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2017年5月

EU

欧州委員会,自動車用エアコン部品及びエンジン冷却部品に係るカルテルを行っていたとして,ベーア,カルソニックカンセイ,デンソー,パナソニック,サンデン及びヴァレオの6社に対し,総額1億5500万ユーロの制裁金を賦課

2017年3月8日 欧州委員会 公表
原文

【概要】

 欧州委員会は,欧州経済領域内の自動車メーカーに供給する自動車用エアコン部品及びエンジン冷却部品について,1件から4件のカルテルを行っていたとして,ベーア,カルソニックカンセイ,デンソー,パナソニック,サンデン及びヴァレオに対し,総額1億5500万ユーロの制裁金を課した。
 6社全社がカルテルへの関与を認め,和解に合意した。デンソーは3件のカルテルについて,パナソニックは1件のカルテルについて,カルテルの存在を欧州委員会に通報し,制裁金が課されなかった。

 本決定の名宛人である自動車部品供給業者6社は,欧州経済領域内の自動車メーカーへの自動車用エアコン部品及びエンジン冷却部品の供給に際し,価格及び市場を調整し,機密情報を交換した。供給業者6社とは,ベーア(ドイツ),カルソニックカンセイ(日本),デンソー(日本),パナソニック(日本),サンデン(日本)及びヴァレオ(フランス)である。
 欧州委員会の調査により,4件の違反行為が存在することが明らかになった。次表は,各社が関与した4件の違反行為と違反行為期間を記載している:

 

供給業者(グループ)

違反行為の対象

始期

終期

1

・ベーア
・デンソー
・ヴァレオ

VWグループ,ダイムラー(メルセデス)及びBMWへの冷暖房空調(以下「HVAC」という。)の販売

2005/11/11

2009/12/2

2

・デンソー
・サンデン
・ヴァレオ

VWグループ及びPAG(ジャガー,ランドローバー,ボルボ)へのコンプレッサー(エアコン部品)の販売

2004/11/29

2009/10/15

3

・デンソー
・パナソニック

日産/ルノーへの電気コンプレッサーの販売

2009/5/14

2009/10/21

4

・カルソニックカンセイ
・デンソー

スズキ(スイフト,SX4)へのHVAC,ラジエータ及びファンの販売

2007/10/17

2009/7/21

・サンデン

スズキ(スイフト,SX4)へのHVACの販売

2007/10/17

2009/7/21

・ヴァレオ

スズキ(SX4)へのHVACの販売

2008/9/23

2009/7/21

制裁金

 欧州委員会の2006年リニエンシー告示の下:
・デンソーは3件のカルテルを明らかにしたことにより,制裁金が全額免除された(これにより,総額で約2億8700万ユーロの制裁金を免れている)。
・パナソニックは1件のカルテルを明らかにしたことにより,制裁金が全額免除された(これにより,約20万ユーロの制裁金を免れている)。
・ベーア,カルソニックカンセイ,デンソー,サンデン及びヴァレオは,欧州委員会の調査に協力したため,制裁金が減額された。
 さらに,欧州委員会の2008年和解手続の下で,欧州委員会は,カルテルへの関与及びこの点における責任を認めたことを踏まえ,各社に課せられた制裁金を10パーセント減額した。
 各社の制裁金の内訳は以下のとおり:

 

供給業者(グループ)

リニエンシー告示による減免率

和解手続による減免率

制裁金
(ユーロ)

1

・ベーア
・デンソー
・ヴァレオ

30%
100%
40%

10%
10%
10%

62,135,000
0
18,236,000

2

・デンソー
・サンデン
・ヴァレオ

100%
25%
45%

10%
10%
10%

0
63,220,000
8,376,000

3

・デンソー
・パナソニック

40%
100%

10%
10%

322,000
0

4

・カルソニックカンセイ
・デンソー

30%
100%

10%
10%

1,747,000
0

・サンデン

15%

10%

1,385,000

・ヴァレオ

50%

10%

154,000

背景

 エアコンは,外気温から乗客を保護し,車内温度を調節することを可能にし,エアコン部品には,HVACユニット,コンプレッサー並びに電気自動車及びハイブリッド車用の電気コンプレッサーが含まれる。エンジン冷却部品(ラジエータ及びファン)は,エンジンルームからの廃熱を除去するために使用される。

