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第105回ワークショップの概要

第105回ワークショップの概要

 第105回ワークショップが6月10日(金曜)に開催されました。報告等の概要は以下のとおりです。

(1)「競争法の観点から見た国家補助規制‐EU競争法の議論を参考に」の研究計画

 (CPRC客員研究員・東洋大学法学部准教授 多田英明氏)
 (CPRC主任研究官・大阪大学大学院高等司法研究科准教授 武田邦宣氏)
 (CPRC主任研究官・学習院大学法学部教授 大久保直樹氏)
 (東海大学法学部専任講師 青柳由香氏)
 (慶応大学経済学部非常勤講師 市川芳治氏)
 (CPRC研究員・調整課 田中賢一氏)
 (CPRC研究員・調整課 坂本智之氏)
 (CPRC研究員・経済調査室長 荒井弘毅氏) ほか

 平成23年度の共同研究の一つである本研究は, EU競争法の国家補助規制について,我が国の法体系,政策体系の中で共有すべき部分の整理・検討を行い,競争政策の観点から国家補助に対する規律を考える際の視座を得ることを目的とするものです。具体的には,我が国における国家補助の規律の在り方を考える前提として、EU国家補助規制の基本的枠組みの整理・理解を行った上で,国家補助の類型ごとの具体的事案において,ガイドライン等を含むルールに照らしてどのような判断がなされたかについて整理・検討していくものです。
 報告を受け,参加者からは, EUは複数国の集合体であるのに対し日本は一つの国であることから,EUと日本とでは国家補助規制の目的が異なると思われるというコメントがなされました。次に,競争政策との関係を考慮すべき公的制度には,従来検討されてきた政府規制以外にも,関税,租税等様々なものがあり,その中で特に国家補助を検討するのであれば,その選択についての問題意識を明確にする必要がある,補助制度については,WTOでも規律されており,その関係も踏まえた方が良い,また,産業政策との関係もあるので,産業政策と競争政策との関係ということも踏まえながら検討する必要があるのではないかとのコメントがなされました。それを受け報告者からは,頂いた指摘を念頭に置いて研究対象をより具体的に設定して,本研究を進めていきたいという回答がなされました。

(2)「標準化・情報交換活動と競争法」の研究計画

 (CPRC客員研究員・中央大学法学部准教授 西村暢史氏)
 (CPRC研究員・相談指導室長 河野琢次郎氏)
 (CPRC研究員・相談指導室 猪又健夫氏)
 (CPRC研究員・相談指導室 森貴氏) ほか

 平成23年度の共同研究の一つである本研究は,先行研究の整理や調査などにより,標準化・情報交換活動と競争法について考察することを目的とするものです。今回のワークショップにおいては,最初に,報告者から共同研究の問題意識について説明がなされ,次に,研究方針についての報告がなされました。
 報告を受け,参加者から,スタンダードセッティングも含めて,どのような条件でライセンスするか,標準を決めるプロセスに遅れて参加した者をどのように扱うか,技術開示をどの程度求めるか等が問題となる場合が多いが,標準化活動全般を研究対象とすると範囲が広すぎるので情報交換活動に関係するものに絞った方が良いとの指摘がなされ,報告者から,指摘事項を参考にして情報交換活動に関するものに焦点を絞っていきたいとの回答がなされました。
 次に,参加者から,民間の標準化団体も研究対象に加えるのか,それとも公的な標準化団体に絞るのかという質問がなされ,報告者から,民間の標準化団体も研究対象に加えるつもりであり,標準化活動において交換される情報の中身や競争法上の問題となる可能性のある情報交換がなされていないかという観点から研究を行っていきたいとの回答がなされました。
 加えて,参加者から,競争法上,標準規格の策定段階における問題と,策定後の問題とは分けて考えるべきであるところ,今回の研究は,主に標準規格策定段階に焦点を当てるという理解でよいかという質問がなされ,報告者から,そういう理解でよいとの回答がなされました。
 続いて,参加者から,交換する情報の内容について,標準化の中身以外のロイヤリティ料率等も含め研究するのかという質問がなされ,報告者から,それらについても研究の対象に含まれると思うとの回答がなされました。
 最後に,参加者から,特許技術の開発のみを行い自社では製品を作らない企業もあるが,こうした企業が参加する標準化活動もあるため,研究対象とする標準化活動についてはある程度絞る必要があるとの指摘がなされ,報告者から,御指摘を参考によく考えたいとの回答がなされました。

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