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平成22年1月27日付 事務総長定例会見記録

平成22年1月27日付 事務総長定例会見記録

 [発言事項]

事務総長会見記録(平成22年1月27日(水曜)13時30分~於 官房第1会議室)

 [発言事項]

公正取引委員会の委員の交代について

 (事務総長) 1点目でありますが,公正取引委員会の委員の交代であります。本日をもって濱崎恭生委員が定年退官となりまして,その後任として,明日,1月28日付けで,前名古屋高等裁判所長官の細川清氏が公正取引委員会委員に就任することとなっております。
 細川清氏でありますが,長年にわたり裁判官として司法に携わり,さいたま地方裁判所の所長,東京家庭裁判所の所長,名古屋高等裁判所の長官等を歴任された方であります。また,法務省におかれましても,訟務局長,民事局長として民商法等の一部改正,民事再生法の立案に関与するなど法務行政に関しましても豊富な経験を有していらっしゃる方であります。
 このように司法並びに法務行政における高度な専門知識,経験,識見等を有した方でありまして,今後,公正取引委員会の行政処分等を中心とした判断に当たりまして適切な御判断をいただけるものと考えております。

日米競争当局意見交換について

 (事務総長) 2点目でありますが,日米競争当局の意見交換についてであります。公正取引委員会は,米国,EU,カナダ等先進主要国の競争当局と協力関係を構築し,相互理解を促進するということから定期的に意見交換を行っておりますが,先週,ワシントンDCで米国の競争当局,これは司法省反トラスト局と連邦取引委員会ですが,との間で意見交換が開催されました。
 日米の競争当局の意見交換は,昭和52年,1977年から開かれているものであり,ほぼ毎年開催され,今回が31回目ということになります。
 公正取引委員会からは竹島委員長ほかが出席いたしまして,米国の司法省からは反トラスト局のバーニー局長,連邦取引委員会からはリーボウィッツ委員長ほかが参加されたということであります。
 今回の意見交換では,日米両国における競争政策の最近の進展状況や法改正などについて意見交換が行われたということであります。米国ではオバマ政権が誕生してからちょうど1年経ったということで,この間における取組状況等についての紹介が行われたということであります。
 公正取引委員会といたしましては,このような競争当局間の意見交換等を通じまして,我が国の競争政策の一層の発展と,あるいは海外競争当局との協力関係の更なる強化を図ってまいりたいと考えているところであります。

電力会社が発注する電力用電線等の見積り合わせ又は競争入札の参加業者に対する排除措置命令及び課徴金納付命令について

 (事務総長) それから3点目でありますが,個別案件についてであります。これは電力会社が発注する電力用電線の入札参加業者に対する排除措置命令,課徴金納付命令の案件でありまして,本日,電力用電線の製造を行っている株式会社エクシム,株式会社ジェイ・パワーシステムズ,株式会社ビスキャスの3社に対しまして,独占禁止法第3条,不当な取引制限の規定に違反するとして,排除措置命令及び課徴金納付命令を行いました。
 本件の違反行為というのは,3社が,電力会社8社が発注する特定の電力用電線等について,共同して,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにする,いわゆる入札談合を行うことによって,特定の電力用電線等の取引分野における競争を実質的に制限していたということで独占禁止法第3条に違反するということであります。
 この3社は,全国的な広がりで受注調整を行っていたものですが,7つの地区ごとに基本合意が存在して,その合意に基づいて入札談合を行っていたことから,排除措置命令としては7件の排除措置命令を行っており,関東地区,東北地区,中部地区,北陸地区,中国地区,九州地区,沖縄地区の7地区となります。
 この7件の詳細につきましては,本日,午後3時半から地区ごとに担当の地方事務所,審査長等から説明を行うことを予定しておりまして,関東地区につきましては,本局の大会議室で説明を行うこととしておりますので,事案の詳細は,その際にお聞きいただければと思います。

 [質疑応答]

 (問) 先週金曜日に,前原国土交通大臣が,日航が公的支援を受けるということで,公正な競争を阻害することのないよう全日空の要請を受けてガイドラインを作ってほしいと会見でおっしゃっていたと思いますが,それについて仙谷大臣から何か指示がありましたでしょうか。