手続に関する背景

 欧州委員会による本件調査は,リニエンシー告示に基づく申請から始まった。2012年5月に複数の供給業者に対して立入検査が行われた。本件の正式な和解手続は2015年12月に開始され,2017年1月に異議告知書が採択された。
 欧州委員会は日本及び米国の独占禁止当局と協力して調査を行った。

欧州委員会,ガスプロムによる支配的地位濫用事件に関し,同社から提出された確約案について,パブリックコメントの募集を開始

2017年3月13日 欧州委員会 公表
原文

【概要】

 欧州委員会は,中欧及び東欧のガス市場に関する欧州委員会の懸念を解消するためにガスプロムから提出された確約案についてパブリックコメントの募集を開始した。当該確約案は,競争的な価格で国境を跨ぐガスの取引が行われることを可能とするものである。

 ガスプロムは中東欧の多数の国における支配的なガス供給事業者である。2015年4月,欧州委員会は,ガスプロムに異議告知書を送付し,同社が中欧及び東欧のガス市場を分割する総合的な戦略を実施してきたことはEU競争法に違反するとの暫定的な見解を示した。
 欧州委員会は,ガスプロムから提出された確約案は委員会の競争上の懸念を網羅するものであり,確約案が実施されることで中東欧のガス市場の統合が進み,競争価格での国境を跨ぐガス取引が促進されるとみている。
 とりわけ,欧州委員会は,ガスプロムが提出した確約案によって,以下の競争上の懸念が解消されると考えている。
・ ガスプロムは,取引先のガス卸売業者等との間の契約の中に地域制限条項を置き,中東欧諸国(ブルガリア,チェコ,エストニア,ハンガリー,ラトビア,リトアニア,ポーランド及びスロバキア)の間でのガスの自由な取引を制限していた。そのため,地域制限に関する全ての条項を撤廃するとともに,ガス市場のより良い統合を実現するために積極的な取組を行う。
・ ガスプロムは,上記の地域制限を行っていた結果,中東欧5か国(ブルガリア,エストニア,ラトビア,リトアニア及びポーランド)で,ガスの卸売業者に対する価格を著しく高く設定し得る状況にあった。そのため,契約中の価格改定条項に幾つかの重要な変更を行うことにより,これらのガス市場において競争価格での取引を確保する。
・ ガスプロムは,ブルガリアにおけるサウス・ストリーム・ガスパイプライン建設の合弁事業等において,パイプラインの利用又は管理で有利な立場に立つため,ガスの供給市場における支配的地位を利用していた。そのためガスプロムは,パイプライン建設計画が中止されたことについて,契約中の規定の有効性の有無には関係なく,合弁事業の相手方に対して損害の賠償を求めないこととする。
 欧州委員会は全ての関係者から確約案に関する意見を募集し,受け取った全ての意見を考慮した上で,今回の確約案が欧州委員会の懸念を十分に解消するかについて最終的な見解を示す予定である。

欧州委員会のヴェステア-委員,アルゴリズムと競争の問題に関して講演

2017年3月16日 欧州委員会 公表
原文

【概要】

 2017年3月16日にドイツ連邦カルテル庁が開催した会議において,アルゴリズムと競争について欧州委員会のヴェステアー委員が講演したところ,概要は以下のとおり。

アルゴリズムと競争

 アルゴリズムには競争当局の関心を引く側面がある。価格を自動的に監視し,更に調整する自動化システムの問題である。
 これらのプログラムは,膨大な数のオンラインショップの価格を継続的にチェックしている。そして,こうしたアルゴリズムは非常に一般的である。我々が行った電子商取引分野の調査によれば,競争業者の価格を追尾している小売業者の3分の2が,そのために自動化システムを用いているし,中には自動的に価格調整するソフトも用いている者もいる。
 そして,競争の観点からは,これらのアルゴリズムがどのように利用されるかが重要であり,競争への影響はそれをどのように設定するかに決定的に依存する。無制限に値上げするように設定すれば,そのようにするだろうし,競合他社の価格を下回るように設定すれば,今度はそのようにする。そして,消費者が最安値を見つけられるようにすることも,そのようにアルゴリズムを設定すれば可能である。実際,航空運賃などで,そのようなアプリケーションの使用は日常的である。
 そうであるから,価格の設定に自動化システムを用いたからといって直ちに競争上の問題を疑う必要は無いと考えている。

