平成29年6月20日
公正取引委員会事務総局
九州事務所
はじめに
公正取引委員会は,消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保する観点から,消費税の転嫁拒否等の行為(以下「転嫁拒否行為」という。)の未然防止のための取組と,転嫁拒否行為に対する迅速かつ厳正な対処のための取組を進めてきたところである。
九州事務所においても,転嫁拒否行為等に対して迅速かつ厳正に対処することを目的として,「消費税転嫁対策調査室」を設置し,九州事務所管内(福岡県,佐賀県,長崎県,熊本県,大分県,宮崎県及び鹿児島県)において消費税転嫁対策に係る取組を実施してきたところ,平成28年度における管内の取組状況は以下のとおりである。
第1 転嫁拒否行為に対する迅速かつ厳正な対処のための取組
1 措置件数
管内においては,平成28年度において,転嫁拒否行為に対して,41件の指導を行っている。主な指導の概要は別紙のとおりである。
年度
|
平成28年度
|
平成27年度(注) |
合計
|
||||
全国
|
九州地区
|
全国
|
九州地区
|
全国
|
九州地区
|
||
措置
|
指導
|
362
《20》
|
41
《3》
|
349
《24》
|
57
《9》
|
1,751
《124》
|
174
《24》
|
勧告
|
6
《0》
|
0
《0》
|
13
《3》
|
1
《1》
|
38
《7》
|
3
《3》
|
|
違反事実なし
|
218
|
4
|
472
|
9
|
1,150
|
34
|
(単位:件)
(注) 累計の数値は,平成25年10月から平成29年3月までの累計。また,全国の件数には,九州地区の件数を含む(以下同じ)。《 》内の件数は,大規模小売事業者に対する勧告又は指導の件数で内数である。
2 措置件数の業種別内訳
平成28年度の措置件数(勧告又は指導を行った事件の件数をいう。以下同じ。)について措置を採った特定事業者の業種別で分類すると,管内においては,製造業,小売業及び学校教育・教育支援業がそれぞれ7件(17.1%)と最も多い。
業種(注)
|
全国
|
九州地区
|
|
建設業 |
平成28年度 |
56(15.2)
|
6(14.6)
|
平成27年度 |
57(15.7)
|
9(15.5)
|
|
合計 |
186(10.4)
|
24(13.6)
|
|
製造業 |
平成28年度 |
66(17.9)
|
7(17.1)
|
平成27年度 |
67(18.5)
|
9(15.5)
|
|
合計 |
470(26.3)
|
30(16.9)
|
|
情報通信業 |
平成28年度 |
38(10.3)
|
4(9.8)
|
平成27年度 |
44(12.2)
|
4(6.9)
|
|
合計 |
155(8.7)
|
10(5.6)
|
|
運輸業 |
平成28年度 |
15(4.1)
|
0(0.0)
|
平成27年度 |
15(4.1)
|
1(1.7)
|
|
合計 |
119(6.7)
|
8(4.5)
|
|
卸売業 |
平成28年度 |
20(5.4)
|
1(2.4)
|
平成27年度 |
20(5.5)
|
5(8.6)
|
|
合計 |
129(7.2)
|
15(8.5)
|
|
小売業 |
平成28年度 |
39(10.6)
|
7(17.1)
|
平成27年度 |
38(10.5)
|
13(22.4)
|
|
合計 |
215(12.0)
|
38(21.5)
|
|
不動産業 |
平成28年度 |
19(5.2)
|
3(7.3)
|
平成27年度 |
24(6.6)
|
2(3.4)
|
|
合計 |
69(3.9)
|
8(4.5)
|
|
技術サービス業 |
平成28年度 |
15(4.1)
|
2(4.9)
|
平成27年度 |
20(5.5)
|
0(0.0)
|
|
合計 |
99(5.5)
|
5(2.8)
|
|
学校教育・ |
平成28年度 |
20(5.4)
|
7(17.1)
|
平成27年度 |
9(2.5)
|
0(0.0)
|
|
合計 |
40(2.2)
|
8(4.5)
|
|
その他 |
平成28年度 |
80(21.7)
|
4(9.8)
|
平成27年度 |
68(18.8)
|
15(25.9)
|
|
合計 |
307(17.2)
|
31(17.5)
|
|
全業種 |
平成28年度 |
368(100)
|
41(100)
|
平成27年度 |
362(100)
|
58(100)
|
|
合計 |
1,789(100)
|
177(100)
|
[単位:件,(%)]
(注1) 複数の業種にわたる事業者が勧告又は指導の対象となった場合は,当該事業者の主たる業種により分類している。「その他」は医療福祉,事業サービス業,自動車整備業・機械等修理業,旅行業等である。
(注2) ( )内の数値は,小数点以下第2位を四捨五入しているため,合計は必ずしも100とならない。
(注3) 累計の数値は,平成25年10月から平成29年3月までの累計。
3 措置件数の行為類型別内訳
平成28年度の措置件数について行為類型別で分類すると,管内においては,買いたたき(消費税転嫁対策特別措置法 第3条第1号後段)が41件(93.2%)と最も多い。
行為類型
|
全国
|
九州地区
|
|
減額 |
平成28年度 |
19(4.9)
|
1(2.3)
|
平成27年度 |
18(4.9)
|
1(1.7)
|
|
合計 |
73(4.0)
|
6(3.2)
|
|
買いたたき |
平成28年度 |
362(94.3)
|
41(93.2)
|
平成27年度 |
344(92.7)
|
57(95.0)
|
|
合計 |
1,473(79.9)
|
160(86.0)
|
|
