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(平成29年6月16日)平成28年度における中部地区の独占禁止法の運用状況等について

平成29年6月16日
公正取引委員会事務総局
中部事務所

第1 独占禁止法違反事件等の処理状況

1

 公正取引委員会は,迅速かつ実効性のある事件審査を行うとの基本方針の下,国民生活に影響の大きい価格カルテル・入札談合・受注調整,中小事業者等に不当に不利益をもたらす優越的地位の濫用や不当廉売など,社会的ニーズに的確に対応した多様な事件に厳正かつ積極的に対処することとしている。
 そして,公正取引委員会は,一般から提供された情報(申告),自ら探知した事実等を検討し,必要な審査を行い,審査の結果,違反行為が認められたときは,違反行為をした事業者等に対し,違反行為を排除するために必要な措置等を命じている。違反行為のうち,価格カルテル・入札談合・受注調整,優越的地位の濫用等については,違反行為をした事業者に対して課徴金の納付を命じている。

2 最近の独占禁止法違反事件等の処理状況(不当廉売事案で迅速処理したもの及び優越的地位の濫用事案で注意したものを除く。)

 最近の5年間における中部地区の独占禁止法違反事件の処理状況は,次のとおりである。

独占禁止法違反事件等の処理件数(単位:件)
処理内容/年度 平成24年度 平成25年度 平成26年度 平成27年度 平成28年度
審査件数 前年度からの繰越し 6 3 1 1 1
年度内新規着手 21 5 9 4 18
合    計 27 8 10 5 19
処理件数 法的措置(注1) 排除措置命令等 1 0 0 2 2
その他 警告(注2) 0 0 0 2 0
注意(注3) 23 6 8 2 7
打切り(注4) 0 1 1 0 11
小  計 23 7 9 4 18
合    計 24 7 9 6 20
次年度への繰越し 3 1 1 1(注5) 0(注6)

(注1)「法的措置」とは,排除措置命令及び課徴金納付命令であり,一つの事件について,排除措置命令と課徴金納付命令が共になされている場合には,法的措置件数を1件としている。
(注2)「警告」とは,排除措置命令等の法的措置を採るに足る証拠が得られないが,違反の疑いがある場合に行う措置である。
(注3)「注意」とは,違反行為の存在を疑うに足る証拠が得られないが,将来違反につながるおそれがある場合に行う措置である。
(注4)「打切り」とは,違反行為が認められない等により,審査を打ち切る場合をいう。
(注5)平成27年度の処理件数は,当事務所以外で審査を行った2件を計上しているため,件数は一致しない。
(注6)一つの事件において2件の排除措置命令を行ったため,件数は一致しない。

3 独占禁止法違反事件等の概要

(1) 受注調整
 中部電力株式会社が発注するハイブリッド光通信装置及び伝送路用装置の製造販売業者に対する件(平成29年2月15日・排除措置命令及び課徴金納付命令)【適用法条:独占禁止法第3条】
ア 3社は,特定ハイブリッド光通信装置について,受注金額の低落防止を図るため
(ア)a 受注予定者を決定する
  b 受注予定者以外の者は,受注予定者が受注できるように協力する
旨の合意の下に,
(イ)a 次のいずれかの方法により受注予定者を決定する
   (a) 受注実績が均等になるように,過去の受注物件の見積金額を積み上げた一覧表を用いて,受注予定者を決定する
   (b) 装置の引渡場所について,3社のうちの2社がそれぞれ優先的に受注できる「エリア」として分け合った中部電力株式会社(以下「中部電力」という。)各支店の供給区域のいずれに属するかによることを基本として,話合いにより受注予定者を決定する
  b 受注予定者は,自ら見積金額を定め,中部電力に,自ら提示し又は販売代理店に指示して提示させ,受注予定者以外の者は,受注予定者が定めた金額よりも高い金額を自ら提示する又は販売代理店に指示して提示させる
などにより,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにしていた。
イ 2社は,特定伝送路用装置について,受注金額の低落防止を図るため
(ア)a 受注予定者を決定する
  b 受注予定者以外の者は,受注予定者が受注できるように協力する
旨の合意の下に,
(イ)a 装置の種類ごとに,次のいずれかの方法により受注予定者を決定する
   (a) 受注実績が均等になるように,過去の受注物件の見積金額を積み上げた一覧表を用いて,当該金額を積み上げた金額がより低い者を受注予定者とする
   (b) 装置の引渡場所について,2社がそれぞれ優先的に受注できる「エリア」として分け合った中部電力各支店の供給区域のいずれに属するかなどにより,受注予定者を決定する
  b 受注予定者は,自ら見積金額を定め,中部電力に提示し,受注予定者以外の者は,受注予定者が定めた金額よりも高い金額を提示する
などにより,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにしていた。

