2014年7月

EU

欧州委員会,同委員会が2009年に行った10億6000万ユーロの制裁金をインテルに賦課する決定を不服とする同社の訴えを棄却した欧州普通裁判所の判決を歓迎

2014年6月12日 欧州委員会 公表

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【概要】

 欧州委員会は,同委員会が2009年に行った,インテルが支配的地位を濫用していたと認定し,同社に10億6000万ユーロの制裁金を賦課した決定を全面的に支持した欧州普通裁判所の2014年6月12日付けの判決(T-286/09事件)を歓迎する。この判決は,重要な世界的市場において問題となっている反競争的行為の摘発に関し欧州委員会が完全に正当化される旨を確認した点で意義深い。欧州委員会は,引き続き,単一市場における競争を制限し,消費者に損失を与える市場支配的地位の濫用行為を積極的に摘発する所存である。
 欧州委員会は,2009年5月13日,EUの反トラストに係る理事会規則(理事会規則1/2003)第7条に基づき,インテルの反競争的行為を禁止する決定を採択した。この決定は,インテルが,x86CPU市場,すなわち主としてコンピュータチップ市場において,EU機能条約第102条(旧EC条約第82条)に違反する2つのタイプの市場支配的地位の濫用行為を行っていたと認定した。この2つのタイプの市場支配的地位の濫用行為は,以下のとおりである。
(1) 必要なCPUの全量又はほぼ全量をインテルから購入することを条件として,コンピュータ・サーバーメーカー4社(デル,ヒューレット・パッカード,NEC及びレノボ)にリベートを供与していた。さらに,川下のコンピュータ小売業者(Media Markt)に対して,インテル製のCPUを搭載しているコンピュータのみを販売することを条件に,金銭を供与していた(「条件付きリベート」)
(2) インテルの唯一のライバルであるAMD製のCPUを搭載した特定の製品の販売を中止させ,延期させ,又は制限するため,コンピュータメーカー3社(ヒューレット・パッカード,エイサー及びレノボ)に直接金銭を供与していた(いわゆる「あからさまな制限(naked restrictions)」)
 欧州委員会は,この決定において,本件市場支配的地位の濫用行為に係る条件及び金銭供与については,通常,どんな契約書にも記載されておらず,インテルが,これらの存在を隠そうとしていたものと認定している。欧州委員会は,インテルの行為を競争及びイノベーションを制限するものであると認定し,違反行為が継続しているものについては,全て取りやめることを命じ,10億6000万ユーロの制裁金を課した。インテルは,これを不服として欧州普通裁判所に控訴した。欧州普通裁判所は,2014年6月12日,欧州委員会の認定を全面的に支持した。具体的には,以下のとおりである。
(1) 欧州委員会は,インテルが行っていた条件付きリベート及びあからさまな制限の存在について誤りなく立証した。
(2) 欧州委員会は,インテルが,自社の行為が反競争的に機能することを隠そうとしていたことを誤りなく立証した。
(3) 欧州委員会は,問題とされているインテルの行為が市場支配的地位の濫用行為に該当することを誤りなく立証した。
(4) 欧州委員会が課した制裁金は,妥当なものである。

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