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平成22年2月17日付 事務総長定例会見記録

平成22年2月17日付 事務総長定例会見記録

[発言事項]

事務総長会見記録(平成22年2月17日(水曜)13時30分~於 官房第1会議室)

[発言事項]

公正取引委員会の競争政策の運営基盤,体制整備について

(事務総長) 公正取引委員会においては,厳正かつ実効性のある独占禁止法の運用を図るため,組織体制の強化に取り組んでいるところでございまして,定員・機構関連につきましても25名の増員が来年度予算案に盛り込まれている状況であります。これによりまして審査部門や下請法等の執行部門の運用強化を図ってまいりたいと考えております。さらに,様々な政策課題を達成していくためには,こうした量的な面の拡充だけではなく,質的な面においても人材,人的リソースの確保が必要であろうと考えておりまして,通常の公務員試験の合格者の採用以外に,即戦力を有する職員を多様な職域分野から確保することが重要であろうと考えております。
 最近の企業間の競争関係なり取引関係が複雑化し,市場に関する分析が重要になってくる,あるいは事件の高度化を踏まえた争訟システムというか,法的な争いが起きてくるということを前提として法律上の判断をしていかなければならない,あるいはITなど技術的なものが複雑化してまいりますから,そういったものに対応した形で調査能力を向上させていかなくてはならないという課題があるわけであります。こうしたことに対応するため,従前からも弁護士,エコノミスト,あるいは学者,民間実務経験者といった方々多様な人材を各方面から受け入れる努力をしてきているところであります。
 現在,弁護士が18名,エコノミストが5名,併せて23名の方が特定任期付職員として,各部門で職務に就いておりますが,18名の弁護士は,主として審査部門,審判部門,訴訟関係の訟務部門,あるいは法改正の企画立案部門,企業結合審査部門等にかかわっております。それからエコノミストの方は,企業結合課,あるいは経済調査室といったところで活躍しておりますが,例えば,企業結合審査におきましては,市場における競争制限効果を持つか否かということがその判断要素になってまいりますので,市場の確定でありますとか,競争に与える影響の有無の判断について,経済分析の手法をどう用いていくかということによりまして,その客観性,合理性に基づく判断ができるように,その材料を提供していただくということが重要であろうと思っております。
 御案内のとおり,最近は,海外の企業同士のM&Aといった事案も出てまいりまして,我が国の市場に大きな影響を及ぼすという事案も出ておりますので,こうしたことからも,この経済分析を重視してエコノミストの役割がますます重要になってくるであろうと考えております。また,競争政策の企画・立案を行うに当たりまして,理論的,実証的な基礎を強化するためにエコノミストによる様々な調査,研究が必要であろうということで,競争政策の運用には,やはりこうした経済学の知見が背景にあるわけでありまして,まさにそういう面で理論と実務の橋渡し役としてのエコノミストの活躍を期待しているという状況であります。
 そのほか,これは昨年も申し上げましたが,法科大学院,大学の研究者の方にも公正取引委員会に来ていただいておりまして,昨年度は1名でありましたが,独占禁止法違反事件の審査にかかわる法解釈とか,法運用の考え方の整理といった業務に従事しているわけでありまして,こうしたアカデミックな分野の研究成果も生かした上で独占禁止法の執行を理論面から補強していただくことを期待しているところであります。
 そのほか,民間企業において,経営企画や購買部門等の職務経験を有する方,実務経験を有する方も中途採用しておりまして,即戦力としてこうした人材の活用を行ってきております。
 本年度におきましては,本年4月の採用予定者を含めまして合計14名の民間実務経験者の採用を行っているところであります。こうした方々については,独占禁止法違反事件,あるいは下請法の違反事件の調査業務等を担当していただいております。こうした民間からの実務経験者の採用は,10年ほど前から数名ずつ実施しておりまして,現在,累積で39名の方を採用しており,先ほど申しました任期付の弁護士が18名,エコノミストが5名,それから現時点においては実務経験者が39名,あるいは経済学者,大学からの方が1名,こういった状況であります。
 公正取引委員会におきましては,引き続き,これらの多様な人材の確保にさらに努力をしていきたいと考えており,公正取引委員会に対する国民各層の期待にこたえてまいりたいと考えております。
 公正取引委員会のホームページでは,こうした職員の募集を行っておりまして,本日からエコノミスト,任期付職員の募集,あるいは民間実務経験者を中途採用するという募集を行っております。採用を希望される方はホームページを御覧になりまして御応募いただければと思っております。来年度に向けまして競争政策にかかわる経済分析や独占禁止法違反事件の審査等,公正取引委員会の現場で力を発揮していただける任期付職員,あるいは民間実務経験者が応募していただくことを歓迎しているところであります。
 私からは以上であります。