(2) 優越的地位の濫用
 公正取引委員会は,優越的地位の濫用に係る情報に接した場合には,効率的かつ効果的な調査を行い,独占禁止法違反につながるおそれのある行為が認められた場合には,未然防止の観点から注意するほか,独占禁止法違反が認められた場合は厳正に対処することとしている。
 なお,平成28年度においては,中部地区で10件の注意を行ったところ,その事例は以下のとおりである(注)。

(注) 次の各事例は,記載された行為が行われていた疑いがあり,独占禁止法違反につながるおそれがあったものである。

ア 食品スーパーマーケット業を営むAは,購買担当者から,取引先納入業者に対し,Aが販売するお節料理,クリスマスケーキ等の季節商品の購入を要請していた。
イ 娯楽業を営むBは,取引先事業者に対し,Bの従業員の研修旅行に使用するための協賛金の負担を要請していた。

(3) 不当廉売
 不当廉売は,総販売原価を著しく下回る価格で継続して販売するほか,不当に低い価格で販売することにより,他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれのある行為であり,独占禁止法第19条で禁止されるものである。申告のあった小売業に係る不当廉売事案については,迅速に処理するとの方針の下で対処しているほか,大規模事業者による不当廉売等周辺の中小事業者に対する影響が大きいと考えられる事案については厳正に対処することとしている。
 なお,迅速に処理するとの上記方針の下,平成28年度においては,酒類,石油製品及び家庭用電気製品の小売業について,不当廉売につながるおそれがあるとして中部地区で186件の注意を行った。

(4) その他
 次の各事例は,記載された行為が行われていた疑いがあり,独占禁止法違反につながるおそれがあったため,注意を行った。
ア クリーニング業を営むC社は,ワイシャツ等のクリーニング料金について,顧客にクリーニングサービスを供給するために必要な費用を下回る金額に設定していた。
イ 公立中学校等の学生服の販売店を組合員とするD組合は,公立中学校が仕様を指定する学生服等の学校用品について,組合員の販売価格を決定していた。

第2 企業結合関係届出及び協同組合届出の状況

1 企業結合関係届出 

 独占禁止法では第4章において,事業支配力が過度に集中することとなる会社の設立等の禁止(第9条)及び銀行業又は保険業を営む会社の議決権取得・保有の制限(第11条)について規定しているほか,一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合及び不公正な取引方法による場合の会社等の株式取得・所有,役員兼任,合併,分割,共同株式移転及び事業譲受け等の禁止並びに一定の条件を満たす企業結合についての届出義務(第10条及び第13条から第16条まで)を規定している。
 公正取引委員会では,これら株式取得・所有,合併等について独占禁止法上の問題の有無について審査を行っている。
 最近5年間における中部地区の企業結合関係届出の状況は,次のとおりである。

企業結合関係届出受理件数(単位:件)
  平成24年度 平成25年度 平成26年度 平成27年度 平成28年度
株式取得届出受理 10 8 10 4 4
合併届出受理 1 1 0 0 0
分割届出受理 0 0 0 0 1
共同株式移転届出受理 0 0 0 0 0
事業譲受け等届出受理 3 1 0 2 1
合       計 14 10 10 6 6

2 協同組合届出

 中小企業等協同組合法は,同法に基づき設立された事業協同組合及び信用協同組合に対し,同法第7条第1項第1号で規定する小規模事業者以外の事業者が加入したとき又は組合員が同小規模事業者でなくなったときには,その旨を公正取引委員会に届け出ることを義務付けている(同法第7条第3項)。
 最近5年間における中部地区の協同組合届出件数は,次のとおりである。

