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平成26年4月23日付 事務総長定例会見記録

平成26年4月23日付 事務総長定例会見記録

 [配布資料]

(平成26年4月23日)独占禁止懇話会第197回会合議事概要

 [発言事項]

事務総長会見記録(平成26年4月23日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)

第197回独占禁止懇話会の概要について

 本日は,まず,去る4月10日に開催されました独占禁止懇話会(独禁懇)の概要についてお話をしたいと思います。
 先週は,独占禁止政策協力委員の方の意見につきまして申し上げました。独占禁止政策協力委員は,全国各地域の有識者の方にお願いしているわけでございますけれども,今日お話しする独占禁止懇話会は,公正取引委員会が広く各界の有識者と意見交換をして,我が国経済の著しい変化に即応して競争政策を有効かつ適切に推進するとともに,併せて競争政策の一層の理解を求めることを目的としたものです。昭和43年11月以降開催しておりまして,会員は,学識経験者,産業界,法曹界,消費者団体,中小企業団体などの各分野における有識者25名の方であります。現在,会長は東京大学大学院経済学部研究科の伊藤元重先生にお願いをしているところであります。

 今回,4月10日の独占禁止懇話会では,4つのテーマについて,それぞれ会員から御意見を頂いたところであります。1つ目が,昨年末に成立いたしました独占禁止法改正法の話。2つ目は,この定例会見でも今月はじめにお話ししました独占禁止法第11条の規定による銀行等の議決権の保有等の認可の考え方,それから,消費税転嫁対策の取組及びOECDの活動と公正取引委員会につきまして,御議論をいただいたところであります。

 その際,会員から頂いた御意見の中身につきましては,今日発表の「独占禁止懇話会第197回会合議事概要」というのが速報ベースで出ておりますので,それを見ていただければと思いますが,いくつか,その中の御意見をこの場で紹介させていただきたいと思います。

 まず,最初の議題であります独占禁止法改正法の成立については,本日公表した資料の1ページ目の一番上の丸のところに出ておりますが,「今後の独占禁止法の在り方については,事情聴取への弁護士立会いを認めること,それと併せて公正取引委員会の調査権を強化する意味での裁量型課徴金を導入することが大きなテーマになると考えている。公正取引委員会の対応方針を決める際には,長期的な視点で考えるとともに,国際的な整合性を重視してほしい。」という御意見を頂いたところです。これは,1ページ目の2つ目の丸でも同じような御意見を頂いたところで,その2つ目の丸の3行目に「真実を発見し適正な処分をするというのが事件審査の大きな目的であるが」,弁護する立場から要望を言えば,「適正手続の保障の観点からの検討,特に弁護士と依頼者との間の秘匿特権の導入,事情聴取での弁護士立会い,公正取引委員会の手持証拠の開示についての検討をお願いしたい。」,それから,さらに,「国際水準の適正手続を保障することを検討してほしい。」との御意見を頂いたところです。
 これに対しまして私どもとしては,これも,この会見の場でも繰り返し申し上げましたが,この議論そのものは,内閣府が開催いたします「独占禁止法審査手続についての懇談会」において,公正取引委員会の行政調査手続について法律の附則に基づいて,今議論がされているわけですが,この御意見でも出ているように,事件についての調査を行う上での実態解明機能あるいは執行力の確保とのバランスを考えた上で調査手続の見直しはされるべきであるというふうに考えておりましたので,この内閣府の懇談会の場でも,そのようなスタンスで臨んでいきたいと考えております。

 2つ目の議題ですが,これは「独占禁止法第11条の規定による銀行等の議決権の保有等の認可についての考え方」等の改定であります。これにつきましては,お手元の資料の2ページ目の一番上の御意見ですが,「中小企業を中心に,事業再生を行う際にリスクをテイクしてくれる投資家がいないというのがネックになっているので,そういうところを整備するこのガイドラインの改定は意味があることだと思っている。一般集中規制については,事業支配力集中の考え方が,企業のグローバル化によって変わってきており,市場集中規制で補えるところがあると考える。加えて,ガイドラインがかなり細かい規定になっている。企業活動が変わってきている中で,こういったことも,見直すことが必要ではないか。」という御意見をいただきました。
 これにつきましては,一般集中規制については,規制改革会議でも議論されているところでありまして,そこでの議論や事業者の方から出された御要望も踏まえて,この独禁懇の御指摘にも適切に検討していきたいと考えております。

 3つ目の議題は,消費税転嫁対策の取組です。これにつきましては,「中小零細の納入業者は,違反行為があってもなかなか通報できないというのが実情だと思うので,公正取引委員会が受け身ではなく,積極的に実態把握をしているのは評価されてしかるべき。消費税転嫁対策特別措置法で禁じられている報復行為について,重点的に大企業に周知を行ってほしい。また,400万社への書面調査という取組は良いことだと思っているが,体制は十分整っているのか。」という御質問をいただきました。
 これに対しましては,私どものほうから,報復行為の禁止の周知については,各地で行う説明会の資料に必ず盛り込んで説明しているという点,さらに,体制の点につきましては,これまでのところ,転嫁対策のための人員が不足しているために調査・指導が十分にできないといった支障が生じていないと承知していると回答したところでございます。

