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(平成26年6月25日)保育分野に関する調査報告書について(概要)

平成26年6月25日
公正取引委員会

第1 経緯(報告書第1の1)

 我が国の少子化の要因の一つとして,仕事と子育ての両立の難しさが挙げられている。特に都市部では,保育の需要に対して子供を預かる保育施設が不足しており,待機児童の発生が大きな問題となっている。
 保育分野については,平成24年8月に子ども・子育て関連三法が成立し,平成27年4月に予定されている同法に基づく子ども・子育て支援新制度(以下「新制度」という。)の施行に向けた準備が国・自治体双方で行われているほか,「待機児童解消加速化プラン」(平成25年4月19日内閣総理大臣公表)に基づき,平成29年度末までに待機児童を解消することを目指して種々の取組が強化されてきている。
 また,「日本再興戦略」(平成25年6月14日閣議決定)では,保育分野は,「制度の設計次第で巨大な新市場として成長の原動力になり得る分野」,「良質で低コストのサービス(中略)を国民に効率的に提供できる大きな余地が残された分野」とされている。さらに,国の成長・発展等への貢献を目的に,「規制改革実施計画」(平成25年6月14日閣議決定)においては,保育の質を確保しつつ,待機児童の解消を目指し,改革に取り組むこととされている。
 このように,保育分野は,需要の充足が求められているだけではなく,我が国の成長分野となることが期待されている分野である。
 公正取引委員会では,事業者の公正かつ自由な競争を促進し,もって消費者の利益を確保することを目的とする競争政策の観点から,保育分野の現状について調査・検討を行い,競争政策上の考え方を整理することとした。
競争政策は,事業者の新規参入や創意工夫の発揮のための環境を整備することにより,事業者間の競争を促進し,これによって,消費者に良質な商品・サービスが提供されることを確保するとともに,消費者がそれを比較・選択することを通して,事業者に商品・サービスの質の更なる改善を促すことを目指すものである。
 このような競争政策の観点から保育分野について考え方を整理することは,保育サービスの供給量の増加や質の向上が図られることにつながるとともに,ひいては,同分野を我が国の成長分野とすることにも資すると考えられる。
 公正取引委員会としては,上記のような競争政策の観点から保育分野について検討を行うに当たっては,[1]多様な事業者の新規参入が可能となる環境,[2]事業者が公平な条件の下で競争できる環境,[3]利用者の選択が適切に行われ得る環境,[4]事業者の創意工夫が発揮され得る環境が整っているかといった点が重要であると考えられることから,主にこれらの点について検討を行った。

第2 調査方法(報告書第1の3)

[1] 認可保育所(以下「保育所」という。)の実態等を把握するため,社会福祉法人,株式会社等,自治体に対する書面アンケート調査を実施した。
(有効回答数:社会福祉法人563法人,株式会社等170社,自治体430団体)
[2] 保育に関する保護者の意識等を把握するため,保育所利用者及び保育所非利用者に対してウェブアンケート調査を実施した。
(回答者数:保育所利用者417人,保育所非利用者419人)
[3] 自治体,社会福祉法人,株式会社及び学識経験者等の計18者に対して,ヒアリング調査を実施した。
[4] 有識者から保育分野の実態等に関する意見を聴取するため,全3回の意見交換会を開催した。

第3 実態及び意見交換会における議論等(報告書第3)

1 新規参入(報告書第3の1)

 多様な事業者の新規参入が可能となる環境が整っているかとの視点から,新規参入に係る制度とその実態等について調査を行った。
 制度上,保育所の設置主体には既に制限はないが,市町村の中には,株式会社等を参入させることに消極的なところがあり,応募要綱等で応募資格を社会福祉法人に限定するなどの事例が見受けられた。また,「既存の社会福祉法人の参入しか認めない自治体がある」,「地域の既存の保育所の理事長全てから新規参入の同意を得ることを求められた」,「他の市町村での保育所の運営実績がないと認可されない」,「表面上は株式会社の参入を認めているが,事業者の選定を行う委員に,株式会社の参入に批判的な人物を配置し,株式会社の参入を実質的に制限している」等の意見があった。
 市町村が保育所の設置主体として株式会社を選択しない理由としては,株式会社について,「倒産する懸念がある」,「提供する保育の質に懸念がある」との回答がみられたほか,「社会福祉法人であれば,撤退時に施設等が他の社会福祉法人又は国庫に帰属するため,撤退する保育所に入所する子供に継続して保育を提供することが比較的容易であり,利用者の保護が図られる」との指摘があった。
 ただし,上記のような懸念については,「株式会社でも社会福祉法人でも,法人形態による大きな違いはなく,結局,個々の事業者の問題である」,「法令による基準を遵守しなければならないため,質の切下げは不可能である」,「社会福祉法人であっても,事業の存続ができなくなった例がある」,「今は,賃貸物件により保育所を運営する社会福祉法人も多く存在し,撤退時の残余財産に係る規制がないことを根拠に株式会社等の参入を認めないとの理屈の妥当性は小さくなっていると思われる」等の反論があった。
 保護者についてみると,株式会社の参入について賛成の旨の意見を持つ者が大半を占めている。