 (事務総長) 先週の金曜日に,国土交通大臣が,ガイドライン制定等の検討が必要ではないか,それを仙谷大臣にお話するということ等で公正取引委員会の方に具体的な御指示があるかということですけれども,ガイドライン制定等に関して申し上げると,EU等においては,御案内のとおり,EU条約の第107条におきまして国家補助に関して一定の行為が禁止されているわけです。そのEU条約の第107条で例外的に認められる国家補助については,経営不振企業の救済と事業再構築のための国庫補助のガイドラインというものがあり,そういうものについて,どういうものが容認されるものか,あるいは問題となるものかということが決まっているわけです。これは御案内のとおり,EUというのは共同体市場全体の統合,維持を図るということでEU条約ができているわけでありまして,各加盟国が自国の事業者に対して,特定の国家補助を行うとEUの共通市場という概念からいっても大きなゆがみを生じるという,EU共同体市場の特殊性からそのようなガイドラインが作られ,考え方が示されているということだと思います。
 日本の独占禁止法なり,公正取引委員会の法運用に関して申し上げると,これは先週も御質問があってお答えしたと思うのですが,公的資金の投入を受けた分野であれ,そうでない分野であれ,例えばコスト割れであるとして競争に悪影響を及ぼすような行為があれば,これは独占禁止法の不当廉売でありますとか,あるいは排除型私的独占でありますとか,そういった独占禁止法に違反するわけでありますから,公正取引委員会として厳正に対処をするということであります。また,御案内のとおり,不当廉売に関してのガイドラインなり,排除型私的独占のガイドラインも昨年の暮れまでに,公表,改定をさせていただいて,考え方をお示ししているところであります。
 こういったことで一般的な業種共通の問題については,ある程度対応できると思いますが,その範囲を超えて何か具体的なものが必要になるのかどうかということについては,その状況も踏まえて判断していくということになると思います。現時点において,具体的に仙谷大臣の方から御指示があったということは聞いておりません。

 (問) 例えば,不当廉売を具体的に判断する時に当たり,国家補助が入っていることは,どのぐらい勘案されるのでしょうか。

 (事務総長) これは先ほど申しましたように,例えば原価割れ販売かどうかというときの原価とはどういうものかというようなことに関しましては,ガイドライン等を御覧いただけば分かりますように,供給に要する費用を下回る対価ということで平均可変費用みたいなものが基準になるわけですけれども,そういったコストがかかるかどうかということですから,それは過去の累積債務を国家補助等で救済するというようなものは影響しないわけです。ですから,そういった国家補助を踏まえて,企業が企業努力によって人件費の削減とか,あるいはいろいろなコストを引き下げるという努力によってコストが下がれば,当然,競争力が高まるわけです。それはまたある面で言えば,企業再建ということだと思いますが,そうなれば当然,コストが下がっていくことになると思いますけれども,国家補助そのものによって原価割れでなくなってしまうとか,原価に影響するということではないわけです。そういう面では,現行のガイドライン等で,国庫補助がある分野であれ,ない分野であれ,一定の判断はできるようになっているというわけであります。

 (問) そうすると,現在,公正取引委員会としては,前原大臣もおっしゃったようなガイドラインの作成は必要ないという御認識なのでしょうか。

 (事務総長) これは,大臣の御発言でありますから,前原大臣と仙谷大臣との間でどういう御相談になるか,それは政の御判断だと思いますので,私どもがどういうことを申し上げるということではありません。公正取引委員会としては,現行の独占禁止法に基づいて,あるいは現行のガイドラインというものがありますということで,仮にそういう問題があるのであれば対処していけるだろうと考えているということであります。

 (問) 郵政についてですが,郵政の預金限度枠を1,000万円以上にするかどうかということで,金融庁の方で検討が進んでいるのですが,要は限度枠が外れた場合,民間事業者からは民業圧迫だという声が上がっています。それは競争政策的にどうなのかという点で,公正取引委員会のお考えを伺えますでしょうか。

 (事務総長) 郵政民営化の際,それが競争に与える影響についてというものは,以前,私どもの方の研究会等でも勉強させていただき,報告書を出させていただいて,一定の行為について,独占禁止法上の問題になるケースがあるという考え方をお示しさせていただきました。制度問題すべてについて公正取引委員会から何か意見を申し述べるということはなく,独占禁止法上の問題が生じるものについては,私ども,関心を持って,考え方を示していくということだろうと思います。今,御指摘の点,趣旨については,その当時の報告書において検討したということではなかったと思います。今,それについてコメントを言える材料を持ち合わせていないということであります。

 (問) 前回,その報告書をまとめた時には,検討されていなかったのでということであれば,その問題がないという結論が出されているわけではなくて,問題があるかもしれないということでよろしいのでしょうか。

 (事務総長) その点については,特に私どもから何か問題があるという形で指摘してはいないと思います。

 (問) ないという結論でまとめたと。

 (事務総長) ないとかあるとかいう判断をしていないというか,検討していなければ判断のしようもないということかと思います。

 (問) さきほどのJALの話に戻って申しわけないのですが,例えばガイドライン等で,ほかの国で業界横断的に国家補助ですか,国家補助を受けた企業と同業他社で条件が不公平にならないように定めたような例とかはあるのですか。

 (事務総長) 私どもが承知している限りにおいては,EUの国家補助に関してのガイドラインなりを除いて,具体的な個別の判断とかそういうガイドラインを示されているというようなものは承知しておりません。

 以上

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