平成26年10月10日
公正取引委員会
はじめに
公正取引委員会は,平成26年4月1日の消費税率の引上げに当たり,消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保する観点から,消費税の転嫁拒否等の行為(以下「転嫁拒否行為」という。)の未然防止のための取組と,転嫁拒否行為に対する迅速かつ厳正な対処のための取組を進めてきた。
消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保することを目的として,消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法(以下「消費税転嫁対策特別措置法」という。)が平成25年10月1日に施行されているところ,これまでの1年間の消費税転嫁対策に関する取組状況については,次のとおりである。
第1 消費税転嫁対策に係る取組状況
1 転嫁拒否行為に対する迅速かつ厳正な対処のための取組
(1) 転嫁拒否行為に関する情報収集
ア 転嫁拒否行為等についての調査部署及び相談窓口の設置
(ア) 消費税転嫁対策調査室の設置
公正取引委員会は,転嫁拒否行為等に対して迅速かつ厳正に対処することを目的として,平成25年10月1日,本局及び全国の地方事務所等に「消費税転嫁対策調査室」を設置した。
(イ) 相談窓口の設置
公正取引委員会は,転嫁拒否行為等に関する事業者からの相談や情報提供を一元的に受け付けるための相談窓口を,平成25年4月1日に本局に,同年10月1日に全国の地方事務所等に設置した。
また,平成26年4月1日の消費税率の引上げ時に集中する相談に対応するため,休日専用ダイヤルを設け,平成26年3月及び4月の毎週土曜日に,電話相談を受け付けるなど相談対応の強化を図った。
当該相談窓口において,これまでに4,199件の相談に対応した(平成26年9月末時点)。
イ 書面調査
(ア) 中小企業・小規模事業者等に対する書面調査
公正取引委員会は,転嫁拒否行為を受けた事業者にとって,自らその事実を申し出にくい場合もあると考えられることから,転嫁拒否行為を受けた事業者からの情報提供を受身的に待つだけではなく,書面調査を実施し,中小企業・小規模事業者等(売手側)から転嫁拒否行為に関する情報収集を積極的に行うこととしている。
このため,公正取引委員会は,平成25年度において,中小企業庁と合わせて15万件の書面調査を実施した(調査票は平成25年11月に発送)。
また,公正取引委員会は,平成26年4月から6月にかけて,中小企業庁と合同で,中小企業・小規模事業者等全体に対して,調査票を送付又は配布して,悉皆的な書面調査を実施した。
さらに,転嫁拒否行為はその後も行われる可能性があることから,平成26年度にわたって違反行為を監視するため,平成26年7月以降も書面調査を引き続き実施している。
(イ) 大規模小売事業者及び大企業等に対する書面調査
公正取引委員会は,平成26年4月及び5月に,中小企業庁と合同で,大規模小売事業者及び大企業等(資本金1億円以上の買手側)約4万事業者に対して報告義務を課して回答を求める書面調査を実施した。
ウ 大規模小売事業者及び大企業等に対する集中的な立入検査
公正取引委員会は,大規模小売事業者など,大企業を中心とした特定事業者に対して,平成26年4月に96件の集中的な立入検査を実施した。
エ 事業者及び事業者団体に対するヒアリング調査
公正取引委員会は,様々な業界における転嫁拒否行為に関する情報や取引実態を把握するため,これまでに5,212社の事業者及び1,508の事業者団体に対してヒアリング調査を実施した(平成26年9月末時点)。
オ 移動相談会
公正取引委員会は,事業者にとって,より一層相談しやすい環境を整備するため,全国各地で移動相談会を実施することとしており,これまでに,移動相談会を114回実施した(平成26年9月末時点)。
カ 下請法の書面調査等の活用
公正取引委員会は,下請法の書面調査や,平成26年2月に実施した食品分野におけるプライベート・ブランド商品の取引に関する実態調査を通じて,転嫁拒否行為に関する情報も併せて収集し,当該調査を通じて転嫁拒否行為に関する情報が得られた場合には,速やかに調査を行っている。
キ 下請法との一体的な運用
公正取引委員会は,消費税転嫁対策特別措置法に基づく調査において,下請法に違反する事実(発注書面不交付・不備,受領拒否,割引困難な手形の交付等)が判明した場合には,下請法に基づき迅速かつ厳正に対処している。
(2) 転嫁拒否行為に対する調査及び勧告・指導
