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第100回ワークショップの概要

第100回ワークショップの概要

 第100回ワークショップが12月17日(金曜)に開催されました。報告等の概要は以下のとおりです。

 「企業結合の判断基準,コーポレート・ガバナンス等への効果」の中間報告

 (CPRC所長・成城大学社会イノベーション学部教授 小田切宏之氏)
 (CPRC主任研究官・関西学院大学経済学部教授 土井教之氏)
 (京都産業大学経済学部准教授 齋藤卓爾氏)
 (CPRC研究員・経済調査室 荒井弘毅氏)
 (CPRC研究員・経済調査室 工藤恭嗣氏)

 平成22年度の共同研究の一つである本研究は,企業結合審査において,効率性向上効果をどのように評価するかの検討するための素材として,(1)差別化寡占のモデルを用いて,市場画定を含めた競争制限効果の判断基準として,企業結合後に価格の上昇が起きないためには限界費用逓減がどのくらい必要かを示すWerden Index(Werden,1996; Goppelsroeder et al.,2008)や,限界費用逓減を考慮した上で,どれだけ価格上昇が見込まれるのかを示すUPP(Upward pricing pressure;Farrel and Shapiro,2010)等の既存研究をサーベイし,これらの指標のメリットと問題点や適用可能性について研究することによって,当該指標の現実的可能性について調査する。(2)Propensity scoreを推定し,treatment effectを用いた分析がコーポレート・ガバナンスの文献や多角化の効果の研究等でみられるが,当該分析手法が企業結合分析に適用可能か調査するものです。
 今回のワークショップにおいては,報告者から,Propensity Score Matching (PSM) 法を用いた合併効果の分析の中間報告と,UPPやWerden Indexに関する資料配布が行われました。
 報告を受け,参加者から,効率性の指標の一つとして利益率をみているがTFP等の生産性をみないのかと質問がなされ,それに対して報告者から,今回の分析では,従業員数のデータが取得できなかったこともあり利益率だけをみたが,従業員数で割った労働生産性も取り入れることを考えており,TFPについては今後検討したいとの回答がなされました。また,銀行業の産業組織分析等で規模の経済性や範囲の経済性を分析したものがあったが,規模や範囲の経済性といったものも考慮したらいいのではないか,とコメントがなされました。
 さらに,効率性と構造的指標との関係について,合併事例をみるとシェアがかなり小さく,HHI等の構造的指標では競争法上の問題が生じないのではないかとの質問があり,HHI等の構造的指標は市場の画定の問題があり,都道府県レベルでみた場合の構造的指標を検討したいとの回答がなされました。

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