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(令和4年3月25日)アメアスポーツジャパン株式会社及びウイルソン・スポーティング・グッズ・カンパニーから申請があった確約計画の認定について

(令和4年3月25日)アメアスポーツジャパン株式会社及びウイルソン・スポーティング・グッズ・カンパニーから申請があった確約計画の認定について

令和4年3月25日
公正取引委員会

 公正取引委員会は,アメアスポーツジャパン株式会社(以下「アメアジャパン」という。)及びウイルソン・スポーティング・グッズ・カンパニー(以下「ウイルソン」という。)に対し,独占禁止法の規定に基づき審査を行ってきたところ,アメアジャパン及びウイルソンの後記2の行為が独占禁止法第19条(不公正な取引方法第14項〔競争者に対する取引妨害〕)の規定に違反する疑いが認められた。公正取引委員会は,当該行為について,確約手続に付すことで,アメアジャパン及びウイルソンによって当該行為が排除されたことを確保するために必要な措置が速やかに実施されることにより,競争の早期回復が図られると認め,令和3年12月24日,同法第48条の6の規定に基づき,アメアジャパン及びウイルソンに対し確約手続に係る通知を行った。
 今般,アメアジャパン及びウイルソンから,それぞれ,公正取引委員会に対し,同法第48条の7第1項の規定に基づき,後記2の行為が排除されたことを確保するために必要な措置の実施に関する確約計画の認定を求める申請があった。公正取引委員会は,当該確約計画は後記2の行為が排除されたことを確保するために十分なものであり,かつ,その内容が確実に実施されると見込まれるものであると認め,本日,同法第48条の7第3項の規定に基づき,当該確約計画を認定した(注1)(注2)
 なお,本認定は,公正取引委員会がアメアジャパン及びウイルソンの当該行為が独占禁止法の規定に違反することを認定したものではない。

(注1) 確約計画の認定は,確約手続に係る通知を受けた事業者から申請された確約計画を公正取引委員会が認定するという,独占禁止法に基づく行政処分である。

(注2) 公正取引委員会は,認定した確約計画に従って確約計画が実施されていないなどの場合には,独占禁止法第48条の9第1項の規定により当該認定を取り消し,確約手続に係る通知を行う前の調査を再開することとなる。

 

1 申請者の概要

⑴ アメアジャパン

法人番号 8011201015308
名称 アメアスポーツジャパン株式会社        
所在地 東京都新宿区新宿六丁目27番30号
代表者 代表取締役 ショーン・ヒリアー

⑵ ウイルソン

名称 ウイルソン・スポーティング・グッズ・カンパニー
   所在地    アメリカ合衆国イリノイ州シカゴ市イーストランドルフ通り130番地600号
代表者 ジョー・ダディ

2 違反被疑行為の概要

 ウイルソンの子会社であるアメアジャパンは,遅くとも平成28年9月頃以降,令和2年9月までの間,ウイルソンが正規に製造し,ウイルソン又はウイルソンの属する企業グループに属する事業者(以下「ウイルソンのグループ会社」といい,アメアジャパンを含む。)を通じて販売される,硬式テニス用テニスラケットの一種であって,上級者向けであるウイルソン製のパフォーマンステニスラケット(以下「本件テニスラケット」という。)を,国外の正規の販売業者(注3)から輸入した本件テニスラケット(以下「並行輸入品」という。)を取り扱う輸入販売業者(以下「並行輸入業者」という。)から入手し,これに貼付されたホログラムシール(注4)の情報をウイルソンに連絡するとともに,連絡した情報から当該並行輸入品を当該並行輸入業者に販売した国外の正規の販売業者を特定した上で当該国外の正規の販売業者が並行輸入業者へ本件テニスラケットを販売しないようにさせることをウイルソンに求め,これを受け,ウイルソンは,本件テニスラケットをウイルソンが指定した販売地域外に販売することができない旨定めた書面に基づくなどして,特定した国外の正規の販売業者に対し,並行輸入業者に本件テニスラケットを販売しないよう警告していた。

(注3) 日本国外に所在し,日本国外の消費者に本件テニスラケットを販売するものとしてウイルソンが認めた販売業者をいう。

(注4) ウイルソンが本件テニスラケットに貼付するシールであって,本件テニスラケットの製品保証のためのシリアルナンバーが記録されたものをいう。

3 並行輸入品及び違反被疑行為による影響について

 前記2において,並行輸入業者が販売していた並行輸入品は,アメアジャパンが販売業者を通じて販売していた本件テニスラケットと比較して安価に販売されていた。
 並行輸入業者の中には,前記2の行為により,国外の正規の販売業者からの本件テニスラケットの輸入を妨げられた者がいた。