公正取引委員会は,様々な情報収集活動によって把握した情報を踏まえ,立入検査等の調査を積極的に実施しており,違反行為が認められた事業者に対しては転嫁拒否行為に係る不利益の回復などの必要な改善措置を迅速に行っている。また,重大な転嫁拒否行為が認められた場合には,勧告・公表を積極的に行っている(公正取引委員会及び中小企業庁における平成25年10月から平成26年9月までの対応実績は別紙参照)。
公正取引委員会及び中小企業庁は,平成26年9月に33件の指導を行い,平成25年10月から平成26年9月までの指導件数の合計は1,338件である。また,公正取引委員会は,平成26年9月に3件の勧告を行い,平成25年10月から平成26年9月までの勧告件数の合計は10件である(別添1)。
違反行為類型別では,買いたたき(消費税転嫁対策特別措置法第3条第1号後段)が1,059件,本体価格での交渉の拒否(同法第3条第3号)が239件,役務利用・利益提供の要請(同法第3条第2号)が65件及び減額(同法第3条第1号前段)が20件となっている(合計1,383件)。
2 転嫁拒否行為の未然防止のための取組
公正取引委員会は,消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保することを目的として,消費税転嫁対策特別措置法の周知等の転嫁拒否行為を未然に防止するための各種の施策を実施している。
(1) 消費税転嫁対策特別措置法に係るガイドラインの策定等
公正取引委員会は,消費税転嫁対策特別措置法の執行の統一を図るとともに,法運用の透明性を確保し,違反行為の未然防止に資するため,「消費税の転嫁を阻害する行為等に関する消費税転嫁対策特別措置法,独占禁止法及び下請法上の考え方」を策定し,平成25年9月10日に公表した。
また,公正取引委員会は,消費税転嫁対策特別措置法の運用を踏まえて,「消費税の転嫁拒否等の行為に関するよくある質問」を作成し,当委員会のホームページに掲載している(注)。さらに,必要に応じて,関係事業者団体に対して団体傘下の事業者への周知要請を行った。
(注) 以下のURLに掲載している。
http://www.jftc.go.jp/tenkataisaku/tenka-FAQ.html
(2) 消費税転嫁対策特別措置法に係る説明会等
公正取引委員会は,消費税転嫁対策特別措置法の内容を広く周知するため,事業者及び事業者団体を対象として,当委員会主催の説明会を実施しており,これまでに全国53か所において合計66回の説明会を実施した(平成26年9月末時点)。
また,公正取引委員会は,商工会議所,商工会及び事業者団体が開催する説明会等に,当委員会事務総局の職員を講師として派遣しており,これまでに職員を429回派遣した(平成26年9月末時点)。
(3) 消費税転嫁対策特別措置法に係る広報
ア リーフレット
公正取引委員会は,消費税転嫁対策特別措置法の内容を簡潔に説明したリーフレットを作成・配布した。また,平成25年度に実施した書面調査において,調査票にリーフレットを添付して送付した。
イ パンフレット
公正取引委員会は,消費税転嫁対策特別措置法等の内容を分かりやすく説明した事業者等向けパンフレットを関係省庁と協力して作成し,当委員会のホームページに掲載したほか,商工会議所,商工会,地方自治体等に配布した。
ウ ポスター
公正取引委員会は,転嫁拒否行為に対して,当委員会が厳しく監視していることを示すとともに,転嫁拒否行為を受けた場合,積極的に情報提供を求めることを目的として,事業者等向けポスターを作成し,商工会議所,商工会,地方自治体等に配布した。
エ ホームページの活用
公正取引委員会は,当委員会のホームページに「消費税転嫁対策コーナー」を設け,リーフレット,パンフレット等の資料,事例集,相談窓口(転嫁拒否行為等についての相談窓口)・届出窓口(転嫁カルテル及び表示カルテルの届出窓口),月ごとの転嫁カルテル及び表示カルテルの届出状況,「消費税の転嫁拒否等の行為に関するよくある質問」などを掲載した。
オ 消費税率の引上げ時期における集中的な広報
公正取引委員会は,平成26年4月1日の消費税率の引上げの前後において,転嫁拒否行為が禁止されていること,転嫁拒否行為に対して当委員会が厳しく監視していること及び転嫁拒否行為に関する積極的な情報提供を求めていることを広く周知するため,各種の媒体を活用した事業者向け広報を集中的に実施した。具体的には,消費税率の引上げ直前期においては,新聞広告,ラジオ広告,インターネット広告及び鉄道車両の中吊り広告により,消費税率の引上げ後においては,新聞広告,雑誌広告及びインターネット広告により,事業者向け広報を集中的に実施した。
