第107回ワークショップが7月1日(金曜)に開催されました。報告等の概要は以下のとおりです。
「欧州の電気通信分野におけるSMP規制(※)の分析と日本の独禁法への示唆」の研究計画
(CPRC主任研究官・大阪大学大学院高等司法研究科准教授 武田邦宣氏)
(CPRC客員研究員・大阪大学社会経済研究所准教授 松島法明氏)
(香川大学大学院香川大学・愛媛大学連合法務研究科教授 柴田潤子氏)
(CPRC客員研究員・名古屋大学大学院法学研究科准教授 林秀弥氏)
(CPRC研究員・調整課 木村奉多賀氏)
(CPRC研究員・調整課 古賀雅士氏)
(CPRC研究員・調整課 鈴村達矢氏)
(CPRC研究員・経済調査室 松八重泰輔氏)
平成23年度の共同研究の一つである本研究は,SMP規制や総合事業能力規制を日本で導入する際に何が問題となるのかを独占禁止法の視点を用いて考察することを目的とするものです。
今回のワークショップでは,報告者から,法学的見地から,SMP規制のパイオニアであるEUの論点の整理,総合事業能力とは何か等の研究を行い,経済学的見地からは,独占市場から寡占市場へ市場が移行する際に,独占企業であった企業と新規参入企業間で「ある」非対称規制を導入することが厚生にどのような影響を与えるのかを考察するという報告がなされました。
研究計画の報告を受けて,参加者から,SMP規制の概念の整理が必要ではないかというコメントがなされ,報告者から整理したいとの回答がなされました。また,参加者から,ヨーロッパにおいてSMP規制が競争法とは別に規制されている理由は何かという質問がなされ,報告者から,競争法で解決できないことに対してSMP規制によって対処するという回答がなされました。
さらに,参加者から,SMPと総合事業能力は,個別集中度と一般集中度と似た概念ではないかという質問がなされ,報告者から,類似の点があるという回答がなされました。
そして,参加者から,参入能力という意味で考えると,SMPは総合事業能力やキャパシティ等に関わってくるがどのように整理していくのかという質問がなされ,報告者から,SMPは,どのような能力が参入を妨げるのか等の要因を探っていく作業であるという回答がなされました。
(※)SMP(Significant Market Power)規制とは,市場支配力の概念を用いて規制対象を選択する規制方法である。具体的に言うと,市場画定を行い,当該確定された市場で市場支配力を認定し,規制対象を選択するという規制方法である。