 それから,最後に,4つ目の議題でOECDの活動と公正取引委員会についてであります。御案内のとおり,日本が1964年4月にOECDに加盟しまして今年は50周年を迎えるということもありまして,この議題を取り上げたところでございます。公正取引委員会は,この加盟した年,1964年10月にOECDの現在の競争委員会の前身であります制限的商慣行専門委員会に参加して以降,ずっと,この委員会に参加していろいろと御議論をさせていただいているところであります。
 これにつきましては,独占禁止懇話会の委員の方からは,3ページの4行目の1つ目の丸にありますが,「デジタル・エコノミーについて,サイバースペースなどの場で国境を越えた企業活動が盛んになる中で,国際的な場でサイバースペースにおける競争政策の在り方が議論されていく必要があると考える。その際,公正取引委員会の研究成果を世界に出して議論を喚起し,あるべき政策を議論して決めていくことが大事であると思う。」と御意見を頂いたところでございます。
 これに対しましては,私どものほうから,OECDの競争委員会では,例えば,一昨年2月の本会合でデジタル・エコノミーに関するヒアリングが行われ,日本からは関連する独占禁止法違反事件について委員から紹介したところ,それなりの評価をいただいたところである旨を回答いたしました。
 この点につきましては,今年3月にもCPRCの国際シンポジウムで,このデジタル・エコノミーにおける競争政策をテーマとして開催したことは皆さん御承知のとおりですし,CPRCの毎年の共同研究におきましても,去年,今年と,このデジタル・エコノミーについて焦点を当てて研究をしているところでございますので,その成果が得られた際には,OECD等の国際的な場で私どもの知見として御紹介していきたいと考えております。

 

消費税転嫁対策特別措置法に基づく勧告について

 それからもう一点,本日は,消費税転嫁対策特別措置法の違反事件について申し上げたいと思います。

 御案内のとおり,公正取引委員会は,積極的な情報収集活動によって把握した様々な情報を踏まえまして,立入検査等を実施してきているところですが,このたび大規模小売事業者による消費税転嫁対策特別措置法違反行為が認められたので,本日,同法第6条第1項の規定に基づき勧告を行ったところであります。

 この特措法に基づいて勧告・公表を行うのは,本件が最初の事件ということになります。

 本件につきましては,今日の3時に担当から説明する予定ですので,内容につきましてはそちらで確認していただきたいと思います。

 私からは以上です。

 

質疑応答

(問) 今日の御説明の中で,消費税転嫁対策の質問があったというところの御発言者の趣旨としては,この報復行為というのが具体的にイメージできるような形で周知されていないのではないかという意味合いのことだったのでしょうか。その辺の意味合いというか,質問,要望の趣旨はどういうところにあったのかということを含めて,もう少し詳しく教えていただけないでしょうか。
(事務総長) 私もその独禁懇には出席しておりましたが,この資料にまとめられている以上のことを,特に詳しく独禁懇の会員の方が質問をしたとは記憶しておりませんが,ここに書いてありますように,報復行為というのが非常に中小企業の方からすれば懸念されるわけで,そういうことをしたら消費税転嫁対策特別措置法上はきちっと違反行為として是正させられるということを大企業に周知してほしいというお願いだと思います。
 御案内のとおり,下請法には同じような報復行為の禁止についての規定がありますが,他方で,独占禁止法の法律そのものに直接はこの規定がないということも,あるいは背景にあるかもしれませんが,いずれにしましても,私どもとしましては,ガイドラインでも明記したように,報復行為が行われた場合には,通常は重大な事案として勧告・公表も辞さないという強い対応を明記したところでございますので,これも踏まえて,大企業を含め説明会の際には報復行為が禁止されているということを必ず周知しているところであるとお答えしたところであります。

(問) 3時から発表という初めての勧告のことですが,それを受けて総長の所感的なものがありますでしょうか。
(事務総長) 発表する前に所感というわけにもいかないと思うのですけれども,一般的なことでいえば,この会見でも何回か御質問を頂きまして,その時にお答えしたとおり,4月からいよいよ消費税率が引き上げられ,実際,それに基づいた支払いが行われてきているわけです。もちろん取引によっては,その都度支払いを行わないで,翌月とか翌々月とか,ある程度の期間で締めて精算される場合もあるわけですから,そういう意味で減額等の転嫁拒否行為が今直ちに行われるかどうかは分かりませんが,実際に消費税率が引き上げられた後の取引が行われ,支払いが行われるわけですから,今後は,私どもとして一層その監視の体制を強化して,実際に大きな被害が出た場合には,今回のように勧告・公表をして,世の中に特措法の遵守というものを強く訴えていくつもりでございます。一番最初の勧告案件について何か特別な意見というのはございませんが,今後とも,繰り返しになりますけれども,消費税率が実際に引き上げられたということですから,監視をより厳しくして対処していきたいと思っております。

以上

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