2 補助制度・税制(報告書第3の2)

 事業者が公平な条件の下で競争できる環境が整っているかとの視点から,補助制度・税制とその実態等について調査を行った。

(1) 補助制度
 現行制度においては,保育所の創設・増築・増改築等に要する費用に対する補助は,株式会社等は対象とされていない。また,自治体独自の補助制度の中には,補助対象を社会福祉法人に限定していたり,社会福祉法人とそれ以外の法人とで補助金額や交付条件等に差を設けていたりする事例が見受けられた。
 このことについて,「自治体独自の補助制度において株式会社を対象としていない場合,当該自治体の地域には,そもそも株式会社は参入しない」,「社会福祉法人と株式会社とで補助等に差があるため,収入に差が生じ,保育士の処遇や事業の新規展開に影響が生じる」等の弊害を指摘する意見があった。

(2) 税制
 社会福祉法人の場合は,原則として,法人税,住民税及び事業税が非課税となっている。
 このことについて,「課税の有無により,余剰金として残せる金額が異なるため,次の保育所の設置のしやすさに違いが出る」,「課税の有無により,保育サービスに差が生じる」等の意見があった。

3 情報公開・第三者評価(報告書第3の3)

 利用者の選択が適切に行われ得る環境が整っているかとの視点から,利用者の選択の基礎となる情報公開・第三者評価に係る制度とその実態等について調査を行った。

(1) 情報公開
 情報公開の意義について,「保育所は密室であるため,情報は公開されるべきであり,外からの目が必要」,「情報公開は,利用者の選択に資するために必要なものであり,有用かつ選択の指標となり得る情報は公表されることが望ましい」,「社会に表明したことは自ずとその実施・遵守の責務が生じること,情報が具体的であるほど他の保育所との優劣が鮮明になり,自ずと事業者の向上努力が促されることから,具体的な情報の開示を行うことは,恒常的な保育の質の向上を促す」等の意見があった。
 他方,保護者が公開を求める情報と実際に市町村や事業者から公開されている情報の間にはギャップが生じている実態が見受けられる。また,比較的多くの事業者が情報公開手段として保育所への資料の備付けを挙げているが,この閲覧により情報を入手した保護者はごくわずかであり,保護者の情報入手手段としては,周囲・知人等やウェブサイト,説明会への参加を挙げている者が比較的多かった。
 自治体における情報公開について,情報公開に積極的に取り組んでいるとする自治体がある一方で,保護者がどのような情報を必要としているのかを把握する仕組みを有していない自治体が見受けられた。

(2) 第三者評価
 事業者が提供するサービスの質を,事業者及び利用者以外の公正・中立な第三者評価機関が専門的かつ客観的な立場から評価する第三者評価の意義について,「第三者評価は,PDCAサイクル(注)の『C』の部分を担っており,事業者に改善を促すことにより,保育の質の向上につながる」,「子供は意見を言えないため,独り善がりな保育になりがちであり,第三者評価はメリットがある」,「第三者評価は,保育所が公表している情報の適正性を一定程度確認する点検装置となり得る」等の意見があった。
 現状では,保護者における第三者評価の認知度は低く,また,評価結果を参照した者の割合は小さいものの,参照した者の中で参考になった旨を回答した者の割合は9割以上であった。また,参照したいとの回答も多く,第三者評価への期待が見受けられる。
 他方,現行制度では第三者評価の受審は事業者の任意となっており,受審率は平成24年度で4.34%となっている。第三者評価の必要性や意義を十分に認識していないと思われる事業者も見受けられた。また,自治体の中には,第三者評価における指摘の内容や,事業者が評価の結果を質の改善につなげているかなどを把握していない自治体が見受けられた。さらに,第三者評価の公平性・信頼性を疑問視する指摘もあった。
 (注)Plan(計画),Do(実施),Check(評価),Action(改善)のサイクルのことをいう。

4 付加的なサービス(報告書第3の4)