(4) 消費税転嫁対策特別措置法遵守の要請
ア 事業者に対する遵守要請
公正取引委員会は,転嫁拒否行為が行われることのないよう,平成25年11月15日,公正取引委員会委員長及び経済産業大臣の連名で,約20万名の事業者を対象に消費税転嫁対策特別措置法の遵守の徹底を求める要請文書を発出した。
イ 事業者団体に対する遵守要請
平成25年度に実施した書面調査の結果,既に取引先に対して転嫁拒否行為を行っているか,今後行うことが予測されると指摘する回答が比較的多かった業種は,建設業,製造業及び卸売業・小売業であった。このため,公正取引委員会は,平成26年1月17日,製造業及び卸売業・小売業については公正取引委員会委員長及び経済産業大臣の連名で,建設業については国土交通大臣を含む三者連名で,建設業,製造業及び卸売業・小売業に係る業界団体(計575団体)に対し消費税の円滑かつ適正な転嫁の徹底を求める要請文書を発出した。
ウ 流通関係の事業者団体(5団体)に対する遵守要請
公正取引委員会は,平成26年4月1日をまたいで販売することとなる商品について,納入業者(特定供給事業者)に対し,納入業者の負担で,消費税率の引上げ時の価格表示の変更に迅速に対応するための特別仕様の値札(例:平成26年4月1日以後の価格を印刷した値札の上に,同年3月末までの価格を印刷したシールを貼り付け,同年4月1日以後は当該シールを剥がして販売することが可能となるもの)を貼付することを要請するなどしていた大規模小売事業者らが消費税転嫁対策特別措置法に基づく指導の対象となったことから,平成26年1月22日,これらの大規模小売事業者が属する流通関係の事業者団体(5団体)に対し,会員事業者が同様の行為を行わないよう所要の措置を講じることを求める要請文書を発出した。
エ 地方公共団体が設置する病院等の関係団体に対する遵守要請
公正取引委員会は,地方公共団体が設置する病院が消費税転嫁対策特別措置法に基づく指導の対象となったことから,平成26年2月24日,関係団体に対し,病院を設置する地方公共団体等が同法の適用対象となること,同法を遵守することを会員に対して周知徹底することを求める要請文書を発出した。
3 転嫁カルテル・表示カルテルの届出
消費税転嫁対策特別措置法では,消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保するため,事業者又は事業者団体が行う,消費税の転嫁の方法の決定に係る共同行為(転嫁カルテル)及び消費税についての表示の方法の決定に係る共同行為(表示カルテル)について,公正取引委員会に事前に届け出ることにより独占禁止法に違反することなく行うことができるものとしている。
(1) 届出の受付等
公正取引委員会は,本局及び全国の地方事務所等において,平成25年10月1日から転嫁カルテル及び表示カルテルの届出の受付を開始し,平成26年9月末までに,転嫁カルテル158件,表示カルテル137件の合計295件の届出を受け付けた(別紙2参照)。転嫁カルテル及び表示カルテルの届出状況は,届出を受け付けた月ごとに取りまとめて,翌月,公正取引委員会のホームページに掲載している。
また,届出書の記載方法等に関して,これまでに1,270件の相談に対応した(平成26年9月末時点)。
(2) 政令指定組合からの届出に係る主務大臣に対する通知
消費税転嫁対策特別措置法では,法律の規定に基づいて設立された組合であって政令で定めるもの(以下「政令指定組合」という。)は,当該政令指定組合の設置根拠法の規定にかかわらず,転嫁・表示カルテルをすることができることとされており(同法第13条第1項),公正取引委員会は,政令指定組合からの届出を受理したときは,当該政令指定組合を所管する大臣に通知を行うこととされている(同法第13条第2項)。
公正取引委員会は,これまでに,政令指定組合から,転嫁カルテル29件及び表示カルテル25件を受理し,それぞれの政令指定組合を所管する大臣に通知を行った(平成26年9月末時点)。
第2 消費税転嫁対策に係る今後の取組
1 転嫁拒否行為に対する迅速かつ厳正な対処のための取組
(1) 転嫁拒否行為等についての相談・違反情報の収集
公正取引委員会は,本局及び全国の地方事務所等に設置した相談窓口において,事業者からの転嫁拒否行為等に係る相談や情報提供に適切に対応していく。
また,事業者及び事業者団体に対するヒアリング調査や,全国各地での移動相談会についても,引き続き実施していく。
さらに,転嫁拒否行為は,今後も行われる可能性があることから,平成26年度内にわたって違反行為を監視するため,書面調査を引き続き実施していく。