自動化システムを用いたカルテルや再販売価格維持の実施

 しかし,これからのカルテルに対する法執行の課題を考えた場合,最大の課題の一つは自動化システムを用いることで,より効果的にカルテルが行われるリスクである。
 数年前,アーティストのポスターを販売している業者2社が,アマゾンの販売サイトにおいてお互いの価格を下回らないことで合意した。しかし,ある従業員が述べているように「日々価格を確実に調整することは実行面で困難だろう。」とされており,より端的に言えば,各社ともが非常に多くの商品を販売しているので,手作業で価格を調整することが困難なことを意味する。その代わりに2社は,お互いに同じ価格を維持するために価格アルゴリズムを用いることを決めた。
 これはカルテルだけではない。製造業者が小売業者に対し小売価格の下限を維持させたい場合,当該製造業者は下限価格を下回る価格で販売している値引き店に対応する必要が出てくる。監視アルゴリズムを用いれば,製造業者は値引き販売を容易に見つけることができる。そして,小売業者に対して,下限価格を維持するように働きかけることができる。

自動化システムの間での共謀

 違法な共謀が常に密室で行われるとは限らない。共謀が行われる方法は様々であり,自動化システムでも行えるものもあるだろう。
 数年前,リトアニアの旅行予約システムの運営業者が旅行代理店に対して3パーセント以上の値引きは行わないよう制限する提案の電子メッセージを送信した。これについて,欧州司法裁判所は,当該メッセージを読み,提案から距離を置くことをしなかった旅行代理店はカルテルに参加したものとみられる可能性があると判断した。
 競争当局として,コンピュータープログラムを盾にしたところで,共謀の責任は免れないことを明示する必要があると考えている。

計画的コンプライアンス

 デジタルの世界は,潜在的に非常に有益な一方,濫用された場合のリスクも高い技術で満ちている。
来年施行されるデータ保護に関する欧州規則は,この課題に対処する上で非常に示唆に富んでいる。計画的データ保護という概念は,個人のプライバシーは後から考えるものではないことを明確にしている。初めからデータが保護されるように対処されている必要がある。
このことは,企業がアルゴリズムを設計し利用する場合にも当てはまる。
企業が,自動化されたシステムを利用して意思決定する場合,同システムがアルゴリズムをどのように用いているか必ずしも正確に知らないかもしれない。企業にできること,そしてしなければならないことは,競争法のコンプライアンスを計画的に行うことである。このことは,アルゴリズムを設計する際は共謀を行わないようにする必要があることを意味する。

結 論

競争当局としては,カルテルを効果的に行うためにソフトウェアが用いられることのないよう十分に警戒する必要がある。それによりカルテルを,より確実に行えるようになるのであれば,その事実を制裁金に反映させる必要があるかもしれない。
また,企業は自動化システムを利用するのであれば,その結果に対して責任を負うことを理解する必要がある。したがって,企業は,システムがどのように作用するか知っておく方がよい。