 事業者の創意工夫が発揮され得る環境が整っているかとの視点から,事業者の発意により実施する付加的なサービスに係る制度とその実態等について調査を行った。
 保育所における付加的なサービスの実施とそれに要する費用の徴収は,制度上は可能であるものの,その考え方や運用には,自治体ごとに様々な態様があり,一部の自治体においては,費用の徴収や,利用者が利用するか否かを選択できるサービスの実施を認めない運用を行っている事例が見受けられた。
 他方,保護者についてみると,保育料のほかに追加費用を支払っても実施してほしいサービスがあると回答した者が一定程度存在し,付加的なサービスに対する一定のニーズや,追加費用の負担を許容する態度が見受けられる。
 また,「保育内容は一定の型が決められてしまっており,事業者が創意工夫を凝らす余地が小さい」等の意見があった。

第4 保育分野に対する競争政策上の考え方(報告書第4)

1 基本的な考え方(報告書第4の1)

 社会福祉分野においては,低所得者等を含め,福祉サービスを必要とする者に対し,適正な水準のサービスを提供するとの観点から,公的な関与が行われてきた。
 しかし,社会福祉分野の中でも,保育所を経営する事業は,社会福祉法において,自主性と創意工夫を助長するため,公的規制の必要性が低い事業として,経営主体に制限のない「第二種社会福祉事業」に位置付けられている。
 また,保育所における保育の提供は,長年,児童福祉法において,行政の義務として位置付けられているものの,社会経済情勢の変化に伴い,平成9年に,他の社会福祉事業よりも早く,措置(市町村の行政処分)により入所を決定する制度から,利用者が希望する施設等を選択して利用する制度への転換が図られた。さらに,平成12年に,待機児童の解消等を目的に,保育所設置主体が株式会社等の多様な事業者に拡大された。
 このように,保育分野は,本来,社会福祉事業の中でも,市場原理を活用した保育サービスの質の向上等が期待されている分野であり,多様な事業者による創意工夫の発揮や活発な競争を促すことによって消費者の利益を確保することを目指す競争政策との親和性が相対的に高い分野であると考えられる。
 このため,競争政策の観点から保育分野についての考え方を整理することは,多様な事業者の新規参入や事業者による創意工夫の発揮などを通じ同分野における活発な競争を促すことによって,保育サービスの供給量の増加や質の向上につながるとともに,ひいては,同分野を成長分野とすることにも資すると考えられる。
 なお,保育分野においては,子供の健康や安全を確保する観点から,保育所を運営する事業者が遵守しなければならない一定のルールが必要であることはいうまでもない。当該ルールは,保育所を運営する全ての事業者に対し,その法人形態の如何を問わず等しく課されるべきものであり,また,事業者間における競争や切磋琢磨も当該ルールの遵守を前提として行われなければならないことは当然である。

2 競争政策の観点からの検討及び考え方(報告書第4の2)

(1) 新規参入(報告書第4の2(1))
 競争政策の観点からは,多様な事業者の新規参入が可能となる環境の整備が重要であると考えられる。

ア 検討
 意欲ある事業者の参入が排除されないよう,法人形態を問わず多様な事業者の新規参入を認めることが必要であると考えられる。
 また,多様な事業者の参入を認めることは,保育サービスの供給量が増加することにつながり,待機児童問題の解消にも資すると考えられる。さらに,多様な事業者が切磋琢磨することにより,保育の質の向上が図られると考えられる。
 しかし,一部の自治体において,株式会社等の参入を認めない,株式会社等が参入不可能な条件を設定するといった運用が行われており,このために,多様な事業者の参入が十分に確保されていないと考えられる。
 一部の自治体がこのような運用を行う理由として,株式会社等が提供する保育の質に懸念があることが挙げられているが,[1]保育の質の高低は,法人形態により決まるものではなく,個々の事業者次第であると考えられること,[2]そもそも,保育士の人数や施設の面積等に係る基準により,法人形態を問わず必要な質は確保されており,むしろ,法人形態を問わず多様な事業者の参入を認め,これら事業者が切磋琢磨することにより,更なる質の向上が図られると考えられることから,保育の質を理由に,株式会社等であることをもって参入を排除する運用は,合理性に乏しいと考えられる。
 また,このような運用を行う別の理由として,株式会社等は倒産などの理由により撤退する懸念があることや,撤退時の残余財産に係る規制が存するために保育所の運営を他事業者に引き継ぐのが容易な社会福祉法人と比べ,株式会社等の場合は撤退時の利用者保護が図られにくいことが挙げられているが,[1]社会福祉法人であっても撤退事例が少なからずあること,[2]撤退時の利用者保護については,例えば,撤退前に自治体との協議や予告期間を設けるなど,撤退時の残余財産に係る規制より具体的・実効的な利用者保護策も十分に考えられることから,撤退する懸念があることや撤退時の規制がないことを理由に,株式会社等であることをもって参入を排除する必要があるとはいえないと考えられる。
 新制度においては,保育所の設置認可申請に係る審査の基準がより明確にされ,現行制度に比べ,認可に係る恣意的な運用を避けるための措置が講じられたと考えられる。