なお,書面調査の調査票を公正取引委員会のホームページに掲載しており,書面調査の回答の締切りにかかわらず,転嫁拒否行為の被害を受けた事業者から情報提供を随時受け付けている。
(2) 転嫁拒否行為に対する調査及び勧告・指導
公正取引委員会は,様々な情報収集活動によって把握した情報を踏まえ,立入検査等の調査を積極的に実施し,違反行為が認められた事業者に対しては必要な改善措置を迅速に行い,重大な転嫁拒否行為が認められた場合には,引き続き勧告・公表を積極的に行っていく。
2 転嫁拒否行為の未然防止のための取組
公正取引委員会は,消費税転嫁対策特別措置法に係る説明会において,同法で禁止されている転嫁拒否行為の概要やこれまでの勧告・指導事例等を説明し,転嫁拒否行為の未然防止を図っていく。
別紙1
転嫁拒否行為に対する対応実績(平成26年9月まで)
公正取引委員会
中小企業庁
平成26年9月までの公正取引委員会及び中小企業庁における転嫁拒否行為に対する対応状況は下表のとおりである(勧告事件及び主な指導事例については,別添1及び別添2を参照)。
調査着手件数 | 指導件数(注2) | 勧告件数(注3) | 措置請求件数 |
2,732件 | 1,338件 |
10件 |
3件 |
(注1) 公正取引委員会及び中小企業庁の合算。また,平成26年9月までの累計(平成25年10月~平成26年9月)。
(注2) 転嫁拒否行為を行っていると回答した事業者に対する下請代金支払遅延等防止法に基づく中小企業庁の指導を含む。
(注3) 勧告は,公正取引委員会のみが行う。
業種 | 指導 | 勧告 | 合計 |
建設業 | 32件 | 0件 | 32件 |
製造業 | 510件 | 0件 | 510件 |
運輸業(道路貨物運送業等) | 147件 | 0件 | 147件 |
情報通信業 | 131件 | 0件 | 131件 |
卸売業 | 137件 | 0件 | 137件 |
小売業 | 139件 | 2件 | 141件 |
不動産業 | 23件 | 1件 | 24件 |
技術サービス業(広告・建築設計業等) | 96件 | 0件 | 96件 |
事業サービス業(ビルメンテナンス業・警備業等) | 25件 | 0件 | 25件 |
自動車整備業・機械等修理業 | 18件 | 0件 | 18件 |
その他(注5) | 80件 | 7件 | 87件 |
合 計 | 1,338件 | 10件 | 1,348件 |
(注4) 複数の業種にわたる事業者が勧告又は指導の対象となった場合は,当該事業者の主な業種を1件として計上している。
(注5) 「その他」は,医療福祉,旅行業,労働者派遣業等である。
行為類型 | 指導 | 勧告 | 合計 |
減額 | 17件 | 3件 | 20件 |
買いたたき(注6) | 1,049件 | 10件 | 1,059件 |
役務利用・利益提供の要請 | 65件 | 0件 | 65件 |
本体価格での交渉の拒否 | 239件 |
0件 | 239件 |
合 計(注7) | 1,370件 | 13件 | 1,383件 |
(注6) 買いたたきの勧告及び指導件数には,平成26年3月31日以前に減額行為があり,同年4月1日以降に違反のおそれがあるものを含む。
(注7) 事業者の中には,複数の行為を行っている場合があり,表1及び表2に記載の件数とは一致しない。
別添1
勧告事件(平成26年9月まで)
名称 |
概要 | 違反法条 |
|
1 | 株式会社JR東日本ステーションリテイリング |
駅構内等で食料品,衣料品等を販売する株式会社JR東日本ステーションリテイリングは,消費税率の引上げに伴う売上高の減少を防止するため,納入業者に対し,仕入価格を通常支払われる仕入価格に比べ3%程度低く設定することになる販売促進企画への参加を要請した。 | 第3条第1号後段 |
2 | 株式会社三城 |
メガネ等を販売する株式会社三城は,消費税率の引上げに対応するため,店舗の賃貸人のうち,税込価格で賃料を契約している賃貸人に対し,消費税率の引上げ分を上乗せせずに賃料を据え置いた。 | 第3条第1号後段 |
3 | 山形市(山形市立病院済生館) |
山形市立病院済生館は,消費税率の引上げに対応するため,医療材料の納入価格を引き下げることとし,納入業者に対し,平成25年度下期の納入価格に一定率を乗じた額等を減じて算出した医療材料ごとの納入価格の目標値を定めた。 | 第3条第1号後段 |
4 | 一般社団法人東京都自転車商防犯協力会 |
東京都公安委員会が指定する自転車の防犯登録を行う一般社団法人東京都自転車商防犯協力会は,防犯登録業務を委託している自転車販売店等に対し,消費税率の引上げ分を上乗せせずに委託手数料を据え置いた。 | 第3条第1号後段 |
