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(平成28年7月6日)義務教育諸学校で使用する教科書の発行者に対する警告等について

(平成28年7月6日)義務教育諸学校で使用する教科書の発行者に対する警告等について

平成28年7月6日
公正取引委員会

 公正取引委員会は,義務教育諸学校で使用する教科書の発行者9社(以下「9社」という。)に対し,本日,後記1のとおり,警告を行った。
 本件は,9社が,独占禁止法第19条(不公正な取引方法第9項〔不当な利益による顧客誘引〕)の規定に違反するおそれのある行為を行っていたものである。
 また,9社を含む教科書の発行者が会員となっている一般社団法人教科書協会(以下「教科書協会」という。)に対し,本日,後記2のとおり,要請を行った。

1 9社に対する警告について

(1) 警告の相手方

 別表1記載の9社

(2) 警告の概要

 9社は,平成27年度から使用されている小学校用教科書又は平成28年度から使用されている中学校用教科書に関して,その採択に関与する可能性のある教員等(注1)に対して
ア 文部科学大臣に教科書の検定を申請した後であるにもかかわらず,意見聴取の謝礼として,金銭等(注2)を提供する
イ 懇親会を催して酒類・料理等を提供する
ウ 中元・歳暮を提供する
ことにより,正常な商慣習に照らして不当な利益をもって,競争者の顧客を自己と取引するように誘引していた疑いのある事実が認められた。これらの行為は,独占禁止法第19条(不公正な取引方法第9項〔不当な利益による顧客誘引〕)の規定に違反するおそれがあることから,公正取引委員会は,9社に対し,今後,このような行為を行わないよう警告した。
(注1) 教員,校長及び教育委員会関係者をいう。
(注2) 金銭のほか,金券等が提供された事例がある。

2 教科書協会に対する要請について

 (1) 教科書協会は,教科書宣伝の公正性を確保する目的で「教科書宣伝行動基準」を制定し,教科書の採択を勧誘するために金銭等の提供をしてはならないことなどを規定するとともに,公正宣伝特別委員会を設置し,公正宣伝の観点から問題となる事例について事実の調査と確認を行い,必要と認めるときには改善勧告等の対応を採ることとしている。
 また,当該基準については,文部科学省から義務教育諸学校で使用する教科書の発行者に対してその厳守が要請されるなどしている。


 (2) このように,教科書協会は教科書採択の公正確保に責任を持つ立場にあるにもかかわらず,今般,会員の9社について,前記1の(2)の事実が認められた。また,9社には,代表者が公正宣伝特別委員会の委員長又は委員を務める会社が含まれていた。
 このことから,同協会の教科書採択の公正確保に向けた取組は,教科書採択の公正性を確保する上で十分なものではなかったものと認められる。

 
 (3) よって,公正取引委員会は,今後,教科書協会の会員が前記1の(2)の行為と同様の行為を行わないよう,同協会に対し,次の事項を要請した。
 ア 現在同協会が策定中の「教科書発行者行動規範」の内容について,公正取引委員会と十分協議すること。
 イ 同協会による「教科書発行者行動規範」の策定後の周知方法及び遵守状況に係る監査方法について,公正取引委員会と十分協議すること。

関連ファイル

問い合わせ先

公正取引委員会事務総局審査局公正競争監視室
電話 03-3581-2508(直通)
ホームページ http://www.jftc.go.jp/

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