イ 考え方
 自治体においては,新制度において講じられた措置を踏まえ,現行制度下でも,法人形態を問わず多様な事業者の参入が可能となるような運用を行うべきである。
 当然のことながら,新制度下においては,株式会社等の参入抑止を目的とする条件や規制を設けるなど,特定の法人形態の事業者を不利に取り扱うような不公平な運用を行うことのないようにすべきである。
 また,新規事業者の参入に当たり,既存事業者の同意を得ることを求めるなど,新規参入を困難にするような運用を行うことのないようにし,併せて,事業者の選定は公募によることとするなど,意欲ある多様な事業者に広く参入の機会が与えられるようにするとともに,法律上の認可要件の充足がなされていることを前提に,具体的な事業者の選定は,客観的な指標に基づいて行うなど,恣意性の排除に努めるべきである。加えて,いわゆる「公設民営」方式を採る場合の事業者の選定においても,上記と同様の対応を行うべきである。

(2) 補助制度・税制(報告書第4の2(2))
 競争政策の観点からは,事業者が公平な条件の下で競争できる環境の整備が重要であると考えられる。

ア 検討
 多様な事業者の参入を促進するとともに,保育所の利用者が公平かつ十分に便益を享受することを可能とするためには,補助制度や税制のイコールフッティング(注)を確保し,事業者が公平な条件で保育サービスを提供できるようにすることが必要であると考えられる。
 また,イコールフッティングの確保は,将来的に需要がピークアウトした際に,質の高いサービスを提供する事業者が保護者から選択され,事業を継続できるようにするためにも重要であると考えられる。
 この点,補助制度,特に保育所の創設・増築・増改築等に要する費用に対する補助については,現行制度では,株式会社等は対象とされていないものの,新制度においては,法人形態による差は小さくなる方向にあると考えられる。一方で,自治体独自の補助制度は,現在,法人形態による差のあるものが存在するが,新制度施行後の取扱いについては,今後検討するとしている自治体が多い。
 他方,税制については,社会福祉法人の場合は,原則として法人税等が非課税となっており,現時点では,新制度においても変更はない。
 (注)事業者間における事業を実施するための条件を公平なものとすること

イ 考え方
 自治体においては,自治体独自の補助制度について,事業者が公平な条件で保育サービスが提供できるよう,法人形態を問わず公平な補助制度とすべきである。
 他方,保育所を設置する事業者に対する税制措置については,現在,株式会社等の多様な事業者の参入が可能となっており,また,今後参入する事業者の増加が見込まれる中で,課税の有無が事業者の提供する保育サービスの内容等に与える影響や,社会福祉法人に対する税制上の優遇措置の趣旨・効果等を総合的に勘案し,その在り方について,十分な検討を行うことが求められる。

(3) 情報公開・第三者評価(報告書第4の2(3))
 競争政策の観点からは,利用者の選択が適切に行われ得る環境の整備が重要であると考えられる。

ア 情報公開
(ア) 検討
 子供に対して,保育の内容や質について十分な評価を行うことを期待することは難しい上,保育の実態は外部からは見えにくいため,サービスの利用者からの要望や選択によって,サービスの内容や質を事業者自ら改善する取組が十分に図られることが期待しにくい。このような事情を踏まえると,入所前の保育所を選択する時点で,どのような保育が行われるのかについて,保護者が十分に評価・判断し,適切な選択を行えるようにすることが重要である。この保護者の選択により,事業者間の競争が促進され,事業者に保育の内容や質の更なる改善を促すことが期待されるほか,保護者に対して情報を広く公開すること自体により,事業者間の比較が可能となり,事業者自ら保育の内容や質を向上させる取組を促すことにつながると考えられる。そして,このような情報公開の機能が発揮されるためには,保護者にとって有用な情報が事業者や自治体から広く提供されるとともに,これを保護者が容易に入手できることが必要である。
 この点,現状では,保護者にとって有用な情報が,保護者の入手しやすい方法で公開されているとは言い難いものとなっている。