4 確約計画の概要

⑴ アメアジャパン

        ア 次の事項を取締役会において決議すること。

   (ア) 前記2の行為を既に行っていないことを確認すること。

   (イ) 前記2の行為と同様の行為を日本に向けて販売される本件テニスラケットに関しては行わないこととし,この措置を今後3年間実施すること。

        イ 前記アに基づいて採った措置を,並行輸入業者に対し,アメアジャパンとウイルソンの連名で通知すること。

     ウ 前記アに基づいて採った措置を,アメアジャパンの全従業員(アルバイト従業員を除く。)に対し周知徹底すること。

     エ 前記2の行為と同様の行為を日本に向けて販売される本件テニスラケットに関しては行わないこととし,この措置を今後3年間実施すること。

        オ 次の事項を行うために必要な措置を講じること。

     (ア) 法務・コンプライアンス担当取締役の設置

 (イ) 日本の独占禁止法違反となる行為の明確化を内容とする社内規程の改定及び同社内規程のアメアジャパンの従業員への周知徹底

 (ウ) 本件テニスラケットの事業活動に関する日本の独占禁止法の遵守についての,アメアジャパンの役員・従業員のうち,本件テニスラケットの販売又はマーケティングを担当する者及びそれらの者の指導・監督を行う者に対する今後3年間の定期的な研修の実施

 (エ) 本件テニスラケットの事業活動に関する日本の独占禁止法の遵守についての今後3年間の定期的な内部監査の実施

        カ 前記アないしウ及びオの措置の履行状況を公正取引委員会に報告すること。

        キ 前記エの措置並びにオ(ウ)及び(エ)の措置の履行状況を,今後3年間,毎年,公正取引委員会に報告すること。

⑵ ウイルソン

      ア 次の事項を取締役会において決議すること。

  (ア) 前記2の行為を既に行っていないことを確認すること。

 (イ) 前記2の行為と同様の行為を日本に向けて販売される本件テニスラケットに関しては行わないこと及び前記2のアメアジャパンからの求めがない場合においても,ウイルソンが直接又はウイルソンのグループ会社(アメアジャパンを除く。)を通じて取引するかを問わず,日本国外の正規の販売業者が,日本に所在する並行輸入業者へ日本の消費者への再販売のために,日本に所在する並行輸入業者からの求めに応じて本件テニスラケットを販売すること(以下「受動的販売」という。)を禁じるいかなる方針も日本に関しては執行しないこととし,この措置を今後3年間実施すること。

      イ 前記アに基づいて採った措置を,掲載日から6か月間継続して,ウイルソンのウェブサイトにおいて掲載すること。

      ウ 前記アに基づいて採った措置を,平成28年9月以降にアメアジャパンが本件テニスラケットを購入した並行輸入業者にアメアジャパンをもってウイルソンと連名で通知すること。

      エ 前記アに基づいて採った措置を,ウイルソンの親会社であるアメアスポーツコーポレーション及び本件テニスラケットを販売するウイルソンのグループ会社(アメアジャパンを除く。)に通知すること。

      オ 前記アに基づいて採った措置を,ウイルソンの本件テニスラケットの商品流通事業に従事する全従業員及びウイルソンのグループ会社(アメアジャパンを除く。)の本件テニスラケットの商品流通事業に従事する全管理職に対して周知徹底すること。

      カ 前記2の行為と同様の行為を日本に向けて販売される本件テニスラケットに関しては行わないこと及び前記2のアメアジャパンからの求めがない場合においても,ウイルソンが直接又はウイルソンのグループ会社(アメアジャパンを除く。)を通じて取引するかを問わず,受動的販売を禁じるいかなる方針も日本に関しては執行しないこととし,この措置を今後3年間実施すること。

      キ 今後3年間次の事項を行うために,必要な措置を講じること。

 (ア) 前記2の行為を行わないようにするため,前記2の行為が日本の独占禁止法上の問題を生じさせることを本件テニスラケットの商品流通事業に従事するウイルソンの全従業員に対し改めて周知するとともに,アメアスポーツ行動規範があらゆる競争法の遵守を含んでいることを明確にした文書の作成及び同文書の本件テニスラケットの商品流通事業に従事するウイルソンの全従業員に対する周知徹底

 (イ) ウイルソンの本件テニスラケットの商品流通事業に従事する全従業員に対する前記2の行為を行わないようにするための法務担当者又は外部専門家による定期的な研修

 (ウ) 前記2の行為を行わなかったことを確認するための法務担当者又は外部専門家によるウイルソンにおける本件テニスラケットの商品流通事業の定期的な監査

      ク 前記アないしオ及びキの措置の履行状況を公正取引委員会に報告すること。

      ケ 前記カの措置並びに前記キ(イ)及び(ウ)に基づいて講じた措置の履行状況を,今後3年間,毎年,公正取引委員会に報告すること。

5 確約計画の認定

 公正取引委員会は,前記4⑴及び⑵の各確約計画が独占禁止法に規定する認定要件のいずれにも適合すると認め,当該確約計画を認定した。


関連ファイル

 問い合わせ先

 公正取引委員会事務総局審査局第一審査上席(国際カルテル担当)
 電話 03-3581-4013(直通)
 ホームページ https://www.jftc.go.jp/

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