役務利用又は利益提供の要請 |
平成28年度 |
0(0.0)
|
0(0.0)
|
平成27年度 |
3(0.8)
|
1(1.7)
|
|
合計 |
49(2.7)
|
8(4.3)
|
|
本体価格での交渉の拒否 |
平成28年度 |
3(0.8)
|
2(4.5)
|
平成27年度 |
6(1.6)
|
1(1.7)
|
|
合計 |
248(13.5)
|
12(6.5)
|
|
合計(注) |
平成28年度 |
384(100)
|
44(100)
|
平成27年度 |
371(100)
|
60(100)
|
|
合計 |
1,843(100)
|
186(100)
|
[単位:件,(%)]
(注1) 事業者の中には,複数の行為を行っている場合があり,「合計」の件数は,表1及び表2に記載の件数
とは必ずしも一致しない。
(注2) ( )の数値は,小数点以下第2位を四捨五入しているため,合計は必ずしも100とならない。
(注3) 累計の数値は,平成25年10月から平成29年3月までの累計。
4 特定供給事業者が被った不利益の原状回復の状況
管内では,平成28年度において,転嫁拒否行為によって特定供給事業者が被った不利益について,特定事業者34名から,特定供給事業者1,258名に対し,総額3873万円の原状回復が行われた。
年度
|
平成28年度
|
平成27年度
|
合計
|
|||
全国
|
九州地区
|
全国
|
九州地区
|
全国
|
九州地区
|
|
原状回復を行った特定事業者数 |
293名
|
34名
|
333名
|
45名
|
854名
|
106名
|
原状回復を受けた特定供給事業者数 |
36,317名
|
1,258名
|
25,059名
|
6539名
|
94,290名
|
8,395名
|
原状回復 |
9億2957万円 |
3873万円
|
6億7444万円 |
3816万円
|
20億1555万円 |
9881万円
|
(注1) 各期間の原状回復額は1万円未満を切り捨てている。
(注2) 累計の数値は,平成26年4月から平成29年3月までの累計。
5 転嫁拒否行為等に関する相談件数
九州事務所においても,転嫁拒否行為等に関する事業者からの相談や情報提供を一元的に受け付けるための相談窓口を設置しており,当該相談窓口において,平成28年度は4件の相談に対応した。
平成28年度
|
平成27年度
|
平成26年度
|
平成25年度 |
合計
|
|
全国
|
444
|
548
|
1,420
|
3,179 |
5,591
|
九州地区
|
4
|
12
|
40
|
57 |
113
|
[単位:件]
(注) 転嫁カルテル及び表示カルテルの届出に関する相談を含む。
6 事業者及び事業者団体に対するヒアリング調査
様々な業界における転嫁拒否行為に関する情報や取引実態を把握するため,管内においては,平成28年度は261名の事業者に対してヒアリング調査を実施した。
事業者
|
事業者団体
|
|||
全国
|
九州地区
|
全国
|
九州地区
|
|
平成28年度
|
2,385
|
261
|
581
|
0
|
平成27年度
|
4,344
|
203
|
682
|
105
|
平成26年度 | 8,744 | 1,657 |
1,263 | 235 |
平成25年度 | 1,326 | 119 | 401 | 7 |
合計
|
16,799
|
2,240
|
2,927
|
347
|
[単位:件]
7 移動相談会
事業者にとって,より一層相談しやすい環境を整備するため,管内においては,平成28年度は移動相談会を3回実施した。
平成28年度
|
平成27年度
|
平成26年度
|
平成25年度 |
合計
|
|
全国
|
36
|
52
|
47
|
75 |
210
|
九州地区
|
3
|
7
|
6
|
13 |
29
|
[単位:回]
第2 転嫁拒否行為の未然防止のための取組
1 公正取引委員会主催説明会
消費税転嫁対策特別措置法の内容を広く周知するため,事業者及び事業者団体を対象として,公正取引委員会主催の説明会を管内において実施した(平成28年度は3回)。
平成28年度
|
平成27年度
|
平成26年度
|
平成25年度 |
合計
|
|
全国
|
36
|
51
|
30
|
40 |
157
|
九州地区
|
3
|
7
|
4
|
3 |
17
|
[単位:回]
2 講師派遣
管内においては,商工会議所及び事業者団体が開催する説明会等に,平成28年度は公正取引委員会事務総局の職員を講師として4回派遣した。
平成28年度
|
平成27年度
|
平成26年度
|
平成25年度 |
合計
|
|
全国
|
73
|
27
|
59
|
384 |
543
|
九州地区
|
4
|
3
|
6
|
21 |
34
|
[単位:回]
第3 転嫁カルテル及び表示カルテルの届出
消費税の転嫁の方法の決定に係る共同行為(転嫁カルテル)及び消費税についての表示の方法の決定に係る共同行為(表示カルテル)の届出について,平成29年3月末までに,管内において,転嫁カルテル5件,表示カルテル7件の合計12件を受理している。
また,届出書の記載方法等に関して,平成29年3月末までに,管内において32件の相談に対応した。
関連ファイル
(印刷用)(平成29年6月20日)平成28年度における九州地区の消費税転嫁対策の取組について(PDF:218KB)
問い合わせ先
問い合わせ先 公正取引委員会事務総局 九州事務所
消費税転嫁対策調査室 電話092-437-2756(直通)(第1及び第2関係)
経済取引指導官 電話092-431-5882(直通)(第3関係)
ホームページ http://www.jftc.go.jp/regional_office/kyusyu/