(イ) 考え方
 事業者においては,保護者が公開を求める情報を把握し,多くの保護者が情報入手手段として利用している保育所のウェブサイトを始めとするインターネット上での公開など,保護者が入手しやすい方法により,更に積極的な情報公開を行っていくべきである。
 自治体においては,保護者の保育所の選択に資するよう,保護者が求める情報を把握し,公開されている情報とのギャップをなくす仕組みを構築したり,保護者が入手しやすい方法により情報を公開することを検討すべきである。

イ 第三者評価
(ア) 検討
 情報公開に加えて,専門的な見地から行われる第三者評価の定期的な受審とその結果の公表を推進することは,事業者が,自己が提供する保育について振り返ることや,他の事業者が提供する保育と比較することを可能とし,保育の質を改善・向上させる有用な手段になるとともに,保護者が保育所を比較検討することにも資する。とりわけ,新制度の下で保育所の量的拡大が見込まれる中では,保護者の選択肢が増加することが予想され,第三者評価に期待される役割は,従来よりも高まるものと考えられる。
 この点,現状では,第三者評価が全国的に広く受審されているとは言い難いものとなっている。そのため,保護者における制度の認知度や受審結果の利用率は低く,保育所の選択にはいかされていないと考えられる。

(イ) 考え方
 国や自治体は,保護者に対し,第三者評価制度の周知を図り,認知度向上に努めるとともに,事業者が制度の必要性や意義を十分に認識できるようにし,併せて,保護者の比較検討に資するよう,第三者評価の結果が具体的かつ分かりやすい形で公表されるようにすべきである。さらに,自治体は,保育の質を高めていくため,第三者評価の中で確認された問題点や保護者の要望等を確実に把握し,自治体の保育施策に役立てていくとともに,先進的な自治体の取組も参考にしつつ,第三者評価の受審率の向上に努めるべきである。
 各事業者においても,積極的な受審や評価結果の公表に努めるべきである。
 また,第三者評価の精度をより高めるとともに,信頼性を確保するため,例えば,[1]第三者評価制度の公益性に鑑み,評価機関に対して一定の規制を設ける,[2]評価項目・方法は統一的な基準に基づくものとするなど,第三者評価機関の資質向上や評価の公平性の確保等が図られる制度が構築されるべきである。

(4) 付加的なサービス(報告書第4の2(4))
 競争政策の観点からは,事業者の創意工夫が発揮され得る環境の整備が重要であると考えられる。

ア 検討
 利用者の多様な保育サービスに対する需要に応えていくためには,子供の健康や安全を確保するためのルールの遵守を前提に,低所得者に対する必要な保育の提供が確保されることに配慮した上で,事業者による付加的なサービスの実施を広く認め,競争を通じて事業者の創意工夫の発揮を促すことで,保育サービスの内容の多様化を図り,利用者の選択肢が増えるようにする必要があると考えられる。
 また,付加的なサービスの実施とともに,その費用を徴収することを認めることは,更に質の高い保育サービスを提供するための補助金等に代替する原資を得る手段にもなり得ると考えられることから,法人形態による補助金額等の差を実質的に小さくする効果も期待できると考えられる。加えて,このようにすることは,意欲ある事業者の参入の可能性を拡大するとともに,多様な事業者が切磋琢磨することにより,保育の質が向上することにも資すると考えられる。
 しかし,一部の自治体において,付加的なサービスの実施に要する費用の徴収や,利用者が利用するか否かを選択できるサービスの実施を認めない運用が行われており,事業者が保護者の需要に十分に応えることを困難にし,また,事業者の創意工夫の発揮を妨げていると考えられる。

イ 考え方
 自治体においては,子供の健康や安全を確保するためのルールの遵守を前提に,低所得者に対する必要な保育の提供が確保されることに配慮した上で,付加的なサービスの実施とそれに要する費用の徴収を認め,事業者の創意工夫の発揮を促すことで,保育サービスの多様化を可能な限り確保すべきである。

3 結語(報告書第4の3)

 以上,競争政策の観点から,保育分野についての考え方を整理した。前記2において示した考え方に基づき,多様な事業者の新規参入や,公平な条件の下での競争,利用者の適切な選択,各事業者の創意工夫の発揮が可能となる環境を整備していくことが重要である。その結果,多様な事業者の新規参入が進み,保育サービスの供給量が増加するとともに,事業者間の競争の促進や利用者の適切な選択を通して,利用者に提供される保育サービスの質の向上が図られ,ひいては,同分野が我が国の成長分野となることにも資すると考えられる。

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電話 03-3581-5483(直通)
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