平成29年6月16日
公正取引委員会事務総局
中部事務所
消費者庁
消費者庁は,一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある不当な表示及び過大な景品類の提供に対して,不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号。以下「景品表示法」という。)に基づいて厳正・迅速に対処するとともに,同法の普及・啓発に関する活動を行うなど,表示等の適正化に努めている。
公正取引委員会は,消費者庁長官から景品表示法違反事件に係る調査権限を委任され,必要な調査を行うとともに,相談への対応,講師派遣等を通じた同法の普及・啓発に取り組んでいる。
平成28年度における中部地区(富山県,石川県,岐阜県,静岡県,愛知県及び三重県の6県)の景品表示法の運用状況等は,次のとおりである。
第1 景品表示法違反事件の処理状況
1 概況
景品表示法違反事件については,公正取引委員会事務総局中部事務所(以下「中部事務所」という。)及び消費者庁が行った調査の結果を踏まえ,消費者庁が,違反行為者に対して措置命令を行うほか,違反のおそれのある行為等がみられた場合には関係事業者に対して指導を行うなどしている。
平成28年度における景品表示法の事件処理件数は,措置命令が2件,指導が8件の計10件であった(平成28年度の主要な処理事件は,関連ファイル(印刷用)参照)。
表1 事件処理件数
2 表示事件
平成28年度に処理した表示事件は9件で,事件処理件数全体の大部分(90%)を占めた。
その内訳をみると,優良誤認(景品表示法第5条第1号)が1件,有利誤認(景品表示法第5条第2号)が7件,原産国表示(景品表示法第5条第3号)が1件であった。また,有利誤認については,二重価格表示等の価格に関するものが6件であった。
平成28年度において,通信販売業者が販売するフライパンに係る表示及び店頭における寝具等の価格表示の2件について,中部事務所及び消費者庁が行った調査の結果を踏まえ,消費者庁において措置命令を行った。
表2 表示事件の内訳
3 景品事件
平成28年度に処理した景品事件は1件(事件処理件数全体の10%)であった。
表3 景品事件の内訳
4 事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置(注)
平成28年度に行った指導は7件であった。
(注)平成26年12月に施行された景品表示法の改正法により,事業者は,景品類の提供及び表示に関する事項を適正に管理するために必要な体制の整備その他の必要な措置を講じなければならないこととされた。消費者庁は,[1]事業者が講ずべき措置に関して,その適切かつ有効な実施を図るため必要があると認めるときは,必要な指導及び助言をするとともに,[2]事業者が講ずべき措置を講じていないと認めるときは,必要な措置を講ずべき旨の勧告をし,その勧告に従わないときは,その旨を公表することができる。
第2 景品表示法の普及・啓発活動等
1 景品表示法に関する相談
平成28年度に受け付けた相談件数は408件であった。その内訳は,景品類の提供に関する相談及び表示に関する相談がそれぞれ半数程度であった。
相談対応においては,一般消費者や事業者のほかにも,消費生活相談員等の消費者支援に携わる者から景品表示法に関する問合せが寄せられた。
具体的な相談内容としては,景品類の提供限度額に関する相談,商品の効果・性能の表示に関する相談,商品を販売する際の二重価格表示に関する相談,商品の原産国の表示に関する相談,食品の表示に関する相談等が挙げられる。
2 景品表示法に関する講師派遣等
平成28年度において,消費者団体等が開催する講習会に,計13回講師を派遣し,また,名古屋市及び浜松市(いずれも平成28年6月)において,一般消費者等を対象に,景品表示法等の内容を説明するセミナーを開催した。
景品表示法の説明に際しては,実際の違反事例を紹介するなどして,同法の意義,規制内容等を理解してもらうことで,不当表示等による被害の未然防止を図った。
中部事務所では,中部地区管内に所在する消費者団体等に対して,講習会への講師派遣に係る案内を送付するなど,講習会の開催に向けて積極的に取り組んでいる。
3 関係行政機関との連携
(1) 消費者行政等に関する関係省庁との連携
静岡市において開催された「消費者行政ブロック会議(中部・北陸ブロック)」(平成28年11月)に出席するなどして,中部地区の関係行政機関とも協力して景品表示法の適正な執行に努めた。
また,不適切な食品表示に関する監視強化等の観点から,中部地区の関係行政機関(中部事務所,東海北陸厚生局,東海農政局,北陸農政局,中部管区警察局及び名古屋国税局)の担当課長等により構成される「食品表示関係機関連絡会」(平成28年7月)に出席した。
(2) 中部地区管内各県等との連携
ア 景品表示法ブロック会議(中部ブロック)
中部地区における景品表示法の執行力の強化等に向けて,消費者庁が主催した中部地区の各県の景品表示法担当課長等による「景品表示法ブロック会議(中部ブロック)」(平成28年7月及び11月)に出席した。
また,中部地区管内の景品表示法執行担当者や消費生活センターと個別に情報交換を行い,中部地区における景品表示法の執行等について連携の強化に努めた。
イ 東海4県広告表示等適正化推進会議
岐阜県,静岡県,愛知県及び三重県における景品表示法の執行力の強化等に向けて,各県の景品表示法担当課長等により構成される「東海4県広告表示等適正化推進会議」(平成28年6月及び12月)に出席した。
(3) 中部地区管内の消費者団体等との連携
ア 消費者団体等との懇談会
中部事務所における景品表示法の運用状況等を説明するとともに,相互の連携を図っていくことなどを目的として,中部地区管内各県においてネットワーク機能を有する消費者団体等との懇談会を6回実施した。
イ 消費者フォーラムへの参加
消費者教育の一層の推進を図ることなどを目的として消費者庁等が主催して開催された金沢市における「消費者教育推進フォーラムin北陸」(平成28年11月)及び津市における「地方消費者フォーラムin三重」(平成29年2月)に参加した。
関連ファイル
(印刷用)(平成29年6月16日)平成28年度における中部地区の景品表示法の運用状況等(PDF:1,550KB)
問い合わせ先
公正取引委員会事務総局中部事務所取引課
電話 052-961-9423(直通)
ホームページ http://www.jftc.go.jp/regional_office/chubu/