5 | 一般社団法人兵庫県自転車防犯登録会 |
兵庫県公安委員会が指定する自転車の防犯登録を行う一般社団法人兵庫県自転車防犯登録会は,消費税率の引上げに伴う自らの経費の負担を回避するため,防犯登録業務を委託している自転車販売店等に対し,消費税率の引上げ前の額より更に低い委託手数料を定めた。 | 第3条第1号後段 |
6 | 株式会社ルネサンス |
スポーツ施設の運営等の事業を営む株式会社ルネサンスは,消費税率の引上げに対応するため,スポーツ指導を行う個人事業者に対し,免税事業者に該当することを理由として,消費税率の引上げ分を上乗せせずに業務委託料を据え置く等した。 | 第3条第1号後段 |
7 | 産業機械健康保険組合 |
健康保険給付事業及び保健・福祉事業を行う産業機械健康保険組合は,健康診断に関する委託契約を締結している病院等に対し,消費税率の引上げ分を上乗せせずに委託料金を据え置いた。 | 第3条第1号後段 |
8~10 | 吉野家グループ |
店舗等の賃貸借等の事業を営む株式会社吉野家資産管理サービス,外食業を営む株式会社北日本吉野家及び株式会社中日本吉野家の3社は,それぞれ,店舗所有者(賃貸人)の一部に対し,賃料の消費税率の引上げ分を減額し,又は賃料の消費税率の引上げ分を上乗せせずに据え置いた。 |
第3条第1号前段(減額)及び同号後段(買いたたき) |
別添2
主な指導事例(平成26年9月)
業種 | 概 要 |
葬祭業 | 葬祭業者であるA社は,葬儀参列者の送迎等を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後に供給を受けた当該役務の委託代金について,消費税率の引上げ分相当額を差し引いて支払っていた。 |
業種 | 概 要 |
介護サービス業 | 自らが運営する施設の清掃を委託しているB法人は,当該役務を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後も消費税率の引上げ分を上乗せすることなく,消費税込みの委託代金を据え置いていた。 |
ソフトウェア業 | ソフトウェアの設計を委託しているC社は,当該役務を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後も消費税率の引上げ分を上乗せすることなく,消費税込みの委託代金を据え置いていた。 |
出版業 | 原稿作成等の業務を委託しているD社は,当該業務を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後も消費税率の引上げ分を上乗せすることなく,消費税込みの委託代金を据え置いていた。 |
建設業 | リフォーム工事等を委託しているE社は,当該工事を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後も消費税率の引上げ分を上乗せすることなく,消費税込みの委託代金を据え置いていた。 |
業種 | 概 要 |
小売業 | 鞄等の小売業者であるF社は,自社で販売する鞄等の納入業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日からの消費税率の引上げに伴い,自社の費用負担を明確にすることなく,自社の店舗にある在庫商品の値札に消費税率の引上げに対応した価格シールを貼り付ける作業を要請した。 |
別紙2
転嫁・表示カルテルの届出状況(平成26年9月まで)
転嫁カルテル | 表示カルテル | 合計 |
158 | 137 | 295 |
転嫁カルテル | 表示カルテル | 合計 | |
製造業 | 83 | 77 | 160 |
卸売業 | 51 | 47 | 98 |
小売業 | 40 | 43 | 83 |
サービス業 | 37 | 21 | 58 |
その他 | 14 | 10 | 24 |
合計 | 225 | 198 | 423 |
(注1) 複数の業種にわたる場合の届出があるので,合計の数字は上記「1」に記載の届出件数と一致しない。
(注2) 「その他」の業種は,運輸業,建設業等である。
関連ファイル
(印刷用) (平成26年10月10日)平成25年10月から平成26年9月までにおける消費税転嫁対策の取組について(PDF:254KB)
問い合わせ先
問い合わせ先 公正取引委員会事務総局経済取引局取引部取引企画課
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