管理されたソフトウェアを使用して情報システムを構築すること及び構築後、使用するソフトウェアを最新版にアップデートしておくこと等の脆弱性を解消する運用・保守が欠かせないものである。
したがって、市町村等において導入されるCMSを、情報セキュリティ対策からオープンソースソフトウェアではないCMSとしなければならない理由はないものと考えられる。

⑵ 前記2の行為を受けた市町村等の中には、オープンソースソフトウェアのCMSは情報セキュリティ対策上問題があるものと認識し、本件業務の仕様において、オープンソースソフトウェアのCMSの導入を認めない旨を定めた上で発注を行ったものがあり、これにより、オープンソースソフトウェアのCMSを取り扱う事業者は、当該本件業務の受注競争に参加することができないこととなっていた。

4 2社の確約計画の概要

⑴ 前記2の行為を取りやめること。

⑵ 前記⑴及び後記⑷の措置を採る旨を取締役会で決議すること。

⑶ 前記⑵に基づいて採った措置及び前記⑴の措置を採る旨を、前記2の行為の対象となっている市町村等に通知し、かつ、自社の従業員に周知徹底すること。

⑷ 前記2と同様の行為を行わないこととし、この措置を今後3年間実施すること。

⑸ 次の事項を行うために必要な措置を講じること。

ア 本件業務の受注に向けた営業活動に関する独占禁止法の遵守についての行動指針の作成並びに自社の役員及び従業員に対する周知徹底(注5)

イ 本件業務の受注に向けた営業活動に関与する自社の役員及び従業員に対する独占禁止法の遵守についての定期的な研修及び法務担当者による定期的な監査。

⑹ 前記⑴から⑶まで及び前記⑸の措置の履行状況を公正取引委員会に報告すること。

⑺ 前記⑷の措置及び前記⑸イに基づいて講じた措置の履行状況を、今後3年間、毎年、公正取引委員会に報告すること。

(注5) サイネックスにおける周知徹底の対象は、「本件業務の受注に向けた営業活動に関与する自社の役員及び従業員」である。

 

5 確約計画の認定

 公正取引委員会は、前記4の確約計画が独占禁止法に規定する認定要件のいずれにも適合すると認め、当該確約計画を認定した。

6 本件と関連する公正取引委員会のアドボカシー・唱導活動(実態調査)

 公正取引委員会では、今後成長が期待される分野や規制分野の事業活動の実態等について調査を行い、独占禁止法・競争政策上の考え方を明らかにして、事業者等による取引慣行の自主的な改善を促すとともに、その調査結果を公表している。

 次の実態調査に係る報告書において、本件違反被疑行為と関連する行為は、独占禁止法上問題となるおそれがあるとされているものである。また、公正取引委員会は、独占禁止法違反行為に対しては、厳正に対処していくこととしている。

⑴ 官公庁における情報システム調達に関する実態調査(令和4年2月8日報告書公表)

・ 「官公庁の情報システム調達において、ベンダーが、発注担当者が仕様に精通していないことに付け込み不正確な情報を提供するなどして自社のみが対応できる仕様書による入札を実現し、自社の仕様を盛り込むことにより、他のベンダーの入札参加を困難にさせ、官公庁の入札方針に反する入札をさせている場合など」には、独占禁止法上問題となるおそれがある(私的独占等)。(実態調査報告書第4の1⑵)

⑵ スタートアップの取引慣行に関する実態調査(令和2年11月27日最終報告書公表)

・ 「競合他社が、スタートアップの販売先に対し、スタートアップの商品等に関する悪評を流すことにより、スタートアップとその販売先との取引を妨害した事例」について、それが不公正な競争手段によるものである場合には、競争者に対する取引妨害(一般指定第14項)として問題となるおそれがある。(最終報告書第4の5⑴)

7 今後の取組

 公正取引委員会は、市町村等におけるベンダーロックインや独占禁止法違反行為の未然防止のための取組に資するべく、全国の地方公共団体に対し、本新聞発表文を周知することとする。

関連ファイル

(令和4年6月30日)株式会社サイネックス及び株式会社スマートバリューから申請があった確約計画の認定等について

(令和4年6月30日)参考1(本件の概要)

(令和4年6月30日)参考2-3(過去の事例及び参照条文)

問い合わせ先

公正取引委員会事務総局審査局第一審査
電話 03-3581-4960(直通)
ホームページ https://www.jftc.go.jp/

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