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第101回ワークショップの概要

第101回ワークショップの概要

 第101回ワークショップが4月8日(金曜)に開催されました。報告等の概要は以下のとおりです。

(1)「搾取的行為の考え方」の最終報告

 (CPRC客員研究員・神戸大学大学院法学研究科教授 泉水文雄氏)
 (CPRC客員研究員・大阪大学社会経済研究所准教授 松島法明氏)
 (CPRC研究員・経済調査室長 荒井弘毅氏)
 (CPRC研究員・経済調査室 佐藤範行氏

 平成22年度の共同研究の一つである本研究は,搾取的行為の考え方に関して,比較法,事例分析及び経済分析の観点から検討を試みようとするものです。
 今回のワークショップでは,報告者から,第一に,日本法と各国法における搾取的行為規制の類似性等について比較法の観点からの説明がなされ,第二に,事例分析による検討から得られるインプリケーションと課題についての説明がなされ,第三に,経済分析を通して搾取的行為規制を効率性の観点及び公平性の観点からそれぞれ評価した結果について説明がなされました。最後に,まとめとして本研究の成果及び今後の課題について報告がなされました。
 報告を受け,参加者から,欧米においては,市場支配的地位にない企業同士の取引の問題は一般的に契約法の問題として処理されるべきと考えられているという説明があったが,このことについて競争当局のスタンスはどうなのかという質問がなされ,報告者から,米国ではこの種の問題に関係する規定としてはFTC法第5条があるところ,最近でこそ様々な意見がみられるようになったが,FTCは以前からこの種の問題を反トラスト法で解決することに対して消極的であり,またEUも正面からこの種の問題を競争法の問題として扱うことを躊躇(ちゅうちょ)しているが,EU加盟各国の規制を調べた場合,この種の問題を競争法の問題として扱う国も幾つかあるかもしれないという回答がなされました。
 また,参加者から,実際にこの種の問題が競争当局によって処理されない場合はどこで処理されているのかという質問がなされ,報告者から,司法の場で解決することになるように思われるが詳細な実情については把握していないという回答がなされました。
 さらに,Inderst and Wey(2010)の設定と関連する事案として,ドン・キホーテ及びヤマダ電機等の事件を挙げているがもう少し詳しく説明して欲しいという質問に対して,前提として川下での競争が担保されている必要があるという条件の下で,例えば,ドン・キホーテ事件の場合は,ドン・キホーテと他のスーパーの費用構造が変わり,小売の大型化によって川下段階での競争力が変化することが厚生にどのような影響を与えるのかを検討したものである等の回答がなされました。

(2)「規制の競争への効果の分析」の最終報告

 (CPRC客員研究員・早稲田大学国際学術院専任講師 鈴木彩子氏)
 (CPRC客員研究員・大阪大学社会経済研究所准教授 松島法明氏)
 (CPRC研究員・経済調査室長 荒井弘毅氏)
 (CPRC研究員・経済調査室 松八重泰輔氏)

 平成22年度の共同研究の一つである本研究は,規制の競争への効果の分析に関して,経済学的な見地から規制の分析を試みようとするものです。
 今回のワークショップにおいては報告者から,自主規制があるテレビの広告に関して,その規制が消費者の厚生にどのような影響があるのかについて,理論モデルを用いて中間報告以降に得られた幾つかの分析結果が報告されました。
 報告を受け,参加者から,企業が2社の場合を分析しているが,3社以上の場合に結果はどうなるのかという質問がなされ,報告者から,3社以上になると外部効果が発生するので結果が少し変わるかもしれないという回答がなされました。
 また,社会余剰を最大化するように広告量を決めた場合,消費者余剰,生産者余剰は規制がない場合と比べてどのように変化するのかという参加者からの質問に対して,報告者から,最終報告書においてはそれに対する明確な回答を付け加えることとしたいという回答がありました。
 さらに,参加者から,このモデルにおいては,広告が必ず不効用を与える設定になっているが,広告から効用を得るような場合もあるのではないかという質問があり,報告者から,そのような消費者を考慮した拡張も重要であるという回答がなされました。

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