欧州委員会,航空貨物運送業者による価格カルテルに対して7.76億ユーロの制裁金を課す決定を再度採択

2017年3月17日 欧州委員会 公表
原文

【概要】

 欧州委員会は,航空貨物運送業者11社が価格カルテルを行っていたことを再度認定し,各社に対して総額7.76億ユーロの制裁金を課す決定を採択した。
 なお,欧州委員会の原決定は,手続上の理由で欧州一般裁判所により取り消されていた。
 競争政策を担当するヴェステアー委員は「何百万もの事業者により航空貨物サービスが利用され,その規模はEUの全輸入の20パーセント以上,全輸出の30パーセント近くに達している。欧州委員会は,航空貨物運送業者がより良いサービスを顧客に提供するために競争するのではなく,共同でカルテルを行うことを許さない。今日の決定により,航空貨物のカルテルに参加した企業に確実に制裁が加えられることになる。」と述べた。
 2010年11月,欧州委員会は,欧州経済領域内及び欧州経済領域を発着するフライトを対象とする航空貨物サービス市場で,1999年12月から2006年2月までの間,価格カルテルに参加した航空貨物運送業者11社に対して約8億ユーロの制裁金を課す決定を下した。カルテル協定で,これら航空会社は,2社間又は多社間で燃料及びセキュリティに関するサーチャージを取り決めていた。
 2010年の決定では,エア・カナダ,エールフランス‐KLM,ブリティッシュ・エアウェイズ,カーゴルックス,キャセイパシフィック航空,日本航空,LANチリ,マーティンエアー,カンタス,SAS及びシンガポール航空に制裁金が課された。カルテルに参加した者のうち,ルフトハンザ及びその子会社のスイスインターナショナルエアラインズについては制裁金が全額免除された。
 2010年の決定を受けた航空会社のうち1社(カンタス)を除く全ての会社は上記の決定に関して欧州一般裁判所に異議を申し立てた。2015年12月,欧州一般裁判所は欧州委員会の審査手続に瑕疵があったとして,異議を申し立てた11社に対する委員会の決定を取り消す判断を下した。しかし,カルテルが行われた事実については判断は示されなかった。
 欧州委員会は,これらの航空貨物運送業者が価格カルテルを行っていたとする主張は維持しつつ,改めて制裁金を課す決定を下した。新たな決定によって欧州一般裁判所が指摘した手続上の瑕疵は治癒されたが,欧州委員会が主張した競争制限行為は同じものである。

制裁金の算定

 制裁金は2006年に欧州委員会が公表した制裁金ガイドラインに基づき設定された。制裁金の額は,マーティンエアーを除き,2010年の決定時と同じ水準に定められた。2010年の決定では,マーティンエアーの制裁金の額は2009年の同社の総売上高の10パーセントに達していた。EU規則では,決定が採択された年の前年の総売上高の最大10パーセントまでの額の制裁金を課すことができる。マーティンエアーの売上高は2009年と比較して2016年には大幅に減少したことから,それを反映して,同社の制裁金の額は引き下げられた。
 2010年の決定では,ルフトハンザ及びその子会社のスイスインターナショナルエアラインズに関しては,委員会にカルテルを通報,貴重な情報を提供したことから,2006年のリニエンシー告示に従い,制裁金が全額免除された。さらに,大部分の航空会社は,欧州委員会に協力したことから,リニエンシー告示に従い制裁金が減額された。

訴訟の経緯

 本件の調査は,2005年12月にルフトハンザが提出したリニエンシー申請により開始された。2006年2月,欧州委員会は,航空貨物運送業者各社の事務所に対して抜き打ち検査を実施した。2010年11月,欧州委員会は航空貨物運送業者12社に対して,総額7億9944万5000ユーロの制裁金を課す決定を採択した。
 カンタスを除く全ての航空会社は,欧州委員会による2010年決定に関して欧州一般裁判所に提訴した。カンタスは提訴しなかったことから2010年の決定が確定した。
 2015年12月,裁判所は,決定の理由と主文の間に整合性が無いと認定した上で,欧州委員会による2010年決定を取り消した。具体的には,決定の理由では,違反行為は全ての名宛人による,単一かつ連続的な行為と記載されていた。しかし,主文中の幾つかの条項では,4件の違反行為が行われ,4件全てに参加する名宛人は一部の者に限られるとされていた。
 欧州委員会の2017年3月の決定は,欧州一般裁判所の判断を踏まえ,主文の記載が理由の部分の記載と整合的なものとされている。

欧州委員会,ダウとデュポンの合併計画について,農薬市場における競争の減殺を防ぐため,デュポンの農薬事業の主要部分(全世界の研究機関を含む)の売却等を条件に承認

2017年3月27日 欧州委員会 公表
原文

【概要】

 欧州委員会は,EU企業結合規則の下,米国の化学会社ダウ及びデュポンの合併計画を承認した。具体的には,本承認は,デュポンが世界中で営む農薬事業の主要部分の売却を条件としており,その中には全世界の研究機関が含まれている。