[質疑応答]

(問) 今,外部の人材をどんどん投入したいというお話でしたが,将来的に何人ぐらいまで増やしたいとか,将来の人数のめどなどはあるのでしょうか。

(事務総長) 公正取引委員会の今年度末の定員が779名ということであります。これを全体の規模として何名ぐらいに増やしていきたいのかということも一つありますし,それから,その中で何十パーセントぐらい弁護士であるとか,エコノミストであるとか,そういう方たちを増やしていくのかということの御質問でありますが,基本的には,中核になるのは,やはり試験採用で採用した者がある程度実務経験を積んでいって成長していく,キャリアを積んでいくということが基本であろうと思っております。諸外国においても,今言ったように弁護士あるいはエコノミストという者を有効に活用しているという実績がありますので,現状で十分ということではまだないであろう,今後も増やしていく必要があるであろうと思いますが,では,全職員を弁護士なりエコノミストなりで埋める必要があるのかというと,そういうことでもないであろうと思っております。
 そのようなことから,試験採用した者,あるいは民間企業等からの中途採用の者,それから,弁護士,エコノミストといったような一定の資格を持っている方たちも含めてバランスを取っていくということが重要であろうと思います。現在よりは,やはり増やしていく必要があるのではないかと考えておりますが,目標として,今18名いる弁護士を30名にする,50名にするという具体的な目標があるということではありません。

(問) 毎回聞いて申し訳ないのですが,BHPビリトンとリオ・ティントの審査の関係はどうなっているのでしょうか。

(事務総長) これは先週もお話ししたと思いますが,2月8日に当事会社に対して,日本における代理人を通じまして追加資料の提出を求めており,現在,その資料の提出を待っているという状況であります。
 事前相談の申出が1月20日にありましたが,私どもとしても,以前から,事前相談等があるであろうということを前提に準備作業をしておりましたが,実際に事前相談の申出が行われ,かつ,1月20日にはそうした概要の御説明もあったということでありますので,現在,その資料の提出を待っているところであり,それと並行して,審査作業といいますか,その準備を進めているという状況であります。

(問) 今週金曜日のシンポジウムでアジアの競争政策を議論されることになると思うのですが,今,アジアの競争政策について,日本を含め,各国で話し合う意義,意味付けというのは,どのようにお考えでしょうか。

(事務総長) 御案内のとおり,経済全体のウェイトからしてもアジア経済のウェイトは高まっていると思います。それから,競争当局の執行活動という面におきましても,もちろん日本は以前から運用しておりますが,韓国の競争当局も活発に競争法を運用しておりますし,御案内のとおり,中国においても法執行が行われるという現状になってきております。そういう面で,各国の競争当局の法執行を確認し,グローバルな考え方をそれぞれ確認し合うことは,そのこと自身,非常に意義のあることだろうと思っております。
 また,最近は,先ほどお話しましたとおり,国際的な市場での統合事案,それが1か国だけではなく複数の国に影響を及ぼすことがありますと,複数の影響が及ぶ競争当局間で意見交換,情報交換を行うことの意義も高まっているわけであります。そういう面ではアジアの競争当局間で意見交換を行い,そのようなことについての情報交換を行っていくということの意義もまた大きいだろうと思います。それから,競争法が施行されて期間が短い当局からすれば,やはり20年,30年,あるいは日本の公正取引委員会のように60年というような執行経験を積んでいる国の執行経験を参考にしていただくということも重要ではないかと考えております。

以上

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