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「EU競争法における競争制限の解釈」(2011年9月) 鞠山 尚子(同志社大学法学部嘱託講師) 概要 EU競争法101条は,競争制限行為について1項と3項という二段階で評価する構成となっているため,正当化理由となり得る事実・効果を持つ行為を評価する際,各項において,何をどのように考慮すべきか,混乱して理解されることがあった。そこで本稿は,1項にいう「競争制限」の解釈分析を示すことで,この混乱を整理することを目的とした。 101条1項において,ある行為が「競争を制限するか」どうかは,以下のように分析される。その行為は,当該行為の存在する市場の文脈に照らして,また,当該行為がなかった場合と比較して,分析されなければならない。また,正当な目的に必要とされる競争制限行為は,その目的に直接関連し必要で,それに釣り合ったものである限り1項の「競争制限」には該当しないとされる。 「競争制限」の解釈については,競争制限効果と競争促進効果の比較衡量が1項の「競争制限」の分析で行われるべきかについて長らく争いがあった。しかし,この比較衡量は,3項の分析で行われることが裁判所や委員会によって明らかにされている。本稿では,1項で比較衡量を採用したと指摘された判決は,1項で比較衡量を行ったものではなく,上述の分析に従ったものであることを示す。 |
CPDP 52-J(PDF:704KB) |