 本件の決定は,本合併計画に関する詳細審査に基づくものである。欧州委員会は,届出の内容を踏まえれば,本合併計画により,多くの既存の農薬市場において価格及び商品選択に関する競争が減殺されることに懸念を有していた。さらに,本合併計画により,技術革新が減少するおそれがあった。技術革新による既存製品の改良や新たな有効成分の開発は農薬分野における競争の重要な要素であるところ,これらの研究開発の全プロセスを全世界で行っている事業者は5社に限られる。
 ダウとデュポンは,これらの懸念の全てに対応する確約案を提案した。両社は,懸念が認められる市場における事業活動の重複を解消するために,デュポンが持つ関連する農薬事業を売却する。また,デュポンが全世界に持つ研究開発機関のほぼ全てを売却する。欧州委員会は,当該一連の事業売却により,売却先の事業者が,競争上の懸念が生じる市場において,実質的にデュポンに代わり技術革新を継続することが可能となることから,これは欧州の農家と消費者の利益に資すると判断した
 なお,特定の石油化学製品についても両社は有力な事業者であるところ,効果的な競争を維持するため,両社はダウが持つ石油化学事業関連資産を売却することにしている。

欧州委員会の競争上の懸念

 欧州委員会の競争上の懸念は以下の三点である。
 a) 既存の農薬の市場の多くで競争が著しく減殺される点
 b) 農薬に関する研究開発競争が著しく減殺される点
 c) 特定の石油化学製品の供給を巡る競争が著しく減殺される点

問題解消措置

 両当事会社は,上記の全ての競争上の懸念を解消する一連の確約案を提案した。
 a)及びb) 農薬市場における価格及び研究開発競争の維持
 両当事会社は,デュポンの既存の農薬事業の重要な部分を売却することとし,その中には研究開発機関が含まれる。具体的には
・ 穀類,菜種,ヒマワリ,米及び牧草用の除草剤並びに果物や野菜等を食べる害虫用の殺虫剤に関してデュポンが営む全世界の事業。両当事会社はこれらの事業に必要な有形・無形の資産及び関連する人員も譲渡する。
・ 防カビ剤に関する,より限られた懸念を解消するため,デュポンが稲の栽培方法に関して持つ資産の欧州経済領域内における利用を排他的にライセンス。
・ デュポンが全世界に持つ研究機関(ただし,デュポンが保有し続ける農薬事業に必要なものを除く。)。
 c) 特定の石油化学製品の競争の維持
 ダウは,同社がスペイン及び米国に持つ,酸コポリマーに関する2つの製造設備を売却する。あわせて,同社が第三者から供給を受けて顧客に販売するイオノマーに関して,当該第三者との契約を売却する。

国際協力

 欧州委員会は,他の多くの競争当局とも緊密に連絡を取っており,これらの当局も本計画を審査している。具体的には,欧州委員会は,米国司法省及びオーストラリア,ブラジル,カナダ,チリ,中国並びに南アフリカの各競争当局と定期的な情報交換を実施した。

欧州委員会,ドイツ証券取引所とロンドン証券取引所の合併計画を禁止

2017年3月29日 欧州委員会 公表
原文

【概要】

 欧州委員会は,EU合併規制に基づき提出されたドイツ証券取引所とロンドン証券取引所の合併計画を禁止する決定を下した。欧州委員会は審査結果を踏まえ,本件合併により債券売買に係る市場において事実上の独占を創出するとの結論を得た。
 届出がなされた合併計画は,欧州の二大証券取引所であるドイツ証券取引所とロンドン証券取引所グループの活動を一体化するものである。当事会社は,ドイツ,イタリア,英国の証券取引所をはじめ幾つかの加盟国で最大の清算機関を有している。
 競争政策を担当するヴェステアー委員は「欧州経済は正常に機能する金融市場に依存している。それは銀行その他の金融機関にとって重要なだけではなく,企業が競争的な金融市場から資金を調達することを通じて経済全体に利益がもたらされる。ドイツ証券取引所とロンドン証券取引所の合併は,確定利付証券の清算事業という重要なサービス分野において,事実上の独占が形成され,著しく競争が減殺されるおそれがある。このような競争上の懸念を解消する措置が求められるところ,当事会社はそれを提案することができなかった。そこで当委員会は本件合併計画を禁止することを決定した。」と述べた。