中小企業等協同組合法第7条第3項に基づく届出件数(単位:件)
平成24年度 平成25年度 平成26年度 平成27年度 平成28年度
14 15 26 19 35

第3 広報・広聴活動

 公正取引委員会では,独占禁止法等の普及・啓発及び競争政策の運営に資するため,次のような広報・広聴活動を行っている。

1 独占禁止政策協力委員制度

 競争政策への理解の促進と地域の経済社会の実情に即した政策運営に資するため,平成11年度から,独占禁止政策協力委員制度を設置しており,公正取引委員会が行う広報活動等に御協力いただくとともに,独占禁止法等の運用や競争政策の運営等について意見聴取を行っている。
 平成28年度においては,上半期に(1)公正取引委員会に対する期待について,(2)地域経済の現状と競争政策の役割について,(3)情報通信技術やデジタル化の進展に応じた競争政策の在り方について,(4)地方における独占禁止法及び下請法遵守の促進について,(5)規制改革に伴う対応についてなど,下半期に(1)中小企業に不当に不利益を与える行為の取締り等の強化について,(2)課徴金制度の在り方について,(3)都市ガス分野における小売事業の全面自由化について,(4)独占禁止政策協力委員制度についてなどの意見聴取をそれぞれ行った。

2 有識者との懇談会

 各地の有識者と公正取引委員会の委員等との懇談会及び講演会を通して,競争政策についてより一層の理解を求めるとともに,幅広く意見及び要望を把握し,今後の競争政策の有効かつ適切な推進を図るため,昭和47年度以降,毎年,全国各地において有識者との懇談会を開催している。
 中部地区では,平成28年度は金沢市において,金沢商工会議所,石川県中小企業団体中央会,消費者団体,報道機関,学識経験者等の有識者と公正取引委員会委員との懇談会を実施し,同時に「市場環境の変化を捉えた競争政策と公正取引委員会の役割」をテーマに講演会を開催した。
 このほか,平成4年度から中部事務所長等と各地の有識者との懇談会を開催しており,平成28年度は岐阜県高山市,静岡市,浜松市,名古屋市(3か所),愛知県一宮市,同県半田市,同県知立市及び同県常滑市の計10か所において開催した。

3 独占禁止法説明会等

 公正取引委員会では,独占禁止法等の違反の未然防止を図るため,説明会・講習会等を自ら主催しているほか,各種業界団体等から要請を受けて講習会等に講師を派遣している。
 中部地区では,平成28年度は独占禁止法に関する説明会等を19回実施した。また,入札談合等関与行為防止法に関する研修会等を50回実施した。

4 独占禁止法教室(出前授業)

 将来を担う中学生,高校生,大学生等を対象に,市場経済の仕組みや競争の機能について説明するなどし,競争の必要性・重要性,独占禁止法の役割等について理解してもらうことを目的として,公正取引委員会の職員による「独占禁止法教室」を開催している。
 中部地区では,平成28年度は中学生向け独占禁止法教室を1回,高校生向け独占禁止法教室を8回,大学生等向け独占禁止法教室を39回それぞれ開催した。

5 消費者セミナー

 一般消費者に独占禁止法の内容や公正取引委員会の活動について,より一層理解を深めてもらうことを目的として,地域の一般消費者を対象としたセミナーを開催しているほか,公正取引委員会の職員を消費者団体等の勉強会等に派遣している。
 中部地区では,平成28年度は富山県砺波市,金沢市(2か所),岐阜市,浜松市(2か所),静岡市,名古屋市,愛知県みよし市及び三重県鳥羽市の計10か所において,消費者セミナーを開催した。

6 一日公正取引委員会

 本局及び地方事務所等の所在地以外の都市において,独占禁止法及び下請法の普及啓発活動や相談対応の一層の充実を図るため,独占禁止法講演会,下請法基礎講習会,消費税転嫁対策特別措置法説明会,入札談合等関与行為防止法研修会,消費者セミナー,独占禁止法教室,報道機関との懇談会,相談・展示コーナーなどを1か所の会場で開催する「一日公正取引委員会」を開催している。
 中部地区では,平成28年度は浜松市において,6月29日に一日公正取引委員会を開催した。

7 相談業務

 公正取引委員会では,法運用に対する理解を深め,違反行為の未然防止を図るため,相談を受け付けている。
 最近5年間における中部地区の相談受付件数は次のとおりである。

相談受付件数(単位:件)
  24年度 25年度 26年度 27年度 28年度
独占禁止法 480 323 488 371 428
下請法 940 1,036 892 954 1,132
合計 1,420 1,359 1,380 1,325 1,560

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問い合わせ先

独占禁止法違反事件の処理状況に関する問い合わせ先
公正取引委員会事務総局中部事務所第一審査課
電話 052-961-9425(直通)

企業結合関係届出等の状況に関する問い合わせ先
公正取引委員会事務総局中部事務所経済取引指導官
電話 052-961-9422(直通)

広報活動等に関する問い合わせ先
公正取引委員会事務総局中部事務所総務課
電話 052-961-9421(直通)

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