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平成27年3月4日付 事務総長定例会見記録

平成27年3月4日付 事務総長定例会見記録

 [配布資料]

 [発言事項]

事務総長会見記録(平成27年3月4日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)

第37回公開セミナーについて

 本日は,先日行われました第37回公開セミナー「諸外国における優越的地位の濫用規制等の分析」についてお話をしたいと思います。
 競争政策研究センター,CPRCは,去る2月20日,「諸外国における優越的地位の濫用規制等の分析」というテーマで,第37回の公開セミナーを開催いたしました。CPRCでは,平成25年度において,今申し上げたテーマで共同研究を行いまして,昨年末,それを取りまとめた報告書をCPRCのホームページで公表したところであります。まず,なぜこのテーマを選んだかということについて,説明させていただきます。
 近年,日本のみならず,諸外国におきまして小売業者の合併等により,そのバイイングパワーが増大している状況の中で,取引当事者間の相対的な優越的地位の濫用の問題につきまして,多くの国で関心が高まっており,様々な政策対応が行われております。このため,CPRCにおきましては,諸外国における相対的優越的地位の濫用規制の動向につきまして,競争法の観点のほか,競争法以外の行政規制等も視野に入れた調査研究を行ったところであります。
 皆様御案内のとおり,日本の独占禁止法では,自己の取引上の地位が相手方より優越している一方の当事者が,取引の相手方に対しまして,その地位を利用して,正常な商慣習に照らし不当に不利益を与える行為は,優越的地位の濫用行為として禁止されております。また,下請法では,対象となる取引当事会社を資本金規模により一律に明確化した上で,親事業者による下請事業者に対する下請代金の事後値引きや支払遅延等が禁止されております。
 諸外国においては,必ずしも我が国と同様の競争法上の規制をしているわけではないのですが,この共同研究では,諸外国において,取引上の立場が相対的に相手方よりも優越しているという立場を利用した不当な行為,すなわち相対的優越的地位の濫用行為に対しまして,どのように規制がなされ,運用がなされているのか,この研究では8つの国・地域につきまして,具体的にはEU,イギリス,フランス,ドイツ,中国,韓国,オーストラリア,アメリカの8つの国・地域について概観したところであります。
 皆様のお手元に,公開セミナーの当日用いました資料を2点お配りしております。公開セミナーでは,この共同研究の主査を務めていただきました神戸大学大学院法学研究科の泉水文雄教授から,お手元の「諸外国における優越的地位の濫用規制等の分析」とタイトルのあります資料に沿って,この共同研究の概要について御講演をいただいたところであります。
 この泉水教授からの御講演の後,広島修道大学大学院法務研究科の伊永大輔准教授から,お手元の資料「日本の優越的濫用規制への示唆」に沿ってコメントをいただいたところであります。
 伊永准教授からは,我が国の優越的地位の濫用規制は,独占禁止法と下請法とが適切な役割分担を行うことによって,諸外国の規制と比べても,協賛金等の負担の要請,従業員等の派遣の要請,返品,減額といった様々な行為類型に対する包括的な規制となっているほか,執行経験も有しており,諸外国の競争当局にとって参考になるのではないかというコメントをいただいたところであります。
 公開セミナーの当日は,弁護士,企業の法務担当者,大学関係者等,70名を超える方々に御参加をいただきました。公開セミナー後のアンケート結果も公開セミナーの内容が参考になったとの評価を多数いただいたところでありまして,例えば,企業のコンプライアンス担当の方からは,今回のセミナーで諸外国の状況が分かり,社内啓発にいかしていきたいといった感想をいただきました。公開セミナーの議事録については,後日CPRCのホームページに掲載いたしますので御参照いただければと思いますが,お手元の配布資料,あるいは公開セミナーの議論の詳細につきまして,ホームページにアップする前に何か御質問がありましたら,CPRCの事務局であります経済取引局の経済調査室の方までお問い合わせいただければと思います。
 CPRCでは,今後とも各種イベントの開催等を通じまして,競争政策に対するタイムリーな情報について積極的に発信を図っていきたいと考えています。

以上

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