欧州委員会の懸念事項

 欧州委員会は,欧州において確定利付証券(以下「債券」という。)の清算業務を営んでいるのは当事会社のみであるところ,当該合併により債券の清算事業の分野において事実上の独占がもたらされることを懸念している。具体的には,本件合併により,ドイツ証券取引所がフランクフルトに置く清算機関のユーレックスと,ロンドン証券取引所が有する清算機関LCH.Clearnet(ロンドンに本拠を置くLCH.Clearnet Ltdとパリに本拠を置くLCH.Clearnet SA)及びローマに本拠を置くCassa di Compensazione e Garanziaが統合されることになる。
 債券の清算市場が独占化すると,清算業務に付随する保管及び担保管理サービス(以下「カスケードサービス」という。)の市場にも連鎖反応をもたらすおそれがある。カスケードサービス市場におけるサービス提供事業者は,清算機関からの取引の委託(feeds)に依存しているところ,ドイツ証券取引所グループのClearstreamは,カスケードサービスの提供事業者と競合することから,合併後の当事会社側の清算機関は,取引の委託先をClearstreamに切り替え,競合する他のサービス提供事業者を排除するインセンティブが働く。
 加えて,本件合併によって(ベルギー,オランダ及びフランスの会社株式を用いた)先物株式のデリバティブ取引及び清算サービスに関する競争が無くなることになる。現在,ユーレックスは(トレードと清算を組み合わせた)バンドルサービスでユーロネクスト(注)及びLCH.Clearnet SAと競合している。LCH.Clearnetは当該バンドルサービスの価格決定に大きな影響力を有していることから,合併によりユーレックスと競争するインセンティブが減殺されるおそれがある。さらに,ユーレックスは,LCH.Clearnetが持つマーケットパワーをユーロネクストを排除するために用いることも可能となる。
 欧州委員会は,詳細審査の開始を決定するに当たり,これらの懸念事項を提示するとともに,2016年12月に発出された異議告知書においても当事会社に正式に伝えた。欧州委員会はまた,必ずしも最終決定ではないが,予備的な競争上の懸念についても当事会社に提示した。
 これらの競争上の懸念に反論するか,それとも適切な問題解消措置を提案するかは当事会社側の責任であるとした。

当事会社が提案した問題解消措置

 当事会社は,欧州委員会の懸念を解消するため,ロンドン証券取引所グループのフランスにおける清算機関であるLCH.Clearnet SAを売却する案を問題解消措置として申し出た。
 欧州委員会としては,この案により,先物株式のデリバティブ取引で競争が無くなる懸念は解消されるが,債券の清算業務市場で事実上の独占が生じるとの懸念を解消するには有効ではないと判断した。これは問題解消措置に対するマーケットテストによって明らかになった点である。
 マーケットテストによって,LCH.Clearnet SAの債券清算事業は,ロンドン証券取引所グループが運営するMTS債券取引所からの取引の委託に大きく依存していることが明らかになった。MTS債券取引所からの取引の委託が無ければ,将来,当該事業分野の存続可能性が著しく損なわれる可能性がある。したがって,欧州委員会は,LCH.Clearnet SAが,今後の債券清算サービスにおいて競争相手として存続できるか判断することができなかった。
 当事会社は,マーケットテストで明らかとなった問題に対処するために既に申し出た確約案を変更する機会があった。そして,MTS債券取引所を売却することは,当事会社の収益及び市場価値規模に比較すれば相当小さな規模の資産の処分であることを踏まえれば,これらの懸念を解消する明らかな問題解消措置であったと思われる。
 しかし,当事会社は,MTS債券取引所を売却することなく,一連の複雑な行動措置を申し出たにとどまった。そして,申出に係る措置が実際に有効であり,LCH.Clearnet SAが今後も債券清算業務分野において競争相手として存続することを確保するものであることを示すことができなかった。
 したがって,欧州委員会は,申出のあった問題解消措置では合併の結果として債券清算業務市場において事実上の独占が生じることを防ぐことはできないと判断した。

注:パリ,アムステルダム,ブリュッセルの各証券取引所が2000年に合併し,2002年にリスボン証券取引所が加わった取引所連合

本文ここまで


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